身近にあるハチミツ、実は、食用だけでなく、身体・精神の健康維持や肌への美容効果、傷を癒す事に対して効果があり、薬用としても用いることができます。そういった意味でハチミツは古来から利用されています。
とは言っても、ハチミツであれば何でも良いというわけではありません。それでは、どういったハチミツを利用すると良いのか、どういった効果が得られるのかについて詳しく見ていきましょう。
天然と加工物の違い
ハチミツを利用した商品は多く出回っていますが、天然、あるいは天然に近い物と、加工された物ではどういった違いがあるのでしょうか。
天然
ミツバチの巣から抽出したハチミツを濾過して、不純物を除去した物が天然のハチミツです。純度が高く、加熱処理などの加工は必要ないです。
ハチミツの効果を少しでも得たい場合は、天然の物を選びましょう。
加工物
加工するために加熱されたハチミツは、栄養成分が破壊されて栄養がなくなるため、ハチミツ本来の効果が期待されにくいです。
加工では、ハチミツの色や匂いを消すためにミネラル等の栄養を取り除いたり、ハチミツ以外の糖質も混合させ、加熱処理を行い、水分を取り除きます。
天然物に含まれる栄養素
天然のハチミツの構成は、おおよそ糖分:水分=8:2の割合でできています。
含まれる身体に良いとされている栄養成分は、190種類と言われおり、ビタミン、ミネラル、アミノ酸(以上3つは花粉にも含まれています)、グルコン酸、オリゴ糖、亜鉛などがあります。
ハチミツの効能
オールマイティと言えるほど、多くの効果が期待されます。
必ずしもその効能が得られるわけではなく、人によって個人差もありますが、効能を得られる可能性はあります。
疲労回復
消化が必要なく、直ぐにエネルギーに変換される上に、急激に血糖値を上げることがありません。
そういったことから、レモンのハチミツ漬けやハチミツ入りの飲料水などを摂取すると、疲労がとれやすくなります。
不眠症改善
精神の興奮状態を沈静化させ、ストレスを緩和して質の良い睡眠を促進できる可能性があります。なお、牛乳に入れて飲むことで効能が得られやすいとされています。
特に、睡眠に入る数時間前にハチミツを適量摂取すると、質の良い睡眠が得られやすいとされています。
脳血管障害防止
ハチミツは血管を拡張させる働きがあり、これによって血圧を低下させたり、血管壁に悪玉菌(悪玉コレステロール)が沈着することを防止する働きも起きます。これらの働きにより、脳の動脈硬化や脳梗塞といった血管障害を防止できる可能性があります。
便秘解消
ハチミツに含まれるグルコン酸とオリゴ糖は善玉菌を増やす作用があります。つまり、整腸作用があるということです。
これによって、便秘解消が期待できます。便秘が解消されるということは、腸内環境も調整され、ニキビや吹き出物などの肌荒れも改善・予防できる可能性があります。
ハチミツを利用する方法として、料理に使用する砂糖をハチミツに代用する方法がおすすめです。また、乳酸菌が含まれている、納豆やキムチ、味噌、ヨーグルトなどの食品と一緒に摂取することもおすすめです。
更に、マヌカハニーは胃癌の原因ともされるピロリ菌の増殖を抑制する作用があるとも言われています。
下痢改善
ビフィズス菌を増やす作用があり、これによって下痢が改善される可能性があります。
特に、ヨーグルトに混ぜると効能が増します。
二日酔い予防
ハチミツに含まれるビタミンとミネラルは肝機能の作用を補助し、果糖がアルコールの分解を促進します。
飲酒前または、飲酒後にハチミツとお湯を混ぜて飲むと効能が期待できます。
殺菌作用と抗菌作用
ハチミツに含まれる成分で、グルコン酸があります。これは、殺菌作用・抗菌作用があります。これによって、肌になじませると痛みが緩和しやすいと言われています。
これによって、どういった事に薬に立つのでしょうか。
・風邪の改善・予防
喉が乾燥して炎症を引き起こすと、喉がイガイガする感覚や喉の痛みが起きたり、咳が出たりと、風邪または風邪様の症状が出現します。
