心的な負担が体にあたえる影響は、思っている以上に大きいことがあります。例えば気分が落ち込んでいる時、体が重く、どうにも動けないことってありますよね。
蕁麻疹もそんな心的ストレスによって発症することがあります。環境の変化やアレルギー等で皮膚に異常をきたすことがありますが、ストレスが原因になることもあるのですね。
では、ストレスと蕁麻疹にはどういった関連があるのでしょうか。くわしくみていくことにしましょう。
そもそも蕁麻疹って?
誰しも蕁麻疹を経験したことがあるでしょう。皮膚症状として赤い疱疹ができ、血管が浮き上がり、強いかゆみを伴います。そのかゆさゆえ、思い切りかいてしまい、しばし皮膚を傷つけてしまうこともあります。
一方でそれほど長い時間発疹が続くわけではなく、一定時間過ぎると発疹は消えます。皮膚には掻きむしった痕が残ります。皮膚が弱い人だと、いつまでも痕が残るかもしれませんね。
かゆみは掻くほど痒くなります。それがまた次の痒みを招き、キリがありません。皮膚がどんどんと赤くなるので、対処としては環境を変え、じんましんが治るのを待つしかないでしょう。
蕁麻疹の原因
蕁麻疹の原因や種類は人それぞれです。例えばアレルギー性のもの。これは花粉症や食べ物アレルギー、そして塗料といったことまで考えられます。海外で買った服の染料が合わず、アレルギー反応を起こし、蕁麻疹を発症するということもあります。
肌の弱い人であれば、衛生環境が悪い場所にちょっと行っただけで蕁麻疹を発症することがあります。粉塵などが舞っているような環境であれば、注意が必要でしょう。
非アレルギー性のものであれば、衣類との摩擦や寒暖差、ウイルス性の感染症や、日光がきっかけとなることがあります。例えば夏場の強い日差しや冬場の寒い環境が、蕁麻疹を発症させることがあるのです。
これも肌が弱い人ほど発症しやすいことがあります。化学繊維が肌に合わず、チクチクすることもあるかもしれません。物理的刺激に弱いのですね。そのため、コットンといった衣類を選んでいる人も多いでしょう。
症状の範囲が広いことも…
蕁麻疹は体のどこにでも現れる可能性があります。それこそ、腕だけではなく脚やお腹などに発症することもあります。発疹が腕だけだと思っていたら、服の中までも出ていることがあるのですね。
範囲が広い場合は、それだけ体に負担がかかっていることが予想されます。アレルギー・非アレルギーかどうかはわかりませんが、なるべくその環境を変えて原因物質から遠ざかり、皮膚科を受診した方がいいでしょう。また、ヒスタミンを抑える薬やアレルギー剤を飲むことも大切です。
アトピー性皮膚炎との違い
ちなみにアトピー性皮膚炎と蕁麻疹との違いは年齢にあります。前者の場合、乳児や小児にみられることが多く、小学生に上がるころには自然と治癒していきます。
一方蕁麻疹は、年齢問わず見られます。また皮膚炎の症状は長期に渡りますが、蕁麻疹は数時間、長くとも1日程度で治まります。
ストレスと蕁麻疹の関係
さて、一般的な蕁麻疹の症状をご紹介したところで、ストレスとの関連性についてみていくことにしましょう。蕁麻疹はアレルギー性のものと、非アレルギー性のものがあると述べましたが、ストレスはある意味ではどちらにも該当するといえます。
例えばアレルギーであれば、食物アレルギーや粉塵・ハウスダストなどが身体にストレスを与えていると考えることができます。意識はしていないけど、体に負担がかかっていて、蕁麻疹として症状を発症させるのです。
一方、非アレルギー性のものであれば、心的なストレスが考えられます。緊張したり、気分が極度に憂鬱状態であると、皮膚にしばし蕁麻疹を発症させることがあります。今回はこちらの原因についてみていくことにしましょう。
心的ストレスが蕁麻疹を招く
人がストレスを受ける時、それに対処するために体は色々な物質を分泌します。緊張したら手汗をかくことがあると思いますが、これも一つの生理反応ですね。蕁麻疹にも同様のことが起きていることが考えられます。その中でも「コリン性蕁麻疹」がストレスと関係しているといわれています。
コリン性じんましんはアセチルコリンというホルモンがきっかけとなって症状を発症します。アセチルコリンは自律神経の1つである副交感神経を刺激するホルモンです。リラックスしているときに分泌されます。
コリン性蕁麻疹の特徴は、心的にストレスがかかっている状態下で、リラックスした瞬間に症状が現れるという点です。具体的には入浴時や睡眠時などに多いといわれています。こういったときに蕁麻疹が出るようであれば、日常的に強いストレスを受けている可能性が高いでしょう。
ストレスの原因は?
