買い物依存症とは?原因やなりやすい人の特徴、治療方法を紹介!

買い物をした後に、「また不必要なものを買ってしまった」という後悔をした経験や体験を持っている人は、意外に少なくないのではないでしょうか?とはいえ、多くの人はその経験を自身の教訓として、次に無駄な物は買わないようにしようとするものです。

しかしながら、不要な物を買って後悔しても、その経験を教訓とすることができずに何度も同じことを繰り返してしまったり、挙句の果てには借金をしてまで買い物をしてしまう人がいるのです。このような人の状態を、買い物依存症と言います。そして、買い物依存症は、れっきとした精神疾患なのです。

そこで今回は、買い物依存症の原因や買い物依存症になりやすい人の特徴、そして買い物依存症の治療方法などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

買い物依存症とは?

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そもそも買い物依存症とは、どのような状態のことを言うのでしょうか?

買い物依存症の原因や治療法などについて言及する前に、その理解の前提となる買い物依存症に関する基礎知識や症状について知っておく必要があります。

そこで、まずは買い物依存症の基礎知識や症状について、ご紹介したいと思います。

買い物依存症とは?

買い物依存症とは、買い物をする行為自体に気分が高揚してしまい、自分にとって必要ない物あるいは既に所有している物であっても、多数の物を繰り返し購入してしまう状態・症状のことです。

このような買い物依存症は、アルコール依存症やギャンブル依存症などとともに精神疾患の一つとされています。

買い物依存症の具体的症状

買い物依存症では、自分自身にとって必要な物を買うことが目的ではなく、買い物をすること自体が目的となっており、もっと言えば買い物という行為による気分の高揚感や快感を得ることが目的となっています。

本来自分にとっては不必要な物を購入するため、商品を購入しても使用しないばかりか包装を開封すらしない場合もあります。そして、買い物依存症の患者は、商品の購入時に気分高揚や快感を味わう一方で、商品の購入後には自己嫌悪に陥ることが多いようです。

また、買い物依存症においては、買い物による気分高揚や快感のために衝動的な買い物欲求を抑制することができず、カードローンや消費者金融などので借金を繰り返すことが往々にして見られます。そして、消費者金融やクレジットカードなどで身の丈を超える借金をしてしまうと、最悪の場合は返済が追い付かずに自己破産に至ります。

買い物依存症の位置付け

このような精神疾患の一つである買い物依存症は、実は正式な診断名ではないのですが、アルコール依存症やギャンブル依存症などともに一般的な病名・病気として浸透しています。そして、買い物依存症をはじめとする多くの依存症は、医学的には強迫性障害に含まれると考えられています。

強迫性障害とは、冷静に考えれば決して合理的とは言えない行動や思考を繰り返してしまう精神疾患のことです。強迫性障害は、強迫観念と強迫行為によって成り立ちます。何らかの不安感や不快感が、患者の意思とは関係なく生じることが強迫観念で、その不安感や不快感を頭から追い払おうとするための行為・行動が強迫行為です。

多くの通常の人は、強迫観念が頭に浮かんでも大して気にしないのですが、強迫性障害の人は強迫観念に頭を支配されて強迫行為に及んでしまうのです。

買い物依存症の原因

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それでは、このような買い物依存症になってしまう原因は、どこにあるのでしょうか?買い物依存症の治療法や克服方法の実行には、原因を分析することが欠かせません。

そこで、買い物依存症の原因について、ご紹介したいと思います。

精神的ストレス

買い物依存症の最大の原因は、精神的ストレスだと考えられています。精神的ストレスに晒されると現状に対する不満といった不快感が生じ、その不快な気持ちを打ち消し解消するために買い物という行為・行動に走ってしまうのです。

つまり、精神的ストレスが溜まれば溜まるほど、ストレスの発散を上手く行わなければなりませんが、適当なストレス発散法を持たない人はストレス解消手段として買い物に走ってしまう傾向があるのです。

そして、精神的ストレスは様々なことから生じます。

ストレス社会

現代の日本は、IT技術の発達によって高度に情報化が進み、それに応じて仕事における負荷や仕事で求められる水準も高くなっています。

バブル期までは年功序列で真面目に働いていれば収入も徐々に上がっていきましたが、バブルがはじけて以降は年功序列も薄れて非正規社員が増加するなど全体的に収入も頭打ちとなっています。

収入が頭打ちにもかかわらず、仕事量が過剰であればストレスも溜まってしまいますよね。

人間関係

人間関係も、精神的なストレスをもたらします。仕事関係にしても私的関係にしても、様々なタイプの人間が存在する以上、人間関係はなかなか自分の思うようにはなりません。

戦後の核家族化によってストレス耐性が低くなっているという指摘もあれば、むしろ情報化社会や核家族化によって他人や家族にすら気を使い過ぎるようになっており、その積み重ねがストレスを増幅しているという反対の指摘も存在します。

