だれでも「幸福になりたい」と願いますよね。幸福そうな人を見ると、うらやましくなりますが、こちらも楽しくなります。
でも、特に理由もないのに幸福感に溢れ、いつも上機嫌で陽気な人がいます。気分が高揚しすぎて、傍(はた)迷惑になったりして・・・。
この理由のない幸福感は、「多幸症」という感情障害・気分障害の可能性があります。精神疾患や認知症などで脳に病的な異変が起きると、「多幸感」が生じるのです。恐ろしいことに、多幸症は、違法薬物中毒でも起こります。
多幸症の症状や原因、その危険性とともに、幸福感を高める方法についてもお伝えしますね。
多幸症は悪いことなの?
「多幸症」とは、理由がないのに気分が高揚して上機嫌になる感情障害・気分障害です。辞書には「多幸症とは、感情ないしは気分の障害で、上機嫌ともいう。客観的状況のともなわない空虚で無内容な爽快感」とあります。
「多幸感」とは、異常に強い幸福感と超越的な満足感に満たされていることです。何らかの原因で、脳内の快楽中枢の神経のシナプス間に、セロトニンやオキシトシンなどの「幸福ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質が、大量に放出されている状態です。
「幸せいっぱい」であるのは、決してわるいことではありません。しかし、「多幸症」の症状は、日常生活に悪影響をもたらすことがあるのです。
[多幸症の症状]
何か良いことが起きたり、願いが叶ったり、欲求が満たされたりすると、ヒトは気分が良くなります。満足感が生じ、高揚感に満たされます。そのため、いっそう積極的になり、意欲的に物事に取り組みます。ただ、「いい気になって、失敗する」ことも少なくありません。
多幸症の場合は、脳内が病的な状態(異常な状態)になっているため、失敗したり、トラブルを起こしたりすることが多くなります。傍迷惑にもなります。
こらから書くような症状が4日以上続き、そのために日常生活に支障をきたす場合は、多幸症の可能性があります。
上機嫌で、周囲の空気が読めない
状況に関係なく、機嫌がとても良くなります。周囲の人々の感情や気分、状態を全く気にしません。
自信過剰で楽天的になる
何の根拠もないのに、強い自信を持ち、何でもできそうな気がします。実情を把握することなく、物事を楽観的に考えます。
根拠のない異常な自信を持ち、何事も実際の状態に関係なく楽観的に考えますから、判断を誤り、大失敗することが多くなります。大失敗しても、落ち込むことなく、上機嫌が続きます。
衝動的になる
後先を考えず、思いつくままに行動するようになります。性的な逸脱行為(性器露出・卑猥な言動・性行為の強要など)、ケンカ、浪費など、普通ならしない無謀な行為をするようになります。子供じみた行為や社会的に不適切な行為が多くなります。人格水準が低下します。
集中力がなくなる
イライラして集中力がなくなります。
考えが次から次へと湧いてきますが、1つの考えに集中して考えることができません。考えが飛び移り、まとまりがつかなくなります。考えに脈絡がなくなります。
疲れ知らずになる
幸福感・満足感があると、意欲的になります。多幸感があると、さらに意欲的・積極的になり、動き廻るようになります。睡眠時間も極端に短くなりますが、眠くなりません。睡眠不足や疲労を感じることがありません。
おしゃべりになる
ジョークやダジャレを好むようになり、多弁になります。常に、何かしゃべっています。
[幸福ホルモン]
多幸症では、脳内環境が異常な状態になっています。セロトニンやオキシトシンなど幸福感を生じさせる神経伝達物質が大量に分泌されているのです。
ヒトに幸福を感じさせる神経伝達物質を「幸福ホルモン」と呼ぶことがあります。幸福感を生じさせる神経伝達物質としては、セロトニンやオキシトシンが知られています。
セロトニン
セロトニンは、ドーパミン、ノルアドレナリンとともに、3大神経伝達物質と呼ばれます。セロトニンは、心身を安定させて幸福感を生じさせます。セロトニンが不足すると、うつ症や不眠症になります。
セロトニンは、ドーパミンとノルアドレナリンをコントロールして、暴走しないようにしています。ドーパミンやノルアドレナリンが暴走すると、心も身体も健康を損ないます。
ドーパミン
ドーパミンは、ヒトの喜びや快楽、つまり快感を司ります。ヒトの快感は、地位・名誉・財産・美貌・勝利などにより得られます。
