人から親切にされたり気にかけて貰えると、心から感謝の気持ちが出てきます。しかし、過剰に気にかけられたり干渉されすぎると、感謝の気持ちとは逆に迷惑だと思ってしまいます。
一般的にありがたい事であったとしても相手が求めていなかった場合や、タイミングが悪いと「あり難いんだけど、放っておいて欲しい」と思われてしまいます。
この事をありがた迷惑と呼びます。今回は、この「ありがた迷惑」をテーマに幅広くご紹介します。
ありがた迷惑について
あなたの周りに「ありがた迷惑」な人はいますか?このような人は親戚や職場など自分の大事な人間関係に存在している事が多く、ハッキリと断れずに悩みになってしまう人もいます。
このような人を上手に対応する為にも、ありがた迷惑とは一体何か、また彼らの深層心理や気が利く人との違いについてご紹介します。
ありがた迷惑とは?
ありがた迷惑という言葉の意味を調べてみると・・・
他人の自分に対する行為の中でも、本来は有難いはずであるが現在の状況に照らすと有難くないもの、または気遣いは有難いが行為自体は有難くないものなどを意味する語。そうした行為を形容する際にも使われる言葉である。
参照:Weblio辞書
本人は親切心で行っている行為が、相手の立場から見ると必要ないものであったり、いきすぎだった場合には「ありがた迷惑」と受け取られてしまいます。この言葉の関連用語には「おせっかい」や「余計なお世話」などが挙げられます。
例えば、母親が遠くに住んでいる子供の事を心配して「寒くなってきたから、毛布送ろうか?」と気にかけて電話をしてきた時に「大丈夫だよ。自分で買えるからいらないよ」と言っているにも関わらず、配送してくる場合があります。
この場合、要らないと言っているのは遠慮しているからではなく、物が家に溢れてしまうからです。相手が断っているにも関わらず、良かれと思って自分の意見を押し通してしまうとこのような自体が起こります。
相手の話をきちんと聞く耳を持っていないと、相手から次第に距離を置かれてしまう事もあるのです。特に義父母や親戚、友達など自分の身近な人達がありがた迷惑を行う傾向にあります。
ありがた迷惑な人の深層心理
ありがた迷惑な人は「周りから頼りにされている」や「私は人気者」「私は気配りができる人」と感じれる事をモチベーションに周りに親切にしています。「○○さんのおかげで助かった」と言われることが何よりも嬉しいのです。
その為、ありがた迷惑な人は基本的に人の為に行動を起すのではなく、自分が喜ぶために他人に何かをしようと思っている事が多いです。周りから良い評判を受けたいと思っている人ほど、おせっかいな行動をしてしまいます。
気が利く人との違い
「ありがた迷惑」と「気が利く」という言葉は紙一重です。相手の為を思ってするという行動は似ていますが、相手の捉え方によって「好意」になったり、その逆で「迷惑」とも捉えられるのです。
ありがた迷惑を行う本人は、迷惑をかけようとで行動しているのではなく、相手にとって良かれと思って行動しています。その為、本来は自分が相手の為に行った事が相手にとっても喜ばれる行為であって欲しいのです。
相手の為を思ってした行為がありがた迷惑だと思われてしまう事はとても残念です。人に親切を行いたい人は、気が利く人とありがた迷惑には、どんな部分が違うのかを知っておく事が重要です。
気が利く人とは?
気が利く人というのは、押し付けがましさが全くありません。また、相手が求めている事を行える思いやりのある人の事を言います。このようになるには場の空気を読めるようになる事が最大のポイントです。
反対にありがた迷惑な人は自分だけの狭い考え方で生きていると言えます。周りの空気を読むことができずに「自分が経験してきたから間違いない」などと自分の考え方や感情で全て物事を決めてしまい、周囲の事考え方を受け入れていない傾向にあります。
このように空気を読むことや相手の気持ちを察することが出来れば、ありがた迷惑にはならずに気が利く人になることが出来るのです。
ありがた迷惑の人の特徴
実際にはどのような人がありがた迷惑と思われてしまうのか、ありがた迷惑な人の特徴についてご紹介します。
自分で気付かないうちに親切心でやった事が周囲の人の迷惑になっている事もあります。ここで紹介する特徴と自分の言動を見比べてみましょう。
先回りする
