日常的なストレスや過剰なダイエットによって、身体が痩せ細ってしまう方はいませんか?痩せる原因となるストレスには様々なものが関与しており、その痩せる原因も様々なものがあります。
いずれも、1つのものが原因となるのではなく、複数のものが関与してそれらの相乗効果によって引き起こされる現象となります。ここでは、どういったものが原因となり、どういったことが起こることで身体が痩せるのかを説明していきます。
また、それらを踏まえて、ストレスに対する対処方法や解消法、ダイエット方法についても説明をしていきます。
ストレスの原因
身体が痩せるのは、主にストレスによって食欲不振に陥ることが原因として挙げられます。
更に、その原因として日常的な生活の中で身体的ストレスと精神的ストレスを生じて食欲不振となります。
では、身体的ストレスや精神的ストレスとはどういったものなのでしょうか?
身体的ストレス
身体的ストレスとは、身体の筋肉や内臓などの臓器に影響を与えるストレスを指します。環境的要因として、極度の暑さや寒さの気温の変化や気圧や湿度の変化といったものが挙げられます。
その他に、怪我や病気の治療、不規則な生活サイクル、過剰な運動や、日常生活を送る中で余裕がないほどに仕事や遊びで過密なスケジュールを送ることで、知らず知らずに身体に過剰なストレスを与えていることがあります。
これらによって、身体が疲れすぎてしまい、食欲不振に陥る可能性があります。
精神的ストレス
精神的ストレスとは、心や精神的な意味で脳へ影響を与えるストレスのことを指します。
会社など社会での人間関係が上手くいかないことや、精神的な疲労を与えるような立ち直れないほどのショックな出来事が起きた時もストレスを与えます。職場で起きる問題やいじめ、虐待や離婚・浮気といった心の苦しみなど、自分では対処しきれない問題も大きなストレスとなります。
これらの不安感や威圧感、恐怖心、緊張感などを持続的に長時間受けると、深刻なストレスとなり、更には、うつ病へと進行する可能性もあります。
食欲に影響を与えるものの過程
身体的ストレスや精神的ストレスを受けると、食欲に影響を与えます。
この時に、身体の中で分泌されるホルモンの分泌量や血糖値、交感神経や副交感神経といった自律神経系等が密に関係していきます。ストレスを感じることで交感神経が優位に働きます。
それらは、どのようにして身体に作用するのか、仕組みについて説明を加えていきます。
アドレナリンの分泌
外部からの刺激をストレットサーと呼びます。ストレッサーとは、最初に挙げた身体的ストレスや精神的ストレスのことを指します。
これらが、最初に大脳皮質の神経に影響を与えることが、食欲へ影響を与えにいくスタートとなります。
・伝達のされ方
まず、ストレッサーによって、神経細胞が視床下部へ神経伝達物質(命令信号)を伝達します。そして、視床下部は脳下垂体と自律神経へその信号を送ります。
この時、2つの内の自律神経の内の交感神経では、交感神経の作用によって、交感神経系が支配している臓器が緊張状態となり、副腎皮質からアドレナリンが分泌されます。
・アドレナリンの分泌によって引き起こされる現象
アドレナリンは、ステロイドホルモンである副腎皮質ホルモンの一種です。
交感神経優位となってアドレナリンが過剰に分泌され続けていくと、発汗や血管収縮、それに伴い血圧の上昇、動悸(心臓がドキドキとする)、呼吸が粗くなり、吸気量が増える、瞳孔が散大(開く)します。そして、消化器官の働きが不良となります。
コルチゾールというホルモンの働き
アドレナリン分泌の項目で、視床下部から脳下垂体へ信号が送られると説明しています。この時、脳下垂体も作用し、副腎皮質のホルモン分泌に関与する部位が刺激され、コルチゾールというホルモンを分泌します。
コルチゾールの主な作用は、肝臓の炭水化物・糖の代謝、筋肉のたんぱく質の代謝、脂肪組織の脂質の代謝(内臓脂肪の代謝)を促すことです。分泌は平衡を保持されていないと、何らかの障害を身体へもたらします。
・コルチゾールの分泌が増えることで引き起こされる現象
コルチゾールも、副腎皮質ホルモンの一種です。様々なストレスによってコルチゾールの分泌の過剰な増加が続くと、血圧の上昇、血糖値の上昇、タンパク質の増加、免疫機能の抑制、抗炎症作用、性欲や生殖機能(女性)の減退といった働きがみられます。
女性の場合、生理が来なくなる可能性があるということです。ストレスが起きるということは、こういった作用が引き起こされるということです。ここで重要となるのは、血糖値です。
・血糖、血糖値とは
糖血値は、空腹感の有無に関係しています。まず、「血糖」とは、血液中に流れる「ブドウ糖」の事を指します。ブドウ糖は、身体を動かすためのエネルギーです。
「血糖値」は、「ブドウ糖の量」を値にしたものの事を指します。
・血糖値が上昇するとどうなるか
食事をすることで、体内のブドウ糖の量が増えます。つまり、血糖値が上昇するということであり、満腹中枢が刺激され、ブドウ糖が十分に補えたことを脳へ信号として発信します。
この信号が正しく脳へ伝わると、「満腹」、「お腹がいっぱい」と感じ、食事を終えます。
・血糖値が低下するとどうなるか
血糖値が下がる時は、血液の中のブドウ糖の量が減少した時です。すると、視床下部に属する摂食中枢が、ブドウ糖が不足していることを認知し、不足しているブドウ糖を補うように命令信号を神経に送ります。正しく送られると、空腹を感じます。
