翼状片の治療には手術が必要?症状や原因も紹介!再発を防ぐにはどうすればいい?

翼状片(よくじょうへん)は目にできる良性腫瘍の1つです。目の白目部分から黒目部分に白い膜が伸びるように覆う為、見た目から病気に気づく方が多いです。

翼状片の病気にかかった場合、一般的には手術が必要になりますが、再発する可能性が高いです。再発した場合、前回よりもひどくなったり、目が動かせないなどの症状が出る為、再発予防をすることが重要になります。

ここでは、翼状片の概要や症状、原因、予防方法、治療方法、よくある質問について詳しくご紹介します。

翼状片について

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ここでは、翼状片の概要、原因と症状についてご紹介します。

翼状片とは?

翼状片とは、目に出来る良性腫瘍の事です。白目の部分は半透明の膜で覆われており、これを結膜と呼びます。翼状片は、鼻側の眼球結膜から腫瘍性の病変が黒目の角膜の部分に、三角形状に入り込む病気です。

これにより、目の充血が見られたり、ゴロゴロした異物感を感じる症状が現れます。また進行すると乱視の症状も現れます。

翼状片の特徴

鏡で目を確認してみると、薄い膜が黒目に掛かったように見えるので、すぐに分かります。見た目上の問題や乱視などが現れる為、進行すると生活に支障が出始めます。更に進行すると、黒目を覆いつくして視力障害が起こる場合もあります。軽度のものであれば、点眼で治療することもありますが、進行している場合や重度の場合は手術で切除する必要があります。

この病気は50代以上の方で、20人に1人の割合で発症すると言われています。しかし、発症する原因となる紫外線が強い地域、沖縄などでは40代以上の方のうち30%の方がかかると考えられています。紫外線が原因で起こる目の病気は、他にも白内障や瞼裂斑があります。その為、これらの病気を合併する可能性もあります。緑内障手術を受けようとした患者が、翼状片が合併しているというケースは頻繁に発生しています。

また、翼状片は手術をしても再発しやすい病気です。手術方法によりますが、高いもので30%~50%の場合もあります。中でも、若い人や病変が大きい場合に再発する傾向にあると言われています。再発すると、目が動かしずらくなったり、前回よりも酷い状態になる場合が多いです。

原因とは?

白目の部分は、3層構造に分けることが出来ます。1番下の部分が強膜と呼ばれ、中間がテノン嚢、一番上が結膜と呼ばれています。この中の真ん中にあるテノン嚢が異常増殖することで、黒目の部分にまで入り込む現象がおきます。

この異常増殖する原因は、紫外線だと言われています。紫外線とは太陽からの光線の1つであり、浴びることで目に刺激を与えます。このような刺激物により炎症を引き起こし、これを修復できる力がなくなると、慢性的な炎症が起こった状態になります。そして炎症により細胞が変形を起して、黒目に覆いかぶさってしまう現象が起こります。紫外線を浴びることで起こる、翼状片のメカニズムは下記の通りです。

翼状片が起こるメカニズム

  1. 紫外線を浴びると、活性酸素と呼ばれる細胞を壊す物質が発生します。
  2. 活性酸素により炎症が発生します。
  3. 通常は炎症を修復する働きがあり元に戻ります。しかし、加齢や長時間紫外線を浴びて修復が追いつかない場合、炎症が慢性化します。
  4. 炎症を起した細胞が修復されずに、性質が変化して黒目にまで広がります。
  5. 黒目に白目が覆いかぶさったような状態になり、この状態を翼状片と呼びます。

翼状片の症状とは?

翼状片は、鏡でみると見た目から、黒目に白い膜が掛かっているのが分かります。この見た目以外に、下記のような症状が現れます。

主な症状

  • ゴロゴロした異物感
  • 充血
  • 目の乾き(ドライアイ)
  • 眼精疲労
  • 乱視

上記の症状を放置して、治療をしないと更に進行し角膜にまで増殖して、視力障害を起こします。

瞳孔が膜で覆い隠されてしまうので、その部分から光が入らない状態になり、物を見ることができなくなります。瞳孔が完全に覆い隠されてしまった場合、失明になる可能性があります。

翼状片の予防方法とは?

