下痢になる原因は様々あります。前日にお酒を飲み過ぎてしまったり、食べ過ぎてしまったり、お腹を冷やしてしまったりと、人それぞれ、思い当たることはも違いますよね。また、風邪を引いてしまって下痢になる人もいるでしょう。
それでは、風邪によって引き起こされる下痢の原因とは一体何なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
風邪で下痢が起こる理由
風邪によって下痢を引き起こす原因は、ウイルスや細菌です。
これらが体に侵入すると、感染性胃腸炎を引き起こし、下痢の症状が現れます。感染性胃腸炎は、ウイルス感染や細菌感染以外にも、寄生虫が原因で引き起こされることもあり、症状が重くなることもある、危険な病気です。
感染源は様々ありますが、代表的なものは、ロタウイルスやノロウイルス(ウイルス)・サルモネラ菌や病原性大腸菌(細菌)・クリプトスポリジアムやアメーバ(寄生虫)などが挙げられます。
感染性胃腸炎の症状
感染性胃腸炎に感染すると、脱水症状や吐き気、嘔吐や下痢の他、血便や腹痛、発熱など様々な症状が現れます。
水下痢を引き起こしたり、高齢者や乳児など、抵抗力の低い人が感染した場合には重症化のリスクもあるため、注意が必要です。また、ロタウイルスの場合には、便が白くなることもあります。
感染性胃腸炎による下痢の種類
一口に下痢と言っても、軟便から、まるで水のような便が出る水様便まで、種類は様々です。
下痢を引き起こすと、症状が治まるまでの期間は1~3日ほどと言われていますが、1週間以上続くこともあると言います。
冬の下痢に見られる原因
下痢を引き起こす原因は様々ありますが、中でも冬場に下痢や吐き気、嘔吐などを伴う場合には、その原因はウイルスである可能性が高くなります。
近年よく耳にするようになった、「ノロウイルス」「ロタウイルス」「アデノウイルス」が有名ですね。逆に、サルモネラ菌や腸炎ビブリオなどの細菌性腸炎は、夏場に多く発症します。ウイルス性の胃腸炎は、特に冬場に起こるものを指して「胃腸風邪」と呼ばれています。
ウイルス性胃腸炎の感染経路は口からがほとんどです。きっかけは、ウイルスが付着した生ガキやホタテなど、食品や水であったり、感染した人が調理をしたことにより食べ物に付着する場合もあります。
さらに、二次感染としてはウイルスが含まれた便や嘔吐物などに触れることが挙げられます。人から人に感染する飛沫感染もあり、集団感染するリスクの高い胃腸炎と言えます。
ウイルス性胃腸炎になったら
それでは、もしもウイルス性胃腸炎になってしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。まずは症状から見ていきましょう。
ノロウイルス感染症
ノロウイルスは、24~48時間の潜伏期間を経て発症します。感染力が非常に強く、感染後1~2日ほど経つと、腹部に張りや痛み、さらに吐き気などが現れます。
吐き気に関しては、急激に起こるものもあれば、徐々に症状が現れるものもあり、人によって様々です。さらに、倦怠感や関節痛、38度を超える高熱が出ることもあります。
ウイルスを追い出すには、下痢や嘔吐を経て、体内にあるウイルスを全部出してしまうことが必要です。期間にして、およそ2~3日で収まり、回復することが多いと言われています。
下痢止めは使わない
ウイルス性胃腸炎の場合、インフルエンザのような抗ウイルス剤がありませんので、対症療法となります。
しかし、下痢止めを飲んだからと言って大きな効果は得られないという報告もありますし、下痢を止めてしまうことでウイルスの排出が滞ってしまうことも考えられますから、あまり強い薬はおすすめしません。
症状が重い時や高齢者、幼児などの抵抗力が低い人が感染した場合には、医療機関を受診し、専門家の判断を仰ぐようにしましょう。
水分補給を忘れずに
