最近指が太くなったと感じることはありませんか?
おしゃれな指輪を買おうとしてはめてみたら、入らなくてちょっと恥ずかしい思いをしたとか、昔入ってた指輪が指に合わずに残念!といったことは多くの女性が経験しているかもしれませんね。
お気に入りのリングがはまならなくなったり、指が太くなったと感じるのは大きな変化でありどうしてなんだろう?と思ってしまうのも無理はありません。
なぜ指は太くなってしまうのでしょうか?もし原因がわかれば対策法はあるのでしょうか?
今回は多くの女性が好み、そしてそうなりたいと考える「指痩せ」ついて理解を深め、その対策を考えてみましょう。果して「指痩せ」は本当に可能なのでしょうか。
指の関節と動きについて
指は5本ありそれぞれが独立した動きをします。さらに各々の指は掌(てのひら)という土台によってその安定性を保持し、身体の中で最も器用となる動作を可能にしています。
指が太くなる原因はこの指の構造に起因することがしばしば確認されていますが、完全に明らかにされているわけではありません。しかし指の機能を無視してその対策を実施するというのは目的地に行くための道を踏み外して歩いているようなものです。
関節の機能やそのメカニズムが太くなる指とどう関係しているのかを読み取ることで、「指痩せ」ができるのかどうかを探ってみましょう。
関節の種類
関節には動かない不動関節(ふどうかんせつ)と動く可動関節(かどうかんせつ)があり、さらにまったく動かない(不動関節)わけではなく、多少動く半関節(はんかんせつ)も存在します。
このうち我々が最も間近でその動きを観察できるのが身体の様々な個所にあってどんな動きでも可能にする可動関節です。可動関節はその形から7つに分類されます。
親指(第1指)は1つの関節、人差し指(第2指)~小指(第5指)までは二つの関節で構成され、全てが蝶番関節という曲げ伸ばしに関わる関節です。指の根元は第2~5指まで、平たん面が隣接し捻じる動作を除く、屈曲/伸展・内/外転動作が可能な顆状関節(かじょうかんせつ)、第1指だけは鞍(くら)関節に分類されます。
「人差指・中指・薬指・小指」の関節は第1・第2関節とも折れ曲がる/伸ばす(屈曲/伸展)動作を可能にしています。親指と合わせて物を“つかむ”という動作が得意な関節なのです。
指の機能「つまむ・つかむ」
この親指と他の4本指の構造的特徴から人の指はとても特殊な動きを可能にしています。それが「つまむ・つかむ」といった親指と他の指同士の共働作業です。
「拇指対立(ぼしたいりつ)」というのは親指とそれ以外の指とをくっつけることですが、例えば日本で言うところの【OK】サインなどはその典型です。親指と人差指の腹同士をくっつけるこの機能はヒト以外の動物ではできない動作です。
人差指だけでなく、中指・薬指・小指と4指すべてでこの“変形”の【OK】サインが可能でこれが「つまむ・つかむ」という動作に大きく貢献しています。
親指を除く他の4指が「曲げる・伸ばす」の他「外転・内転」という動作をメインとしているのに対し、鞍関節である親指はグルグルと回すこともできる機能を有し財布から小銭を取り出す、水道の蛇口をひねる等の複雑な動作を可能にしているのです。
指が太くなる原因
いわゆる指の節(ふし)が太くなる場合、また痛みを伴う場合は関節そのものの病態が原因となる可能性があります。
指は加齢やその使用頻度と共に形が変わっていきます。若い人に比べれば中高年や高齢者の方が指の節(ふし)がゴツゴツしているのはその為です。またそういった人達は少なからず指を使う頻度が高く文字通り“手作業”を経験している人達がほとんどです。
関節の病気によるもの
変形により指が太くなる場合は痛みを伴う場合もあり、注意が必要です。主な変形の原因としては変形性関節症の一種である「へバーデン結節」や「ブシャール結節」等があります。へバーデン結節は主に爪に近い第一関節に、ブシャール結節は第二関節に変形が起こる病気です。
これらの変形性関節症実は「ホルモンバランス」の異常によって起こると最近の研究データで示されています。
特に卵胞ホルモンである「エストロゲン」の減少によって引き起こされる可能性が高く、患者の多くが閉経後の更年期障害や妊娠中の女性という結果がその事実を的確に証明しています。エストロゲンには抗浮腫作用(こうふしゅさよう)という腱や関節を構成する滑膜の腫れを下げる作用があり、指の浮腫みの原因として大きく論じられるようになってきました。
浮腫みによる場合
体液・血液循環が悪化する状態では末梢の血行不良等により浮腫みを発症します。
