ストレスは、どんな症状や疾患に対しても関連してくる重要なキーワードですが、みなさんは上手くストレスを発散できているでしょうか?
今日のテーマは「ストレス 過食」です。ストレス社会といわれる今の時代にストレスを抱えていない人は存在しないくらいだと思います。食生活は、自分の生命に直結する大切な行為だからこそ、過食などの「食べる行為」に対して一度病気になると完治が難しくなってしまうのですね。
また、ストレスは単なる量ではなく起こる症状が問題でもあるので、今日は一緒に考えていきましょう。また、症状を改善する方法についてもお伝えしていきますので参考にしてください。
ストレスと過食症について
ストレスは、現代では「ストレス社会」と呼ばれるほど逃げることの出来ないような毎日をたくさんの人が生きています。しかし、多くの場合は「食べ過ぎる」症状だと、病気だと気付かずに過ごしてしまい大変なことが起こってしまう場合があるのです。
もちろん家族も本人も気付かないので治療が出来ないことがあります。このように「たかが食べ過ぎくらい」などと、ストレスを放っておくと取り返しがつかないことが起こります。このように、食べ過ぎてしまうことも「病気」の重大な病気の可能性があるのです。
ストレスって何?
いったいストレスとは、何を指して言うのでしょうか?ストレスを抱えている本人でも「ストレス」を説明することは難しいかもしれませんね。また、誤解をしている人がいるかもしれません。
ストレスは「何らかの刺激により心や身体にもたらされた状態」なのですが、もし簡単に言い換えるとすると「心身の疲労」ということになります。心身の疲労がストレスということは、もちろん「嫌なこと・辛いこと」だけではないのです。
例えば、「好きな人との初デート」なんかも「嬉しいことだけど帰ったら疲れちゃった」なんてことを経験した人も多いのではないでしょうか。このように嬉しいこともストレスといいます。
このように緊張状態が続くと、それを解放したときに「弾みで出てしまう行動」があると思いますが、そういったことを医療では「ストレスによる問題行動・異常行動」といった呼び方をすることがあります。
ストレスはマイナスだけじゃない
例えば、先ほどの「好きな人とのデート」を例にしてみると「お洒落をして緊張した(ストレスにさらされている状態)」から「部屋着に着替えて寝転んだ(ストレスから解放されて疲労を回復しようとする行為)」という感じですね。
マイナスなことだけでなく、自分自身にとってプラスなことも自分の脳が刺激を受けたら「ストレス扱い」になるんです。一般的に知られているのは、マイナス面が多いので、これを機会に正しく理解をしておくことも良いですね。
過食は病気なの?
ストレスについて少しづつ分かってきました。過食という行為をしてしまうことは、ストレスによる摂食障害の一つで心の病気です。また、この過食のような摂食障害は男性よりも女性の方が起こしやすいといわれています。
摂食障害・症状の定義
摂食障害とは、長期間にわたって「食生活での問題」が継続して起こり、本人が体型(スタイル)・体重に対して強いこだわりがあって満足を得られない状態があるという症状です。(※また一時的に少しの期間だけ食欲がない・食べない、むちゃ食いのように食べてしまうような状態は誰もが経験したことがあるものですし、心配はないです。)
拒食の症状
- 食事を拒む
- 体重が極端に減る
- 女性の場合は生理が止まる
このような状態が続くことが拒食症ですが、食を拒むということは直接生死に関わる問題なので専門医の治療が必要です。
過食の症状
- 食べ始めると止まらない
- むちゃ食いしてしまう
- 体重の急激な増加
過食は、食べ過ぎたことによる後の心の状態が心配です。この場合にも専門医の診察が必要となりますが、摂食障害は拒食・過食などの食行動の異常行動に基づいた疾患です。また、一度摂食障害になってしまうと克服するまでに時間が掛かったり、治療が困難となるので周囲の協力が不可欠です。
