恋愛と聞くとポジティブな印象を受けるのが一般的でしょう。
恋愛することは、心を若くし活力を与え、時に人を成長させ、泣いたり笑ったり傷ついたり傷つけてしまったりと、恋愛は甘酸っぱいなんてよくいったものです。実際に恋愛をテーマとした、映画、音楽など数多く世に出回っており、その大半は人の心をくすぐるものがあります。
しかし、もし恋愛というものに依存性があるとしたらどうでしょう?恋愛と聞くと、いい側面をばかりを連想してしまう分、恋愛に依存するということは気づき難いものになっています。
恋愛依存症の特徴
人は何にでも依存してしまいます。恋愛もその限りではありません。そして恋愛に依存することを恋愛依存症といいます。
恋愛依存症とは、人に対して依存してしまう中での一種の依存症の類であり、相手に対する自分の気持ちの制御が効かなくなったり、自分ではわかっていながら、或いは自分では気づかないままに、その気持ちを抑えられない、又はその気持ちを抑えることで強い不安感に襲われてしまう事をいいます。
決して病気ではないのですが、そこから精神疾患を患ったり、逆に精神疾患を患ったばっかりに陥ってしまうなど、ごく身近で当たり前のように生活の中に溶け込んでいます。最悪の場合、刑事事件へと発展してしまったりと危険な状態でもあるという事がいえます。
恋愛することが苦しみになっている
最初は恋愛することで、お互いがお互いの気持ちを求め合い、気分を高揚させます。
しかし、時間が経つにつれて、相手の気持ちを確かめる手段がなくなると、不安になり一時も離れる事が出来なくなってしまいます。最初は自分が相手を求める素直な気持ちで愛していたはずなのに、気が付かない内に相手を失う恐さから相手を縛りつけてしまいます。
そうなる事で楽しかったはずの恋愛が苦しく辛いものへと変わり、抜けるに抜け出せない状況へと変わってしまいます。
二人だけの世界に閉じこもる
2人でずっといると周りの友達とも疎遠になっていきます。
「自分を分かってくれるのはあなただけ」というような思いに浸り2人の中だけで共有する世界に没頭し、運命共同体のような意識が高まります。
しかし、それは幸せからくるものではなく、周りに対する恐怖心からくる一種の逃避行のような幻想ロマンに浸ります。
現実を見ない
自分の都合がいいように解釈をします。
友達の多くに別れた方がいいと言われても聞く耳を持たず、「辛くても愛しているのだから仕方がない」といった片寄った考えを持つ事があります。
又は、「自分しか相手の事をわかってやれない」と過信しています。
同じ事を何度も繰り返す
例えば何度も別れ話になって寄りを戻したり、同じ喧嘩を繰り返すなど同じ事を繰り返します。
恋愛依存症に陥りやすい共依存者
恋愛依存症と一括りにいっても、それは一種の人間関係の異常であり、自分と相手との二つの考えが複雑に絡み合うことで起こる依存症であるということから、そこには個人の屈折した考えが発展した結果で起こる現象ともいえるでしょう。
そこで浮かび上がる疑問が、「じゃあ個人の屈折した考えって何よ?」ってことに話がなるわけですが、その為には少々恋愛依存症を掘り下げる必要があります。つまりその現象を起こしてしまう人とは何か?ということです。そこで説明しておきたいのが共依存という依存症です。
共依存とは
共依存とは自分と特定の相手の中で生じる人間関係に依存してしまうことをいいます。
これは親子関係、友人関係、全ての人間関係で生じる事があり、特に女性に多く見られる傾向にあります。はたから見ると単なる世話好きな人と見られがちですが、共依存の場合その根底にある心理に問題があります。ここでは主観を女性と捉えさせていただき、どのような特徴があるのかを見ていきましょう。
共依存の特徴とその心理
他人の問題に介入したがる
困っている人を見ると放っておくことが出来ず、相手が助けを求めるも求めないも関係なしにその相手へアドバイスや慰めや指示などを行います。又その問題を自分が解決しようとしているのに、相手が思うように動いてくれなかったり、事が運ばなかったりすると怒りを覚えます。
