口の中にできる病気には様々あります。中でも口内炎はとても身近な炎症であり、厄介な症状の1つでしょう。食べ物を食べる時に痛みを感じますから、気持ちとしても嫌になりますよね。舌にできるものなら、痛くて仕方がありません。
そんな口内炎をすぐに治したい…そういったときにはちみつが効果的といわれています。よく耳にする治療法ですが、口内炎とはちみつの効果・効能にはどういった関係性があるのかみていくことにしましょう。
口内炎にはちみつ?
口内炎はその名の通り、口の中に炎症ができている状態です。これができるといつも痛みを感じ、食事が楽しくなくなるなんてことがありますよね。通常は1週間程度で治りますが、できることなら早く治したいものです。
この口内炎にハチミツを塗るというのは、民間療法として存在します。有効性のある科学的なデータや実験・研究はないとされていますが、一定の効果があり、期待していいものでしょう。
はちみつの効果とは
蜂蜜はスーパーにも売っているとても身近な食材ですよね。しかし、食材の範囲を超えて、薬としても使われることがあります。それははちみつには以下の効果があるからです。
殺菌効果
はちみつに含まれるグルコン酸という成分には強力な殺菌作用があります。口内炎が長引いてしまうのは、口内の雑菌が繁殖してしまうからですが、はちみつを塗布することで素早い回復をしてくれるでしょう。同じく鎮痛効果もあるので、症状を抑えることが期待できます。
現在はあまり使われなくなりましたが、昔は傷口に蜂蜜を塗って殺菌をしていたという話があります。傷口の症状が悪化するのを防ぐ効果があり、重宝されていたものだったのでしょう。
回復を早くする成分が入っている
口内炎の原因の1つとしてビタミンが不足しているということがあげられます。はちみつにはビタミンやミネラルが含まれているので、これを補うことで回復を早くする効果が期待できます。マヌカハニーという種類のはちみつは多くの栄養素を含んでいるので人気となっています。
豊富なビタミンは口内炎治療だけではなく、美容にも効果的です。肌質を上げるためにはちみつを普段から飲んでいるという人もいますから、それだけ効果があるのです。
その他のメリット
はちみつはご存知の通り粘性があります。この粘性によって患部にきちんと塗布することができます。傷口への雑菌の侵入を防ぎ、口内炎治療に効果的です。
はちみつの塗り方
では、はちみつをどう活用していけばいいのでしょうか。はちみつの塗り方としては、口内炎のできている部分を脱脂綿や綿棒などで覆うように塗ってみてください。そうすることで、効果が発揮されるでしょう。
痛みがあるかもしれませんが、時間が経つことに痛みは引いていきます。ちなみに蜂蜜水といって、蜂蜜を水で希釈したものでうがいするのも効果があるとされています。
はちみつの注意点
はちみつが苦手な人やアレルギーを持っている人は使用を控えるようにしましょう。また、なるべく国産のものを使用するといいかもしれません。海外製のものは品質が低いケースがあるので十分検討する必要があるでしょう。
またはちみつはなるべく天然のものを選ぶようにしましょう。加工されているものは、食べやすいように色々なものが添加されていることがあるからです。品質にこだわるというのも大切なポイントです。
口内炎とは話が変わりますが、1歳児未満の子供・乳幼児にはちみつの服用は細菌感染のリスクもあり、禁忌とされています。はちみつは稀にボツリヌス菌に汚染されていることがあるからです。乳児がはちみつを食べると乳児ボツリヌスを発症することがあるので注意が必要です。
どうして口内炎が起こるのか?