どうしてストレスが溜まると食べてしまうのか
食事には人間の情緒を安定させる効果があるので、ストレスという不安があると食事で安定させようと本能が働くのですね。これは脳のメカニズムです。
そこからストレス太りの人もいるのですが、太った原因を自分の中から排除する方法をとらないと元に戻ることが出来なくなります。
過食と拒食の関係
拒食症と過食症には2つの進行の仕方があります。
- 拒食症 ➡ ストレス ➡ 食事が通らなくなる拒食 ➡ ますます進行する ➡ 一般的な生活が出来ない
- 過食症 ➡ ストレス ➡ 拒食状態 ➡ 大量の食べ物を摂食する ➡ 糖分の摂りすぎで他の疾患を引き起こす可能性がある
今日のテーマである過食では深刻な問題とされるのは食べ過ぎることより、その後の行為を起こすといった内面的なものです。しかも過食で悩む人は「拒食症も引き起こしてしまう」ことが分かっています。摂食障害は、過食・拒食のどちらも起こしてしまうところが心配なところです。
過食の原因
ストレスは、どういったことが原因で発生、または存在しているのかを分類して考えていきましょう。
1.社会的な課題
現在の日本では特に、痩せた人を「美しい」として、肥満傾向の人を嫌ったり、軽視する傾向がみられます。また、厚生労働省による社会的状況は以下の通りです。
- 20歳代の女性の平均体重 ➡ 年々減少傾向(標準体重-約10%)
これで見ると標準体重が45キロの場合には、4キロ以上も体重が減少していることを表しています。女性にとっては4キロの差は大きいですね。これでは出産できる体力が損なわれてしまい、晩婚化と少子化の問題にも影響してくることが懸念されますね。このようなことも摂食障害の患者が増加している原因の一つとなっています。
2.心理的要因
特に若年層においては「痩せている方が良い」といった評価をしてしまう傾向が強いので普通体重の女性もダイエットをしてしまうのです。すると、どんどん「痩せる」といった行為で、自分の評価を作り出そうとする人も増えてくるのです。
「もっと痩せなきゃ」と他人の目が気になり思うように食事を摂ることも出来ないなんてストレスが溜まるはずです。このように、自己評価が低く、自尊心の低下が摂食障害の原因となってしまうのですね。
3.強迫性
強迫性パーソナリティー傾向が強く表れてしまうことも拒食症の問題です。※強迫性パーソナリティーとは、自分の決めているルールから外れることが許せない程まじめな性格が、うつ病や不安といった発症の原因となって関連していることです。
4.家族環境(家庭環境)
家族との接触が少ない場合や、家族が過保護・過干渉であると摂食障害になってしまうことがあります。その他には家族や身の回りの人達に、体型やダイエット、または食事等について批判的な意見を受けてしまうことも原因の一つとなっています。
確かに「心ない言葉」を耳にすると子どもに対する道徳教育も現在の大人の責任で必要だなと考えさせられることもありますね。
5.遺伝的要因
最後は遺伝的要因です。これが発症に大きな影響を与えているのではないかとみられている要因で、代々受け継がれている遺伝子の問題ですね。
過食と拒食では、羅漢感受性遺伝子(らかん かんじゅせい いでんし)は異なるのですが、オーバーラップしたものもあると考えられています。※羅漢感受性遺伝子とは、「病気にかかりやすい」という関係性に関わる遺伝子のことです。
過食と社会問題
過食にまで発展するケースでは、下記のような共通した特徴があります。
- 自己誘発嘔吐や下剤などの薬物乱用を伴う場合もある
- 痩せていることが美しいとする文化的な背景がある地域に多い
- 患者の95%が女性
- 思春期・青年期の女性が多い
しかし、もっと深刻なことは下記のような問題です。
- 患者が低年齢化してきた
- 患者が高齢化してきたことが世界的な社会問題
※世界では現在も、遺伝子研究や脳画像解析(のうがぞうかいせき)などの研究を含めて、いろんな視点から解明を試みているようです。無理なダイエットをすること生命の危険を伴うので適正体重を維持できるようにしてほしいですね。