蕁麻疹を起こすほどのストレスは、様々なものが考えられます。仕事、職場の人間関係、家庭環境などなど。日常生活と切り離せない部分で強いストレスがあると、症状発症の確率が高くなるでしょう。
四六時中、心が休まらない状態が続くだけでも相当なストレスになりますよね。こういったことに心当たりがあり、もしくは自覚症状がなくとも、蕁麻疹が出ているようであれば、注意が必要でしょう。その先には精神の病気があるかもしれません。
特に強いストレスとしては近親者の死別、離婚、別居などが考えられます。そのほか、環境が劇的に変わるような出来事が起こると、強い精神疲労・ストレスを感じます。蕁麻疹だけではなく、他の病気のリスクも高くなるので注意が必要です。
心因性蕁麻疹が出たときの対処
では、心的なストレスが原因となって発症する蕁麻疹が出たときはどういった対処をすればいいのでしょうか。
また、症状が長引いているときはどういった行動をとればいいのでしょうか。くわしくみていきましょう。
症状を抑える対処法
蕁麻疹そのものを抑えたいとき、まず大切なのは皮膚を掻かないことです。痒みを発症しますが、掻いてしまうと皮膚を傷つけてしまうことがあります。場合によっては痕が残ってしまうこともあるでしょう。
次に症状抑えるためにやってほしいことが患部を冷やすということ。これは水を染み込ませたタオルを患部にかける程度で十分です。保冷剤などで冷却してしまうと、かえって症状が悪化することがあるので注意してください。
肌への刺激物を極力減らすというのもポイントです。衣類の摩擦を避け、肌に優しい肌触りの洋服に着替えるといいかもしれませんね。紫外線などの刺激も避けることも大切です。
食事・食品にも気をつける
かゆみが出ている時、血行をよくするような食べ物を食べると症状が悪化してしまうことがあります。このため、辛いものやコーヒー、アルコールなどのものは避けるようにしましょう。
ストレスへの対処法
心因性・難治性のじんましんを根本的に治すためには、原因となっているストレスを解消する必要があります。蕁麻疹がでたとき、すぐにできる対処・解消法として、次のようなことをしてみましょう。
体を休める
身体的に疲労が溜まっていると、心的な負担がかかることがあります。例えば睡眠不足が続くと心身ともに疲労がたまりますよね。蕁麻疹が出たとき、まずは体を休めるようにしましょう。
薬を服用する
精神的負担が大きい時、薬の力を借りるというのも1つの手です。精神科医のいる専門の科に行って薬を処方してもらえば、不安になった時に正しい対処をすることができます。ストレスをきちんと発散することが大切です。
また、単に皮膚症状を抑える薬を服用するのも効果的です。心的な安心感は症状を抑える効果もあります。即効性のある抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、外用薬など、医師から処方された薬を飲んでみましょう。
深呼吸をする
心を落ち着けるシンプルな方法として深呼吸があります。深呼吸には自律神経を整える効果があり、緊張しているときに行うと効果的です。水を飲んだりしてリラックスしましょう。ストレスがかかっていると思った時は深呼吸をしてみてください。
環境を変える
強いストレスがかかっているときに蕁麻疹がでたとき、それは環境に起因していることがあります。そんなときはその場の環境を変えることが大切です。外に出て散歩をしてみたり、ちょっとコンビニまで行ってみるなど、気分を変えることが大切です。
心因性じんましんの対策
ストレスによって蕁麻疹を起こしてしまう。では、そうならないための対策はどういったことがあるのでしょうか。
普段から心身のバランスを整えることが、症状を予防する鍵になります。具体的には以下のことが考えられます。
規則正しい生活をする
不規則な生活をしていると、体に負担がかかることがあります。就寝・起床時刻がいつもバラバラで、食事の時間も決まっていない。そういったリズムに、体はついていけず、疲労が溜まります。ストレスはこういった目に見えない生活リズム・習慣と密接な関係があります。
心身のストレスを溜めないためには、まずは体の健康を考える。そのためには、規則正しい生活をする。また、食生活にリズムをつけることも大切です。就寝・起床時刻を一定にして、きちんと睡眠時間を確保する。こういったことが症状発症を抑える1つのポイントです。
自分なりのストレス発散法を考える
日常生活をしていると、ストレスを受ける場面は多々あります。仕事のクレームや家族・友人とのいざこざ。はたまた、怪我や病気といったこともストレスの原因となることがありますよね。こういったストレスを受けた時、きちんと発散ができているかどうかが、その後の健康状態を決めます。
ある人は散歩をしたり、ある人は炭水化物・糖質を食べるなどの暴飲暴食をしたり、ある人は友人とおしゃべりをするといったことがあるでしょう。こういったことは意外と大切で、ストレス発散に効果的です。一方で、ストレスを溜め込みすぎてしまうと、心身共に疲弊しきってしまうでしょう。