・糖尿病を発症する危険性がある
上記の血糖値の作用からわかるように、ストレスによってコルチゾールの分泌量が過剰に増加すると、血液の中のブドウ糖が異常に増加し、血糖値が異常に上昇するため、食欲を抑えます。
血糖値が異常に上昇するため、糖尿病を発症したり、発症している人は症状の進行を促進する可能性があります。
・ストレスホルモンによる食欲の低下
コルチゾールというホルモンは、ストレスホルモンとも呼ばれています。その名の通り、ストレスによってこのホルモン分泌が促進され、コルチゾールが増加します。
これによって血糖値が上昇します。つまり、ストレスを感じてコルチゾールが増加することで、食事量が不足しているにも関わらず、「お腹がいっぱい」という満腹感を脳へ認識させてしまいます。
この働きによって、食事をしていなくとも満腹感を感じ、食欲が低下し続けていきます。
・コルチゾールの分泌量
成人のコルチゾールのホルモン分泌量の標準値は、約20mg/日とされています。そこで、長期的に大きなストレス負荷がかかり、慢性的なストレスを抱えることで、コルチゾールというホルモンの分泌量は200~300mg/日にまで増加します。
これだけブドウ糖の量が増えるということなので、それだけ血糖値が上昇するということです。
交感神経と副交感神経に対するストレスとの関係性
自律神経である交感神経と副交感神経がバランス良く作用して身体の恒常性は保持されます。しかし、身体に与えるストレスによってホルモンバランスが崩されてしまうと、交感神経と副交感神経の恒常性が崩れ、自律神経失調症などを生じます。
これが、食欲にも大きな影響を与えます。上記に少し記述していますが、わかりやすく、自律神経の働きを説明します。では、それぞれがどのようにストレスと関係し、作用しているのかを簡単に記していきます。
副交感神経優位
通常、食事の際には副交感神経が優位に働き、胃の活動が活発となり食欲が増進します。副交感神経はリラックス時になると優位に働き、交感神経は落ち着いた状態になります。
そこで、ストレスが加わっていると、身体や精神が緊張状態となり、副交感神経の働きが抑えられ、交感神経が優位となって食欲を抑えます。
交感神経優位
普通に仕事をしている時や、運動や勉強をしている時など、何かをしている活動時は交感神経が優位に働きます。これは、通常の働きです。
食事中や睡眠中といったリラックス時には交感神経は落ち着きますが、そこに、異常にストレスがかかると交感神経が優位に働き出します。これによって食欲が抑制され、食べ物を受け付けなくなってしまいます。ちなみに、この時、消化器である胃や腸といった内臓の消化機能が低下してしまい、食べ物を消化するために必要な胃液の分泌も抑制され、胃液が減少します。そして、身体に取り込んだ食べ物の消化を行いにくくしています。
そこで、「食べないことは良くない、何とかして食べよう」と無理に食べ物を接触してしまう人がいます。無理に摂食をしても、消化機能が低下している内臓に食べ物を入れるため、働きが不十分になることで消化不良を起こす可能性があります。消化不良が進行すると、更に食欲が抑制されていきます。
交感神経が優位な状態が慢性的に続き、この悪循環が繰り返されると、最終的に身体を動かすためのエネルギーが不足し、蓄積もされず痩せていきます。
ストレスで痩せる事の危険性
ストレスによって暴飲暴食して太るタイプと、食欲が低下することで痩せ細るタイプの2つのタイプに分かれますが、この中でとても危険なのは後者です。
・太った人よりも痩せた人の方が危険
肥満について長年研究を行っている専門家によると、ストレスを抱えている人は、太った人よりも痩せた人の方が不健康な状態になると述べています。
この変化によって、その人の全身状態や寿命の長さに影響が出ます。その専門家が脳と体重の関係性について、こうも述べています。
現代社会はストレスが多く、痩せている人よりも太っている人の方が健康的に長生きをしやすい傾向にある、と。栄養過多も良くないですが、痩せている人は栄養不足なので、太っている人よりも比較的、体調を崩しやすく、重篤な病気にもかかりやすいです。
・栄養不足になるとどうなるか
あらゆるストレスを食べることで消し去ることができる人は栄養が十分に行き渡るため、大きな問題はありません。但し、中性脂肪や体脂肪が異常に増えるなど、肥満の元となる可能性があるため、注意は必要です。
食事を摂らないと栄養不足になり、脳が身体にあるエネルギーが無いとなると、脳は筋肉や内臓などの臓器からエネルギーを吸収して身体を稼働させていきます。すると、筋肉量が減ったり、内臓が痩り、基礎代謝も悪くなり、血流が悪くなるなど、あらゆる身体の機能へ影響を及ぼします。
専門家は、「痩せる事は、太ることよりも身体を危険な状態にし、寿命を縮める事に繋げる」と、述べています。
ストレスの解消方法
上記のことより、ストレスがどれだけ身体に影響を与えるかがわかります。身体に悪い影響を与えないためにも、ストレスを解消するための対処方法を考える必要があります。
また、ストレスを抱えてダイエットを行っても効果は得られにくいです。ダイエット成功のためにも、日常生活を送る中で上手くストレスを解消していくことが大切です。ではどういったことをすると、ストレスを解消することができるのか、幾つか紹介をしていきます。
ストレスがなくなるとどうなる?