そういった時は、ハチミツを混ぜた水でうがいをすると良いです。グルコン酸の殺菌力は非常に強く、咳止めの薬の代わりにもなり、喉の痛みが鎮静化する可能性があります。
また、ハチミツ+大根の組み合わせは、喉の炎症を抑制して咳を止めるといった効能を大きく期待できます。よって、風邪などの呼吸器疾患の予防や治療が期待できます。
・体臭
体臭の原因の一つとして、皮脂バランスの崩れが挙げられます。ハチミツの抗菌作用と殺菌作用を利用して、ハチミツを石鹸に混ぜると、皮脂のバランスを整えることができます。これによって、体臭が改善できる可能性があります。
・フケ
頭皮は、30代を過ぎると固くなり始めます。血液の循環も悪くなり、汚れが溜まりやすくなることで、フケが発生しやすくなります。また、これにより、異臭もし始めます。
ハチミツを用いて頭皮をマッサージすることで、汚れを落とすことができれば、フケや異臭を改善できる可能性があります。
・口臭その他口腔ケアに役立つ
殺菌作用と抗菌作用を利用して、ハチミツを歯磨き粉に混ぜて歯を磨くことをおすすめします。また、ハチミツを入れた水で口の中をゆすぐ事も良いでしょう。これによって、臭い口臭を予防することができます。また、睡眠前に、ハチミツを少し摂取すると、翌朝の口臭もフレッシュになります。
また、ハチミツの作用によって、歯石や歯垢の蓄積、歯周病を予防することもできます。
・口内炎
口内炎に直接塗る事で、口内炎の治癒が早くなると言われています。これは、殺菌作用と抗菌作用があるため、口内炎部位の更なる炎症や感染を防止することができるためです。
・皮膚の炎症に対する治療
ハチミツの殺菌力や抗炎症作用を利用して、創傷や火傷などの治療の代用として用いられることがあります。その他、肌荒れや手荒れ、唇荒れ、虫刺されに対しても、その炎症を起こしている部位にハチミツを塗って治癒を促進させるといった方法もあります。
特に、乳児はおむつにかぶれて肌に炎症が起きることが多いです。こういった時には、乳児の入浴時にお湯でハチミツを薄めて体になじませる事がおすすめです。また、乳児は大人よりも代謝が良く、汗をかきやすいため頭皮に汚れが蓄積されやすいです。そのため、頭皮マッサージを行って老廃物を除去するようにしましょう。
・アトピーに良い
上記の皮膚の炎症に対する効能に続いて、アトピー性皮膚炎といった皮膚炎にもハチミツはおすすめです。ハチミツには亜鉛が多く含まれており、肌の細胞を活性化しやすくします。これによって、新しい皮膚が生成されやすくなるとされています。
頭皮マッサージ
ハチミツに含まれるビタミンBやミネラルは育毛を促進し、抜け毛を予防します。シャンプーやコンディショナー、リンスに混ぜてみましょう。割合は1:1がおすすめです。しっかり泡立てて優しく爪を立てずに揉みこむ様にしましょう。
特に、しっかりとケアをしたい場合には、ハチミツを直接、頭皮につけてお湯で洗い流した後に、コンディショナー等をつけるとより効果的です。
薄毛に良い
薄毛には成長ホルモンが密に関与しています。成長ホルモンの十分な分泌を得るため、質の良い睡眠がとる必要があります。睡眠の数時間前にハチミツを大さじ一杯分程摂取すると、効果が得られやすいです。
美肌に良い
ハチミツをクレンジングや洗顔料、美容液といった化粧品などに混ぜると効果的です。元々ハチミツを含んでいる物もありますが、栄養成分の純度が高いハチミツを混ぜることでより効能が得られやすくなります。
特におすすめの使用方法は、クレンジングとパックにハチミツを混ぜる方法です。乾燥が気になる人は試してみると良いでしょう。
・クレンジング
市販のクレンジング剤は、界面活性剤が含まれている物がほとんどであり、肌への負担が大きいです。また、良い物を使用していても、間違えた方法でクレンジングをすると肌を傷めます。
クレンジングは、先にハチミツを顔に塗って肌を保護してから行うと、肌への負担が軽減します。ハチミツの成分は非常に細かく、毛穴の奥からメイクの汚れをしっかりと落とします。いずれも、塗る際には擦らず、手の平で滑らして伸ばしましょう。