また、吐き気や下痢の症状が現れている時には、何よりも胃腸をゆっくりと休めることが必要です。吐き気があるのに無理に食事を摂ると、胃腸に負担をかけ、体力消耗にもつながりますから気をつけましょう。
ただし、脱水症状を防ぐ必要があるため、水分補給は必要です。スポーツドリンクなどで、しっかりと水分を補給しましょう。その際は、冷えたものよりも常温のものを選んだ方が、胃腸への負担を減らすことができますよ。
ある程度症状が落ち着いたら、徐々に食事を摂りましょう。おかゆやスープ、うどんやヨーグルとなど、消化のよい食べ物を選び、徐々に慣らしていきます。胃腸の回復具合に合わせて、無理せず、ゆっくりと食べることを心がけてくださいね。
ロタウイルス
ロタウイルスは、乳幼児に多いウイルス性胃腸炎です。潜伏期間は24~72時間とされ、感染すると嘔吐から始まり発熱、そして下痢の順に症状が現れます。
発熱は発症初期に見られ、感染から半日~1日ほど経った段階で起こります。ロタウイルスの特徴は、便が米のとぎ汁のように白い点で、「白色便下痢症」と呼ばれることもあります。
詳しくは、ロタウイルスは予防接種で防ごう!症状や原因は?感染した時の対処法や治療方法も紹介!自宅での対策方法は?を参考にしてください。
下痢の対処法
では、一度下痢を引き起こしてしまった場合には、どのような対処方があるのでしょうか。純を追ってお話しましょう。
下痢止めは使わない
風邪が原因で下痢が起こっている場合、ある程度出してしまえば症状は治まります。
ただし、下痢止めを早い段階で使うことは避けてください。なぜなら、下痢によってウイルスを排出することができず、ウイルスが体内に残ってしまうからです。ウイルスには抗生物質が効きませんから、何よりもまず、体内から出してしまうことが重要です。5~6時間程度であれば衰弱したり水分即に陥ったりする心配はありませんので、しばらくは様子を見ましょう。
また、風邪による下痢は、大半が1日かからない程度で治まると言われています。慌てて医療機関を受診しても、下痢止めは処方されず、ビオフェルミンのような整腸剤が出されるだけですから、判断を早まらないようにしましょう。
嘔吐がない場合には、次の下痢を引き起こさないよう、少しずつ水分を補給しましょう。しっかり飲むのではなく、口を湿らす程度、渇きを覚えない程度にとどめておきます。
注意点
ただし、下痢を起こしたのが赤ちゃんの場合には状況が異なります。赤ちゃんは脱水を引き起こしやすいため、嘔吐や下痢といった症状が見られた段階で病院を受診してください。
また、大人の場合にはスポーツドリンクなどで水分補給をすればよいですが、それだと赤ちゃんには糖分が多すぎます。幼児用のイオン水を用意し、脱水にならないよう注意しながら、少しずつ飲ませてください。こまめな水分補給が重要です。
赤ちゃんが母乳をほしがる場合には与えても問題ありません。しかし、吸いっぱなしになると母子ともに疲弊してしまうため、別の飲み物と合わせて飲ませるとよいでしょう。また、粉ミルクを使用している場合には、普段よりも薄めて飲ませます。
赤ちゃんは、一見回復したように見えても体全体の回復に時間がかかるため、しばらくは便がゆるいなどの症状が続きます。ですので、1週間程度は消化のよい食事を摂らせるように気をつけましょう。
腸内環境を整える
下痢が続く場合、その原因は腸内環境の悪化にあります。食生活を見直すことで、腸内環境を改善することができますよ。気をつけるべき点を挙げますので、少しだけ気をつけて食事を摂ってみてくださいね。
- 毎日牛乳を飲むのをやめる
- 冷たいものを避ける
- 添加物の多い食品を避ける
また、コンビニ弁当やレトルト食品、カップラーメンなど、添加物の多い食事は腸内環境を乱します。腸内環境が悪くなれば、免疫力も低下しますし、腸内での水分調整がうまくできなくなり、水分を多く含んだ便、つまり下痢をすることになります。