血糖値とぶどう糖の関係
血糖値というのは、血液内のグルコースというぶどう糖の濃度のことです。健康な人の空腹時血糖値(食べてすぐの時ではない)が80~100㎎/dL程度で、食後でも少し上昇する程度です。血糖が正常値より下がることを「低血糖」といい、高くなることを「高血糖」といいます。
低血糖とホルモン
病気がない限りは、重篤な症状が現れる低血糖症状は起こらないのですが、極度に食事を摂らなかったりすると低血糖を起こす可能性があります。そして低血糖を防ごうとするシステムがある人間は一定の血糖値を保つことが出来るのです。そのシステムの正体は数種類のホルモンなのですが、重要な役割をしています。
そして医療機関によっても基準とする数値は少しづつ異なりますが、50㎎/dLを下回ると意識を消失する危険性が高くなり重篤な場合には死に至ることもあります。脳の場合はぶどう糖しかエネルギーとして使うことが出来ないため、脳が働かなくなって意識を失ったり生命の危機に関わることになるからです。
- 50㎎/dL以下 ➡ ぶどう糖供給がない! ➡ 脳が停止 ➡ 脳死状態
- 50㎎/dL以下 ➡ ぶどう糖供給する!! ➡ 80~100㎎/dL 意識が回復
低血糖の症状で代表的なものは下記の通りです。
- 心拍数の増加
- 手足の震え
- 呼吸が浅くなる
- 狭心痛
- 手足の痙攣
これらの症状以外の軽度では、めまい・ふらつき・集中力欠如・眠気などがあります。過食をする人にこのような症状がみられた時には早急に専門医を受診するようにしてあげてください。
高血糖とペットボトル
低血糖と反対に血糖値が上昇することですが、私たち人間を含めて生き物には高血糖に対する防御システムは備えていないことが多いです。また近年ではコンビニの普及もあり清涼飲料水を飲む機会が増えましたね。それにともなってペットボトル症候群と呼ばれる患者が増加しています。
ペットボトル症候群とケトアシドーシス
ペットボトル症候群とは、清涼飲料水に含まれる糖分を毎日大量に飲み続けることによって「糖尿病性ケトアシドーシス」という重篤な疾患になることです。ケトアシドーシスという疾患になると早いと数日~数時間で死に至ることもあり輸液治療が必要となるため入院加療になります。
高血糖を防ぐために調整するホルモンは、膵臓が出しているインスリンだけなので、このメカニズムが破たんする=2型糖尿病となってしまうのです。
詳しくは、ペットボトル症候群とは?症状や原因、治療法を知ろう!糖分や水分の摂り方に注意しよう!を読んでおきましょう。
過食からの怖い合併症
食べ過ぎると、高い糖分の吸収によって糖尿病や糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な疾患を起こすだけでなく、精神的な問題が解決していけることが少ないため繰り返してしまう患者が多いのが問題となっています。
神経性大食症・神経性食欲不振症
摂食障害には2つのタイプがありますが、そのうち拒食症のことを米国では神経性食欲不振症といい、過食症のことを米国では神経性大食症といいます。※この2つとも米国の診断基準なので、今後は診断基準や病型分類は変更していく可能性があります。
摂食障害の診断
診断をするためには、初めは詳細に問診をしていきます。そして下記のような問題を抱えていないか医師は慎重に対応していきます。
- 肥満への恐怖心や身体イメージの障害
- 病識(自分が病気だと認識すること)できる人が少ない
- 鬱症状と誤診される
- パーソナリティー障害と誤診される
また摂食障害は全体の6~7%は死亡するということがあり、思春期の女性にとっては重症な疾患の一つなのです。
身体検査での重要な問題
精神的な問題について問診が終わったら、体への問題が起きていないか確認をします。主に姿勢などの外側から異常を見つけたり、他の病気と区別をするためです。
