膿胸とはどんな病気?種類や症状、原因を紹介!治療に手術が行われるのはどんな時?

膿胸(のうきょう)という病気、名前を聞いただけで恐ろしいですね。「膿(うみ)が胸に溜まっている」という感じがします。でも、その通りなんです。

「膿胸」とは、胸腔内に膿性液がたまっている状態です。細菌に感染して肺炎や胸膜炎が発症すると、引き続いて膿胸が起こることが多いようです。膿胸は肺全体に広がりやすく、重症になると、敗血症や血圧低下を起こし、ショック状態に陥ることもあります。

膿胸は、寝たきりの高齢者に発症しやすいといいます。高齢者でなくても、糖尿病や肝疾患、肺疾患などの持病のある人、ステロイド剤を長期間使用している人は、抵抗力(免疫力)が低下しているので、膿胸が発症しやすくなります。

膿胸とはどのような病気か・その原因や症状・治療法などについて、お伝えしますね。

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膿胸とはどのような病気か?

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「膿胸」とは、胸腔内に膿性の液体が溜まっている状態です。

膿胸には急性と慢性があります。細菌感染による肺炎や胸膜炎に引き続いて発症することが多いのですが、原因は、それだけではありません。

[胸腔とは?]

胸骨・肋骨・胸椎(脊椎の一部)と、それに付随する筋肉などで構成される、樽(たる)のような部分を胸郭(きょうかく)といいます。胸郭の中には、肺や心臓が収まっています。

肺は、2つの胸膜に覆われています。胸郭の壁側(胸壁)にくっついている胸膜を「壁側胸膜(へきそくきょうまく)」、肺の表面を覆っている胸膜を「臓側胸膜(ぞうそくきょうまく)」といいます。壁側胸膜と臓側胸膜の間が「胸腔」です。

胸腔には少量のリンパ液(胸水)が溜まとっています。胸水は、肺が胸郭の壁にこすれて傷つかないように、潤滑油のような役目をしています。

胸膜に炎症が起きると、胸腔の胸水が増え、膿のように混濁してしまいます。これが「膿胸」です。胸腔は閉ざされているために、嫌気性菌が繁殖しやすい環境です。

[膿胸の種類]

膿胸には、急性と慢性があります。膿胸が発症して3ヶ月以内に治癒する場合は「急性」、発症して3ヶ月以上経つと「慢性」といいます。

感染する菌によって分けることもできます。化膿性菌・真菌・結核菌などです。

急性膿胸の場合は、肺炎球菌・連鎖球菌・黄色ブドウ球菌・嫌気性菌の感染が多くなります。慢性膿胸の場合は、結核菌の感染が多いのですが、アスペルギウスなどの真菌や一般細菌に感染することもあります。

また「瘻孔(ろうこう)」の有無によっても分けられます。「瘻孔」とは、炎症により管・腔・臓器の壁(皮膚や粘膜)に生じた管のようなもので、本来、つながらないところへつながって、内容物が漏れだしてしまうのです。気管支瘻や肺瘻ができている膿胸と、できていない膿胸に分けられます。

[急性膿胸の原因]

急性膿胸の主な原因は、細菌感染による呼吸器疾患ですが、他に外傷や外科手術の縫合不全による細菌感染が原因となることがあります。

感染性呼吸器疾患

肺炎や肺化膿症など、呼吸器が細菌感染により炎症を起こすと、その感染が胸膜にまで広がることがあります。胸膜が炎症を起こして、胸腔に溜まっている胸水が増加し、細菌が胸水の中で増殖します。胸水が膿のように混濁します。

感染は、肺尖から横隔膜まで広がることが多いようです。感染原因となる細菌は、小児では黄色ブドウ球菌が多くなります。緊張性気胸を伴うことが少なくありません。

「緊張性気胸」とは、息を吸い込んだり、咳き込んだり、いきんだりした時、空気が胸腔に入り込み、心臓や肺を圧迫している状態です。呼吸困難やチアノーゼ(唇や手足の指先が紫色になる)が起こります。

高齢者や糖尿病患者、ステロイド剤の長期使用者は抵抗力が低下しています。口の中に常在している嫌気性菌を誤って飲み込んで、胸腔に達すると、細菌感染を起こし、膿胸を発症することがあります。