人の指には筋肉はほとんど付いておらず腕や掌側と甲側から伸びた筋肉端である腱(けん)が曲げ伸ばしを可能にしています。また血管も細く逆流を防止する弁が付いているわけでもなく、ふくらはぎのように筋肉を動かして“ポンプ”のように心臓に返すという機能がありません。
体液の一部であるリンパ液や血液成分といった液体はくぼみや境目等に溜まりやすいという性質があります。指には関節間などの境目があるため当然溜まりやすくなり、中々心臓に戻る(リンパ液の場合は循環する)ことが難しのです。
また使い過ぎによる「腱鞘炎」等が原因であるとの指摘もされています。「腱鞘炎」では指の変形はおきませんが、血行障害等によるむくみなどによって指が太くなることは十分考えられます。
リンパと代謝の関係
リンパ循環の専門医によればリンパドレナージュやリンパマッサージには医学的根拠はなく、リンパを流せば小顔、美肌、ダイエット、デトックス、免疫アップ等はすべて解決という風潮は避けるべきと警告を発しています。
一方で我々はマッサージや指圧等、外部からの「圧・触」刺激を気持ちいい感じる身体感覚を持っており、目的を間違えずに使うととても有効なツールとなり得ます。
リンパの特性
リンパと「指痩せ」の効果を直接結びつけるデータはありませんが、全身の代謝は身体の中心は元より末梢の血流・体液促進にも深く関わっています。リンパ管は細胞から出てくる老廃物・疲労物質を大元の静脈へ運び、(毛細)血管と結びついて体内の水分量をコントロールしています。
多くの女性はこの浮腫みについて否定的に考えがちですが、浮腫むこと自体は決して悪いことではありません。あなた自身の身体が浮腫みを通して正しく警告を発してくれている証拠です。
手や足がむくむ、特にふくらはぎ等下半身の浮腫み等はごくごく自然なことだということを理解しておくべきです。なぜなら地球の中心に向かって働く重力によりリンパ等の流れは足や普段は下げている手に向かうからです。逆に顔はリンパが滞りにくい場所です。
ゆるやかに流れるリンパ
心臓から遠い下半身はどうしてもリンパが滞りやすくなり、また同様の理由で手・指先もリンパが戻りにくいことが普通なのです。リンパ液が戻りにくいサインを身体が出しているわけですから健康体だというわけですね。
実はリンパには血液と違いすこし欠点があります。心臓のように強い“ポンプ”の働きがなく、流れが遅いリンパにとって、毛細血管まで到達し元の心臓近くにある静脈に戻るまでには12時間もの時間を要してしまいます。因みに心臓を出た血液は約40秒で元に戻ります。
指痩せの方法(対処法)
確証のあるなしを含めると様々な対処法がある「指痩せ」ですが、あなた自身の身体にあった改善方法を見つけることが最も大切なことでしょう。
代謝を良くする
代謝の中心はリンパです。このリンパと酸素や栄養分を全身に運ぶ血液の流れを良くすることで末梢にある指の血行も促進されるはずです。
代謝を促すために最も大切なことは身体全体のリンパの流れをよくすることです。そのために是非ゆっくり眠ることを心がけてください。十分な睡眠はリンパの流れを改善し、手や足の浮腫みを解消する最善の方法であると専門家も報告しています。7~8時間程度の睡眠が血行促進・老廃物の除去には欠かせません。
また体内の液体は体温の低い場所にも停留しやすいという特性があります。そのため冷え症の人の手や足は体液の流が止まりやすくなり水分調節が難しくなることがわかっています。
流動性物質である血液・リンパ液、その他の体液などは循環がよくなると冷えも改善されます。末梢である手足の冷えが “動かしにくさ” にもつながるため、体内の体液循環を改善する意味でも十分な睡眠は大切な要素なのです。
裏を返すと生活の質を高めるということです。健康的な食事・睡眠・運動に加えストレスを少しでも軽減する生活を送ることで身体全体としての調子が上がります。
ダイエットする
実はダイエット(体重を減らすこと)による指痩せ効果の医学的根拠はありません。
一方で体重が増え、太ったことで指も太くなったという個人の経験は非常に多く耳にします。このことから体重を減らすことで指も痩せるのではないか!という逆説的な論理展開ができると考えてよさそうです。
体重そのものを減らすことは様々な身体への良い効果として実証されている為、「指痩せ」という観点からは軽視できない要素と考えれば納得がいきます。例えばダイエットによって身体が動きやすくなり血行促進や体液循環が活発になるからです。
つまり全体としてのサイズを減らすことで部分のサイズも減る(のでは?)と考えることです。
ではどれくらい体重を減らせば痩せたということになるのでしょう?