オリンピックで金メダルを獲得した北島康介選手が、「チョー気持ちいい!」と言ったのは、ドーパミンが多量に分泌されて、脳が活性化し、快感が生じたためです。
快感は意欲を高め、もっと快感を得ようと努力するようになります。ところが、なかなか快感が得られないと、快感は不快感に変わり、ストレスが生じます。ストレスが過大になると、ドーパミンが多量に分泌され、「依存症」に陥ることがあります。薬物依存症・アルコール依存症・買物依存症などです。薬物もアルコールも買物も、喜びや快楽をもたらしてくれるからです。
ドーパミンは快感をもたらしますが、ストレス過多などで暴走すると、依存症になる危険性があります。
オキシトシン
オキシトシンは「幸福ホルモン」の他に「愛情ホルモン」「抱擁ホルモン」「恋愛ホルモン」「癒しホルモン」「思いやりホルモン」「絆ホルモン」などと呼ばれています。
オキシトシンは、ドーパミンやセロトニン、脳内麻薬と言われるエンドルフィンの分泌を促したり、恐怖・興奮系ホルモンのノルアドレナリンを抑制したり、他のホルモンと関わりながら、相乗効果をもたらします。
オキシトシンは、脳や心を癒してストレスを緩和します。恐怖感や不安感が減少します。他人を信頼するようになり、親密な人間関係を築こうとします。学習意欲や記憶力が高まります。幸福な気分になります。
オキシトシンは身体にも働きかけます。自律神経系の働きを整え、血圧を低下させたり、心臓の機能を高めたりします。免疫力を増強して、感染予防をします。
オキシトシンは、出産や育児にも深く関わっています。お母さんが赤ちゃんを抱いた時に、オキシトシンが多量に分泌されて、幸福感をもたらします。良い母子関係を築く基になります。
恋人や配偶者と抱擁したり、キスしたり、性交渉したりすると、オキシトシンが分泌されて幸せを感じます。子供や家族とのスキンシップでも、分泌されます。ペットの犬や猫と触れ合うのもいいですね。
重い荷物を持ってあげたり、道を譲ったり、「おはようございます」と挨拶をかわしたり、ちょっとした思いやりを示すだけでも、オキシトシンは分泌されます。
オキシトシンが幸福感をもたらすので、最近は「オキシトシン点鼻薬」というのがあるそうです。そんな薬を使わないでも、美しい景色を見たり、友達とおしゃべりして笑ったりするだけで、オキシトシンが分泌されますよ。
エンドルフィン
エンドルフィンは「脳内麻薬」と言われ、モルヒネの数倍もの鎮痛・鎮静作用があります。多大なストレスを受けると、苦痛を除去するために、エンドルフィンが分泌され、気分が高揚して、幸福感が生じます。
マラソンなどでよく言う「ランナーズハイ」は、エンドルフィンによるものです。
ノルアドレナリン
ノルアドレナリンは幸福感をもたらすものではありませんが、幸福ホルモンのセロトニンやドーパミン、オキシトシンと、大きく関わっています。
ノルアドレナリンは、外部からのストレスや危険に対して臨戦態勢を取らせるホルモンです。ノルアドレナリンは、不安・恐怖・怒りなどの感情をもたらします。
ストレス過多になると、ノルアドレナリンが過剰に分泌されて暴走します。脳の興奮状態を抑制できないようになり、躁状態になったり、イライラして怒りっぽくなったり、キレやすくなったりします。そのため、ノルアドレナリンは「怒りのホルモン」と呼ばれます。
ノルアドレナリンの分泌が低下すると、意欲を失い、うつ状態になります。
うつ病・双極性障害・パニック障害・対人恐怖症など、精神疾患の原因になることがあります。
多幸症の原因
多幸症は感情障害または気分障害という精神疾患の1種です。
その原因は、認知症・精神疾患・大脳前頭葉の障害・脳器質性障害・薬物中毒やアルコールなどの依存症があります。
[認知症]
認知症の患者さんは、多幸感を持つことがあります。何の根拠もないのに、1日中幸せそうに笑っていたり、楽しそうにしていたりします。精神医学的には、妄想や記憶障害や徘徊などの認知症の症状と同列に考えられています。
認知症は、いろいろな原因で脳の神経細胞が死んでしまい、認知機能障害が起きたり、身体の機能が低下したりする病気です。脳血管型認知症、アルツハイマー型認知症など、いくつか種類があります。
多幸症はアルツハイマー型認知症によく見られるようです。
