発症しても痛みがないので「気づいたら爪が緑色になっていた!」なんてビックリしてしまう人も多い、“爪のカビ=グリーンネイル”のお話です。
オフィスファッションでもネイルが認めらる事が増えた現代、沢山の女性が毎日楽しんでいるかと思います。そんな人たちにとって“一番身近な細菌感染症”です。
聞いた事がある人も多いと思いますが、今一度、症状から予防策までおさらいしておきましょう♪
爪にカビが生える、ということ
「グリーンネイルの原因は爪に緑膿菌が繁殖するから」というのはどこの情報でも言われることです。
ネイルやスカルプで空気を塞がれているから、またはそのネイルと自爪の間に隙間が空いてしまいその隙間に水分が入ってしまうから細菌が繁殖する。という事もよく言われます。この章ではそういった情報を、もう少し分けてお話します。
緑膿菌について
緑膿菌は人の消化器官内に常在しており、健康な人の免疫力に対して毒性が低いものです。
傷口など繁殖、感染症を起こすと緑色の膿を出すことからその名前が付きました。爪に繁殖、感染した際、緑色に着色してしまうのも緑膿菌だからこそです。
人の体温に当てはめられる36〜7度前後で潤湿な場所を好む為、爪先よりも根元〜真ん中に繁殖します。
グリーンネイルを発症してから考えられること
爪が緑色になる事自体に、健康被害が現れているのではありません。そして先にお話したように、緑膿菌は健康な人の免疫力の前では毒性を発揮しづらい細菌なのです。
しかし、爪に沢山の緑膿菌を保有していることになります。
そんなときに怪我や病気になってしまい、免疫力が下がってしまうとやっかいなのです。爪を介して傷口や口の中に入ってしまえば、体の抵抗を無視して至る所に繁殖してしまいます。
私たちの体は細胞の集まりです。緑膿菌はその細胞の一部(ミトコンドリア)の機能を止めてしまう力があります。
緑膿菌は“病原菌”になると怖い
傷口から感染すれば、皮下組織の機能低下→他の細菌感染を容易にさせる→感染による発疹、腫れ、最悪感染部位の壊死の危険性があります。
また、傷口を介して血液に感染、繁殖すれば、血流で全身にまわり敗血症、続発性肺炎、中枢神経感染など大変な病気にかかってしまうこともあるのです。呼吸器官(鼻、口)から感染すれば、肺炎の原因にもなってしまいます。
以上の感染症のことは、そのまま緑膿菌感染症という名前になります。
緑膿菌は薬剤に強い
緑膿菌感染症にかかってしまった場合、抗菌性のある薬剤による化学療法で治療していきます。
しかし緑膿菌は感染した箇所で“バイオフィルム”というバリアのような物を作るので、薬剤が浸透しづらくなり、完璧な治療にならなくなることもあります。そして薬剤に対して耐性をつけやすいので、使用していた薬剤の効果を薄め、改めて感染していくこともあります。
緑膿菌感染症は治療が難しく、長引く病気です。こうならない為にも、きっかけの一つであるグリーンネイルに気をつけたいものです。
グリーンネイルを発症しやすい条件
爪が緑色になってしまう原因になる緑膿菌について詳しくお話しました。そんな緑膿菌の脅威に巻き込まれやすいグリーンネイルを発症しやすい条件を挙げます。
1.外れかけたスカルプ、ジェルネイルの放置
ネイルと自爪の間に水分や汚れが溜まり、緑膿菌が繁殖しやすい環境を作ります。
2.ネイルをしたまま水仕事をして、十分な乾燥をせず過ごす。
一つ目の条件にも似ています。ネイルをしている状態の爪は何もしていない状態より乾燥が遅いので、溜まった水分が体温で暖まった状態になります。長い爪の人は特に注意しましょう。
3.定期的にスカルプを外さない
自爪に空気を当てられないので、体温程度の温度でも簡単に蒸れてしまいます。1ヶ月に1回は取り外さないと今までの条件と同じく発症のリスクが高まるのです。手汗をかきやすい人は特に注意しましょう。
症状について
初期症状ではかゆみや痛みを感じないため、ネイルを除去するまで気づかないことがあります。ネイルを除去した際、自爪の色に黄ばみがみられたらそれはグリーンネイルの予備軍です。徐々に緑色になっていきます。
放っておくと、緑色が濃くなり、次第に黒色になってしまいます。そこまで放置してしまうと、皮膚にまで細菌繁殖を起こして爪が折れる、はがれる等の二次感染症や、先にお話した緑膿菌感染症のリスクが高まってしまいます。
もしグリーンネイルになってしまったら・・・?