例えばやたらと心配をして「大丈夫?」「平気?」など相手の顔色を伺いますが、それは相手に自分をいいように評価してもらいたいという願望の現われだったりします。裏を返せば「心配している私っていい人でしょ?」と評価してもらいたいのです。
根底に人に認められたいという強い願望があり、自分では自分の価値を見いだせないでいます。又表面的には責任感があり、使命感をもっているようにも見えますが、それは他人の問題を自分の問題とすり替え安心を得ようとする考えに基づきます。
自己評価が低い
ネガティブな見方で自分の事を評価する為、自己評価が低くなります。よって他人に自分の評価を委託して頑張ろうと努力します。その反面否定されることを極端に恐れています。
例えば「私なんて、、」といったような考えが頭に浮かび易く、又そんな悲劇のヒロインに無自覚に酔っていたりします。
根底に自分という自立した意識、考えがないということがいえます。
自制心が強い
ありのままの自分を出すことに抵抗を感じている為、抑制的な性格に見られます。
例えば、映画やドラマ、所謂一般的な価値観から自分がどう評価されるかに重きを置いていい人を演じることに努めようとします。
根底にありのままの自分をダメな人間だと思うことにあります。
人をコントロールしたがる
自分の思い通りにいかない出来事や、相手が自分の思うような行動、又は考え方を持たない事に失望します。自分が相手にとって1番の理解者であると信じ込み、相手が起こす事態に振り回されていると考えている事があります。
例えば、「自分はこんなに思ってやって一生懸命にやっているのだから、相手もその事を理解すべきだ」と押し付けがましい考えを持ちます。
根底に自分は可哀そうな人間だと思うことで、全てを相手のせいにしたがる傾向にあります。
現実を見ない
実際起こっている問題を無視したり、起こっていないと現実を受け止めようとしません。そこで抱えたストレスを別の場所ではき出そうとし、過食、アルコールなどに頼ろうとします。
例えば、相手からお金を貸してくれと頼まれ、現実ただ都合のいいように扱われているにも関わらず「この人は私がいないとダメなんだ」など極端な解釈をする。又そうすることで相手が自分を必要としている=自分は存在価値があると思い込んむ傾向にあります。
対人関係を構築するのが苦手
自分が思っている事を言わないので、他人から見ると言葉と本心が一致していないように見られます。
例えば「大丈夫あたしがやっとく」「気にしなくていいよ」など口では言っておいて、相手が本当に気にしていないそぶりを見せると怒りを覚えます。又「なんて自分は可哀想な存在なの」といった悲観的な考えに酔うことで自分を肯定する糸口を見つけようとします。
根底に人からの評価を過剰に恐れているということがいえます。
他人、又は自分を信用できない
他人の言動や自分の思っている事を信用することが出来ずにいます。
例えば「あなたの事を愛しているよ。」と人に言われても、それがどれ程の想いなのか、計る事は出来ないにも拘らず、「じゃあ、どの位愛しているの?」といったように聞いてきたり、不安で何度もをれを言わせようとしたりします。又逆に、信用するに値しない人に対して信用しようとしたりして、変なカルト宗教へ走ったりする危険性もあります。
根底に自己の過小評価があり、その為自分では肯定できない自己を相手に求め渇望ししていることがいえます。
怒りの感情
人に怒られる事に恐れを感じています。逆に自分が怒ってしまった場合は、怒らせた事自体に対して相手を憎しみます。
根底に怒りをネガティブな感情と捉えすぎて、その感情に対して異常に反応してしまっているという事がいえます。怒りは共依存者にとって自己を守るために非常に不都合な感情となっています。わかり易くいえば、共依存者が作り上げたドラマ(世界)の中にその感情があることは不自然で道徳的に反する感情と捉えているともいえるでしょう。
好きでもない人と体の関係を持つ
自分が求めていなくても相手が求めれば関係を持ってしまいます。
例えば俗に、世間一般で言われるヤ○マンだと思われていたりします。
