性同一性障害の診断方法って?原因や症状、治療方法を紹介!

性同一性障害という病状の理解を広めようとする活動が国内外問わず沢山あります。2000年前後にこの病状について詳しくTVドラマやドキュメンタリー番組などで放映されてきた影響もあって、日本でもこの病状について知っている方も多いと思います。

この病状は、カミングアウトされないと発覚しないこともあって正確な人数は分かりませんが、日本国内ではおよそ4万6千人ほどいると言われています。この数は日本国内では2800人に1人がこの病状で悩んでいるということになります。

もしかしたら私かもと不安になっているあなただけでなく、あなたの身近な人がこの病状で悩み苦しんでいるかもしれません。

今回、性同一障害の症状や原因、解決方法についてご紹介します。

性同一性障害とは?

KIDS

性同一性障害という病状を持つ人を、ここ最近ではGID当事者と呼んだり、トランスジェンダーという言葉が用いられていたりもしていて、これらの言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。

この性同一性障害という病気は、「身体的な性と自己意識の性が一致しない為に、違和感を持ち続け、自己意識に一致する性を求める」という病状です。簡単にいうと、心と体の性別が一致しない状態です。

例えば、生物学的性別でいうと、女性の体を持って産まれてきた人がこの病状を持っている場合、心は男性として発達し、男の子がするようなことをしたいと思ったり、女性を好きになったり、男の子の格好をしたいと思ったりします。そういった様々なことがきっかけとなり、自分の性に対して違和感を長く持ち続け、心が求めている性に近づけようと強く思う方が性同一障害と言われています

どんな症状が出るのか、また原因を詳しくご紹介します。

性同一性障害の症状

この性同一性障害だと診断される方の多くは、幼児期や児童期などの幼い頃からすでに何かしらの性別の違和感を感じることが多いことが特徴にあります。

その為、性格が「男っぽい」もしくは、「女っぽい」とか、または「男らしいことが好き」とか「女らしいことが好き」だから性同一障害なのかなと不安に思ったり、悩むことはありません。思春期の様々な変化や、周りに何か言われたことがきっかけになって、一時的に性別の意識が混乱することは誰にでもあり得ます。

性同一性障害の症状がある方は、幼い頃から下記のような症状が見られます。

■生物学的性別が男性の場合の主な症状

  • 女の子が好むような格好、スカートやワンピースを着たがる
  • 化粧をしたがる
  • 女の子のしたがるような遊び、人形遊びやオママゴトをしたがる
  • 女の子の輪の中に入りたがる
  • 女の子らしい仕草や言葉遣いをする
  • 自分は女の子であると主張する
  • 自分の性器に違和感を感じる
  • 体毛が濃いことが嫌で毛を剃る
  • 女性が好むようなネイル、コスメ、ファッションに関する職業を選ぶ
  • 男の人に守られたいと思ったり、男の人を好きになる

幼い頃にはあまり気にならなかった体も、思春期になると、体毛が濃くなったり、男性ば声変わり、喉仏が目立つ、肩幅が広くなり、陰茎も大きくなるなど身体がどんどんと男性らしい体つきへと変化していきます。これらの変化が嫌で嫌でたまらなくなります。

■生物学的性別が女性の場合の主な症状

  • 男の子が好むような格好、パンツや男の子が好きなキャラクターのシャツなどを着たがる
  • 男の子がしたがるような遊び、サッカーや野球などをしたがる
  • 男の子の輪の中に入りたがる
  • 男らしい仕草や言葉遣いをする
  • 自分は男の子であると主張する
  • 自分の性器や胸の膨らみ、月経に違和感を感じる
  • 男性が好むような消防士や建設現場などの体力を必要とする職業を選ぶ
  • 女の人を守りたいと思ったり、好きになる

女性の場合にも思春期頃から、胸が膨らみ、月経がはじまるなどの体の変化が始まります。このような変化が出てくると、嫌でたまらなくなり、体を男の子に近づけたいという欲求が強くなります。

性同一性障害の原因

残念ながら、性同一性障害の原因は未だ解明されてはいません。

有力な説は、赤ちゃんがお腹の中で育つ過程で、浴びるホルモンにより、ホルモンのバランスが崩れてしまい、体と脳の性別に異常が生じる為と言われています。

体と脳の性別化は赤ちゃんがお腹にいる過程で別の段階で作られます。脳の性分化の決定は、妊娠20週目以降の男性ホルモンの影響で決定されると言われています。

この時期に男性ホルモンの量を多く浴びると、脳の中では男性と認識し、生まれた後も男性的な行動を取ると言われ、反対に男性ホルモンの量を浴びるのが少ない場合は、脳の中は女性であると認識され、生まれた後も女性的な行動を取ると言われています。

例えばお腹にいる子供が男の子の場合、受精後に2~3週間程度で精巣が作られて、自分で作り出した男性ホルモンを浴びて生殖器を作ります。その後、子宮内でお母さんから分泌される女性ホルモンを浴びてお腹の中でどんどんと成長していきます。