ありがた迷惑の人の特徴として、何でも先回りして行動する事が挙げられます。今からやろうかなと考えていた事を「もうやっておいたから大丈夫だよ」と自分より先回りして物事を終わらせるのです。
このような事は状況やタイミングによってはありがたい行為ではありますが、この場合もありがた迷惑になってしまう事があるのです。自分でやりたいと思っていた場合もあったり、また自分でやらないと二度手間になる事もあります。
例えば、郵便物を出そうと机の上に置いていた時に、母親が「あの郵便物出しといたよ」と先回りして行動してしまうことがあります。これが本当はまだ配送してはいけないもので、後ほど追加で物をいれる必要がある場合、二度手間となりありがた迷惑な行為になってしまうのです。頼まれてもいないのに、他人の仕事や役割などを先回りして行う行為はありがた迷惑になりやすくなります。
物をあげる
ありがた迷惑な人はよく物をあげる傾向にあります。人から物をもらうのは嬉しいですが、社会人にもなるとお返しを気にしなければいけなくなります。その為、贈りものはかえって迷惑行為になってしまうのです。
また、贈られてくるものが、消耗品であればまだいいですが、食器や衣類、インテリアなど置き場に困るものや要らないものを貰うと返って困ってしまいます。
食べ物を奢る
ありがた迷惑の人の中には食べ物をしょっちゅう奢ってくれる人もいます。食事代が浮いてラッキーと思う人もいるかもしれませんが、食べたくないものを食べなければいけなかったり、お腹すいていないのにたくさん食べる必要がある時には迷惑になります。
特に女性の場合、体系を気にしてダイエットに励んでいる人が多くいます。ダイエットをすると決意したにも関わらず、よく食べ物をもらったり、ご飯に連れてって貰っていると、決意も揺らいでダイエットに失敗してしまいます。
ダイエットの失敗を人のせいにする事は出来ませんが、誘惑が多くなると返ってありがた迷惑になってしまうのです。
余計な事を言う
ありがた迷惑な人は一言余計であるというのも特徴です。空気が読めない発言をよくしてしまうのです。例えば、彼女が大好きな彼氏の事を心配するあまりに交友関係にも口を出してしまうことがあります。中でも遊び好きな友人がいると、自分の彼氏を合コンとかに誘ってくるのではないかや遊ぶ時に一緒に女の子を連れてくるのではないかなどと想像してしまいます。
そんな悪い想像ばかりが膨らんでくると「この人と遊ぶのはやめて欲しいな」や「この人大丈夫なの?」などと口出ししてしまう場合があります。人は友人関係を誹謗される事を嫌う為「心配してくれるのは分かるけど、余計なお世話」と思われてしまうのです。
自信過剰
ありがた迷惑をする人は、自信過剰な性格とも言えます。全てにおいて自分の行いや考え方は正しいと思い込んでいるのです。その為、相手の事を深く考えられずに押し付けがましい行為になってしまいます。自信があるからこそ、相手に良かれと思って少し過剰な行為にも出れるのです。
例えば、自分が使って良かったと感じたものを相手にも勧め始めます。「肩こりがヒドイって聞いたけど、私はこの枕で治ったから使ってみなさい」などと勧めます。「使ってみるといいかも」と提案するだけで、判断は相手に任せるのであれば問題ありません。問題なのは、決断をしてしまい強制的に行わせる行為がありがた迷惑に繋がります。
恩着せがましい
ありがた迷惑の人の中には、恩着せがましい人も多くいます。色々と気を遣って親切にしてもらったとしても、周囲に「私がやってあげたのよ」と話していたら、良い気分にはなりません。
恩着せがましく言われ、行った事に対して感謝を求めてくるような態度を見せるのであれば「やらなくていい」と思われてしまいます。人から感謝されたいなどと思って行動するのではなく、余計な事を言わずにサラッと相手のやって欲しい事ができる人が感謝されるのです。
物事を勝手に決断する
ありがた迷惑な人は、物事を勝手に決断する傾向にあります。日常生活でも仕事でも決断しなければいけない部分はたくさんあります。時には判断に迷う事もあり、周りに相談する事もありますが、最終的に決断を下すのはいつも自分です。
しかし、ありがた迷惑な人は他人の決断を勝手にしてしまうのです。例えば、上司の行き付けのレストランに初めて連れて行ってもらった時、上司から「ここのAセットが一番美味しいから、Aセットにしなよ。」と勝手にAセットを2つ頼まれた場合、どのように感じますか?