ポイントはBMIという指標です。
BMI(Body Mass Index)とは体格指数という意味であり身長からみた体重の割合で示されます。以下の式で表される指標です。
[BMI=体重÷身長×身長]
標準は【22】なのでご自身の体重がこの数値内に入るように目標体重を設定してください。因みに40代の平均身長・体重はそれぞれ158.91cm、52.38kgです。
日常の悪い癖を改善する
日常生活での良くない癖を減らしてみることも大切です。
関節内轢音(かんせつないれきおん)という「指鳴らし」はその典型です。関節内液(滑液)の流れの変化で発生する気泡がはじける音が原因とされています。指を意識的に[ポキポキッ]と鳴らすことですが、関節に対して無駄な圧を加えていることになり指痩せを考えるのであれば決して良い行動とはいえません。
特に親指に多く発生しますが手首や指が捻れていることで痛みが出現する腱鞘炎も注意すべき症状です。腱鞘(けんしょう)とは腱の周りを包んでいる水分を含んだコラーゲン状の鞘(さや)のことで、腱の動きをスムースにして、周りの組織と接触して炎症を起こして痛みがでないようにするための組織です。
パソコンを長時間使ったり細かな手作業をすると指の動きを制御する腱が捻れたり固まったりしてこの腱鞘に余計な圧がかかりって痛みがでます。
腱鞘炎になると指はおろか、手首さえも動かすのが億劫になり、加えて浮腫みもでてきますからさらに指が太くなる環境が高まってしまうのです。
マッサージ・ツボ押し
東洋医学で言う経絡(ツボ)には様々な効果のあることが体験を通じて理解されています。また現在でも多くの検証がなされ、特にアジア地域ではその信頼性も高まっています。
爪の左右・根元にある皮膚との境目の線が交わる場所が井穴(けいせつ)というツボは刺激のポイントです。脂肪の分解を促進したり、自律神経を整える効果があります。
「指痩せ」とは直接関係ありませんが、労宮(ろうきゅう)というツボも是非、刺激しておきましょう。指を曲げた時、中指と薬指の間に位置する手のひら側のポイントです。血行促進や疲労回復に効果があります。
浮腫みの直接的な防止策として部分的なテーピングや細い包帯を巻くという手法もあります。またハンドクリーム、マッサージクリーム等を塗ってから伸縮性の手袋などをつけて寝るとう手法も効果的かもしれません。肌のきめも細かくなり見た目の美しさが強調されます。
手のひらや甲に付く腱(けん)の筋肉は肘に付着しています。特に肘の外側に位置する外果(がいか)は手首を返す伸筋腱(しんきんけん)の付着部であり、手首を含む手指の動きに大きく関わっています。
肘の外側にある骨より2cm程内側を少し押してみると痛みのでる個所がそうです。片方の中指・薬指で外果を押しながら手首を回したり、「グーパー」と手を閉じたり開いたりしてみてください。手首を含む前腕の動きが良くなり血流や体液循環に効果的です。
変形性関節症に対する治療
へバーデン等の結節予防として医療用のテーピングや関節内ステロイド注射などで様子をみるという方法もあります。仮に重症となれば関節固定や人工関節を入れる手術になりますが、いずれも30分から1時間程で終了します。
一時期スマホの使い過ぎという噂がでる程、携帯タブレット端末との関係がとりだたされましたが、結局は関節そのものの変性という病態が原因であるとの修正がなされています。
心理的効果を高める
様々な方法の下地づくりとしてはこんな方法はいかがでしょう。
毎日一定時間(1~2分)指を手のひら側・甲側から眺めてみましょう。
「自己修正機能」といい、自分の指や手の形、長さ、大きさ等を他人の手を観るように客観視しながら眺める方法です。自分自身(の手)を見つめることで脳が『これはまずいぞ!太くなりそうだぞ!』というシグナルを出して意識を変えさせようとしてくれるのです。
心理学的な効果として「全裸ダイエット」とか「鏡を眺めるだけダイエット」等のダイエット法として過去に紹介されましたが、そのアイディアを指にも応用してみるというわけです。
この方法の最も大切な要素は、自分、または自分の指や手を如何に【気にかけてあげるか】ということでしょう。子供の世話は自然にしかも情熱を持ってできるですから、自分の指についても毎日同じように接してあげることは可能なはずです。そういった気持ちがあれば身体(指)は素直に反応してくれます。
視覚効果を高める
ネイルケア、特に爪を長くすることは、即効性という点で見た目が少しでも変わるなら一番良い方法かもしれません。また爪の形を四角に整えその角を丸く削り落とす縦長手法の「スクエアオフ」は指がより長く見える(細く見える効果も!?)手法として良いかもしれませんね。
まとめ:指痩せ
指痩せについて、その太くなる原因をいくつか示しましたが、実は様々な要素が複合的に絡みあって出現することも多く問題の特定は中々難しいのが現状です。
とはいえ自分の指が太くなる原因をしっかり把握しておくことは後々の対策にも大きく影響するはずです。
流れの悪化を主訴とするむくみなのか、関節の形の変化なのか、はたまた日常生活でのクセなのか一度あなた自身の「指たち」としっかり向き合ってみることが指痩せを実現する大切な要素になるでしょう。
指痩せという“木”をみることはもちろん大切ですが、全体(全身)としての“森”を常に頭に入れて注意を払う日常が、結果として手先に良い生活習慣に繋がります。
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