根底に愛されたいという考えがあり、抱かれて優しくされたいと望んでいることがいえます。
Mの共依存とSの回避依存
共依存の特徴を見ると人間関係の中で相手への自分のアプローチの仕方が弱い立場から働きかけているということがいえます。そのアプローチの仕方にピッタリと相性がいい、敢えて悪い言い方をしますと、その歪んだ考えに都合が良い相手もまた存在します。
その存在が回避依存です。回避依存者は共依存者とは逆に強いアプローチで相手へ働きかける傾向があり、まるでマゾとサドの関係が成り立つのです。回避依存者にとって自己評価の低い共依存者は恰好の的であり、共依存者にとっても回避依存者は憧れの尽くすべき存在となりえます。
その二つの依存症が複雑に絡み合った結果、恋愛依存症を発症するというケースは多くあります。
回避依存とは
回避依存とは他人と深い関係を作ることを回避してしまう人の事をいいます。しかし本心は人との深い繋がりを望んでおり、その極端な二つの考えを持つ事で、人間関係や精神に弊害をきたしてしまいます。
回避依存は男性に多くみられる傾向にあり、独裁者タイプ、搾取タイプ、脱走者タイプ、ナルシストタイプ細かく4つのパターンに分けられます。ここでは主観を男性と捉えさせていただき4つのパターンのそれぞれの特徴を見ていきましょう。
独裁タイプ
人間関係を作る際に、常に自分が優位な立場である事を望み、相手の自尊心を下げるなどして、自分の支配下に置こうとします。
そうすることで相手に狭い価値観を与え「自分はダメな人間だ。この人がいないと自分はやっていけない」と思い込ませ、必要であれば言葉や態度、身体的な暴力を実行しDV、モラハラなどにいたってしまう危険性があります。
搾取タイプ
このタイプは独裁者タイプが相手を支配しようとすることに対し、搾取タイプは相手を利用しようと考えています。相手の罪悪感に付け込んでお金、労力や時間、SEXなどを搾取し自分に都合がいいように間接的に働きかけます。
具体的に例えるなら「お金を貸して」といったような直接的な物言いはせず「お金があれば○○なのにな」など相手がお金を貸すように巧みに仕向けたりします。
脱走者タイプ
過度に束縛を嫌い、相手からの距離が狭まると冷たい態度をとり距離を置こうします。相手にとっては理解不能な行動に出たりします。自由でいたいという願望が強く相手からの期待に対しても過剰に拒否反応を起こします。
具体的に例えると何気なく相手が「今日は何していたの?」という問いかけに対して束縛されていると感じ、素っ気ない態度にでたりします。
ナルシストタイプ
自分主体で物事を考えている為、ひとの話を聞くよりも自分の話をする事を好み自分は特別な存在であると過信しています。人は子供から大人になる過程において、物事は自分中心で回っていないということを認識します。しかしナルシストタイプは、子供のままの考え方で大人になってしまったひとともいえます。
このタイプによくある事が、相手自分が好む服装や髪形、言動などを自分の思うように変えようとしてきます。
惹かれ合う依存者同士の恋愛過程
上記で説明した、共依存者と回避依存者は運命の糸に手繰り寄せられるかのように、お互いがお互いの存在に嗅ぎ付け燃えるような恋愛と発展します。ここでどのような思考回路がそのような危険な恋愛へと発展するのか具体例を挙げていきます。
二人の出会い
回避依存の男性からすると共依存の女性は、自意識低く自分が思い描くシナリオに沿って演じてくれる女性に映るでしょう。又逆に共依存の女性から回避依存の男性は完璧な理想の男性に移りますが、それは男性が演じる虚像であることが多く、又その自分を隠していいところだけしか見せない行動や仕草は、見抜く隙も与えないでしょう。
恋愛の始まり
運命の出会いと感じた二人は恋愛を始め激しく燃え上がります。男性から見ると自己評価が低い女性は支配しやすく見え、簡単な駆け引きでも泣いて男性の必要性を女性は説く事でしょう。根底に自分を認めて欲しいと渇望する男性からすると、自己を確認できる唯一の女性に映ります。
