「爪が伸びている状態が嫌で、つい深爪気味に切ってしまう。」
「足の形、大きさに合っていないけれどデザインが好きで履き続けている靴がある。」
・・・そんな人が発症してしまいやすい爪の病気である“陥入爪”のお話です。
少しつま先が痛いかも、と思った時に対処しておかないと更なる不調を招く原因になってしまいます。
ここでは、陥入爪について、原因、更なる症状、対処法、予防出来る事をお話していきます。
陥入爪について
陥入爪とは、主に足指で起こってしまう病気です。爪の先端が成長しながら周りの皮膚や肉に刺さり、痛みを伴う炎症を起こします。
巻き爪との違い
原因、治療法が似ているので同じ病気と思われがちな陥入爪と巻き爪ですが、具体的に説明すると2つは異なる病気です
巻き爪は「爪が横方向に曲がってしまう症状」です。陥入爪で痛みを生じるのに対して、巻き爪自体には痛みを生じません。
巻き爪になってしまった爪を深爪に切ってしてしまった結果、陥入爪になってしまうことがあるのです。2つの病気がセットで扱われがちな理由は、巻き爪の最終的な症状が陥入爪というところから来ているのだと思われます。
巻き爪については、巻き爪の治し方とは?自分で治療する方法と病院での治療法を紹介!を読んでおきましょう。
陥入爪の主な原因
冒頭でもお話した、深爪や合わない靴を履き続ける事、そして巻き爪が陥入爪の主な原因です。
深爪
- 爪の白い部分を全て無くす勢いで切ってしまう
- 切った後、やすりにかけず先端を尖らせたままにしてしまう
上記のような爪切りの癖が有る人は、陥入爪を発症しやすいのです。
爪と肉の境目がなくなってしまうと、立っている時、歩いている時にかかる体の重みで肉が爪に食い込んでしまいます。
私たちの日常生活で、足はつま先に重心をかける動きばかりしています。深爪が肉に食い込んだまま成長すると、その過程でそのまま爪の先端が肉に刺さってしまいます。
そして切りっぱなしで爪の先端が尖っていれば、酷い痛みや出血を伴います。
深爪については、深爪の治し方について!手と足、それぞれの改善方法!を参考にしてください。
足に合わない靴を継続して履き続ける
- ハイヒール、ピンヒールを長時間履くことによる重心の集中
- つま先が尖った靴、自分の足より小さいサイズの靴を履く事による圧迫
上記の理由でも陥入爪の原因になります。
深爪から発症してしまう原因にも似ています。爪の切り方に気をつけていてもつま先に重心をかける生活をしている以上、更に重心をかけやすくなるハイヒール、爪が肉に食い込みやすくなるサイズの小さい靴の長時間の着用は爪に優しくないのです。
巻き爪の不適切な処置
巻き爪の治療には外科手術や、ワイヤーを使った矯正術が必要です。
しかし時間がかかってしまう為病院に行く時間が取れなかったり、治療法を知らずにいたりして、自分で深爪にしてしまう人もいます。その結果陥入爪を招く事になってしまうのです。
そして巻き爪を一度深爪に切ってしまうと、伸ばすのが怖くなりまた深爪にしてしまう人も居るので悪循環になってしまいます。
外傷、衝撃
- サッカー、陸上競技等のスポーツでつま先をよく使う
- タンスに指をぶつける
上記の様な状況で、爪に衝撃を与えて割れてしまうことがあります。陥入爪の原因を作るきっかけになってしまうので、くれぐれも気をつけて下さい。
爪水虫の治療中
重度の爪水虫にかかってしまった爪は、細菌によってボロボロに崩れやすくなってしまいます。その爪の形に合わせる様に形成された皮膚に、治療によって正常に伸びてくる爪が噛み合ず、陥入爪になってしまう事があります。
併発する症状
陥入爪の放置による爪の食い込みや創傷は、新たな病気のきっかけになってしまいます。
細菌感染
蜂窩織炎(ほうかしきえん)と呼ばれる、皮膚感染症になりやすいです。傷口から細菌が感染して、更なる痛みと化膿する様な炎症を起こします。
悪化してしまうと、腫れ、化膿の広がり、炎症を起こした部分の熱感を伴い、発熱、頭痛、等の体調不良も起こります。
最終的には入院して抗生剤の治療を受けなければいけないこともある病気です。
血管拡張性肉芽腫
陥入爪で爪が皮膚を圧迫することで、皮膚の組織(軟部組織)を壊してしまいます。
その結果、血管拡張性肉芽腫(けっかんかくちょうせいにくげしゅ)という病気の原因になってしまいます。
壊れてしまった軟部組織は、怪我のようなものです。その怪我付近の血管の修復、血管細胞の増殖が過剰になってしまうことがあります。それは腫瘍の様な形になり、皮膚の表面から出てくるのです。
治療には液体窒素による凍結療法、電気メスを用いて焼き落とす等をしなければいけません。
陥入爪の治療法
陥入爪に気づいたら、すぐ治療してもらいに行きましょう。
症状や希望に合わせて様々な方法があります。
保存的治療
爪を全部はがしたり、一部を切り取ったりしなくても良い方法です。