多幸症になると、失禁したり、迷子になったりしても、落ち込んだりせず、あまり気にしないでいられるようです。認知症の介護をする御家族やヘルパーさん達は、「患者さんの笑顔に救われる」と言います。多幸症になったお年寄りの笑顔は、赤ちゃんのように無邪気で楽しそうです。
認知症の患者さんの多幸症は、病気ではなく、患者さん本人と介護する人達への、神様からのプレゼントかもしれませんね。
老年的超越
人間は80歳を越える頃から、身体機能が低下するにもかかわらず、今の状況を肯定的に受け入れ、満足感が高まっていくようです。
70歳代では、精神的能力や身体機能の低下にイライラして、老いることへの不安感・恐怖感、「若い時に普通にしていたことができなくなった」という焦燥感が強くなります。それが、高齢になるほど、老いへの不安や死の恐怖が薄れ、幸福感が増していくようです。これを「老年的超越」と言います。
ほとんどの百寿者が、ありとあらゆるものに幸せを感じる多幸感に包まれているそうです。
[双極性障害または躁病]
多幸症が躁状態となっている時は、精神医学的には「気分障害」といいます。躁状態の程度や気分の振幅により、精神疾患として病名が決められます。
「躁状態」というのは、気分が異常に高揚して、陽気で開放的になり、興奮している状態です。意欲的で、爽快感に満ち、次々に考えが湧いてきますが、とりとめがなく、まとまりがつきません(観念奔逸)。おしゃべりで、内容は誇大的です。根拠のない自信に溢れています。
「双極性障害」または「躁病」は、多幸症の原因の1つです。
双極性障害は「躁うつ病」と呼ばれていた精神疾患です。躁症状とうつ症状が交互に循環して現れます。「うつ病」「抑うつ症」は双極性障害とは別の病気と考えてください。うつ病の方が双極性障害より多く発症します。躁病は躁状態だけが続く精神疾患で、あまり多くはありません。
双極性障害も躁病も、治療が必要です。放っておいて治ることは、決してありません。特に双極性障害は、うつ症状が交替で現れます。今まで「幸せいっぱいで、陽気なおしゃべりさん」だったのが、急に落ち込んで口も利かなくなってしまいます。双極性障害は、自殺することも多いので、多幸症に気づいたら、すぐ精神科に相談することをオススメします。
[大脳前頭葉前部の損傷]
大脳前頭葉は、言語・感情・運動を司ります。脳出血や脳梗塞などの脳血管障害や脳の外傷で前頭葉が損傷されると、問題を解決したり、計画を立てて行動したりできなくなります。
前頭葉は前部・中央部・後部に分かれています。前頭葉前部が損傷されると、集中力が低下したり、スムースに話せなくなったり、自制心がなくなったりします。
自制心がなくなると、異常に陽気になったり、論争的になったり、下品になったりします。社会的に不適切な行動をとるようになります。ダジャレやジョークを好み、連発するので「ふざけ症」とも言います。つまり、多幸症が発症するのです。
[脳の器質性障害]
「脳の器質性障害」とは、腫瘍や外傷、脳の変性疾患により脳神経に異常が起きたために発症する精神障害です。脳の高次機能障害が起こります。
脳の高次機能とは、認知機能です。知覚・記憶・思考・学習・判断などの認知過程に感情を加えた、精神機能の総称です。認知障害とともに、意識障害も起こります。ぼんやりした状態から昏倒・昏睡まで、いろいろな状態になります。
認知機能が障害されるため、多幸症や人格障害(人格変化)が起こります。
[進行性核上性麻痺]
大脳基底核・脳幹・小脳の神経細胞が減少する病気です。スムーズに話せなくなったり、下肢が麻痺して転びやすくなったり、嚥下困難が起きたりします。
認知機能が障害されて認知症が合併するために、多幸症を発症することがあります。
[一酸化炭素中毒]
一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結びつきやすく、酸素がヘモグロビンと結合できなくなります。血中酸素量が低下して、一酸化炭素中毒になります。
めまいや吐き気、嘔吐、耳鳴りなどが起こりますが、一酸化炭素は無色無臭なので気がつかず、最悪の場合は、死に至ります。
脳が酸素不足になり、脳神経細胞が損傷されたり、破壊されたりします。そのため、高次機能障害や多幸症が発症します。生命を取り止めても、後遺症は深刻です。詳しくは、一酸化炭素中毒の症状とは?原因や治療法、後遺症について理解しよう!危険な濃度はどれくらい?を参考にしてください!