この場合、上司としては部下にこの店の一番美味しいものを食べてもらいたいと思ったのかもしれませんが、自分の好きなものを選びたい人がほとんどの為、このような行為はありがた迷惑だと思われてしまいます。相談に乗ったり、提案をする事で相手の判断を助ける行為は親切ではありますが、強要したり決断までしてしまうのは行き過ぎた行為となります。
一方的にアドバイスをする
ありがた迷惑の人は一方的にアドバイスをするのも特徴です。アドバイスというのは悩みや1人では解決できない考え事があった上で役に立ちます。何も相談していないにも関わらず、一方的に「君はこうした方がいいよ」などとアドバイスされるのは相手に余計なお世話だと思われてしまうのです。このような事は一方的なアドバイスは職場で起こりやすいです。
例えば・・・
「仕事ばっかりしていると婚期逃しちゃうよ」
「もっとファッションに気を遣ったら、彼氏が出来るんじゃない?」
「貯金なんかしてないで、車や家とか買った方がいいよ」
このように相談してもいないのに、一方的にアドバイスされるのです。このようなアドバイスは仕事と全く関係ない事で、相手が勝手に決め付けて持論を押し付けています。基本的に職場でプライベートの話まで突っ込んで話すのはよくありませんが、このような話をする場合は相手の事情をきちんと把握した上でアドバイスできているのかが重要です。
ただ一方的にアドバイスをするという事は相手にダメ出しをしている事と同じです。持論を押し付けるのではなく、相手にあった方法を助言するのが本当のアドバイスになります。
主観でしか物事を判断する
ありがた迷惑な人は基本的は親切な心を持っているのですが、主観でしか物事を判断することが出来ない為、相手に迷惑だと思われてしまいます。何か相手の為を思って行動に移すときには客観的に物事を見ることが重要になります。
例えば、何か悲しい事が起こった時に、本当はそっとしておいて欲しいのにも関わらず、付きっ切りで話かけたりします。また、部屋にはプライベートなものが置いてあるので他人には掃除して欲しくないのに、彼女が勝手に掃除してしまうという事が起こります。人によって感じ方も異なる為、主観で物事を判断すると、迷惑になる可能性が高くなります。
断ると不機嫌になる
ありがた迷惑な人で一番やっかいなのが断ると不機嫌になる事です。例えば「前に食べたいって言ってた饅頭を50個贈るね」などと義理母から電話で言われた場合、まず始めに思う事が「そんなに要らない」だと思います。
しかし、ハッキリと意思を伝えると、悲しい顔をしたり不機嫌になります。「うちは3人暮らしなので50個も食べれないです」と言うと「小さいからすぐ食べれるよ」や「うちの子は饅頭好きだから大丈夫」などと持論を押し付けてきます。
また、相手が不機嫌になったり、悲しい顔をされると、ハッキリと意見を言いにくくなってしまうのです。相手は押し付けがましい人でもあるので、あー言えばこう言うタイプでもあります。。それにも負けずにハッキリと断ると、場合によっては喧嘩に発展してしまう事もあります。言葉を選んで対応する必要があるのもやっかいです。
ありがた迷惑な人との付き合い方
ありがた迷惑を行ってくる人ほど身近な存在である事が多いです。人間関係を見直せるような相手であればいいですが、親戚関係や仕事関係の人などは簡単に切れるような関係ではない為、こちら側が対処法を考えないといけません。
ここでは、ありがた迷惑な人との付き合い方についてご紹介します。
無理にお礼を言わない
仕事場で誰かに何かをしてもらったら、自然と「ありがとうございます」というお礼の言葉が出てきます。感謝の気持ちを伝えるのは当たり前のビジネスマナーです。しかし、ありがた迷惑だと感じているのにお礼を言ってしまうと、相手は「やってよかったな」「嬉しかったんだ」と勘違いをしてしまいます。
このように迷惑と感じているのに無理にお礼を言ってしまうと、ありがた迷惑な行為がエスカレートする可能性もあります。ありがた迷惑だと思った場合は、過度に喜んだり何度もお礼を言う必要はありません。また、何度も嫌だと意見を伝えても何度も行ってくる場合は「次からはしないで大丈夫です」などとハッキリ断るようにしましょう。相手は感謝されたいと思ってやっている事が多いので、感謝されないことが分かると次回からはしなくなります。
ハッキリと気持ちを伝える
ありがた迷惑な人が何か行動を起そうとしたら、行う前に「自分でやりたいので、お気持ちだけ頂きます」などとハッキリ伝える事も重要です。相手は親切心で行動を起そうとしているので、相手が嫌がるような事はしたくありません。
言葉を選ぶ必要はありますが、ハッキリと嫌だという事を伝えることで、相手が気持ちを汲み取りやすくなります。
悩みを言わない
ありがた迷惑な人は、あなたとの会話の中から自分に出来る事はないか、また必要としているものはないかを探しています。「○○がなくて困っている」と悩みを打ち明けると、自分なりの解決策を考えて行動してしまいます。その為、要望や悩みを出来るだけ言わないようにするのもポイントです。
相手を満足させる
親戚にありがた迷惑な人がいる場合、特に物を贈られたりして困る事があります。物を贈られてきて困るのは、自分に必要のないものが手元に届いた時です。自分が良いと思うものを相手がお金を払ってくれる場合は基本的には嬉しいのです。
その為、相手が何か贈ろうとした時には「私も選びたいので一緒に買いに行きませんか」などとショッピングを誘ってみるのも1つの手です。相手を満足させる事もでき、自分も欲しいものが手に入るので、お互いにメリットをもたらします。
おわりに
ありがた迷惑な人は、親切心は持っているものの基本的には自分の為に行動を起している事が多いです。主観で物事を判断してしまう為、相手の本当の気持ちを読み取ることが出来ません。
このような人が身近にいる場合は、言葉を選んでハッキリと断るかもしくは、無理に感謝しないようにしましょう。相手に感謝されていない事が伝わると迷惑行為も次第に減っていきます。
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