楽しいはずの外食でなぜか食べ物が喉を通らず苦痛ということありませんか?
レストランでの食事や、パーティーが苦痛、とにかく人前で食べるのが辛い、それは会食恐怖症かもしれません。家族とは平気なのに職場の人との外食がダメという人、せっかくのデートなのに外食が辛いという人もいます。
吐き気がする、お腹が痛くなってしまう、お箸を持つ手が震えてしまう、など様々な症状があります。会食恐怖症とはどんな恐怖症なのか、克服法もご紹介していきます。
会食恐怖症とは?どのような症状がある?
人知れず悩んでいる人もいるのではないでしょうか。まずは会食恐怖症がどのような恐怖症なのかを知りましょう。
人との食事ができないのが会食恐怖症
人と食事をとるとき、例えば相手が上司だったり取引先の人だったり、顔合わせを兼ねた食事会だったりすると誰でも緊張することがあるのは当然のことです。
しかし会食恐怖症は単に緊張だけではなく、食べ物が喉を通らない、吐き気がする、お腹が痛くなるなどのほか、人の目を意識しすぎて食べられない、またお箸やフォークを持つ手が震えてしまうという症状が出てしまうのです。そのため人との食事がとれなくなってしまうのです。
なんとかして食べなくては、という思いとは逆に食べ物を口の中に入れても喉を通らない、という葛藤、吐いてしまいそうだという恐怖にかられてしまいます。そして今度はその様子を相手に気づかれてしまわないか、変だと思われないだろうかという不安が湧いてきます。
また人に食べているところを見られたくない、手が震えているのを見られたくないという恐怖で人との食事を辛いものにしてしまうのです。
一度食べられなかったり、気分が悪くなったりという経験をすると、また食事中に同じようなことが起きたらどうしよう、と心配になってしまいます。
こういった悪循環が続くと食事に誘われても断ってしまうこともあります。しかしどうしても仕事の付き合いなどで断ることができない人もいます。そういう時はお水を飲んでごまかすなどしてその場を乗り切る人もいるようです。しかしほとんど食べることができないため、好き嫌いが激しい人などと誤解されてしまい、社会生活に影響が出てしまう人もいるのです。
会食恐怖症の症状とは?
会食恐怖症にはどのような症状があるのでしょう。ある人には当てはまったり、当てはまらなかったりと人によってその症状はかなり違うようです。ではどのようなものがあるのか挙げてみましょう。
まず外食そのものがだめだという人がいます。人前で食事をとるというのができないという症状です。家で1人でいないと食べることができないという状況になってしまうこともあります。
また次によくあるのは外食で食べようとすると喉が詰まった感じになり、吐き気がしてしまったりする症状です。そのため食べようとしても飲み込むことができません。また胃もムカムカしたり痛くなったりして食欲が落ちてしまいます。ひどい時は食事の席についただけでも吐き気を催してしまう人もいます。
お腹が痛くなって下痢になってしまう人もいます。お手洗いに行きたくなりますが食事中にお手洗いに行くのは相手に悪いかもしれないと心配になり、ますます具合が悪くなる人もいるようです。
またある特定の苦手な食べ物の匂いを嗅ぐのがだめな人がいます。匂いだけでも気分が悪くなってしまうのですね。その食べ物を食べた後に吐いた、などの経験があるとよく起こる症状です。
他にもめまいがする、頭が痛くなるなどの症状、冷や汗をかく、風邪をひいたときのような寒気に襲われる、気が遠くなるなどの症状があります。
さらにその具合の悪さを相手に気づかれたくない、心配させたくない、騒ぎになってはいけないと思うことで余計気分が悪くなってしまい、ますます人との食事が苦痛になっていってしまうのです。
人に食べているところを人に見られるのが苦痛で人と食事ができないという症状もあります。人の目が気になってしまうのです。人の目を意識しすぎるあまり手が震えてしまい、お箸やフォークがうまく持てず、それを見られないようにしようとすると緊張でますます手が震えてしまうという症状が出ることがあります。また自分の食べている音が大きすぎて変だと思われるのではないか、食べ方がおかしいと思われてしまうのではないか、などが気になって食べられないという症状が出る人もいます。
いずれにしても様々な症状が出てしまうため楽しいはずの会食が辛くなってしまい、人と食事ができなくなってしまうのです。
食事の相手や場所によっては大丈夫なことも
会食恐怖症は食事をする相手や場所によって症状の出方が変わることがあります。
家族と一緒の食事がとにかく全てだめという人、逆に家族との外食なら大丈夫だけれど、職場の人や取引先の人とは食事を取れないという人もいます。
またパーティーや会合などで知らない人とは食べられない人、恋人との食事が苦痛という人もいて、症状も様々ならば苦手な状況も人によってそれぞれなのです。
家で食べるのは大丈夫だけれどレストランでは具合が悪くなり食べられない人、ファミリーレストランなら食べられるが、居酒屋では緊張して気分が悪くなる、など場所によっても症状の出方が変わる人もいます。食事をする相手や場所によって症状が出たり出なかったりするので、わがままな人だと誤解されたり、食べられない時の状況を理解されなかったりすることがあります。
また目上の人との会食ではたくさん残して失礼な人だと思われてしまう心配もあり、ますます辛い思いをすることになってしまうのです。
会食恐怖症になった原因は?