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ここでは、翼状片の予防方法についてご紹介します。

サングラス

翼状片の原因となる、紫外線から目を守ることが重要です。紫外線から目を守るアイテムとして有名なものはサングラスです。

特に紫外線の多い5月~8月は積極的に取り入れることをオススメします。また、紫外線量の多い沖縄地方や海外では必ず持っていくべき必須アイテムです。ここでは、紫外線を出来るだけカットするためのサングラス選びのポイントをご紹介します。

サングラスのレンズの色が薄い

サングラスの色が濃いと、暗い状態にいるのと同じ状態が作られ、瞳孔が大きく開きます。

瞳孔が大きく開けば開くほど、紫外線が取り込まれやすくなる為、薄いレンズの色の方が、明るく瞳孔も狭まる為、紫外線量の吸収が少なく済みます。

UVカットのサングラスを選ぶ

現在販売されているサングラスのほとんどは、UVカットのものが多いと思います。サングラスを購入する際には、紫外線がどのくらい入ってくるのかを確認して購入されることをオススメします。

紫外線カット率99%、紫外線透過率1.0%、UV400などの表記を確認して、紫外線が入る量が少ないサングラスを選びましょう。

フレームの大きいサングラス

紫外線はサングラスの隙間からも入ってきます。その為、フレームの大きいサングラスを選んだり、隙間のすくないサングラスを選ぶことで、紫外線を多くカットすることが出来ます。

UVカットのコンタクトレンズ

様々な種類のコンタクトレンズが販売されていますが、現在UVカットが可能なコンタクトレンズがあります。視力が悪い方でコンタクトレンズを普段お使いの方は、UVカットのコンタクトレンズに変えることで紫外線から目を守ることが出来ます。ファッション上、めがねやサングラスをかけたくないという方には、オススメです。

しかし、UVカット機能付きレンズは、眼鏡やサングラスと比べるとUVカットの効果は低いです。その為、ツバ付きの帽子などをあわせてかぶることで、より効果が高まります。しかし、きちんと目を守るのであればサングラスを使用されることをオススメします。

目に効果的な食べ物の摂取

紫外線を浴びると目の中に活性酸素が発生します。この活性酸素が細胞を攻撃して炎症を起すことが、翼状片の病気に繋がります。

その為、活性酸素の害を受けないようにすることが予防対策の1つでもあります。目に効果的食べ物を摂取することで、活性酸素からの害から目を守ることが出来ます。ここでは、効果的な栄養素についてご紹介します。

ルテイン

活性酸素の攻撃を防御するには、ルテインの摂取が効果的だと言われています。ルテインとは、もともとは体の中に存在するもので、目の健康を維持する役目があります。しかし、このルテインは、紫外線や加齢で減少していきます。その為、歳を重ねるにつれて目の病気にかかりやすくなるのです。

このルテインは翼状片予防に効果的なだけでなく、眼精疲労や黄斑変性症、白内障などの目の病気を予防したり、疲れ目やドライアイも緩和するため、様々な病気から目を守るには摂取するべき栄養素です。

ルテインは、ケールやほうれん草、ブロッコリーをはじめとする緑黄色野菜に多く存在しています。目の病気予防を目的としたルテインの摂取量は1日10mg~20mgがオススメだと言われています。この量を普段の食べ物から摂取するのは大変なので、保有量の高いケールを含んだ青汁を取り入れたり、サプリメントで補うのが簡単です。

翼状片の治療方法について

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治療方法には、点眼と手術法があります。ここでは、治療方法について詳しくご紹介します。

