あなたは自分の手の爪や足の爪をじっくりと観察したことがありますか?普段何気なく目にしている部分で、特に気にしていないという方も多いのではないでしょうか?
しかしこの爪、実は人間の足先や指先の腹の部分の力を支えるためにあり、身体の中でもかなり重要な役割を担っています。もしこの爪が無いと人間は体重を支えることが出来なくなったり、物が持てなくなったり、指先を使う作業が出来なくなってしまいます。
そんな重要な役割の爪に何か異変が出てきたら、不安になりますよね。そんな時はこの記事を参考にしてみてください。日常生活で起こる症状から「メラノーマ」という恐ろしい疾患まで挙げてみました。あなたの爪は健康ですか?
メラノーマ爪とは
あまりなじみのある名前ではありませんが、誰でもいちどは聞いたことがあるのではないでしょうか?
「メラノーマ」とは悪性黒色腫ともいい、皮膚に出来るがんの一種です。さらにこの「メラノーマ」は、悪性の度合いが高いがんといわれています。
「メラノーマ」のできる原因は、皮膚の色に関係があるといわれるメラニン色素を作る皮膚の細胞(メラノサイト)が悪性化してできたために起こるといわれています。
よく知られているのは、ほくろや足にできた黒いシミが「メラノーマ」になった。などの報告ですね。
つまり「メラノーマ爪」とは「メラノーマ」という皮膚がんの一種が爪に出来る状態を言います。
その他にメラノーマは末端黒子型黒色腫や悪性黒子型黒色腫や結節型黒色腫や拡大型黒色腫などとも呼ばれます。
メラノーマ爪の症状と判断基準
ではこの「メラノーマ」が爪に出来ると、どのような状態になるのでしょうか?
まず最初に、爪の縦線上に黒い線やシミが出来始めます。普段の爪の状態は、健康な人であれば、おそらく薄いピンク色をしているのではないでしょうか?そんな爪に黒い縦線やシミが出来るので、多くの人はその異常に早めに気がつくことが出来ます。
単なる圧迫などによるあざなどであれば、その後しばらくしたら消えますが、「メラノーマ」の場合は、放置しておくと一箇所だった黒い線が全体に広がり、またシミだった部分からそのほかの部分にまで広がるようになってきます。
また爪自体が変形したり、爪の周辺までも黒いシミが出来るようになります。このような状態になってくると、「メラノーマ」である可能性が高くなります。
また、この疾患は白色人種で紫外線の強い地域にいる人に多く発症するとして有名です。比較的有色人種でも白色に近い日本人であり、紫外線を多く浴びている自覚のある人でこの症状が出始めたら、是非注意してほしい疾患です。
アナタの爪はどのような状態でしょうか?
メラノーマとほくろの見分け方
皮膚のガンであり内臓への転移の可能性のあるメラノーマ、症状がひどく悪化する前に早期発見をし、治療していきたいですよね。そのためにはよく似ている症状やほくろとの区別が出来なくてはいけません。
ほくろや血豆との見分け方が重要になってきます。では、メラノーマの見分け方について紹介します。
メラノーマの特徴
メラノーマは特に足の裏に出来やすい特徴があります。特に足の裏に出来ている場合はほくろと間違えやすいでしょう。その他のケースで爪に出来る場合があり、爪の根元から黒くなったり、黒く筋状にまっすぐ黒くなっていたりして、丁度衝撃によって出来る血豆の症状に似ています。
メラノーマの特徴としては、爪にメラノーマが出来る場合は40代の年齢に多いことや一つの爪から始まることや筋状であった場合それがどんどん広がってくることや爪以外の皮膚の部分も黒くなってくることなどがあります。最初は線状に黒い線が生まれその後どんどん黒くなりそれが広がっていきます。
血豆との違い
血豆の場合は外部の衝撃によって爪の内部の血管から血が漏れることによってそこが血溜まりになり黒く色がつきます。血豆であればいつか強い衝撃を受けたことや靴が小さかったなどいずれも強い衝撃や圧迫が起こることにより発症するので痛みが出たり、その衝撃への心当たりがあれば血豆であると判断することが出来ます。
他にも放置しておくと自然に治っていく血豆に対しメラノーマ出会った場合は色が引いていくどころかどんどん色は濃くなり黒い部分も広がっていくことがあります。
血豆の場合の治癒期間は爪の生え変わりとともに移動していくので3ヶ月〜6ヶ月は見る必要があります。しかし、完治より前に爪の成長にしたがって黒い部分が移動する場合は血豆。そうでない場合はメラノーマの可能性があります。
その為もし黒い部分がその場に留まっていたり広がっていくようでしたらメラノーマを危惧し皮膚科を受診しましょう。
ほくろとの違い