ストレスがなくなると、アドレナリンや特にコルチゾールの分泌過多を防止することができる可能性があります。つまり、血流も元の様に正常に流れ、基礎代謝も良くなり、セロトニンの分泌も正常に戻り、食欲のコントロールも正常に行えるようになっていきます。
ストレスを少しでもなくすためにも、下記に記述するような事をまんべんなくこなすことが大切です。どれか一つをこなしても、平衡を保てないことがあります。
睡眠を十分にとる
睡眠を十分にとって規則正しい生活を送ることで、自律神経のバランスを正していきます。自律神経が乱れると上記の様な症状を引き起こし、長期的に続くと病気を引き起こす可能性があります。
また、睡眠を十分にとるということは、精神面の安定を図る意味もあります。睡眠をとって十分に休息をとることで心にも余裕をもつことができ、うつ病への予防もできます。
適度な運動をする
適度に運動を行って身体を動かすことで、リフレッシュ効果が得られ、精神面の安定やストレス解消を図ることができ、ダイエット効果が得られます。運動は、外だけではなく、中でも行えます。
例えば、YouTubeやDVD等を見てエクササイズを行ったり、筋力トレーニングを行うことができます。外ではジョギングやウォーキングも一つの方法であり、ジムに通うのも良い方法です。特に、オススメの運動は、リズム運動です。音楽を活用するものや同じテンポが続くリズム運動は、より効果があるとされています。
運動をすることで、血流が促進されて血行が良くなり、基礎代謝が良くなります。脳や身体への酸素や血流量が増し、血液の流れが良くなると身体疾患やうつ病などの気分障害の予防・改善にも繋がります。また、脂肪が燃焼されやすいため、ダイエットにも繋げることができます。
栄養をしっかりとる
身体には、ストレスを感じさせるストレスホルモンとも呼ばれるコルチゾールというホルモンが存在するように、幸福感を与える幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンというホルモンも存在します。ストレスによって増加するコルチゾールにより、セロトニンの分泌が抑制され、分泌量を減少させます。
美味しい食事をすることでセロトニンが多く分泌さると、幸福感を得ることができ、食欲の抑制をする作用が働きます。この幸福感によって、逆に食欲を抑制しきれず、過食に走り、太ってしまう可能性もあります。
しかし、持続的にコルチゾールの分泌量の増加が起きると、セロトニンの分泌量が減少するため、幸福感を得られにくくなり、食欲も低下させます。精神的にも身体的にも更にストレスを与える可能性があります。これも、うつ病にかかる要因となる場合があります。
これらを統合すると、セロトニンの分泌量が多くても少なくても良くはないが、食欲を制御できるならばなるべくセロトニンを得られるようにすると、ストレスの解消に繋がるということです。
セロトニンの分泌を得るためには、運動や散歩などをして日光を浴びる他、栄養をしっかり摂り、特にタンパク質の多い食べ物を食べるように努めると良いです。うつ病防止にも繋がります。
食事以外のストレス解消方法を見つける
運動を好まない、やりたくないといった人も、もちろん、運動が好きだという人も同様ですが、ストレスを解消するためにも食事以外の解消方法を見つけると良いです。
最も良いことは、好きなことなど趣味に時間を当てることです。
まとめ
以上のことより、ストレスが身体や精神に与える影響がいかに大きいかがわかります。
ストレスの解消方法を押えて痩せてしまうことやうつ病の発症、癌などの身体的疾患をも発症するリスクを下げる必要があります。
日常生活の中で、できるだけ早めに発散していくようにしましょう。
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