外科手術の術後合併症

肺や心臓、食道などの胸部手術をした後に、手術の傷口から細菌感染を起こす(創感染)ことがあります。傷口から侵入した細菌が胸腔に達すると、膿胸を発症します。

肺切除や食道切除の手術で縫合不全があると、気管支瘻が生じたり、細菌感染が生じたりして、膿胸を発症します。

胸部手術だけでなく、腹部手術でも、膿胸を発症することがあります。

外傷

交通事故などで外傷を負うと、外傷部分から細菌が侵入することがあります。侵入した細菌が胸腔に達すると、細菌感染を起こし、膿胸を発症することがあります。

食道穿孔(しょくどうせんこう)

胃カメラ検査などの医療行為や、誤って薬剤のシートや鋭く尖った異物(焼き鳥の串や魚の骨など)を飲みこむと、食道を傷つけて、食道穿孔を起こすことがあります。食道の損傷部分から細菌が侵入して胸腔に達すると、細菌感染を起こし、膿胸が発症することがあります。

[慢性膿胸の原因]

膿胸が発症して、3ヶ月以上経過すると、慢性膿胸といいます。慢性膿胸は、高齢者や結核症患者、人工気胸術や開胸術などを受けた人に多く発症するようです。

「人工気胸術」とは、肺結核の治療法の1つです。胸腔に針で孔を開けて人工的に気胸を起こし、肺機能を低下させておいて、肺の自然治癒を待ちます。「開胸術」とは、胸部を切開して胸腔を露出させて手術などを行うことです。肺癌手術によく用いられます。

結核菌の感染

結核菌は、急性膿胸を発症することもありますが、慢性膿胸になることが多くなります。結核菌により肺炎を起こしても、すぐに胸膜炎を発症せず、かなり遅れて胸膜炎が発症して膿胸になることが多いようです。1年2年という年単位で遅れて、胸膜に炎症が起こります。結核が治った後で発症することもあります。

自覚症状が少なく、慢性的に進行します。結核菌の感染により起こる膿胸を「結核性膿胸」といいます。

不適切なドレナージ

急性膿胸が発症すると、ドレナージという治療を行います。ドレーンを挿入して、膿性胸水を除去するのです。ドレナージが適切に行われないと、膿性胸水が残ってしまいます。残った膿性胸水が胸腔を圧迫し、胸膜が線維化し肥厚して、慢性膿胸になります。

胸膜が線維化して肥厚すると、肺の拡張を妨げ、拘束性換気障害が起こります。「拘束性換気障害」とは、二酸化炭素と酸素の交換が十分に行われないことです。

癌性胸膜炎

慢性膿胸は、癌性胸膜炎に付随して発症することがあります。また、慢性膿胸が進行する間に、胸膜が肥厚して、悪性リンパ腫が発生することもあります。

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膿胸の症状

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膿胸の症状は、急性と慢性では異なります。

[急性膿胸の症状]

細菌性肺炎や細菌性胸膜炎に引き続いて、症状が現れます。

胸水が増加して溜まり、膿状に混濁します。膿胸が進行すると、胸腔内にフィブリン(線維素)が分離して現れ、胸膜全体を覆うようになります。フィブリンは、血漿成分の1つであるフィブリノゲンが変化したもので、本来は血液を凝固させるために働きます。

悪寒がして高熱を発します。全身の倦怠感(だるい感じ)があります。胸水が増加して溜まるので、肺を圧迫して、呼吸困難になります。息苦しく、普通に呼吸することができません。

胸に痛みがあります。咳が激しく、膿性(うみのような)痰が出ます。併発している細菌性肺炎や細菌性胸膜炎の症状が重なります。

細菌性肺炎

肺炎球菌や黄色ブドウ球菌などの細菌が、気道から肺胞に侵入し、炎症を引き起こすのが、「細菌性肺炎」です。肺胞は二酸化炭素と酸素の交換を行います。肺胞は肺胞道を経て細気管支につながっているので、気管支炎を併発します。

細菌が気道に侵入するきっかけは、「誤飲」が多いといいます。「むせる」という明らかなことがなくても、知らないうちに、食道の内容物が気道に漏れているのです。脳血管障害(脳出血や脳梗塞)の病歴のある人・高齢者・寝たきりの病人・神経障害の患者などは、誤飲することが多く、細菌性肺炎が発症しやすくなります。