簡単にお金を借りることができる

近年は、クレジットカード各社や消費者金融各社が差別化のために様々な施策を実施したり、インターネット事業の会社がカード事業に参入するなど競争が激しくなっています。

そして、各社がカード利用者やキャッシング利用者を獲得しようと、カード入会やキャッシングの審査が甘くなっている状況も見られます。それゆえ、夫の収入を当てにして収入のない主婦がクレジットカードを持てたり、会社によっては青田刈りを狙って学生でもカードローンの審査を通る場合があるようです。このように、ここ最近は簡単にお金を借りることができる環境が整っているのです。

それに加えて、クレジットカードは手元にお金が無くても商品を購入することができるため、お金を自らの収入の範囲で使うという意識が希薄になりがちです。また、キャッシングもカードローンも、カードをATMに入れることでお金を引き出せる点では預金・貯金と変わることがないために、借金をしたお金であっても自分のお金と勘違いしがちです。

ですから、このようなお金を借りやすい環境と、借金であることを鈍くさせる心理的な側面とが相まって、買い物依存症を助長していると言うこともできるでしょう。

インターネット通販の発達

前述のようなIT技術の発達によって、インターネットでの通信販売・ネットショッピングの利便性は目を見張るほど向上しています。

お店に足を運ばなくとも、高級ブランド品から生活雑貨や食料品まで注文できて、しかも大して時間もかからずに商品が家まで到着してしまいます。このようなインターネットのサイト上の買い物は、数回のクリックとクレジットカード情報の登録をするだけですから、店頭での買い物に比べても罪悪感を感じにくいという性質もあるようです。それゆえ、ネットショッピングの利便性も、買い物依存症と無関係であるとは言えないでしょう。

また、IT技術の発達による電子マネーの登場と普及も、お金・残高が単なる数値となってしまい金銭感覚を失わせる一因になっているのかもしれません。電子マネーでは、それほど高額のモノを変えないかもしれませんが、細かな商品を必要性が低いのに購入してしまう傾向があるようです。

買い物依存症になりやすい人の特徴

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このように買い物依存症は、主に精神的ストレスが原因となって引き金になるものの、買い物依存を容易にするような環境的要因も無視できません。

とはいえ、社会の中で生きている人間の中で、ストレスを全く感じない人は少数派でしょう。多くの人が、何らかのストレスを抱えて生きているわけです。しかしながら、ストレスを抱えた全ての人が、買い物依存症になるわけではありません。そこで、買い物依存症になりやすい人の特徴について、ご紹介したいと思います。

男性より女性がなりやすい

買い物依存症は、男性よりも圧倒的に女性のほうが発症しやすい傾向があります。もちろん男性でも買い物依存症に陥る人もいますが、やはり男性よりも女性のほうが買い物好き・ショッピング好きが多いので、女性のほうが買い物依存症になりやすいようです。

買い物依存症の端緒は前述のようにストレスの発散・解消にあり、日常的に買い物・ショッピングを楽しむ女性だからこそ、どうしても買い物・ショッピングをすることによって物質的な満足感を得てストレスを発散・解消しようとする買い物依存症に陥りやすいのです。

この点、男性のストレス発散・解消は飲酒やギャンブルが多くなる傾向があるので、必然的にアルコール依存症やギャンブル依存症は男性比率が多くなります。

責任感が強い人

買い物依存症になりやすい人の特徴の一つとして、責任感が強いことが挙げられます。責任感が強いということは基本的に真面目でもあるので、なんとかして責任を果たそうと頑張ることが、時にはストレスになってしまうこともあるのです。つまり、真面目であるがゆえに、周囲の人を頼ったり、周囲の人に相談することにも心理的な抵抗を感じてしまい、責任を一人で抱え込んでしまうのです。

そして、上手くストレスを発散・解消する方法があれば問題ないのですが、他に適当なストレス発散法が無いと、そのような責任感や真面目さからくるストレスが買い物という行動に吐け口を見出し、買い物依存症として現れてくるのです。

劣等感が強い人

買い物依存症になりやすい人の特徴の一つとして、劣等感が強いことも挙げられます。劣等感が強いということは基本的に自分自身に自信を持てず自己肯定感が低いということでもあり、なかなか自己の心を満たすような達成感や満足感が得られないのです。そして、自分の心を最も手軽に満たしてくれる行為が、物質的満足感を得ることのできる買い物・ショッピングなのです。

また、このような劣等感を隠そうとする虚栄心が生じると、さらに買い物依存症になりやすい傾向が高まります。というのも、自分を良く見せようとする最も簡単な方法が、高級ブランド品などの高額な商品を購入して身につけることだからです。

そして、高級ブランド品を販売するお店では、ほぼ例外なく商品を購入してくれる顧客に対して非常に質の高い接客でもてなしてくれます。つまり、高級ブランド店では接客を受けている間は、いわゆるセレブな感覚を味わえるわけです。劣等感や虚栄心が強いと、このようなセレブ感覚や金銭による万能感を味わうことが目的となって、商品は二の次で買い物依存症に陥るケースもあるようです。

買い物依存症の治療方法

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このように買い物依存症になる原因や買い物依存症になりやすい人の特徴について見てきましたが、それでは買い物依存症となってしまった場合に、どのようにして克服すれば良いのでしょうか?