皮膚にメラノーマができた場合はその判明が難しいです。ほくろが比較的丸く点のような形状をしているのに対し、メラノーマは左右非対称であったり、色に均一性がなく濃い部分と薄い部分が存在していたり、短期間で大きさが変わったり、黒い部分の周囲がギザギザしているものはメラノーマである可能性があります。
またサイズが6mmを超える場合は一度検査をしたほうが良いでしょう。また、ほくろの皮膚の部分が盛り上がっていたり膨らみを帯びている場合も検査をしてみたほうが良いかもしれません。
また、ほくろやメラノーマはいじって刺激を与えることは避けたほうが良いでしょう。ほくろだと思っていじっていたらメラノーマだった場合や、いじることでメラノーマが悪化するケースがあるので注意しましょう。
メラノーマの治療方法
メラノーマの治療方法について紹介します。転移が危惧される病気なだけにしっかり治療を行わなければなりません。この病気はⅠ期からⅣ期にまでステージが分けられており程度が高いほど治療が急がれます。ではメラノーマの治療方法を見ていきましょう。
治療法
皮膚にできるがんという疾患の一種である「メラノーマ」の治療法は、通常のがんと同様に手術による切除が基本です。
腫瘍部分はもちろん、その周りまで切り取ることが必要になります。しかし初期の「メラノーマ」の場合は、ほくろの状態と区別がつかないことも多く、とても判断が難しいといえます。まずは自己判断をせず、疑いがあるようでしたら、対応の医療機関への受診をオススメします。
また、特に自覚症状のない「メラノーマ」を放置しておくと、黒い部分からリンパ節への転移もします。そうなると、周辺の臓器やさらに人間にとっての重要な各臓器への転移もでてきます。そのような場合は手術などの外科治療のほか、抗がん剤治療やその他の化学療法、免疫療法などが必要になります。
Ⅰ期
このステージは最も初期の状態で1mm〜2mm以下の腫瘍が確認されます。表面に潰瘍が見られないもので、その他の部位への転移が見られない状態です。
この段階はもっとも初期の段階ですが、発症部位によっては切断の可能性もあります。特に爪に出来てしまった場合は周囲の皮膚なども切除しなくてはいけないので指が短くなることも覚悟しなくてはいけない場合もあります。
Ⅱ期
この段階でもまだ、他の部位への転移は確認できないものです。潰瘍をともなう大きさ1mm〜4mmのものです。特に大きさが4mmに及ぶものには注意が必要です。Ⅱ期に及ぶ症状だとⅠ期に比べて5年後の生存率は大きく下がります。遺伝の可能性もありますが、突然変異の可能性もあるため、ペットや子供の体を一度くまなく確認しておきましょう。
Ⅲ期
この段階は、リンパ節への転移が認められる場合です。また皮膚の表層だけでなく、皮下にまで転移が及んでいる場合にこのステージになります。
リンパ管への転移が広がると、急速に内蔵への転移が広がってしまうため大変危険な状態になります。既に転移が行われてしまった場合は化学療法により治療が行われますが完治することはなく死亡率も80%に及びます。
Ⅳ期
Ⅳ期では5年後の生存確率が10%と言われており、非常に重症な状態です。リンパ管以外の部分への転移が認められる場合です。リンパ管の他には骨や肺に転移が多く見られます。
骨への転移が確認された場合、病的に骨が弱くなり、骨折を起こすことがあります。放射線治療や薬物による治療で進行を遅らせる治療が行われます。
早期発見すれば5年後の生存率は100%に近いのでこの段階に進行してしまう前に早期での発見をし、治療を行うことがメラノーマでは特に重要です。
メラノーマの予防方法
近年では20代30代の比較的若い世代にも発症するようになりました。皮膚にできるガンですので原因として紫外線が挙げられています。体を洗うときなどに刺激を強く与えない様にすることなども予防につながるかもしれません。
しかし、有効な予防方法がないのがメラノーマです。その為、新しく出来たほくろや黒いシミなどに敏感になり、早期発見をするように心がけましょう。
まれに頭皮などに出来る場合もあるので、自分では確認できない場合は家族などに見てもらうなどして、見忘れの無いようにしましょう。特に出来やすいのが刺激が強いためか、足の裏にできやすいので昔にはなかった黒いシミを見つけた際は注意しましょう。
その他のメラノーマに関する詳しい記述はメラノーマの初期症状は?種類を知って適切な対処を!こちらをご覧ください。
その他の爪の疾患の可能性
もし、自分の爪は「メラノーマ」ではないかもしれないと思うようであれば、こんな症状に思い当たることはありますか?