- 身体検査の合併(痩せ方・過食嘔吐・薬物乱用などの影響での二次的障害)
- 過食嘔吐のない制限型 ➡ 血液検査では異常がないことが多い
見逃されたり、他の疾患と間違えられたりして、診断を難しくしていることもあります。拒食が酷いといった場合には生命予後などに直接関係があるので血液検査で「低血糖・低カリウム血症・低リン血症」を調べておくのですね。
その他には、摂食障害と共に抱えている疾患として、境界性パーソナリティー障害やアルコール中毒などの薬物依存、うつ病も見られます。
むちゃ食いと嘔吐
過食の症状には、むちゃ食いと嘔吐が繰り返されることです。その時に、やはり一番の難しい問題は「罪悪感」をもってしまうことです。
- 食べたい ➡ 過食 ➡ 痩せたい ➡ 嘔吐・薬剤使用
痩せたい気持ちが「食べ過ぎたことを無かったことにする」ために、自分に対して嘔吐をさせます。本人は辛い思いをしているんだと周囲の理解によって乗り越えていけるように環境を整えてあげたいですね。
このような繰り返しがどれだけ良くないことか、本人もちゃんと分かっているだけに罪悪感に苛まれてしまうのです。
過食の症状・状態
見た目を気にするあまり、大きなダイエット効果を上げようとして過度な食事制限をすることがきっかけとなったりします。過食というのは漢字を見ての通りの意味「単なる食べ過ぎ」ではなく「短時間で異常な量を食べてしまう」という症状のあとに必ず「自分で嘔吐」等をしてしまいます。しかも、自分では制御不能になってしまうところから家族に心配をかけてしまうのでかえって自己嫌悪に陥る人も多いのです。
問題行動と症状
また、他にも下記にあげる症状とその後の行為が更に自己嫌悪へと繋げていきます。
- 隠れて食べるようになる(食欲が止まらない)
- 大量に食べたものを嘔吐する(※自己誘発嘔吐)
- 下剤を使用して出そうとする
- 利尿剤を使用して体重を減らそうとする
- 罪悪感からのうつ状態になりやすい
- うつからの自殺未遂
- 薬剤使用などの問題行動
- 女性は月経が不順になりやすい
- 嘔吐・下剤の乱用にて電解質異常を起こす
- 脱水症状からの不整脈等
自己嫌悪と罪悪感
自己嫌悪を起こさないようにするには、自己否定をなくすことです。また、自己否定をなくすことは自分を責めすぎないことです。本人は「ダメだと分かっている」からこそ自己嫌悪から抜け出せないのですから周囲は理解をしてあげること、長い目で見てあげることが大切ですね。
自己誘発嘔吐をする理由
たくさん食べてしまった直後では、こんなイメージになるのでしょう。
- 「どうしよう。食べてしまった。太りたくない」などと不安が強い ➡ 「食べなかったことにしたい」 ➡ 食べて直後だと「まだ、胃の中にある食べ物を取り出せる(自分で吐き出せる)」 ➡ 吐き出したい ➡ 嘔吐
このような考えから起こす問題行動の一つが、こうして起こる「自己誘発嘔吐」です。自己誘発嘔吐は、自分の手指を使って喉の奥にある咽頭刺激をすることが一般的です。
また、自分のお腹を両手で押さえ込んで食道から胃を直接刺激し吐き気を誘発することもあります。この2つの方法で起こす刺激を末梢性刺激といいます。
末梢性刺激の発生から嘔吐まで
末梢性刺激「手指で咽頭を刺激する」「お腹を押さえ込む」などの行為 ➡ 化学受容体引金帯(第4脳室) ➡ 大脳皮質を刺激 ➡ 前提神経核の刺激 ➡ 嘔吐中枢 ➡ 腹筋・横隔膜が急激に収縮 ➡ 嘔吐
このようにわずかな時間で刺激が次々に伝わっていきます。この伝達されていく過程で起こる大脳皮質の刺激から「セロトニン」というホルモンが大量に放出されることが分かっています。(※この末梢性刺激が初めての時に強ければ、強いほど、大脳皮質への刺激も強くなることが分かっています)
幸福ホルモンのいたずら
このセロトニンは、オキシトシンと同様に「幸福ホルモン」としても知られていますね。セロトニンは脳の機能を安定させるために重要な役割を担っている神経伝達物質の一つです。