この方法でも肌への刺激が強い場合には、クレンジングの代わりにオリーブオイルを代用してみましょう。オリーブオイルは比較的、低刺激で肌に優しいです。
・洗顔料
ハチミツ:洗顔料=1:2の割合がおすすめです。洗顔や身体を洗う場合は、泡立てネットでよく泡立て、擦らずにフワフワのせるように洗うと肌へのストレスも軽減します。ネットでクリーミーになるまで泡立てましょう。この方法で、しっかり汚れを落とし、皮脂を落とし過ぎないようにします。洗顔時、首やデコルテ部分にもつけることもおすすめします。
・化粧水
ハチミツ:化粧水=1:3~5の割合で使います。
ハチミツと水分は混ぜることで浸透性を増すため、肌への化粧水の浸透性が高くなります。浸透性が増すということは、肌から化粧水が直ぐに蒸発する心配もありません。
また、付ける際には擦るのではなく、押さえ込む様にすると、美容に良い栄養成分が浸透しやすくなります。特にハチミツとダマスクローズは相性が良いと言われているので、これを含む化粧水を利用すると、より効能を得られやすいでしょう。
・美容液
乾燥して生じる肌の酸化作用によって、肌は老化します。これを防ぐためにも必要不可欠なビタミンCはハチミツに豊富に含まれています。これらの美容成分と美容液の美容成分を混ぜると肌への浸透力は高まり、保湿効果もより高まります。ハチミツ:美容液=1:1の割合で使用しましょう。
美容液も擦らず、手の平にとり、顎側から額側に向かって肌を引き上げるようにして伸ばします。
・クリーム
ハチミツ:クリーム=1:2の割合で使用します。クリームに混ぜても保湿力が高まり、肌のバリア機能を高め、肌の水分を蒸発しにくくします。つまり、乾燥によって起こる細菌などの感染を防ぎます。アトピー症の人は顔だけではなく、全身に塗ることもおすすめです。
・ハチミツのパック
コラーゲンを生成する上で必要なアミノ酸とビタミンCはハチミツに多く含まれており、ハチミツの分子は非常に細かいため、これを直接顔に塗ることで角質層にまで浸透させることができます。よって、肌のハリや艶を出し、くすみの解消や美白効果を高めることができます。
効果は1回/週で得られるとされます。全身状態が人によって異なるため、個人差はあります。肌の毛穴は温かい蒸気によって開くため、ハチミツのパックは入浴前に付けると、より効果的です。
また、顔にハチミツを塗った後に、シートマスクを10~15分間つけて、外した後にクリームで肌の水分を保護する方法もあります。
その他、ハチミツとヨーグルトを用いてパックをする方法もあります。肌の状態が良い時にピーリングとして用います。ハチミツ:ヨーグルト=2:1の割合がおすすめです。
UVケア
シミやシワは、紫外線によって生じる場合があります。肌が乾燥している場合は、特に影響を受けやすいです。肌が観想している時は、UVカット入りクリームにハチミツを微量混ぜて保湿をしっかり行うことで、紫外線やその他の有害物質から肌を保護することができます。クリームをつける方法は、顎側から額側へ伸ばすと、リフトアップにもなり、毛穴からもしっかり保護をできます。
ダイエット
睡眠前にハチミツを摂取すると、ダイエット効果が得られます。ダイエット方法はとても簡単で、手軽に始めることができます。では、ハチミツのダイエットにはどのような作用があるのかを見ていきましょう。
・作用
睡眠前にハチミツを摂取すると、体内の脂肪燃焼の効果と、質の良い深い睡眠ができる可能性があります。脂肪燃焼は、起きている時も、睡眠中も作用しています。しかし、起きている時よりも睡眠中の方が脂肪燃焼量は少なく、太りやすくなります。そこで、ハチミツを摂取すると、睡眠中の脂肪燃焼を促進することができ、体脂肪を下げることが期待できます。
また、睡眠中に分泌される成長ホルモンによって脂肪燃焼が促進されるため、更なるダイエットの効果が期待できます。ハチミツで質の良い睡眠を促進させれば、成長ホルモンをより十分に分泌させます。これらの相乗効果を狙うと、ダイエットができる可能性があります。