普段の生活でファーストフードやインスタント食品、コンビニ食などの多い人は、まずは食生活を見直すことから始めましょう。
詳しくは、腸内細菌を増やす方法を知ろう!善玉菌が減少すると起きる症状は?を読んでおきましょう。
食事療法で治す
ウイルス性胃腸炎の場合、乳幼児ならば2週間、子供の場合、長引けば1ヶ月ほどかかることがありますが、通常であれば1~2日で下痢は治まります。
症状が出ている内は辛いですが、下痢止めなどで無理に下痢を止めてしまうとウイルスが体に残ってしまうため、できる限り使わないのがポイントです。
また、腸が弱っていますし、ダメージを受けた粘膜を回復させることが大切ですから、治療法としは食事療法が有効です。
おすすめの食事
症状が落ち着いてきたら、胃腸の回復状況を見ながら、体に優しい食事から始めましょう。メニューとしては、主食としては、おかゆや温かいうどん、にゅうめんなどがよいでしょう。
また、温かいスープや湯豆腐、白身魚のすり身もおすすめです。リンゴをすりおろしたものや、ヨーグルトなども腸に優しいので、積極的に摂るようにしましょう。ただし、一気に食べるのではなく、少しずつ、ゆっくり食べるのがベストです。あまり一気に食べると胃腸に負担がかかり、体力の消耗にもつながってしまいます。消化がよく、胃腸に刺激を与えないものを選ぶようにしてくださいね。
反対に、食物繊維が多いものや辛いもの、冷たいものや油っこい食事は胃に刺激を与えてしまうため避けましょう。お酒や炭酸飲料も控えてください。症状が治まった後の胃腸は非常にデリケートですから、労った食事を心がけましょう。
風邪以外が原因の下痢
下痢を引き起こす原因は、必ずしも風邪だけとは限りません。
実は、ストレスが原因となっている場合もあるのです。
急性胃腸炎
急性胃腸炎の多くは感染性胃腸炎で、その原因はウイルスと細菌によるものです。中でも、ウイルスによる感染性胃腸炎が圧倒的に多いのですが、中には原因が分からないものもあります。
耳にしたことがあるかも知れませんが、急性胃腸炎はストレスと非常に関係性が深いと言われています。なぜかと言うと、わたしたちの体は、ストレスを感じると脳に刺激が伝わり、自律神経の動きが活発化します。
この時、弊害として起こるのが、必要以上に胃酸が分泌されてしまうと言うことです。大量の胃酸によって胃粘膜が荒れることで、普段通りの飲食物でも胃粘膜が破れてしまい、胃腸炎になってしまう、というわけですね。
さらに厄介なことに、ストレスを感じると免疫力も低下します。普段ならば体内に細菌やウイルスが侵入しても免疫によって攻撃し、退治することができます。しかし、免疫が低下した状態ではそれが十分にできず、ウイルスや細菌に感染しやすい状況になってしまうのです。
そして、これが最も厄介なことかも知れませんが、ストレスが原因の急性胃腸炎の場合、ウイルスや細菌を排除しても、症状は治まりません。原因となるストレスがなくならない限り、薬を飲んでも効果はないと言うことです。
過敏性腸症候群
もう1つ、ストレスが原因で下痢を引き起こすものとして、過敏性腸症候群(IBS)があります。慢性的に下痢や便秘を繰り返すのが特徴で、検査をしても異常が見つからないのに、症状が続く場合にはIBSを疑いましょう。
実にに日本人の7人に1人という高確率の人がIBSだと推定されており、30代以前の若い年代に多く見られる傾向があります。また、ほとんど水のような便が出る、下痢型IBSは、男性に多く見られます。
症状が重くなると、しょっちゅうトイレに行かなくてはならなくなるため、日常生活に支障を来す場合もあり、厄介です。仕事や学校に行けなくなるケースもあると言われています。
詳しくは、過敏性腸症候群の症状をチェック!治療方法は?を読んでおきましょう。
風邪と感染性胃腸炎の見分け方
では、風邪と感染性胃腸炎との違いは何でしょうか?