筋肉をほぐしたりすると大脳からリラックスできる「快感」を得ることができるのですね。その結果、このセロトニン神経が心に影響を与えるようになります。これが幸福ホルモンといわれる所以ですね。女性がエステを好むのもこうした刺激で幸福ホルモンが分泌されるからでしょうか。
- 普通の人 ➡ 筋肉を刺激(マッサージなど) ➡ セロトニン分泌 ➡ 幸福な気持ちになる ➡ またマッサージしてほしいな ➡ 気持ちも元気になる
- 摂食障害の人 ➡ 異常な量を食べる ➡罪悪感 ➡ 嘔吐・胃の刺激 ➡ セロトニン分泌 ➡ 幸福な気持ち ➡ 内緒で食べて、また吐きたい ➡ 自己誘発嘔吐 ➡ 繰り返す
自己誘発嘔吐の場合は余計なものを吐き出せたすっきり感が手伝って、セロトニンが分泌される効果が加わり「快感を得るのと同じ気持ち」になります。人間は快感に対して何度も欲求してしまう生き物なので「やめられない理由」になっていくことで習慣化する嘔吐を自己誘発嘔吐といいます。
拒食の症状と診断
何らかのストレスがきっかけとなり、食事を受け付けることが出来なくなっている状態です。拒食症の場合には栄養を摂ることが重要なので、小食でも3色をきちんとカロリーにこだわらず本人が食べやすいものを食べるようにします。
診断と目安
栄養を摂ることを重点に置いた治療になりますが、心身両面の治療が必要なため管理のしっかりできる病院を選びましょう。
- 標準体重(身長×身長×22)に対して、55%以下の痩せがある場合には入院治療となります。また、重篤な合併症を併発している場合や全身の衰弱が激しい時にも緊急入院の適応となります。
また治療で体重が増え始めても食べることを怖がらないように精神的なサポートが必要ですね。
周囲にこんな人はいませんか?
自分が過食等の異常を起こしているのではと心配になる人も多いと思います。精神的な心配がある人がする診断チェックが出来る記事もあるようですので心配な人は、試してみるのも良いでしょう。※悪徳商法に誘導する記事もあるので気を付けてください。
中には下記のようなケースもありますので参考までに読んでみてくださいね。
ケース1.普段忙しくて疲労がたまっている
週末だけ甘い好物を食べ続けるが、すごい量を食べてしまっている。仕事が休日の時には、ひたすら食べてしまう。
回答 コンビニよりデパ地下まで足を延ばして見た目も味も良いものを購入するようにすることで、一番おいしいものを極めるくらいに楽しんでしまいましょう(お話:アオハルクリニック ダイエットカウンセラーの伊達友美さん)
ケース2.夜中にアイスを一気食いしてしまった。
回答 夜中に食べてしまったことを覚えているなら数回程度だと問題ないです。ほてって眠れない場合には鉄分が不足している可能性もあります。鉄分が不足していても氷を食べたくなるので赤みのお肉を食べて補いましょう。(お話:アオハルクリニック ダイエットカウンセラーの伊達友美さん)
※参考にさせて頂いたダイエットカウンセラーの伊達友美さんは管理栄養士でもあり、日本抗加齢医学会認定指導士で、これまでに5000人以上に栄養指導を行って心と身体と性にまつわる栄養学を専門とされています。
過食の治療
摂食障害の効果的な治療法は確立していないので、行動療法を中心にした心理療法が行われることが一般的です。日本においては支持的な心理療法を中心として家族療法・行動制限療法・認知行動療法・再養育療法・力動的な心理療法などです。
生活習慣を整える
呼吸療法を使ったリラックス法、生活習慣の改善として規則正しい生活、バランスの良い食事など、いろいろありますが当たり前を丁寧に過ごすことが大切なのかもしれませんね。
また、セロトニン不足になると精神的に不安定になるので、心身共に大きなストレスを感じるためセロトニンが足りなくなってしまいます。この場合にはセロトニン神経を鍛えてセロトニンを増やすという方法を取るのも大切です。
セロトニンを増やす対処法
- 太陽光に当たる ➡ ポイントは網膜で時間は30分程度で良いので長時間はじっと見ないこと(※精神的に不安定な時には太陽に当たるといいと科学的な根拠がある)