会食恐怖症になってしまった原因を探ってみましょう。
今までの嫌な経験が原因になっている!
どのようなことが会食恐怖症の原因になるのでしょう。
意外にも、子どもの頃親と外食に出かけ残して人前で怒られたことや、具合が悪くなって吐いてしまったことなど小さい頃の食事にまつわる嫌な経験が原因になることが多いようです。また学校で給食を食べるのが遅いとからかわれた、もともと食が細いのに無理に食べてみんなの前で吐いてしまった、など給食にまつわる嫌な思い出も原因になっていることがあります。
小さい時のそういった食事にまつわる嫌な経験は、大人になっても影響をしていることがあるのです。そのため「食べるのが遅くて人に迷惑をかけるのでは」とか「人前で吐いてしまったらどうしよう」などという不安を呼んでしまうのですね。
会食恐怖症になりやすい人とは?
また会食恐怖症になりやすい人としては、生真面目で、責任感が強い人、几帳面な人などが挙げられます。人前に出ると上がりやすく緊張しやすい、赤面になってしまう、など対人恐怖症の人がなりやすいようです。
対人恐怖症の人は、人から食べ方がおかしいと思われるのではないか、音を立てすぎているのではないか、など人の目を意識しすぎてしまい、食事をとることができなくなってしまうのです。
会食恐怖症を克服したい!
会食恐怖症を克服して、いろいろな人と食事を楽しみたいですよね。
まずは親しい人と外食に出かけてみましょう!
会食恐怖症になってしまうと人との食事をすることが苦痛で、1人で食事をとることが増えてしまいがちです。まずは勇気を出して、苦手な場所に行ってみることです。会食恐怖症を克服するためにも少しずつでよいので人との食事を楽しめるように自分を持っていきましょう。それには仲の良い友達や恋人、家族など自分の信頼できる人に協力してもらうことがポイントです。外食の回数を増やしていろいろなお店に行ってみましょう。自分をその環境に慣れさせていくことが大切なのです。
そして食事をとって楽しかった経験を増やして、嫌な経験を少しずつ消していきましょう。大丈夫だった、人と食べてとても美味しかったという自信や経験をつけていくことで、だんだん食事をとるのが苦痛でなくなっていきます。まずは焦らないことが大切です。そして「人との会食もできないなんて自分はだめだ」と思わないようにしましょう。
親しい相手なら「実はちょっと外食が苦手なんだ」とさらっと言ってしまうのもよいでしょう。だから今日はあまり食べられないかも、と言っておくだけでも気が楽になります。
おすすめはバイキング形式のレストラン
レストランのタイプとしておすすめなのはバイキング形式のところです。バイキング形式のレストランだと自分がどのくらい食べたか、あるいは残したかなどが相手からわかりにくいという利点があります。自分で食べる量や種類を調節できるのがよいのです。また周りがざわざわしていることが多いので、食事の時に立てる音などが気になりません。さらに食事を取りに立ち歩いている人が多いので、途中で席を立ってお手洗いに行っても不自然な感じがしないのもよいところです。
そこでこれなら食べられそう、なんとか喉を通りそう、というものを選んで挑戦してみましょう。例えばスイーツなら入るということがあるかもしれません。また固形物がだめでもスープなら喉を通る可能性が高いですね。そこで、少しでも食べることができたということが自信につながるのです。
考えや行動を少しずつ変えてみる
誰にでも苦手なことや嫌な経験はあるものです。そして誰しも緊張したり上がったりするものなのです。ですから会食恐怖症である自分を責めずに、今のままの自分でもいいのだと認めることも大切です。食事を残してもいい、食べられなくてもかまわない、そんな時もある、大丈夫だと自分自身で認めるのです。辛い会食に行っただけでもすごい!と自分を褒めることも大切なことです。
また思っているほど人は自分を見ていない、ということも自分に言い聞かせます。実際人は他人のことをそれほど気にしてはいないものなのです。手が震えても知らんぷりしていればそのうち治りますし、音を立ててしまってもかまわないのです。どんな人でも誰にでも食事にまつわる失敗のエピソードはあるのだと気持ちを楽にしましょう。
また大丈夫だとか楽しかったというポジティブな言葉を口にするだけでも、気持ちに影響していくものです。意識して口にしてみてください。
サプリメントや食品で改善