高熱・胸痛・呼吸困難・咳・膿性痰など、症状は急性膿胸とほとんど同じです。重症になると、意識障害を起こすことがあります。

細菌性胸膜炎

「細菌性胸膜炎」とは、細菌感染により、胸腔に胸水の溜まる病気です。

発熱し、胸痛が生じます。深呼吸をしたり、咳が出たりすると、胸痛が強くなります。咳が激しいのに、痰はあまり出ません。悪化すると、胸水が増して肺や心臓を圧迫するので、呼吸困難になります。

結核菌に感染した場合は、「結核性胸膜炎」といいます。

結核菌感染による場合

結核菌感染は、慢性膿胸を発症することが多いのですが、急性膿胸を引き起こすこともあります。

いきなり高熱が出ることはなく、徐々に発熱します。咳や痰が出ます。全身がだるくなります。だんだん体重が減少して痩せて来るのが、特色です。

[慢性膿胸の症状]

症状が3ヶ以上続く場合は、「慢性膿胸」といいます。

胸になると、フィブリンが胸腔内に分離して現れ、胸膜全体を覆うようになります。慢性化すると、フィブリンが被膜を形成します。被膜は、だんだん肥厚して、厚く硬くなります。肥厚した被膜は肺が膨張するのを妨げ、拘束性換気障害(酸素と二酸化炭素の交換が十分に行われない)を引き起こします。

また、胸水が増加したままなので、肺や心臓が圧迫を受け続けて、呼吸困難が憎悪します。呼吸困難がひどくなります。「息苦しい・普通に呼吸できない」という状態が、著しくなります。

チョコレート状の膿のような痰が出ることがあります。「膿性喀痰(のうせいかくたん)」といいます。

胸膜が肥厚すると、悪性リンパ腫が発生することがあります。結核菌感染による慢性膿胸の場合、自覚症状がないこともあります。

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膿胸の治療と予防

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膿胸の治療方針は、急性膿胸を慢性化させないことです。膿胸は、肺の働きを妨げて呼吸困難を引き起こし、全身への酸素供給量の低下を招くので、悪化すると死に至ることもあります。初期のうちに徹底的に治療して、重症化・慢性化させないことが大事です。

[膿胸の診断]

膿胸は、まず胸部レントゲン検査で胸水が溜まっていることを確認します。次に胸腔穿刺をして胸水を採取します。膿性胸水であれば、培養して細菌を検出します。細菌が検出されれば、膿胸と診断します。

[農胸の治療]

膿胸の治療は、➀抗菌剤などによる薬物治療 ②胸腔ドレナージ ③外科療法 の3つが基本です。

膿胸発症後1~2ヶ月以内に、薬物療法と胸腔ドレナージを適切に行えば、多くの場合、肺が拡張するようになり、回復することができます。早期に発見して、適切な治療を行えば、悪化することもなく、2~3週間で治癒します。

しかし、膿胸が進行して、フィブリンが被膜を形成するようになると、薬物療法もドレナージも効果が限られます。外科療法しか治療法がなくなります。気管支瘻や肺瘻など瘻孔がある場合も、外科療法を行います。

慢性膿胸の場合は、外科療法が最も有効な治療法になります。

薬物療法は全く抵抗なく受け入れることができます。胸腔ドレナージも何とかガマンできるようです。でも、手術となると、拒否的な態度をとる患者さんが多くなります。家族や周囲の人がお医者さんとよく相談して、患者さんに手術が必要なことを納得させることが大事です。

薬物療法

膿胸の原因は細菌感染ですから、抗菌薬・抗生物質を投与します。感染源の細菌の種類により、投与する薬剤が異なりますが、ペニシリンやセフェム系がよく使われます。

結核性膿胸の場合は、抗結核菌薬が使用されます。

胸腔ドレナージ

薬物療法と同時に、胸腔ドレナージを行います。

「ドレナージ」とは、体内の余分な体液(水分・血液・膿などの浸出液)を、ドレーンという細いチューブで、体外に排出することです。

胸腔内の感染が活発な患部にドレーンを挿入し、細菌巣や膿性分泌物、壊死物質を体外に排出します。同時に、ドレーンを用いて、定期的に胸腔内を洗浄します。ドレナージの効果が上がらない時は、ドレーンにより、ウロキナーゼという薬剤を胸腔内に直接投与することもあります。

外科療法

フィブリンが被膜を形成し、肥厚すると、肺が十分に拡張できず、膿胸腔が閉鎖されなくなります。そのため、感染がどんどん広がってしまう恐れがあります。こうなると、外科手術しか治療法はありません。