・ヨーグルトダイエット
上記では美肌に良いと紹介しているヨーグルトですが、実は腸の働きを助ける役割もあるため、ハチミツと混ぜて摂取するとダイエットの効果が得られる可能性があります。ヨーグルトの摂取によって便秘が解消され、ハチミツと成長ホルモンの作用で脂肪が燃焼されるという相乗効果によって、ダイエットの効果が期待できます。
・逆に太ることもあるので注意が必要
睡眠前のハチミツの摂取はダイエットになりますが、間違えた方法で摂取をすると太る原因にもなります。ハチミツには糖が含まれており、それが太る原因となります。ハチミツを摂取するのに、普段の食事で糖を摂取していると、糖の過剰摂取になり、摂取するカロリーも高くなります。夜の食事では炭水化物や糖の多い物は控えめにしましょう。
また、ハチミツの摂取は、睡眠に入4時間以上前に済ませましょう。睡眠に入る少し前に摂取してしまうと、腸の働きが活性化して睡眠を妨げ、成長ホルモンの分泌の弊害にもなり、質の良い睡眠もとれなくなった悪循環となります。
量の配分を間違えると失敗するため、注意が必要です。
ハチミツを使う上での注意点
ハチミツを利用する上で、気をつけるべき注意点が幾つかあります。
とんでもない病気が関与する場合もあります。しっかり押さえて利用をしましょう。
パッチテストを行う
全てのハチミツが自分の身体に合うとは限りません。
摂取をしたり身体に付ける前に、手の甲や腕などの皮膚に使用する予定のハチミツを少量つけて、アレルギー等の反応を示さないか確認をしましょう。
乳児には禁忌
ハチミツにはボツリヌス菌の芽胞(がほう)が含まれていることが稀にあります。
これによって、乳児ボツリヌス症を発症する危険性があります。芽胞は熱に強いため、加熱されても死滅しないため、天然の物も加工された物も危険です。特に、1歳児までの乳児にはハチミツを食べさせることは避けましょう。
お肌のケアには良いので、お肌に塗るぶんには問題はありません。
医薬品か否か
厚生労働省、日本薬局法の薬事法では、ハチミツは医薬品として記載されています。
ハチミツには様々な研究がされており、実際に、様々な効能が得られている報告があります。
純度の高い物を選択する
最初にも述べている通り、ハチミツを選ぶ上で「精製」や「加糖」と表記されている物は、ハチミツ以外の成分が多く含まれており、純度が低くなります。
「純粋」と表記された非加熱の物は純度が高く、効能を期待できます。
ハチミツは固まる
ハチミツは時間が経過すればするほど固くありますが、それをほぐそうと湯煎などを施すと栄養成分が損なわれ、純度が落ちます。
固まると使い難くなる場合があるため、なるべく軟らかい状態の時に使用しましょう。固まった物は料理や食事の際に使用しましょう。
肌への刺激が強くなることもある
ハチミツにはミネラルが多く、逆に肌への刺激が強い場合があります。
肌にハチミツを塗りたいという時、冬で肌が過剰に乾燥している場合やストレス等で肌が敏感な場合は、水分を多めに含ませてハチミツを薄めにするといった工夫が必要です。
ハチミツを掬う時の道具
ハチミツを掬う際には、スプーンを使用します。スプーンの素材は、金属製ではなく、プラスチック製を選択しましょう。
ハチミツに含まれる栄養成分によっては、成分が変性してしまうためです。
香が様々
ハチミツの香にはいろいろな物があります。好みも個人差があるので、選んでから利用すると良いでしょう。
まとめ
ハチミツを使用することで、肌の炎症や口腔、呼吸器だけでなく、脳血管障害の予防にもなることがわかります。
いろいろな活用法があり、手頃に使える物なので、肥満に悩んでる人や、睡眠不足に悩んでいる人、アトピーや吹き出物など肌の炎症で悩んでいる人は一度試してみると良いでしょう。
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