そこで、買い物依存症の治療法や克服法について、ご紹介したいと思います。

法律的な対処

買い物依存症によって借金がかさみ、その返済のために自らの生活費すら捻出できない場合には、まず生活を立て直すためにも法律で認められた債務整理を検討します。

債務整理には任意整理・民事再生・自己破産の3つの方法があり、専門家である弁護士や司法書士あるいは裁判所が間に立って、無理のない借金返済計画や場合によっては借金の帳消しを認めてもらいます。

もし、借金の返済で首が回らない状況に陥っているならば、弁護士事務所・司法書士事務所に依頼をしたり、行政が実施する借金相談などに行き弁護士・司法書士を紹介してもらいましょう。

ただし、借金もお金を貸してくれた債権者との間で返済する約束で結ばれた契約であって、その契約を破るわけですから、債務整理には様々な制約が伴います。いわゆるブラックリストに記載されて新たなカード契約などはできませんし、自己破産の場合には旅行の自由や職業選択の自由が一部制限されたりします。

お金の管理を厳しくする

まだ自分で十分に借金を返済できる状況の場合には、お金の管理を厳しくしなければなりません。クレジットカードなどのカード類は持ち歩かず使わないようにする他に、家計簿を作成して支出先を把握したり、必要最小限の預金・貯金を残して定期預金・定期貯金など解約制限のあるものに移してしまうことも検討してみましょう。

とにかく、現状のままではお金を使い、借金を増やしてしまう可能性が高いわけですから、自分自身に何らかの制約を課す必要があるでしょう。

生活習慣を見直し、ストレスを解消する

買い物依存症の原因となるストレスは、自律神経の乱れとも深く関わりがあります。ですから、十分な睡眠や適度な運動といった生活習慣の改善を図ることによって、自律神経を安定させることがストレスのコントロールにつながります。

また、買い物以外に適当な趣味が無い人は、なにか自分が熱中できる仕事以外の趣味を探して、ストレスを上手く解消することも必要です。

医学的な治療法

買い物依存症は、前述のように精神疾患です。自分で買い物に対する衝動的欲求をコントロールできない場合は、精神科や心療内科など専門性のある病院を受診して、医師や専門のカウンセラーによるカウンセリングを受けるべきでしょう。

都心部には、買い物依存症の専門外来を設けている病院もあり、様々な治療プログラムを用意している医療施設も存在します。家族や子供が買い物依存症の場合に、患者本人以外の家族が相談できる病院もありますので、活用してみると良いのではないでしょうか。

行動療法

行動療法は、自らの行動の理由を探りながら、異常行動を繰り返さないための訓練を行う治療法のことです、一口に行動療法と言っても、非常に様々な種類の訓練が存在していますので、患者の状態に合わせた訓練を行う必要があります。

行動療法は、医師や行動療法士の下で行います。

薬物療法

重度の買い物依存症の場合やうつ病の症状の一つとして現れる買い物依存症などでは、薬剤の処方がなされる場合もあります。抗うつ剤・抗不安薬などは、うつ病治療や強迫性障害の治療などにも用いられており、買い物依存症の治療にも有効性があるとされています。

ただし、薬物療法だけで買い物依存症が完治することはなく、基本的には行動療法やカウンセリングと併用する形で薬物療法が行われます。

自助会・自助グループ

自助会・自助グループとは、依存症治療の一環として、同じ症状の者同士が支え合うグループミーティングのことです。

患者が同じ症状の仲間の前で、依存症になった理由や自分の抱える悩み、依存症克服における工夫や努力などを話して共有することで、お互いの症状改善に向けた取り組みに活かすことができます。

まとめ

いかがでしたか?買い物依存症の原因や買い物依存症になりやすい人の特徴、そして買い物依存症の治療方法などについて、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、買い物依存症と言っても、単なる浪費家のようなイメージで病気とまでは思えないかもしれません。しかしながら、買い物依存症は精神疾患であって、れっきとした病気なのですね。そして、買い物依存症を放置していると、あっという間に借金が膨れ上がって経済的に困ることになりますし、自己破産に至れば社会的な信用も失われてしまいます。

ですから、自分は買い物依存症かもしれない、あるいは夫・妻・子どもが買い物依存症かもしれないと疑いを持った時は、早期に専門の病院を訪れて相談することが得策と言えるでしょう。

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