気圧が近づくと必ずと言ってよいほど、体調不良になって明日の天気を言い当てる人がいます。これは、決して気のせいではなく、医療現場では気象病と呼び、症状を天気痛と呼んでいます。
雨の前日は頭が痛くなり、台風が近づくと喘息の発作が出る、梅雨時には昔の古傷が痛むなどのいろいろと症状が出てきます。
皆さんの周りにはそのような人はいませんか?私もどちらかというとそういう傾向にあります。ですから、カラッと晴れた日がどれだけ身体にとってうれしいかが分かります。
気圧と体調とはどのような関係があるのか記事にしてみました。
この記事の目次
気圧低下で体調を崩すのは病気?
天気によって体調を崩す人は、男性よりも女性の方が3倍近くいます。特に20代~30代の人に多く70%の女性が症状を訴えています。
ウェザーニューズサイトによると、日本人の6割の人が気圧の低下が原因で、体調を崩している人がいます。台風などの気圧低下により、頭痛、腰痛、肩こり、めまい、吐き気、耳鳴りの症状がでてきます。
これは、気のせいではなく医療現場では気象病と呼び、症状を天気痛といいます。
天気痛の症状
天気によって体調を崩す症状として、以下の症状が挙げられます。
- 頭痛
- めまい
- 肩や古傷が痛む
- 身体がむくむ
- 気分が憂鬱になる
- 肌が痒くなる
交感神経の働きが制限されて、副交感神経が優位に立ち自律神経のバランスが崩れることで、食欲不振、頭痛、神経痛、倦怠感などの症状が出ます。
症状が出やすい季節
- 春や秋・・・・・低気圧が定期的に通過する
- 梅雨
- 晩夏~秋・・・・台風が日本付近に接近する
- 冬・・・・・・・低気圧が日本の南岸を通過するときに太平洋側に雪が降る
台風時期は気圧の変化が急激で変動が激しいので、一番つらいという患者さんもいます。また、梅雨時は期間が長いので体調不良を訴える人が増加します。
夏場の局地的な大雨が起こる場合も、気象病が起こります。積乱雲の大きさは数十キロメートルなので、日本の全体の気象情報には、低気圧と表示されません。
上昇気流が起こっていると気圧が低く、積乱雲が起こると急激に気圧が低下するので、気象病が起こります。
また、高層ビルのエレベータに乗ったときとか、飛行機に乗ったときに症状が出る人もいます。高層ビルも飛行機も気圧が低くなるので、うなずけます。
気象病になってしまう原因
1気象病の症状が出る原因は、急激な気圧の変化によって血管が膨れて神経を圧迫するために起こります。
2.気圧の低下により血管が拡張しやすくなることが原因です。
温度と湿度の変化
温度と湿度が気圧の変化に加わると、気象病の症状が出やすいといわれています。1日の間に気圧が10ヘクトパスカル、温度が10度以上変化すると出やすいです。
気象病の対処法
1・低気圧で体調不良になったときにとる対策は、まず、血液中の酸素濃度を上げることが必要です。血流が悪くなっているので、血液に酸素を送り込むことが大事です。
ゆっくり息をスーッと吸って、体内に新鮮な空気を取り入れることが必要です。
2.ゆっくりとぬるめのお湯につかって交感神経が働くようにします。交感神経が刺激され血流がよくなります。
3.余分の水分を排出して、血行をよくしてむくみを解消します。また、スクワットを軽くするのも効果的です。
身体の中から余分な水分を排出し、血行を身体の中心からよくしていきます。
4.柑橘類や酸っぱいものを食べるのもよいです。
天候が悪くなると痒くなる時の対処法
乾燥の時期でもないのに天候が悪くなると身体が痒くなる症状です。湿度に肌が敏感になって起こる症状に、天候が悪くなると痒くなって掻いていると、ぶつぶつのような蕁麻疹が出るそうです。
寒冷刺激でない蕁麻疹の場合はまず患部を冷やします。衣類などの摩擦や圧迫を与えないように安静に過ごすとよいでしょう。
気圧変化で体調不良を起こす人の特徴
気圧が低くなるということは空気が上に上がって、地上の空気が薄くなることをいいます。気圧が低くなると、私たちの身体は血管が拡張して血圧が下がります。
頭の血管が拡張すれば頭痛が起こり、喉の血管が拡張すれば喘息がひどくなります。また、気圧の低下の刺激で、ヒスタミンという神経伝達物質が過度に分泌されます。過度にヒスタミンが分泌されるとアレルギー反応を起こすことがあります。
気圧の変化で自律神経が活性化しやすい
天気と体調とは昔から関係があること分かっていました。しかし、現代のような局地的大雨や、生活習慣病からくる気象病の患者数が、増加傾向にあることは現代病といえるかもしれません。
気象病の原因の一つは気圧の変化で、主に気圧が低下するときに不調を訴える人が多いですが、中には、気圧が上昇するときに不調を訴える人も出ています。
人間の身体は、自律神経が気圧の変化によりストレスを感じるため、抵抗しようとして自律神経系が活性化されます。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、交感神経は血管を収縮させ心拍数を上げて身体を興奮させます。
副交感神経には血管を広げてリラックスする働きがあります。体調不良の原因は、この、交感神経と副交感神経のバランスの調節がうまくいかなくなることで起こります。
乗り物酔いと同じ?