今はいろいろなサプリメントが薬局や通販で手に入ります。対人恐怖症や不安障害に効くとされている代表的なサプリメントはセントジョーンズワートが代表的です。セントジョーンズワートはハーブの一種で、「ハッピーハーブ」とも呼ばれる気持ちを楽にするハーブです。このハーブは昔からヨーロッパで飲まれているハーブですが、合わない人もいますし、薬との併用に注意が必要なので、よく説明書を読んでから服用するようにします。
また GABA(ギャバ)も効果があると言われています。GABAはアミノ酸の一種で、気持ちをリラックスさえたりストレスを軽減する作用があると言われており、様々な食品にも含まれています。最も多くGABAを含むのが発芽玄米です。食事がとれる時に意識して食べてみるのもいいですね。またトマトやアスパラガスなどの野菜、キムチなどにも含まれています。最近はGABAが含まれているチョコレートなども売られていますので気楽に試すことができますね。
アミノ酸では他にL-トリプトファンが効果的だと言われています。セロトニンという気持ちを楽にする成分を体の中で作るのに役立つアミノ酸です。トリプトファンはタンパク質を含む食品に多く含まれますので、牛乳やチーズ、納豆、豆腐、お肉やお魚などをやはり食事がとれる時にバランス良く摂りましょう。
会食でうまく食べられなくても、食べられる時間にはちゃんと食べているから大丈夫と思うことも前向きになる方法の一つですね。
どうしてもだめな時は専門機関で相談してみましょう!
いろいろ試したけれどなかなか効果が出ない、気持ちも塞いでしまう時があります。また近いうちに仕事の立場上どうしても避けられない重要な会食が近々ある、就職が決まり初めて会う同期と食事会がある、など会食恐怖症の人にとってとても辛いシーンが出てくることがあります。そのために仕事を変えたり、就職を諦めたりということがあると社会生活に大きな影響が出てしまいます。
そういう時は一人で悩まず、メンタルクリニックなどの専門機関で相談してみましょう。むしろ家族や友達には心配をかけるからと言えなかったことでも、精神科医やカウンセラーには話すことができたりするものです。人に話を聞いてもらうだけでもかなり気が楽になっていくはずです。メンタルクリニックはなかなか行きづらいかもしれませんが、風邪をひいたら内科に行くのと同じことなので思い切って相談に行ってみてはいかがでしょう。
会食恐怖症の治療法は?
メンタルクリニックなど専門機関ではカウンセリングや薬の処方が行われます。処方される薬は抗うつ剤( SSRI、スルピリド、 SNRIなど)またベンゾジアゼピンなどの抗不安薬が処方されることが多いでしょう。
また気持ちを楽にしたり、喉のつかえた感じを軽減する漢方薬が処方される場合もあるようです。薬に頼るのに抵抗があるかもしれませんが、少しでも気持ちを楽にするためにも専門医の指示に従って服用することは効果が期待できます。また薬を持っているだけでも、気が重い取引先との会食を乗り越えることができるかもしれません。しかし薬を飲まなかった、持っていなかったなどが不安をかえって強くしてしまったり、ずっと薬をやめることができなかったりという心配も新たに出てきます。そのため薬に関しては専門医としっかり話をして、まめに相談し方針を決めていくことが大切です。
ただ、薬を飲んでいるからといって罪悪感や自分は弱いなどというマイナスのイメージを持たないようにしましょう。頭が痛い時に頭痛薬を服用するように、薬で症状を改善していくのは大切なことなのだと意識していきましょう。
カウンセリングも専門機関では行われます。自分の苦痛や昔の嫌なことなどを話して聞いてもらいましょう。こんなことを話すと笑われるのではないかなど思わずに、辛い体験や困ったことなどを話していくのが大切です。何回かに分けて行われるので、少しずつ気持ちをほぐして話していくことで、自分自身の気持ちも整理していくことができます。どうすれば会食恐怖症を克服できるか、的確なアドバイスをしてくれます。いずれにしても時間がかかるかもしれませんが、必ず治ると信じて前向きに自分の気持ちを持っていきましょう。
まとめ
会食恐怖症はなかなか人にはわかってもらえない恐怖症の一つかもしれません。
治るのに時間がかかることもあるでしょう。まずは辛い思いをしている自分を責めたりせずいたわってあげましょう。専門医の力を借りたり、親しい人の力を借りて少しずつ克服していきましょう。
ちょっとだけど食べられた、手が震えても気にならなかった、など少しでも明るい兆しが出て来ればしめたもの。自分をほめてまた一歩先に進めるように前向きに行くことが大切です。
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