治療に時間がかかりますが、外科治療より痛みを伴わないのが特徴です。
爪下にガーゼを挿入し、爪を浮き上がらせる
ガーゼを米粒大に丸めて、ピンセットで挟みこみます。
爪が肉に食い込んでいる部分が浮き上がるので、挟んですぐに痛みが解消される人も居ます。
深爪、進んだ陥入爪で挟む余地が無い場合は、無理矢理挟もうとすると爪が割れる可能性があるので別の方法を行います。
ガター法
局所麻酔をしたあと、陥入した爪の角を持ち上げて少しだけはがします。そのはがした部分から点滴チューブなどを挿入し、アクリル樹脂などで接着・固定します。
一晩で爪の痛みが軽減されること、アクリル樹脂が義爪の役割を果たすことが効果に挙げられます。爪の成長の過程で、アクリル樹脂を外せます。
テーピング
絆創膏を爪の角の周りの皮膚に固定し、爪の根元にも螺旋状に引っ張るように貼り皮膚を固定します。この方法によって爪に食い込んだ肉の盛り上がりを抑えていきます。
この方法は、ガーゼを挟む方法が出来ない爪、ガター法の治療中に爪を伸ばす補助にも効果があります。
矯正治療
ワイヤーや金属プレートによる矯正方法は、巻き爪治療にも用いられます。
ワイヤーによる矯正
爪の先端部分2ヶ所に穴を開けてワイヤーを通します。使用するワイヤーは折れ曲がらず、弾力性のあるものを使用します。このワイヤーのまっすぐになる性質を利用して爪を矯正していきます。ワイヤーを通す為に先端部分に穴をあけるのに、ある程度の爪の長さが必要です。
金属プレートによる矯正
記憶形状できる合金プレートを爪に貼り付けることで、プレートが戻る力を利用して爪を矯正します。治療期間に時間を費やしますが、痛みは施術直後から引いていくことが多いです。
外科的治療
根本的に治したい、早く治したい人に向いているのは外科的治療です。術後の痛みはしばらくありますが、保存的治療より時間がかからないのが特徴です。
フェノール法
局所麻酔後、爪が肉に食い込んでいる部分をはがします。その後2〜3mmの幅で切ります。皮膚を腐食させる毒性があるフェノールの特性を生かし、爪が生えてきてほしくない部分に液体状のフェノールを綿棒につけ、均一におさえていきます。そして細菌感染防止に抗生剤を塗り、ガーゼなどで創部を保護して完了です。
一見危険に感じますが、フェノールは適切な量で施術され、腐食した皮膚は体の再生機能で元通りになる、安全を確認された治療法なのです。
鬼塚法
爪の端を短冊状に切り取って根元から取り除き、その部分に新たな爪が生えてこないようにする手術です。鬼塚方の爪の切り方をした後の爪は、元の形に生えやすいのです。
局所麻酔の痛み、術後の痛みが強いため、あまり病院で利用されていない手術法ですが、痛みについて医師からの説明に納得できた人には施せるようです。
予防できること
先の章でお話した陥入爪の原因から考えられる予防策です。
つい放っておきがちな足の爪ですが、毎日靴を履いて歩く生活の為に大事にしたい部分です。しっかりケアをしましょう。
爪切り
爪を切るタイミングは人それぞれですが、目安になる確認方法があります。
以下に足の親指の爪を例に挙げます。他の爪でも応用出来るので試してみましょう。
- 爪と指の腹を片手でつまむ
- もう片方の手の人差し指を爪の先端〜指先に乗せる。
- 指先に触れるのに爪の先端が先に触れる、もしくは爪の先端が人差し指に食い込むくらい伸びていたら切り時。
深爪にしてしまわないように、爪の白い部分を1〜2mm程度残しましょう。そして爪の両端を短くしすぎた部分から陥入爪になってしまうので、爪の先端はできるだけアーチを描かないようにしましょう。四角形に近い爪の形が理想です。
☆爪の伸ばし過ぎは皮膚と爪の間に隙間ができてしまうので、衝撃で割れたりはがれたりしやすいです。適度な長さを心がけて行きましょう☆
靴との付き合い方
長時間靴を履いたままの状態で居なければ行けないときは、出来るだけサイズに余裕のある靴、女性ならかかとの低い靴を選びましょう。
徒歩移動用、長時間の立ち仕事用に靴を分けることも視野に入れていいでしょう。
安全な靴のサイズは縦の長さに余裕があることが大事ですが、横幅も指同士が窮屈にならないように注意しましょう。
巻き爪を放置しない
陥入爪の一歩手前の状況といってもいい、巻き爪は早めの治療が大事です。
痛くなくても、爪の先端が皮膚に食い込んでいて爪切りが難しくなっていたら、一度皮膚科の先生に相談してみましょう。
まとめ
ちょっとした油断の積み重ねで起こってしまう陥入爪のお話でした。
もし、自分の爪に陥入爪の疑いがありそうでしたら、感染症、皮膚炎になってしまい日常生活に支障がでてしまう前に対策をしてください。
何気なく生活している中で、足の爪の役割は大きなものです。毎日眺めるだけでも変化に気づけると思います。