どちらもウイルスに感染して引き起こされるものですから、見分け片が難しいですよね。王内科胃腸科の王 康義先生によると、以下の見分け方ができるそうです。
- 風邪:鼻から肺までの空気の通り道に、鼻水や喉の痛み、咳などの症状が出る、気道感染症
- 感染性胃腸炎:風邪に見られるような症状がなく、下痢や吐き気と言った症状が現れる。
つまり、大人においては、下痢や吐き気から始まる風邪はない、ということです。ちなみに、風邪が治りかけている時期にお腹を下すことがありますが、あれは風邪薬が影響している場合があるそうです。
下痢を予防するには
慢性的に下痢をしてしまう人や、お腹を下しやすい人は、日頃から腸内環境を整えておくことが大切です。特に腸内細菌のバランスは大切ですから、悪玉菌と善玉菌のバランスが崩れないよう、初めのうちは、サプリメントの力を借りて腸内環境の改善を図るのもおすすめです。
また、普段の食生活を改善することで、下痢を予防することができますよ。ここでは、腸内細菌として有名な、善玉菌を増やす食事についてご紹介しましょう。
バランスのよい食事をする
野菜が少なく、油っこい食事ばかりを摂っていると、腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が優勢になってしまいます。こうなると、腸の働きが鈍くなり、上手く便が運ばれないことで、便秘などの悪影響が現れます。
さらに、悪玉菌が有害物質を作り出し、ウイルスや細菌から体を守ってくれる免疫を低下させることにもつながってしまうのです。疲れやすくなったり、病気にかかりやすくなったりする他、肌荒れを起こしたり、新陳代謝が低下したりと、悪いことばかりが起こりますよ。
では、善玉菌が優性になる腸内環境を作り出すには、どうしたらよいのでしょうか。
ビフィズス菌や乳酸菌を摂取する
やはり、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を直接摂ることがおすすめです。ビフィズス菌は飲むヨーグルトなどでも補給できますし、発酵食品からも摂ることができます。
ぬか漬けやキムチ、味噌や納豆などもよいですし、チーズなどの乳製品も効果的ですから、毎日のメニューに上手く取り入れましょう。一時的ではなく、毎日補給することが大切ですよ。日頃から善玉菌を取り入れる食事を習慣づけましょう。
オリゴ糖、食物繊維、グルコン酸などを摂る
オリゴ糖、食物繊維、グルコン酸は、善玉菌の栄養になります。食事などで善玉菌を増やすのも大切ですが、腸内にすでにいる善玉菌を元気にして育てることも重要です。
オリゴ糖や食物繊維は野菜や果物、豆類に含まれていますので、メニューに追加し、バランスのよい食事を心がけましょう。アスパラやタマネギ、ゴボウなどの野菜はもちろん、バナナにも含まれていますから、小腹が空いた時に食べるにはおすすめです。
さらに、はちみつは万能ですよ。オリゴ糖とグルコン酸の両方が含まれているため、飲み物に入れたり、デザートにかけたり、パンに塗ったりと、簡単に取り入れられるのもうれしいですね。また、特定保健用食品を利用するのも賢い方法です。
納豆菌を摂る
納豆菌のすごいところは、オリゴ糖を含んでいるだけでなく、腸内環境を悪化させる悪玉菌を退治してくれるところです。その上、納豆菌が腸内で善玉菌に変化し、増殖を促すという働きもあるのです。心強い存在の納豆菌、ぜひとも積極的に摂っていきましょう。
善玉菌優性チェック
とは言え、自分の腸内がどうなっているのか、実際に見ることはできませんよね?そこでおすすめなのが、便を見て善玉菌が優勢か判断する方法です。黄色から黄褐色が理想の色で、臭いのない、バナナのような形がよいと言われているのは、耳にしたことがあるかも知れませんね。よい状態の便は適度な柔らかさを持っています。
もしも色が黒っぽく、悪臭のする便が出てしまった時は、悪玉菌が優性になっている証拠ですよ。食生活を見直したり、サプリメントを利用したりして、腸内環境の改善を図りましょう。
まとめ
風邪による下痢にも、原因は様々ありましたね。ただの風邪ならば安静にしていれば早くよくなりますが、細菌性のものやウイルス性のものは人に移してしまうこともありますから、注意が必要です。また、抵抗力の少ない高齢者や乳幼児が発症した場合には、特に注意をする必要があります。
下痢になると辛いですし、ついつい下痢止めを使って手っ取り早く治めてしまいたくなりますが、下痢はウイルスを体から追い出すために必要なのだと言うことを覚えておきましょう。安易な下痢止めの使用は、かえって症状を長引かせる危険もあります。
感染しないように予防することも大切ですね。口からの感染をマスクや手洗いうがいで防ぐだけでなく、腸内環境を整え、免疫力を高めておくことも重要です。見えないところでわたしたちの体を守ってくれている腸を、もっと労って、健康的に過ごしたいものですね。
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