一方、女性は相手に救われたような想いを抱きます。今までの孤独、不安、自己嫌悪などから全て男性が開放してくれる理想の男性に映っています。
依存症の表面化
共依存の女性は日に日に不安を覚え、同時に男性への要求も強くなっていきます。男性は繕った自分に粗が出始め距離を置こうとしますが、返って女性の不安を煽ってしまい、女性は束縛などをして男性との距離を更に縮めようとしますが男性はそれを恐れ始めます。
こうなってくると、恋愛当初の繕った男性の行動言動にムラが出始め女性はDVやモラハラ、浮気などの見たくはなかった男性の一面を目の当たりにします。
恋愛依存症の暴走
女性はこれを嫌がり、「以前のように愛して欲しい」と願い、訴えますが男性にっとはそのことが返って気に障り関係は悪化します。
この時点で女性は男性がもう自分を中心に考えてくれていないのだと初めて受け止めることができます。ここで重要なのは周りのサポートなどが必要です。今まで自分の全てだと思っていた男性に捨てられたと考える女性は自傷行為をおこなったり、その他の精神疾患を患う危険があります。大半はここまでで終わりますが重症になると更に先へと進もうとします。
恋愛の泥沼化
更に先に関係を進めますと女性は耐えられなくなり妄想をし始めます。
「いつか最初の頃のように戻るはず」「自分さえ我慢すれば上手くいく」「自傷行為や自殺をすれば相手は振り向いてくれるかも」といった現実とかけ離れた考えに囚われ始め、実際に相手の気を惹くためだけに極端な行動をとろうとし始めます。もうこの時点では周りの意見は聞こえなくなっています。
克服
依存症だと気づく
多くの恋愛依存者は自分が依存している事に気づかずにいます。
まずは、自分が依存していると気づくことが大切です。
狭い視野を広げる
依存する過程でどうしても視野が狭くなっている事があります。
視野を広げて、落ちついた視点で自分の行動や相手との関係を見直す事が重要です。
自分を愛してあげる
「自分なんて・・・」と自分を責めるばかりではなく、愛してあげるようにしましょう。
自分を愛せない人は人を愛せないようにできています。自分を愛せない分を人に愛してもらおうとすれば、それは相手に依存してしまう可能性が高くなります。
嫌いな自分を否定しても、結局はそれも自分です。嫌いな自分も「それも自分」と受け止めてあげる事、自分に優しくしてあげることで、自然と自分を愛し、人を愛することになります。
自分と対話する時間を作る
ジョギングや座禅、ヨガなど自分の内面と向き合う時間を作る事で、より自分を理解することが出来ます。
仕事や人を通して自分を見つめるのもいいでしょうが、歪んだ心のままそれらと向き合っても、やはり歪んで映り、仕事でミスしたり、人を傷つけたりしてしまいます。
自分を自分で映し出す鏡のような手段を1つなり身に着けておくと、周りがどう変化しようが、自分の気持ちに正直に気づくものです。他力本願よりも自力本願という事です。
まとめ
アルコール、ギャンブル、ドラッグなどの依存症に比べ恋愛依存症は対象物が人である為、自分をしっかり持っていないと克服するのは非常に難しいでしょう。落ち込んだり、悩んだりして傍によって来る人がいい人ばかりとはいいきれず、依存症をもつ人の場合も多々あります。
全てを疑って見るという事ではなく、自分というものを知り、他人と自分がうまくやっていける距離感をつかむことが大事だと感じます。
上記で述べた全ての依存症に共通して言える事は、依存症になる人は愛される事に飢えているという事です。しかし赤ちゃんと母親のように無償の愛というのは自立した大人同士の関係の中では幻想にすぎません。無償に自分の事を愛してあげられるのは、やはり自分自身の他にいないのです。
まずはそんな自分を理解してあげる、わかってあげる事が必要なのではないでしょうか。
完璧な人間なんていないのです。要は完璧でない部分も認めてあげられるほど、自分に寛容になれるかどうかだと思います。
恋愛依存症にならない為には自分自身を愛せる心が大事という事でしょう。
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