愛知医科大学の佐藤純教授によると、気象病の起こる原因は内耳にあるのではないかと言われています。耳の敏感な人が気象病になりやすく、内耳には気圧を感じるセンサーがあるのではないかと考えられています。
また、自律神経以外の原因として、気圧の低下により血液循環が悪くなるため、身体のあちらこちらが膨張してきます。血管が膨張して低血圧になったり、頭の血管が膨張したりして頭痛が起きます。血液やリンパ液の流れが悪くなり体調不良を起こすといわれています。
気象病が起こる仕組み
- 内耳で気圧の変化を感じる
- 内耳のセンサーでキャッチした気圧変化の情報
- 情報が脳に伝達される
- 自律神経が活性化
このように内耳が気圧変化に敏感にキャッチすると、脳に過剰に伝わるため、副交感神経や交感神経が活発になり気象病が起こるのではないかと考えています。
内耳に気圧変化が起こると三半規管などにも影響を与えている場合が多いので、三半規管を正常に戻す薬を飲むと治る場合があります。
乗り物酔いに悩んでいる人が気象病と同じでは?
気象病に悩んでいる人は乗り物酔いにも悩んでいて、乗り物酔いをする人は内耳の揺れにも敏感で、内耳が気圧の変化という揺れに敏感なため、気象病の起こる人は乗り物酔いも起こると佐藤先生は考えられています。
交感神経が活発になれば痛みを感じ、副交感神経が活発になれば、身体がだるくなり眠たくなります。種類によって酔い止めの薬を飲むと改善する可能性もあります。
気象病で関節痛になるのは、交感神経が活発になりすぎて直接痛みの神経を刺激することで、血管が過剰収縮してけいれんし、血管の周囲の神経を興奮させるためです。
古傷が痛むのは脳が過去の傷の痛みの記憶を思い出させるからと言われています。酔い止め薬には内耳の血流を改善、内耳神経の興奮を鎮静化させる働きがあります。
頭がぼんやりして頭痛が起こりそうになったら服用すると気象病の症状が改善されることもあります。
気象病の予防方法
気象病の予防をするのは、まず、自律神経のバランスをとる生活をして、適度に身体を動かして、気象時刻は毎日同じ時間に起きて、朝食をしっかり食べることが大切です。
耳の血流をよくする
気象病の人は耳の血流が悪いので耳の血流をよくすれば予防になります。最近は、夏はエアコン、冬は暖房と人間にとって過ごしやすい環境で生活をしている人が多いですが、このような生活は、自律神経系の働きを弱めることにつながって、気圧の変化などで自律神経のバランスを崩しやすくなります。
気象病を予防するには次の方法をすると改善する場合があります。
気象病を予防する人は1~4のマッサージを1日3回痛みのない程度に行ってください。
- 耳を上下横に5秒ずつ引っ張る
- 耳の横の部分をつまみ、軽く引っ張りながら後ろに向かって5回ゆっくり回す
- 耳の下に親指をあて、上に人差し指をあてて上下に折り曲げる。この状態を5秒キープする
- 耳全体を手で覆い、後ろに向かって円を描くようにゆっくり5回まわす
出典:東洋経済
また、気圧の変化を見ながら、自分の症状がいつ出るのか把握するのに「頭痛ーる」というアプリがあります。
気圧の変化がわかるだけでなく、自分が体調不良で飲んだ薬のタイミングを記憶しておくと、体調管理に使うことができます。さらに、気圧が大幅に変化するときに注意のメッセージが表示されます。
自律神経の改善策
ホルモンと自律神経は深くかかわっています。特に、更年期障害のホルモンの崩れる時期には気圧による体調変化が強く出ます。
自律神経を改善するには日ごろの生活習慣が大切になってきます。自律神経の改善策は次のようになります。
朝は同じ時間に起床して必ず太陽を浴びる
自律神経を整えるには、規則正しい生活を送ることが大切です。そうすることで、体内時計のリズムが整い、自律神経のバランスが整えられます。
朝は同じ時間に起きて太陽の光を浴び、朝食をバランスよく摂取するとそこで体内時計はリセットされます。そして、一日が始まります。
街の中に住んでいると、カーテンを開けると近くに他人の部屋が見えてしまい、なかなかカーテンを開けることはできませんが、レースのカーテンにして、太陽の光が部屋に差し込むようにするとよいでしょう。
有酸素運動をする
自律神経を整えるには、有酸素運動であるジョギングなどをすると副交感神経が優位に立ちバランスを整えてくれます。
「歩く時間がない」人は通勤時間にゆっくり呼吸をしながら歩くとジョギングと同じ効果が得られます。また、自宅でヨガやストレッチをするのもよいでしょう。
お風呂にゆっくりとつかる
38℃~40℃のぬるめのお湯につかり、ゆっくりとリラックスして入浴します。そうすることで、副交感神経がリラックスして、心も体もリラックスします。
自律神経を整えるにはぬるめのお風呂につかることが大切です。
質の良い睡眠をとる