[薬物の副作用]
医療用の薬物の副作用で多幸症が起きることがあります。
(ステロイド剤)
ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)は、自己免疫疾患の患者さんの治療に免疫抑制剤として投与されます。抗炎症作用もあるので、花粉症やアトピー性皮膚炎の治療薬としてよく使われます。ただ、いろいろな副作用が起きます。
副作用の中には、異常に興奮して眠れなくなったり、不眠症になったりという睡眠障害や、気分が落ち込むうつ状態があります。興奮して多幸症になることもあります。
(オピエート類)
医療品でありながら、規制薬物でもあるオピエート類は副作用として多幸症を発症します。
オピエートはケシの実莢からとれる麻薬系の鎮痛剤です。
[依存症]
ニコチンやアルコール、麻薬などの薬物中毒による依存症は、多幸症の原因となります。
タバコの主成分のニコチンやアルコールは、脳の快楽中枢に到達して多幸感を引き起こします。ヒトは多幸感を強く求めるので、くり返しニコチンやアルコールを摂取するようになり、依存症になるのです。
大麻やヘロイン、コカイン、アヘン、覚せい剤も中毒すると、多幸感が生じます。多幸感を求めて、依存するようになります。このような麻薬系薬物を「依存性薬物」ともいいます。
多幸感を与える薬物やアルコールなどは、依存性が強いのです。
依存症には、精神依存と身体依存があります。
精神依存(精神性依存)
ニコチンやアルコール、麻薬系の薬物により多幸感を得られると、くり返し多幸感を求めるようになります。くり返し、習慣的に摂取していると、「この薬物なしではいられない」「タバコやアルコールがないと、もの足りない」と強く感じるようになります。これは、ニコチンやアルコール、薬物への精神依存が起きているのです。
その薬物やアルコール、タバコを何としでも手に入れたいと望み、それなしではいられなくなります。「いけない」とわかっていても、手に入れて、摂取してしまいます。止められなくなり、いろいろな理由をつけて摂取し続けます。
自分では精神依存が起きていることが、わかりません。自覚できないのです。
身体依存(身体性依存)
精神依存が起きても、薬物やアルコール、ニコチンなどを摂取し続けると、身体依存が形成されます。普通は、依存性薬物などを摂取すると、呼吸や脈拍など、身体の機能に異常が生じます。ところが、身体依存が形成されると、異常な状態を普通の状態として、身体が見做してしまいます。そのため、薬物やアルコールなどを摂取しないと、「離脱症状」という身体症状が起きてしまいます。
離脱症状は、イライラ・脈拍が速くなる・発汗・手の震えなど、かなり激しい苦痛をともないます。そのため、ますます止められなくなるのです。
[麻薬系薬物は、なぜ多幸感を与えるのか?]