口内炎をはちみつで治療することも大切ですが、そもそもどうして口内炎が起こるのかについて考えることも大事です。原因を知ることで、対策することができるからです。
原因として以下のことが考えられます。
口内環境が悪い
口の中の環境が悪いと口内炎を招くきっかけとなります。口の中は非常に多くの雑菌が存在しますが、きちんとケアをしなければそれらはすぐに増殖してしまうでしょう。口の中の環境を守るためには日々のケアがとても大事なのです。
口内環境が悪い理由としては、不十分な歯磨きが身近です。歯磨きの時間が短かったり、歯ブラシが届きにくい部分のブラッシングが不十分だと、細菌は繁殖してしまいます。自分が磨いたつもりでも、甘いことがあるかもしれませんね。
口内環境を改善するためにはきちんとしたブラッシングを始め、定期的な歯科検診に行く必要があるでしょう。磨きが足りない部分やブラッシングについてアドバイスをくれるので、ぜひ行くようにしてください。
免疫力の低下
何かしらの原因によって体の免疫力が低下すると、口の中にある細菌が一気に繁殖し、口内炎を招くことがあります。このタイプの口内炎をカンジダ性口内炎といいます。
カンジダは口の中に存在する常在菌と呼ばれる細菌です。免疫力があるうちは増殖もせず、悪さもしません。しかし、免疫力が低下すると増殖して悪さをしてしまうのです。
免疫力の低下は不規則な生活や偏った食事、栄養不足やストレスなどが引き金となることがあります。このため、普段から規則正しい生活を心がけることが口内炎を遠ざけるポイントになるでしょう。
唾液の減少
口から分泌される唾液の量が減少すると、しばし口内炎になることがあります。これは唾液が口内の粘膜を保護する役割があるからです。口が渇く状態をドライマウスともいいます。
ドライマウスの原因はシェーグレン症候群などの病気のケースや、薬の副作用などがあります。詳しい原因については検査をしなければわからないので、日常的に口が渇くようであれば医師に相談するようにしましょう。
ドライマウスの改善方法としては、シュガーレスのガムを噛んだり、食べ物を噛む回数を多くするなどがあげられます。唾液を出す工夫を普段から実践するようにしましょう。
感染症によるもの
ヘルペスウイルスに感染することでも、口内炎を発症することがあります。口の中に水疱ができ、破裂すると強い痛みを感じます。乳幼児に発症することが多く、症状が見られたら病院へいくようにしましょう。
ヘルペスでは口内炎ほか、発熱、食欲低下、食欲不振などがみられます。食事に対して消極的になることが多いため、早めの治療がポイントになるでしょう。
そのほかの原因
口内炎にはそのほか、機械的原因というものもあります。これは歯で口内を噛んでしまったり、歯ブラシで傷つけてしまったときに起こるものです。身近な原因ですよね。
こういった場合、人によっては噛み合わせが悪いこともあるので、よく噛むという人は一度歯科に相談してみるといいかもしれません。
また、聞きなれない名前ですが再発性アフタ性潰瘍というものもあります。これは子供の時期に起こる口内炎・潰瘍です。ストレスや体に悪い食品を食べているなどの原因がアフタ性潰瘍の発症のきっかけになっていると考えられていますが、詳しいことについては分かっていません。
はちみつ以外で口内炎治療に使えるもの
はちみつは殺菌成分と独特の粘性から、口内炎に治療効果がありました。
では、それ以外で口内炎に効果的な方法はあるのでしょうか。自宅にあるものでできる方法として次のようなものがあります。
塩うがいをする
塩もはちみつ同様に殺菌力・作用があります。塩を水に溶かしたものでうがいをすることで、口の中の菌を殺すことができ、口内炎治療に効果が期待できます。ただ、塩は患部に染みるので治療の際には覚悟が必要かもしれませんね。
塩うがいについては個人差があり、症状が快方に向かうケースもあれば、あまり効果がないケースもあるようです。また、あまりに激痛が走るようであれば、やめることをおすすめします。
なお、塩うがいは1日に数回行うようにしてください。塩の量を調整しつつ、濃すぎない程度にしましょう。しょっぱくてできなければ意味がありませんから、うまく量を調節しましょう。
梅干しを患部につける
梅干しにも殺菌作用があり、口内炎の治療方法に有効という考え方があります。梅干しの果肉を患部にあてることで、治りが早くなるといいます。塩分を含んでいるので、塩うがいと同様の効果を得ることができるでしょう。
口内の環境を清潔にして上げること。それが口内炎の治療法の1つのポイントになるでしょう。細菌の繁殖を抑えること、殺菌すること。こういったことをしてあげれば口内炎は簡単に治るのかもしれませんね。
シュガーレスガムを噛む
唾液を出すことは口内環境を正常化する1つの方法です。その方法として、シュガーレスのガムを噛むことは良いことでしょう。唾液を絶えず分泌することになるので、歯周病予防にもあります。
砂糖入りのガムは虫歯の原因になるので注意が必要です。細菌繁殖を促してしまうので、避けるようにしましょう。ガムを習慣的に噛むようにすれば、口の中の悩みを解消できるでしょう。
塗り薬や軟膏、パッチ薬を使ってみる
早く治す方法としては、やはり薬に頼るというのも大事です。市販薬で対応すれば、効果があるでしょう。近くに薬局があるようでしたら市販の口内炎用のパッチなどを買ってみてください。