- 規則性のある運動 ➡ リズミカルな動きがセロトニンを活性化する(ジョギングなどが脂肪を燃焼させること、過食の原因まで絶ってくれるので有効)
- ヨガ・太極拳など ➡ ゆっくりした動きと腹筋を意識した呼吸は身体本来の力を引き出してくれる
- 人とのふれあい ➡ 動物のようにグルーミングをお互いにすることは人間の場合できないので、例えば仕事の後に人との触れ合いを持つなどでONとOFFを自分に理解させる
下園壮太先生のうつ病カウンセラー
いま話題なのは日本カウンセリングアカデミー上級、EMDRレベルⅡ(これはトラウマ治療の上級ということです)でもあり、クレベリン性格判定(上級)、日本カウンセリング学会員の下園先生です。下園先生は自分のうつ病を経験したことから「心の問題を改善するための活躍」をされています。
下園先生によると「うつ状態は自分を守ろうとしてくれている」ということを理解する必要があると訴えています。(※下園先生のカウンセラーを受けたい方はHPを見てください。http://sky-high.biz/counseling/)
確かに考えてみると、これ以上の我慢を自分にさせないという防御反応ともいえますからね。そんな先生も推奨しているのが心身両面からのアプローチです。
うつ脱出法「プチ認知療法」
マッサージとかすると気持ちいいですが、あれも自律神経の刺激によるものなんですね。それは、筋肉の緊張をほぐすと同時に自律神経が刺激されて脳内に気持ち良さを感じる物質が分泌されるからなのです。
このように心身の緊張をほぐすことは、とても大切なことです。自分を追い込んで攻め続けることをやめたり、頑張りすぎることをセーブしましょう。
呼吸法の効果と運動療法
呼吸法には、いろんな種類があり呼吸法の名前もたくさんあります。中でも丹田呼吸法は有名ですね。この呼吸法は、気分リセット呼吸法ともいうべき脳内のセロトニンを分泌する作用があるので過食の人が行うには適しているといえます。この呼吸法を継続していくと、セロトニンはもとよりストレス耐性の向上という効果を得ることが出来るようです。
呼吸法の効果と運動療法は、それぞれを実践するというよりも両方をバランスよく実践していくということが摂食障害から脱する近道になります。また、丹田呼吸法についても、たくさんの関連記事が出ているようなので一度見てみるのも良いですね。
過食を起こさない・起こさせない
毎日の生活の中で食事を摂るというのは、生きていくために最低限必要な行為ですよね?そこで、睡眠や食事を摂るという本能に逆らうと人間はストレスに感じて初めは大丈夫でも、積もり積もって体調を崩してしまうことになるのです。
- たまには(週に一度くらい)は自分の好きなものを食べる
- 食べたいものを自分の夢と重ね合わせてたくさん見る
- 手短に済ませるよりデパ地下で上等なものを選ぶようにする
- 自然に近いものを選ぶようにする
- 良質なたんぱく質や油を摂るようにする
- 自分の心の声を聞いてみる
このような色々な対処法がありますが、見ていて気付くのではありませんか?そうなんです。やはり、本能を置き去りにして「我慢を押し付けられたままの自分」では幸福感が得られるはずがないですよね。
食生活の見直し
基本の食事の質を改善したり、整えることも重要です。過食で悩んでいる人の多くはパンやサラダやパスタといったようなコンビニによくある偏った食事を摂りがちであるということも分かっています。
体を作るうえで基本的に必要なたんぱく質、脂質を摂ることが十分に出来れば身体の発するSOSは減ってくるため食べ物も必要な量だけで済むようになるそうです。
PMSの時
ホルモンバランスが乱れてしまったり、血糖値が不安定になりやすいことが原因と言われています。そのため、たんぱく質や脂質、鉄分などが不足している可能性もあります。
女性はホルモンバランスが崩れると感情移入しやすくなるので夕陽を見ただけで涙もろくなったりします。そんな時にちょっと工夫をすると体調が良くなることもあります。