点眼治療

翼状片が小さい場合は点眼薬で経過観察を行います。点眼薬で充血を抑えたり、細胞増殖を抑えることが出来ます。しかし、点眼により翼状片が収縮することはありません。その為、進行して大きくなっている場合は、手術で取り除く以外に方法はありません。

ゴロゴロした異物感がある場合は、点眼ではなく手術をした方がいいと言われています。また、充血は点眼で抑えることが出来ますが、数ヶ月点眼を続けても、充血が抑えられない場合も、手術をした方がいいと考えられています。

翼状片手術(結膜手術)

翼状片手術は、再発率が高いことから、様々な方法が取り入れられ、現在で100種類以上の手術方法があると言われています。

角膜に進入してきた病変の大きさが、3mm程度にまで及ぶと、進入してきた結膜の病変と、根元の結膜自体を切除する手術が必要になります。この場合、角膜の表面も混濁しているので、薄くそぎとる必要が出てきます。3mm以上の場合は、手術しても形がいびつになってしまう可能性が高く、視力障害が残る場合があります。

手術をする場合は、局所麻酔で行うことができるので、日帰り手術が行えます。手術の内容は角膜に進入した翼状片の組織を切除する方法です。手術の内容によりますが、15分~30分程度で終了します。翼状片は結膜下の細胞が増加する為に起こる病気です。手術で全ての翼状片の結膜組織を取り除くことが難しく、翼状片手術を受けても再発する可能性が高いと言われています。

翼状片を切除しただけの場合の再発率は50%と言われ、手術後3ヶ月以内に再発する場合が多いです。再発を防止するには、予防対策が必要になります。再発を防止するのに、下記のような方法が一般的に取り入れられています。

マイトマイシンC

マイトマイシンCを使用することで再発率を低くすることが可能です。マイトマイシンCは細胞増殖を抑える薬、抗がん剤の1種です。これを手術中に使用することで、再発防止が期待出来ます。

手術方法は、麻酔を行い、角膜から翼状片組織を剥がし、結膜の下にあるテノン組織も切除します。そこに細胞増殖を抑えるような薬(マイトマイシンC)をつけたスポンジを結膜下に5分程度置きます。その後、水で洗い流して上下にある正常な結膜で覆い縫合します。

この方法は、重症な翼状片の方や、50歳以下の年齢の方に使用されることが多いです。このマイトマイシンCを使用することで、白目の胸膜の部分が薄くなる副作用が起こる可能性もあります。

結膜弁移植(自己結膜移植)

再発率の低い手術方法に、結膜弁移植があります。これは、切除した結膜の部分に健康な結膜を移植する方法です。結膜弁移植は現在では、遊離弁移植と有茎弁移植、羊膜移植術の3種類が一般的な内容です。

■有茎弁移植

有茎弁移植は、周りにある粘膜を集めて、縫い縮める方法です。主に取り入れられている手術方法で、血流が保たれることや、強膜との自然治癒が早く、再発が起こりにくいことがメリットとして挙げられます。

■遊離弁移植

遊離結膜弁移植は、離れている場所にある粘膜を結膜欠損部に持ってきて縫いつける方法です。この再発率は5%未満だと言われています。この方法で行った場合、再発率低下しますが、50歳未満の若い方には再発率が高いと考えられています。

■羊膜移植術

結膜の欠損した部分を羊膜で覆う術です。再発率は5~15%と言われています。

翼状片のよくある疑問について

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ここでは、翼状片の手術に関する質問や術後の質問など、よくある質問内容をご紹介します。

コンタクトの使用について

翼状片の患者の中には、以前から視力が悪く、コンタクトの使用を希望される方もいます。しかし、コンタクトの使用は、翼状片には悪いと考えられています。

その為、病気の間は眼鏡を使用されたり、レーシックを検討されることをオススメします。術後のコンタクトの使用に関しても、キレイに治したいのであれば、おすすめ出来ません。コンタクトをつけることで、手術で残った充血部分が跡に残ってしまう可能性が高くなります。