外科手術には4方法がありますが、いずれもリスクが高い手術です。手術後は集中治療室(ICU)で、適切なドレナージ治療と胸腔内洗浄を頻繁に行い、全身を管理することが必要になります。

どの手術法を選ぶかは、病状・全身状態などを考慮し、お医者さんとよく相談することをオススメします。

(開窓術)

肋骨を1~2本切り取り、本来は閉鎖腔である胸腔を体外に開け放ちます。その後、膿胸腔内の洗浄を行うなどの治療を行って、胸腔を閉鎖します。

全身状態が悪化していても、効果があります。しかし、治療に長期間を要し、複数回の手術が必要になることもあります。

(肺剝皮術=はいはくひじゅつ)

肺表面や胸腔内を覆っているフィブリンが形成した被膜を剥離・切除して、肺を遊離します。肺が拡張できるように促し、膿胸腔を閉鎖します。これで、膿胸が解消します。

(胸膜肺切除術)

胸壁胸膜・縦隔胸膜・横隔胸膜とともに肺全体を切除して、膿胸を解消します。

(胸郭形成術)

肺が拡張することを期待しません。胸壁をつくり直して、膿胸腔を縮小し、閉鎖します。

[膿胸の予防]

膿胸の原因は、細菌感染です。それも嫌気性菌など口中に常在する細菌が感染源となることが多いのです。

高齢者や寝たきりの病人、脳血管障害の病歴のある人は、食物の誤飲が多くなるので、食べる時は、むせないように注意することが必要です。

糖尿病などの持病のある人、高齢者や乳幼児・・・抵抗力が低下したり、抵抗力が弱い人は細菌感染を起こしやすいので、できるだけ抵抗力をつけるようにします。持病の治療を怠らず、血流を良くするように心がけます。

身体の抵抗力・免疫機能を担っているのは、主に白血球ですから、血流を良くして、白血球が身体の隅々まで行き渡るようにします。それには、適度な運動をして、体温を上げることです。ウォーキング程度の軽い運動を、毎日することをオススメします。

バランスの良い食事を規則正しく摂り、良質の睡眠を十分に取ると、抵抗力が上昇します。

また、膿胸は結核と深く関わっています。結核の病歴がある人は、治癒している場合でも、定期的な健康診断を受けることが、膿胸の早期発見につながります。

結核だけでなく呼吸器系疾患のある場合は、その治療を徹底的に行うことが、何よりの予防策です。喫煙習慣のある人には、禁煙をオススメします。

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まとめ 膿胸は早期発見早期治療で治せます

膿胸は胸腔内に膿性の液体(膿性胸水)が溜まる呼吸器系の疾患です。細菌感染が原因です。感染源となる菌は、肺炎球菌や黄色ブドウ球菌、結核菌など呼吸器疾患を起こさせるものから、嫌気性菌のような常在菌まで、いろいろです。

膿胸には、急性と慢性があります。膿胸を発症してから3ヶ月以上継続している場合を慢性膿胸といいます。結核菌が原因の場合は、慢性になりやすいようです。

膿胸は、慢性化すると厄介です。肺や胸腔を包む胸膜を被膜で多い、肺を圧迫して拡張できないようにしますから、呼吸困難になります。酸素と二酸化炭素の交換が十分に行われず、全身が酸素不足になります。最悪の場合、死に至ることもあります。

慢性化すると、治療も外科手術が主になります。かなりハイリスクな手術で、身体の負担も大きくなります。急性膿胸を発症して1~2ヶ月以内であれば、適切な薬物療法と胸腔ドレナージで、治癒することができます。多くの場合、2~3週間程度で治るようです。

急性膿胸の症状は、風邪やインフルエンザに似ています。「風邪くらい」と軽く考えているうちに、膿胸が進行してしまいます。

発熱・悪寒・全身倦怠感・胸痛・咳・痰などの症状があれば、できるだけ早くお医者さんに診てもらうといいですよ。胸の痛みは、他の重大疾患の症状のこともあります。

特に高齢者や寝たきりの病人、脳血管障害の病歴のある人、糖尿病や結核症の人は、膿胸に注意する必要があります。「風邪かな?」と思っても、胸の痛みが少しでもあれば、すぐ病院へ行くことをオススメします。

膿胸は、早期発見早期治療で治すことができます。

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