女性ホルモンの代用
女性ホルモンの材料は油なので、良質な油を取り入れて身体のホルモンバランスを整えることから感情の回復や安定をはかります。良い油を次にあげてみます。
- DHA/EPAを含む青魚
- 荏胡麻(エゴマ)
- シソ油
- 亜麻仁(あまに)油
- 胡桃(くるみ)
- 豆類などに含まれるn3系脂肪酸
これらは体内で合成できないので食事でしっかりと摂取していく必要があります。PMSの症状が出たら、イライラ対策として良質な脂を摂ることから意識していきましょう。
- なんだかイライラする
- 疲労感が強い
- 眠気が続く
- 甘いものを食べたい
これらを一定期間ならPMSと捉えることも出来ますが、これらが長期間続いているようなら「うつ」が潜んでいる可能性があるので専門医の診察を受けてみましょう。
食事の摂り方
食べ過ぎと聞くとついカロリー制限をしてしまいそうですが、食事ダイエットをするために糖質を意識して制限するようにしてみましょう。気を付けなければいけないのは、ご飯を全く食べないということではありません。
野菜やお魚、赤みのお肉などをしっかりと食べて最後に少しだけ炭水化物を食べるようにすると満腹感を味わうことが出来ます。
自分を肯定する
近年では、自分を肯定することが出来ない子どもが増えているそうです。「自分のことを大切な存在だと思えない」子どもが増えていることは悲しいだけでは済まされない重要な課題が隠されています。
自分自信を愛する・自分自身を尊ぶといったことを出来ないまま大人になると小さなミスをしてしまっただけでも「どうせ自分なんて」マイナスな考えを起こしがちになってしまいます。そこには反省を通り越して「自分を虐待しているのと似たような状態」が作り上げられてしまいます。
普段から長所を認め合う
自己肯定が出来るようになるためには、自分の長所を探すのと同じように相手の長所も見つけていくことが大切です。普段から友人間や家族など身近な人と長所を見つけあったり、個性を認め合ったり出来る環境を作るようにしていくことも周囲に出来る治療方法といえますね。
ストレスは必要な時もある
ストレスで心身に良くない症状や状態が現れることから、ストレスを受けることを嫌うのは「もったいない」ともいえます。ストレスが刺激を受けたことによる心身の状態であれば、ストレスを受けないことは「何も刺激を受けない」とも言い換えることが出来ます。
ストレスを全く受けないことは「何にもないこと=ストレスがないこと」となります。そうなると勉強も刺激、友人関係も刺激、恋愛も刺激、仕事も刺激、など挙げればきりがありませんが、このような刺激を全く受けないのは「もったいない」ですね。
つまり、人間は成長するために、ストレスとうまく付き合っていく方法を学んでいく必要があるかもしれませんね。
摂食障害と社会の背景
インターネットが発達して、人は誰かに会いに行かなくても、どこかに行かなくても、大体の用事をパソコンやスマートフォンで済ませることが出来るようになりました。そんな背景には便利だという声とは反対に「孤独」というものがあったり、日本特有の「我慢するのが偉い」というような考えのもとで、「誰にも言えない不安」を抱える人が増えたような気がします。
先にも触れましたが、人は「ストレス」つまり、食べることで解消してしまいがちです。また、安心できる場所へ帰ると「自分の中の不安」や「満たされない気持ち」を隠れて食べ過ぎることで解消してしまう人が増えたのです。コンビニに行く時間をたまには自然を見に行く等、アナログな世界を堪能するのも大切だと思います。
今日を振り返って
では、今日を振り返ってみましょう。
- 過食は神経伝達物質上手く伝わらない状態で「神経性大食症」という心の病気である
食文化って大切ですね。家族と食べる、みんなで食べると美味しいのは、心が元気になるからではないでしょうか。
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