心も身体も休ませるためには7時間の睡眠が必要です。睡眠するとリラックス状態になって副交感神経が優位に立ち、眠ることで交感神経を休ませることができます。
短時間で身体を休めているという人もいますが、交感神経は短時間では休めることができないので、自律神経が乱れやすくなります。
気圧の体調変化による解消法
気圧の体調変化による解消法はどのようにしたらよいのでしょうか?解消するにはどうしたらよいのか見てみました。
天気が悪くなるとむくみが出る解消法
よく飛行機に乗ると身体がむくむと言われますが、それと同じ原理で天気が悪くなることで起こります。
その他にも、気温の変化が急激になると、血流が悪くなってむくみの症状が出てきます。解消法としては、利尿作用のある飲み物や食べ物を意識的に取ります。
例えば、コーヒー・緑茶・紅茶・ウーロン茶のようなカフェインの含んだ飲み物や、キュウリやスイカ、豆類などをとるとむくみの解消法になります。
また、入浴時にぬるめのお湯に20分~30分ゆっくりと湯船につかります。心臓の下あたりまで入る半身浴が身体を温めながら全身の水分を効率よく排出することができて、むくみにはとても良い対処法です。
寒く・暗くなると気分が憂鬱
何もないのに気分が憂鬱になって、寂しい気持ちになることがありますが、これも、天気による体調の変化の一つで、そのままにしておくと精神バランスが悪くなってしまいます。
気分を解消するには、人それぞれ違いますが、アロマなどの香りをかぐことでリラックスできます。アロマなどの方法は気分転換するとても良い解消法です。
自分の落ち着く香りを見つけて、気分転換できる解消法を見つけましょう。
低気圧頭痛の時に押せるツボ
合谷(ごうこく)
手の甲から見て、手を広げると親指と人差し指のあたりに凹むところがありますが、ここを人差し指に向かって押します。
内関(ないかん)
手のひらから見ると手首に二本の腱があります。その手首から3本の指を乗せて置いた腱の中央を押します。
大衝(たいしょう)
足の甲から見て親指と人差し指の骨の付け根が交わるところの凹んだところを押します。
このツボを押すことで得られる効果は、血流の回復、筋肉の凝りがとれて、身体と気持ちがリラックスしやすくなり、交感神経の働きを低下させることができます。
気圧チェックで体調管理のできるツール
現在ではインターネットやスマホで気圧に関する様々なアプリが利用できるようになり、これを、利用することで改善策が取れることができます。
では、どのようなツールがあるのでしょうか?天気情報を次のアプリから見られます。気圧予報で、体調管理と頭痛対策を行えます。
こちらからサイトに行ってダウンロードできます。
頭痛ーる
気象予報士が開発した頭痛持ちのための天気アプリで、気圧が通常より大きく下がるときなどに、低気圧アラートのようにグラフ表示して知らせてくれます。
使える機能はいっぱいあります。気圧変化による様々な症状に悩む人におすすめのツールです。
頭痛ろぐ
これは精神科医とデータサイエンティストにより開発されたもので、睡眠不足や寝すぎなど睡眠時間の感知機能がついます。
寝すぎなど対してアラート設定が可能で、画面は分かりやすくシンプルで、偏頭痛ダイアリーアプリでは人気が1位と好評を得ています。
バイオウェザーサービス
スマホを持ってない人におすすめで、アラート機能はありませんが、気圧配置の週間予報がみれますし、健康状態をチェックする健康予報もあり、体調管理に役立ちます。
YoWindow
現在の天気予報をスクリーンセーバー対応のアニメーション表示する天気予報アプリで、気温、風、気圧、湿度も合わせて天気情報を表示します。
天気情報は世界各国の都市を指定し、切り替えができ、海外の現在の天気や明日の天気も確認できる国際的な情報が特徴です。
女子カレ
女子にとって便利機能が満載で、生理のスタート日・排卵日の予測・体重や基礎体温のグラフ化などのキューレーション系アプリです。
その中の「ずつう指数」というサイトがあり、アプリをダウンロードして、自分の個人の基礎情報と最終生理日を入力すると「偏頭痛スクリーニングテスト」を受けることができます。
まとめ
気圧が下がって体調不良になったときについて、いろいろ調べてみましたがいかがでしたでしょうか?
現在はいろいろなツールがあって、気象病を解消できる方法も沢山出ています。今までは耐えることしかなかった頭痛も、酔い止めの薬を飲むことで、気象病が解消されることもあるようですね。
また、自分の不調の時の記録を取っておくと、どのような気象変化になると症状が出てくるかも細かく分かりますので、それに対する対処もできます。
現在は情報通信が発達しているので、できるだけ活用して、気象病の解消を行ってください。
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