大麻やヘロイン、コカイン、覚せい剤など麻薬系薬物とは、植物に含まれるアルカロイドという毒物を成分としています。この薬物が脳に作用して、多幸感を与えるのは、幸福ホルモンと呼ばれる神経伝達物質とよく似ているからです。
脳の神経には、ところどころにシナプスという中継地があります。神経に伝えられる情報がシナプスに届くと、情報に応じて神経伝達物質が分泌されます。レセプター(受容体)が分泌を検知して、分泌量などの情報を、また神経に伝えます。
麻薬系薬物は神経伝達物質と似ているので、シナプスは神経伝達物質そのものとして受け入れてしまいます。そのため、神経伝達物質が過剰になり、レセプターは異常なほど多量の情報を伝達します。脳内環境がおかしくなり、いわゆる「ハイ」な状態になってしまいます。
普通ですと、神経伝達物質が大量に分泌されると、それをコントロールする機能が働きます。しかし、麻薬系薬物は神経伝達物質に似ていても、コントロールを受けつけません。ドーパミンによく似ているコカインを摂取すると、興奮が高まりっぱなしになります。
覚せい剤やコカインはドーパミン、ヘロインはエンドルフィンととてもよく似ています。麻薬系薬物は多幸感を与えますが、暴走しやすく、依存性が極めて強いのです。1度や2度くらいと軽い気持ちで摂取すると、すぐ依存症になり、脳に大きなダメージを与えます。
ちなみに、「マリファナ(大麻)は依存性がなく、タバコより有害ではない」と、よく言われますが、最近、マリファナも脳にダメージを与えることがわかってきました。
幸福ホルモンで、幸福感を得る
多幸症は感情障害や気分障害という精神疾患ですが、幸福になることは、決して悪いことではありません。ドーパミンやオキシトシン、エンドルフィンなどの幸福ホルモンを利用して、幸福感を得ることができます。幸福感を得ることで、心身の健康を増強することができます。
[笑うと幸福になれる]
「人間は、悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」というのは、ジェームズ・ランゲの説です。ですから、「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」とも言えます。
笑うと、脳が活性化して、セロトニン・ドーパミン・エンドルフィンなどの神経伝達物質の分泌を促進します。セロトニン・ドーパミン・エンドルフィンは、幸福ホルモンですから、気分が安定したり、爽快な気分になれたりします。
[笑うと免疫力が高くなる]
笑うと、幸福ホルモンが分泌されるだけではありません。免疫力が高まります。幸福気分になると、楽しくて、よく笑うようになりますから、さらに免疫力が上がります。
[オキシトシンの分泌を増やす]
[幸福ホルモン]のところで書いたように、恋人や配偶者、家族や親しい友達とできるだけ触れ合って、オキシトシンの分泌を増やすと、幸福気分になれます。
[朝陽を浴びて、軽い運動をする]
朝陽を浴びて、軽い運動をすると、セロトニンの分泌が増えて気分が安定します。軽い運動で血液の循環が良くなり、脳も活性化します。
早起きすると、自然と早寝になります。規則正しい生活をして、良質な睡眠を十分にとると、自律神経系の働きが良くなります。体調が良くなれば、爽快感も増します。
[ストレスを軽減する]
ストレスを解消するのは難しいかもしれませんが、軽減することはできます。ストレス過多は神経伝達物質の分泌を乱し、うつ病や双極性障害、依存症などを引き起こします。
ストレスを軽減すれば、心身ともに健康になり、幸福感が生じます。
まとめ 多幸症には危険が潜んでいる
多幸症とは、客観的な根拠がないのに、気分が高揚して爽快感が増し、上機嫌になる感情障害または気分障害のことです。多幸感とは、異常に強い幸福感と超越的な満足感のことです。
多幸症は、脳の快楽中枢の神経のシナプス間に、セロトニンやドーパミン、オキシトシンなど幸福ホルモンと呼ばれる神経伝達物質が、大量に放出されている状態です。
多幸症の患者さんは極めて陽気で開放的で、自信満々です。アイディアが次々と湧いてきて、何事にも意欲的で積極的です。しかし、集中力がなく、考えがまとめられません。衝動的で自制心が働かず、浪費など社会的に不適切な行動をとるようになります。日常生活に支障が出てきます。
しかも、多幸症の背後には危険な病気が潜んでいます。多幸症の原因となるのは、双極性障害などの精神疾患や大脳前頭葉の損傷、脳の器質性障害、進行性核上性麻痺など、早期に治療を必要とする病気が多いのです。また、タバコやアルコール、薬物中毒による依存症も原因になります。麻薬系薬物は幸福ホルモンと構造的によく似ているので、多幸感を得やすく、暴走もしやすいのです。
多幸症の疑いが少しでもあれば、すぐにお医者さんに相談することをオススメします。
でも、多幸症は、認知症の高齢者には、すばらしいプレゼントになります。多幸症は、患者さん本人だけでなく、介護する家族や介護士さんを救ってくれます。多幸症の患者さんの笑顔が、周囲の人々まで幸せにしてくれるのです。
多幸症は治療が必要な精神障害ですが、セロトニンやドーパミン、オキシトシンなど幸福ホルモンを利用して幸福感を高めることは、心身の健康を増強します。
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