痛みが強かったり、継続しているようであれば塗り薬だけではなく、医師に診てもらうことも大事です。単純な口内炎ではなく、何かしらの感染症の可能性もあるので注意する必要があります。
口内炎が癖になっている人は…
はちみつや塩、梅干しは民間療法であり、効果が実感できないケースもあります。一方で、口内炎が高い頻度で起こり、いつも悩んでいる人は何かしらの原因が考えられるでしょう。
それはもしかしたら病気かもしれませんよね。その場合、個人では治すことば難しいケースもあります。口腔外科の病院へ行き、専門家に診てもらうことも1つの治療法だということを理解するようにしましょう。
口内炎と似た病気
口内炎ができたとき、口の中に痛みを感じます。そして、それを口内炎と判断し、治るまで我慢することが多いでしょう。
しかし、口内炎のような症状ながらも、まったく違う病気もあります。
紅板病
高齢者に見られる口の中の病気です。粘膜が薄くなり、その名の通り赤色に変化するのが特徴です。粘膜が薄くなる際、刺激を受け痛みを感じることがあります。非常に稀な病気でありながら、その後がんになりやすいという特徴があるため、非常に注意が必要です。
治療は患部の切除を行います。また、再発率が高いことから治療後の経過観察も重要です。口内炎は1週間程度で完治しますが、それ以上の期間口の中の異常を感じるようであれば病院へ行くことをおすすめします。
白板病
紅板病とは違い、歯肉や粘膜が白くなる病気です。食べ物を食べると滲みたり、痛みを感じることがあります。こちらの病気もがんになりやすいという特徴があり、注意が必要です。
原因は飲酒や喫煙、歯磨き不足などが考えられていますが詳しいことはわかっていません。治療としては手術で患部を切除します。治療後の経過観察や生活習慣の改善も再発防止のために大切なことです。
詳しくは、白板症ってどんな病気?症状や原因、治療法を知ろう!癌になる恐れも?を参考にしてください。
口内炎にならないために
口内炎を発症すると、何かとつけて痛みを感じますよね。食事をするにも気を配らなければなりませんから、ストレスになることもあるでしょう。
では、口内炎を作らないためにはどういったことを普段から意識すればいいのでしょうか。
きちんとした歯磨きをする
口の中の衛生状態を清潔に保つことは、口内炎を予防する第一歩です。例えば朝起きたとき、口の中がネバネバしていると寝る前のブラッシングが足りていないと考えられます。きちんと磨けていれば、口の中の違和感はあまり感じないものです。
ブラッシングは意識しなければ隅々まで行うことができません。歯の表面などは比較的磨きやすいですが奥歯や歯間といった部分は、歯を磨くたびに意識しなければ汚れをとることができないでしょう。
なので、自分の歯を1本1本磨くという意識を持って、毎日きちんと歯磨きをする。手磨きでパワー不足を感じるなら電動歯ブラシを買うのもいいでしょう。少々お値段張りますが、十分な投資だと思います。歯がツルツルになり、効果を実感できるはずです。
うがい薬や洗口剤を使ってみる
歯磨きをした後、口の中の細菌を徹底的に殺菌するために、うがい薬や洗口剤を使ってみるのもおすすめです。これにより、口の中の衛生状態を一気に清潔にすることができるでしょう。
歯磨きをした後、ちょっとうがいをするだけなので、それほど難しいことではありませんよね。習慣化してしまえば、それほど苦にならないかと思います。口臭の予防法として効果があるのでぜひやってみてください。
ビタミンを積極的に取る
皮膚や粘膜の保護を行うビタミンがあります。普段の食事から摂取量が少ないと、口内炎を招く原因になるでしょう。具体的にはビタミンB群であるビタミンB2、ビタミンB6。そして、ビタミンCです。これらはお肉や魚、緑黄色野菜に含まれています。
こういったビタミンを普段の生活から意識して摂取するようにする。加工食品や冷凍食品ばかりの食生活をしているようであれば注意が必要です。ビタミン不足を補うためにもきちんと食事に意識を払うようにしましょう。
規則正しい生活を
スマホが原因で夜更かしをしてしまう。ストレスが多くて、なかなか寝付けない。こういった人は体の免疫力が落ちてしまうことがあります。そしてそれが引き金となって口内炎を作ってしまうことがあります。
そういう意味では口内炎は生活が不規則でストレスが溜まっている、ということを教えてくれているサインの1つなのかもしれませんね。生活習慣が乱れているようであれば、正すようにしてみてください。
口の乾燥を防ぐ
先に述べたように唾液は口の中の細菌繁殖を防ぐ効果があります。そのため、普段からいかに唾液を出すかどうかが口内炎予防につながってきます。口を乾燥させないことも、1つのポイントです。
ガムを噛む。水分をとる。食べ物を食べる際にはよく噛むようにする。こういったことをすれば、唾液が積極的に分泌されるようになり、口の乾燥を予防することができます。
まとめ
口内炎はとても身近な症状の1つです。唇なんかを強く噛んでしまうと、しばらく痛くて動けなくなりますよね。そんなとき、はちみつを塗って対処するのもいいでしょう。
また、口内炎にならないためにも普段の生活からきちんとした対処法を実施したいものです。口内炎ができたときは体調バランスが崩れていることを教えてくれるのかもしれません。
生活習慣、食習慣など気を配ることが多々ありますが、健康でいるためにも普段からきちんと体調管理をするようにしましょう。
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