爪の症状で考えられるものを挙げてみました。
爪が薄くなりはがれてくる
爪が薄くなり、ペラペラとはがれてくる状態になる。よく二枚爪などといわれる状態です。
そのような爪の時の多くは、貧血が原因です。貧血によって、鉄分や酸素が不足して爪が薄くなるのです。そのほかの原因としては、化学物質によるものや感染症なども考えられますので、気になったら皮膚科などの医療機関に受診したほうが良いでしょう。
ばち指
指先が膨らんで、爪が丸みを帯びるようになる状態です。まるで太鼓のバチのような指先になることをばち指といいます。手指がすべてこのような状態になる人には、肺の疾患の可能性があると言われています。この指の状態になったら、対応の医療機関に受診しましょう。
爪に縦線が多くはしる
肝臓の疾患に罹っている人の多くが、爪に縦線が入っていることから、このような状態の爪になったときは、肝機能障害を疑ってみてもよいでしょう。自覚症状の少ない肝機能障害は、日頃からの自分の身体の観察が大切です。爪の線については、危険かもしれない!爪を噛む癖とでこぼこの爪の危険性と対策の記事を参考にして下さい!
白く濁った状態になる
汎発型爪甲白斑(はんぱつがたそうこうはくはん)という、多くは遺伝的な治療の必要の無いものの可能性があります。しかし稀に、慢性腎不全や糖尿病、肝硬変などの重要な疾患の場合に発症するときもあり、爪の異常だけでなくこのような疾患が疑われる場合は、すぐに対応の医療機関に受診してください。
表面が青紫色になる
圧迫や怪我以外の状態で、このような色になる場合、また、黒に近い青紫色になったときは、血液中の酸素が不足して起こるチアノーゼの可能性があります。
考えられる疾患としては悪性の貧血や肺疾患、心臓疾患の可能性もあります。爪以外に不調をきたしている場合は、対応の医療機関に受診してください。
白や黄色になり厚くもろくなる
このような状態は爪白癬(つめはくせん)といい、いわゆる爪の水虫です。
白癬菌が爪に入り込んでしまって、菌が増加し水虫になってしまった状態です。かゆみや痛みなど、自覚症状は無く、自分で気が付くのが遅くなりやすい疾患です。
この爪白癬(つめはくせん)は、感染力が強く周囲に感染しやすいので注意が必要です。例えば、爪白癬(つめはくせん)の人が爪を切ったままにしておいたりして家族に感染するなどです。
このような症状を自覚したら、すぐに皮膚科に受診しましょう。菌が死滅しないと症状はよくなりません。根気よく治療を続けることが大切です。
爪に関するその他の詳しい記述は爪の変形の原因とは?病気や治療方法の紹介!こちらをご覧ください。
爪の健康のためにできること
色々な爪の状態があることが分かりましたね。そのような状態になってしまったときは早めに対応の医療機関に受診して治療しましょう。
また、症状の出ていない部分に関しては、普段から人の目に留まりやすい部分だからこそ、出来ればきれいな爪でいたいものですね。日頃から爪の健康のためにできることは何があるのでしょうか?
健康的な食生活
爪につやがあり傷や凹みなどの無い薄いきれいなピンク色の爪は、見ていてもとても清潔感があり美しいものです。そのような爪になるためには、健康的な食生活が大切です。
爪はその硬さから、カルシウムで構成されていると思われがちですが、実は毛髪と同様、ケラチンというたんぱく質で作られています。なので卵や魚、肉や大豆製品などの良質なたんぱく質を十分とることが爪の健康にとって大切なことです。
爪の血行をよくしましょう
爪の先は身体的には末端の部分です。女性の方などは血行不良により、爪の先まで血液が十分に届いていない場合も多くあります。
そのような時は、身体全体を温めることと、手足の指先のマッサージなど血行をよくすることが大切です。血流に乗って酸素や栄養分が手足の指先まで届くようになれば、爪も健康になりよく成長することが出来ます。
また、マニキュアや爪の手入れの際は、あまり爪を酷使するような方法はやめましょう。過剰な削り方や塗りっぱなしのマニキュアは爪の健康状態を悪化させかねません。適度なお手入れを心がけましょう。そしてお手入れの際には、オイルやクリームなど、指や爪を保護する働きのあるものを使用するのもオススメです。
まとめ
いかがでしたか?
普段から人の目に留まりやすい手足の爪は、美しく健康でありたいですよね。
そのために日頃から自分の爪の状態を観察・把握し、早めのケアをすることが大切です。「メラノーマ」などの恐ろしい疾患にならないように日頃から心がけたいですね。
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