どんなストレス発散法が合っているかは、実際にやってみるしかありませんが、きっと自分に合ったものがあるでしょう。溜め込むだけではなく、きちんと発散する。このことを忘れないようにしてください。
無理をしない
仕事でもなんでも無理をしすぎてしまう人がいます。自分の体力を超えて仕事をしてしまう。それが幾日も続く。そうすると、どうしても体は疲れてしまいますよね。どんなことでも無理をしすぎるというのは良くありません。
体や心が疲れていると感じた時、それは休むタイミングです。そこで無理をしてしまうと、知らず知らずのうちに病気を招いていることがあります。蕁麻疹はその入り口に過ぎないでしょう。疲れた時はきちんと休み、無理をしないようにしてください。
蕁麻疹の治療が必要なケースとは
心因性の蕁麻疹の場合、皮膚に対して治療法を施しても症状が治まらないかもしれません。そのようなときは、病院へ行き、根本的な原因を解決・治療方法を実施するしか症状を治す方法はないでしょう。
もし、次のような心因性疾患に心当たりがあるのであれば、病院へ行くようにしてください。
心身症
心的なストレスが体に症状となって現れる病気です。蕁麻疹も1つの症状ですが、そのほか胃腸炎、胃潰瘍、循環器疾患などを発症することがあります。
ストレスが積もるほど症状は大きく、深刻になるので早めの治療が望ましいでしょう。詳しくは、心身症の症状をチェック!部位によって変わるので要注意!を参考にしてください。
うつ病
精神的な負担が大きくなり、無気力や精神的な塞ぎ込みなど精神的症状・うつ症状がみられるようでしたら、治療を受けるようにしましょう。
重症化すると社会復帰が難しくなることもあるため、これもやはり早期治療が望ましいです。
検査を受けてみる
慢性・継続性のある蕁麻疹が病的なものなのか、それとも精神的なものなのか。それを判断するためには検査を受けることをおすすめします。
具体的な検査法としてアレルギー検査や、血液検査、運動負荷検査や薬品検査などがあります。アレルギー原因など、自分がどのようなものに反応するかがわかれば、安心しますよね。ぜひ、受けてみることをオススメします。
生活習慣との関連
生活をしているとストレスを受けたり、体に疲労がたまるということがあります。それは当たり前のことですよね。心身が疲れて、なにもやりたくないということもあるかもしれませんしかし、その疲れをずっと溜めておくと、体の健康を害してしまうことがあります。特に仕事が忙しく、心に余裕がないときなんかは自身の状態に気づきにくいものです。
生活習慣は日々の積み重ねによって形成されます。体に悪い習慣を一度身につけてしまうと、なかなかそれを改善するのが難しいものです。一方、生活習慣の一部を改善するだけで、病気がよくなるということもあります。心因性の蕁麻疹も蕁麻疹も生活習慣をよくすることで、症状改善が期待できます。
きちんとストレスを発散し、十分な睡眠時間をとる。これは蕁麻疹に限らず、どんな病気予防にも共通することでしょう。反対に睡眠時間が短く、ストレスが多い生活ばかりしていると、容易に病気を発症させてしまうのです。
疲労・ストレスを抱え込まず、まずは相談を
体の不調が起きているときは、心身に疲れが溜まっているかもしれません。そんなときは、無理をせず、周囲に相談したり、病院へ行くようにしましょう。体調不良というのは、体から発せられる黄色信号のようなもので、異常を知らせてくれています。疲れていたら休むというのは、とても自然なことですよね。
しかしストレスを抱え込んでしまうと、体の疲労はより大きくなり、病気を発病してしまうこともあります。そして、それがさらに大きな病気を招くことにつながるのですまた、精神的なことというのは目に見えにくく、どのぐらい疲労が溜まっているかというのはわかりません。精神症状が出てきているのであれば、相当症状が進んでいるかもしれませんね。
心の病気に発展する前に、兆候が見られた時点できちんと改善・治療をすることが病気を悪化させない大切なポイントです。自分は病気ではないと思った時、やる気や集中力が低下しているとき、心に大きなストレスが隠れているのかもしれませんよ。
まとめ
ストレスが体にあたえる影響は、誰しも経験しているかと思います。ちょっと悪いことが起きると胃がキリキリするという人もいるかもしれませんね。心と体は密接につながっています。
蕁麻疹は体に負担がかかっていて、疲れているということを教えてくれるサインの1つです。放置すると病気になるかもしれないから気をつける必要がある…そういった必要性の高いメッセージを伝えてくれているのです。
もし体が疲れていたり、心に余裕がないときはゆっくりと休んでみてください。いつもより睡眠を多く取るだけでも違うでしょう。体の健康を保つためには、こういったサインをきちんと受け取る必要があるのです。
関連記事として、
・ストレスで痩せることはある?原因や影響、ストレスの解消法などを紹介!
・ストレス発散の方法を知ろう!ストレスに強い人と弱い人の特徴について。
これらの記事も読んでおきましょう。