妊娠20週目以降に再び男性ホルモンを浴びる機会があり、この時点で脳が男性化と決定付けられるといわれています。体と脳を作る段階が異なる為、うまくホルモンを浴びれていないと性が異なるという異常が出てきます。

お腹にいる子供が女の子の場合も同じように、何かしらが原因となって、浴びるホルモンが異常をきたし、お腹の中で男性ホルモンを多く浴びてしまうと脳で男性化と決定付けられたりします。

また、薬品や環境ホルモンと言われる化学物質などが外部から投与されることにより、影響も出てくるといわれています。実際に、流産防止目的で用いられたホルモンを妊婦に投与したところ、女児の胎児の外性器が男性化してしまうなど症例もあるようです。

原因は明らかにされてはいませんが、この病状は生まれてくる際に、持って産まれてくると考えられているようです。

性同一性障害と診断される3つのステップ

自分の性に長い間違和感を感じるからといって、すぐに性同一性障害と診断されるわけではありません。

これらの病状は主観の問題が大きいので、2名の精神科医専により、その感じ方の度合いがどれくらいのものか時間をかけて判断され、この2名の精神科医の意見が始めて一致して、性同一性障害という診断が下されます。

1、身体的な性の確認

まず初めに、生物学的性別を確認します。検査する内容は、染色体検査、ホルモン検査、外性器、内性器といった検査を行って、生物学的に男性か女性かを確認をします。

2、自己意識、心の性を確認

子どもの頃の思い出や生活状態、どんなことに違和感を感じているか、言動や服装、職業、人間関係などを様々な面をカウンセリングを通して聞きだします。また、これらの話は本人だけでなく、家族などからも聞き取り、心の性別の確認をします。

3、時間をかけて別症状でないかの確認

この病状は、同性愛、異性装や発達障害などの別の症状とも似ている為、時間をかけて判断が必要になります。カウンセリングを通して、「性分化疾患」「精神的障害」「社会的理由による性別変更」と判断された方は、性同一性障害ではないと判断されます。

同性愛者である場合、「相手と結婚するために性別を変更したい」と考えている人も多いので、およそ半年から1年という時間をかけて慎重に検査され、診断結果が出ます。

性同一性障害の治療方法とは?

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日本精神神経学会が発表している「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」と呼ばれるものに、沿って治療が行われるのが一般的です。具体的な治療の内容は「精神療法(カウンセリング)」「ホルモン療法」「外科的治療(性別適合手術)」という3つの内容が行われます。

精神医療(カウンセリング)

性同一性障害という病名を知っている方は多く居ますが、周りの理解度はまだ低いと思います。その為、性同一性障害の病状を持っている方は、幼少期の頃から「周りに理解されない」ことや「自分の病気への不安」など様々なことに悩んできています。

これらの状況を詳しく精神科の専門医が聞きとり、苦痛を和らげる為の精神的なサポートをします。今後どちらの性別として生きていくのかや、周りの人に理解してもらえるように、カミングアウトを検討したり、自分らしく生きる為の治療方法を一緒に選択したりします。

ホルモン療法

十分なカウンセリングを行ったうえで、それでも自分の性別に対する嫌悪感が消せない場合は、ホルモン医療を行います。ホルモン医療とは、本人が希望した性のホルモンを定期的に投与し、身体を心の性別に近づけていく治療方法です。

ホルモン治療は一定の条件を満たしている15歳以上の方であれば受けられますが、副作用などもあることは十分理解しておく必要があります。

この治療により、心と体の性が違うことについての違和感を軽減させながら、この先どちらの性別で生きていくのかを決定していきます。

性転換手術

この手術は医学的には、性別適合手術と呼ばれ、本人の希望する性に合わせて外科的手術により、体を希望する性別に近づける手術です。戸籍上の性別を変更するには、この性別適合手術を受ける必要が出てきます。

■男性が女性になる為の性適合手術

  • 精巣摘出術
  • 陰茎切除術
  • 外陰部形成術
  • バストの形成
  • 造膣術
  • ボイスチェンジ

■女性が男性になる為の性適合手術

  • 子宮、卵巣、卵管の摘出
  • 乳腺組織を摘出
  • 膣閉鎖と尿道延長
  • 陰嚢と陰茎の形成

この治療方法は、十分なカウンセリングとホルモン治療を受けた上、それでも改善されない方、強く性転換手術を望む方に行われる治療方法です。

年齢が20歳以上であることを条件に治療を受けられれます。この手術を行うことで、希望した性への戸籍の変更、名前の変更、新しい性別で結婚することが可能になります。

まとめ

この病状で一番大切なのは、周囲の理解とサポートです。日本では制度が徐々にではありますが、整ってきており、これからも、社会的な理解が進むとは思います。しかし、海外と比べると未だに偏見はあり、本人たちがカミングアウトしずらかったり、自分らしく生きていくのが難しいのが現状です。

これらの病状を持つ方をきちんと治療するには、私たちの理解する力が大きく関ってきます。この症状をもつ方が少しでも前向きに暮らせるような社会になるには、周りにいる私たちが病状を理解する努力が必要だと思います。

  
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