「自分の爪の色が変色していた・・・。」なんてオシャレを楽しむ女性にとって、ショッキング以外の何者でもありません。
しかし、少し違和感を感じた時点で対処できれば10日〜2週間ほどで元の色に戻ります。
爪が黄ばんでいる気がしたら
クリアベース等のネイルのデザインによっては、除去していなくても変化に気づくことがあります。気づいたら除去した後、1週間は何もしないでいましょう。
手指を清潔に保ち、お風呂上がり等は特に乾かす事を忘れずに行いましょう。
改善が見られればまたネイルが出来ますが、できたら爪をお休みさせてあげてください。皮膚科への受診も視野に入れておきましょう。
緑色に進行してしまっていたら
皮膚科に必ず行きましょう。ネイルを除去しておらず爪が伸びて気づいた場合は、必ずネイルサロンで綺麗にしてもらうか、自分で出来る人は除去してから行きましょう。爪全体を診てもらう為です。
お医者さんから塗り薬、飲み薬の処方を受けます。早く綺麗に治す為にも、必ず指導に従いましょう。
そして治ったと思ったら、もう一度診てもらって下さい。完治していないままネイルを再開してしまっては、後々治療もやり直しになってしまいます。
黒ずんでしまったら
予定を先延ばしにせず、早めに受診してください。黒ずんでしまった爪の治療には時間がかかります。塗り薬の効果を高める為に、感染部分を切ったり、爪をはがしてしまうこともあります。
爪が根元から先までのびるのには半年〜1年かかります。それまでネイルが出来ません。しかし面倒くさくて放置して取り返しがつかなくなる前に、治療は必ずうけるべきです。
自己判断や、ネイルサロンでの処理はオススメできません
色が変わった部分だけネイルファイルで削っておしまいにしてしまう様な処理は、見た目では治ったように見えても、緑膿菌に対する抗菌や、新たに繁殖される予防策にはなりません。処理を間違えれば、怪我をして傷口に細菌を送り込む恐れもあります。
使用したネイルファイルも捨てなければいけません。
もしネイルサロンで不特定多数の人にそんな処理を施していながら、使い回ししている様ですととても怖いです。緑膿菌が薬剤に強いことは先にお話しましたが、アルコール等の消毒液にも耐性があります。
皮膚科で適正に管理された器具で、菌に対して知識、経験のある先生から処置、治療を受けましょう。
グリーンネイルの予防は簡単!
ここまで緑膿菌、グリーンネイルのお話をさせていただきました。初期症状であれば慌てる心配はありませんが、見た目の美しさの為にも予防したいものです。
オシャレに気を遣える人ならば、ついでに予防策もちょっとした気遣いの内の一つに取り入れられます。
指先はいつも清潔に
石けんで洗って、よく乾かす。それだけでいいんです。
爪が長い人は、爪と皮膚の間にゴミがたまらない様にしましょう。
水仕事が続くようであれば、ゴム手袋をはめる
爪に水分を含まないようにする事が一番の理由ですが、ゴム手袋をはめることによって、ネイルを衝撃から守り、薬剤でハゲない様にもできます。可愛いデザインは長持ちさせたいですもんね。
しかしゴム手袋をした指は多少蒸れやすいので、外した後に状態のチェックを心がけましょう。
ネイルと爪の間に隙間ができたら、綺麗に除去する
特にスカルプをつけている人は気をつけましょう。塗料自体はハゲてないから、まだつけていたい気持ちは分かります・・・。しかし先にお話した通り、自爪とネイルの隙間にできる湿気、暖かさはグリーンネイルの原因になってしまいます。
清潔、安全なネイルサロンを選ぶ
器具の管理を徹底していることは当たり前ですが、グリーンネイルにかかっているお客さんに対する対応が正しいネイルサロンに行きましょう。
ちょっとした症状を持っている人にでも施術してしまうサロンは、感染を広げてしまう可能性が高いです。
お店を予約する前に、口コミの確認や電話で問い合わせをしてみましょう。
セルフネイル派なら“サンディング”を忘れずに
ジェルネイルを自分でされる方は聞いた事があるかもしれません。
爪にネイルを定着させやすくし、綺麗に長持ちさせる為の“サンディング”は、ネイルが自爪から浮く事を防ぎます。グリーンネイルの原因になる事象を防ぐ事にもつながります。
ネイルを塗る前に軽く自爪に傷を付ける作業のことで、細かい目のファイルがあれば出来ます。
ネイル用器具の手入れには、銀イオン系のスプレーがオススメ
アルコールにも強い緑膿菌が嫌いな抗菌効果は、銀イオンと言われています。
電子レンジの掃除等に使える、銀イオンが含有されているスプレーは100円均一でも販売されています。お手持ちの器具に使えるか確認をしてから、1本用意しておいてもいいと思います。※他の細菌の滅菌、抗菌にはもちろんアルコール消毒も有効です。
以上、簡単に出来るグリーンネイルに対する予防策でした。
まとめ
マニキュアから始まり、スカルプ、ジェルネイルなど、爪先のオシャレも沢山の種類がでてきました。シーズン、流行ごとに出てくるデザインもどれもやってみたいものばかりです。
毎日ネイルをしていると、何もしていない爪がかなり物足りなくなりますよね。そんな人たちにとって、グリーンネイルになってしまい、オシャレをお休みしなきゃいけなくなるのはとても寂しいことです。
是非、毎日綺麗なネイルを眺めるついでに、ケアも忘れないようにしましょう!