しかし、どうしてもコンタクトの使用を希望される場合は、術後半年以上経過してから使用してください。

レーシック手術について

翼状片の患者の中には、レーショックを希望されている方もいます。

レーシック手術を検討されている場合、翼状片の手術とレーシック手術どちらを先に受ければいいか迷われている方も多いと思います。どちらを先に受けても問題はなく、担当の先生に確認されることをオススメします。

しかし、翼状片はレーシック手術の際に邪魔になることや、翼状片手術の後に乱視や近視の度数が変化する場合もある為、翼状片手術を先にした方がいいと考えられています。翼状片手術後、半年以上あけてレーシック手術を受けられることをオススメします。

おすすめの先生について

横浜相鉄ビル眼科医院の大高先生は、翼状片の手術の経験が豊富で上手であると言われている先生の1人です。

しかし、翼状片の手術は、どんなに上手な先生が行ったとしても再発のリスクは間逃れません。また、難しい手術内容になるので、経験豊富な眼科の先生を受診されることをオススメします。

術後の痛みについて

手術をした患者の半分程度が痛みを感じず、半分程度が痛みがあると訴えます。ひどい痛みではありませんが、気になる程度の痛みが生じる場合もあります。痛みがある場合は、痛み止めを処方してもらい、痛み止めを使用しましょう。

また、痛みがあり寝つきが悪い方は、睡眠薬を処方してもらえるので、担当医に相談しましょう。

術後の眼の赤みについて

手術後は、目が血で真っ赤になります。目だけでなく、皮膚にまで出血が及ぶ場合もあります。皮膚の内出血が見られる方は、患者の半分ほどになると言われています。

目の赤みは、日に日に収まりますが、TVをみたり、スポーツをしたり、運転など眼を動かすことが多い場合は赤みが消えずに跡として残ってしまう可能性があります。

術後1ヶ月程度でよくなってきたなと感じるようになり、3ヶ月程度すると赤みがだいぶ引いて、キレイになります。

手術後の生活について

手術後に気をつけるべき点が何点かあります。ここでは、手術後の気をつけるべき生活面についてご紹介します。

生活面で気をつけるべき点

  • 感染予防のため、目に水が入らないように気をつけましょう。洗眼はせずにタオルで顔を軽く拭く程度にするなど工夫が必要です。
  • 炎症を防止する為、1週間以上は禁酒しましょう。
  • 目に煙が入るとよくないので、タバコもできるだけ禁煙しましょう。
  • パソコンや携帯、メールなど目に刺激のあるや目を動かす必要のあるものは、1週間は止めて、それ以降は半年経過するまでは控えるようにしましょう。
  • 眼を動かすことが多いので、車は最低1ヶ月は控えましょう。

キレイに治すための注意点

スポーツをしたい、仕事をしたいなど、手術後も日常生活を今までどおりに送りたい患者は多いです。しかし、キレイに治す為には、眼を動かすことは極力避ける必要があります。

ここでは、跡を残さずにキレイに治す為の注意点についてご紹介します。

注意点

  • 目を大きく動かさない
  • 目をこすったりしない
  • 目に何かがあたる可能性のあるスポーツはしない
  • 紫外線に出来るだけあたらない(サングラスの使用などの対策が必要)
  • 風や潮風にあたらない

上記のことは、手術後特に注意をして生活する必要があります。

おわりに

翼状片は、鼻側の眼球結膜から良性腫瘍の病変が黒目の角膜の部分に、三角形状に入り込む目の病気です。紫外線を長時間浴びることが原因となって引き起こると考えられています。

点眼で進行を防ぐことが出来ますが、進行してしまった場合には、視力障害が起こります。この場合は手術が必要ですが、手術をしても再発する可能性はゼロとは言い切れません。

ここで、紹介した跡をキレイに残さずに治す方法や、予防方法を参考にして再発防止を防ぎましょう。

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