ビオー呼吸とは?症状や治療法を紹介!原因となる病気はなに?

皆さんビオー呼吸という症状を聞いたことがありますでしょうか?私たちは生活の中で無意識に呼吸を繰り返しています。そのため普段呼吸について気に留めることはあまりありません。しかし呼吸に異常が起こることもあります。

今回はその中の一つBiot呼吸(びおーこきゅう)について紹介していきます。ビオー呼吸とは異常呼吸パターンの一つで、この症状を最初に説明、解説したフランス人医師カミーユ・ビオーにちなんでこの名前が付けられました。

ビオー呼吸とは

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ビオー呼吸は呼吸リズムの異常の1つで不規則的な異常です。またその呼び名は多くあり、失調性呼吸、失語性呼吸、髄膜炎性呼吸、間欠髄膜炎性呼吸、断絶髄膜炎性呼吸、麻痺性呼吸などとも言われます。

正常な呼吸パターンや他の異常呼吸パターンと比較しつつ、ビオー呼吸について説明していきます。

ビオー呼吸の症状

ビオー呼吸とは不規則で休止期のある呼吸状態をいいます。換気状態から無換気状態へシフトする際の呼吸のリズム・回数・深さ全てが不規則になります。すなわち呼吸が一定量での繰り返しではなく、深かったり浅かったり、また止まったりし、呼吸が休止する時間も10秒から30秒とまばらです。

重度の場合は患者に意識させないと呼吸が止まってしまう可能性があり危険です。基本的にビオー呼吸の症状は一過性のものになります。

正常な呼吸パターン

正式な呼吸パターンは呼吸の速さが1分間に12回から20回ほどで、換気の70パーセントは横隔膜によります。胸郭の運動に左右差はなく、胸部と上腹部の動きは連動します。吸気は横隔膜と肋間筋の収縮であり、呼気時は筋収縮を伴いません。

吸気と呼気の割合は呼気の方がやや多く1対1.5(または2)です。また吸気の終末には小休止が入ります。

異常呼吸パターン

異常呼吸は、呼吸量、回数、リズム、そのほかの異常に分けて考えることができます。呼吸の異常で一般的によく知られる無呼吸による睡眠時無呼吸症候群は、呼吸量・呼吸回数の減少異常にあたります。

呼吸回数と量の異常

無呼吸は一過性で10秒以上呼吸が休止します。呼吸回数の減少は無呼吸の他に、1分間に9回以下のものを徐呼吸といい、反対に増加する場合1分間に25回以上のものを頻呼吸(ひんこきゅう)といいます。

また一回換気量の増加異常を過呼吸(過換気)といい、反対に一回換気量の減少異常は低呼吸(低換気)と言います。

徐呼吸は糖尿病性昏睡や尿毒症時などにみられ、頻呼吸は低酸素血症、過換気症候群などで状態が見られます。また過呼吸は低酸素血症、代謝性アシドーシス、肺水腫、肺梗塞、甲状腺機能亢進症、薬剤(サリチル酸、アヒタゾラミドなど)によるもの、中枢神経性病変、過換気症候群や妊娠時などに多様な病気・状態時に観察されます。

同様に低呼吸も様々な中枢性低換気症候群、神経・筋疾患、肺・胸郭の疾患で症状が観察されます。

呼吸リズムの異常

呼吸リズムの異常は周期的な異常と不規則的な異常に分けられます。ビオー呼吸と類似したチェーンストークス呼吸は周期的な異常ですが、ビオー呼吸は不規則的な異常に分類されます。

すなわちビオー呼吸ではチェーンストーク呼吸のような呼吸のリズムの周期的変化はありません。呼吸リズムの不規則的な異常の中には持続吸息性呼吸(じぞくきゅうそくせいこきゅう)、群息呼吸、あえぎ呼吸(下顎(かがく)呼吸)などがあります。

呼吸リズムと回数の異常

呼吸リズムと回数の異常にクスマウル呼吸というものがあります。この状態では呼吸の頻度が減少しますが1回の呼吸が異常に深くなります。

呼吸は規則的ですが、吐く息に比べ吸う息が長く呼吸の際に雑音を伴います。尿毒症や糖尿病性昏睡時、代謝性疾患(代謝性アシドーシス)などで症状が観察されます。

その他の異常

その他に心不全や尿毒症にみられる起座呼吸という体位の異常があります。この場合患者は心臓への負担が大きく身体を伏せた状態ではいられないため上体を起こして呼吸をします。

ビオー呼吸の原因は?

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ビオー呼吸は中枢性疾患(橋と延髄の損傷)が原因となります。

具体的には脳炎、髄膜炎、脳髄膜炎、頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)、脳卒中(脳血管障害)、などによります。また薬剤(スキサメトニウム・サクシニルコリンなど)の投与や人だけでなく牛の蕨(わらび)中毒などでも症状が観察されます。

橋と延髄レベルの脳損傷でビオー呼吸等の呼吸異常が起きるのは、橋と延髄付近で私たちが無意識・自然に行う呼吸をコントロールしているからです。すなわち不随意的に行われます。一方で私たち人間は大脳皮質からの指令により随意的に呼吸をすることも可能です。

ビオー呼吸の治療方法は?

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ビオー呼吸の治療法は原因となる疾患の検索、治療に限られます。すなわち、根本原因の治療をすることにより症状を抑えることができます。

フィジカルアセスメント(身体診察技法)

基本的にビオー呼吸かどうか個人で息の回数や深さをみて症状を見極めるということはできません。医療機関でフィジカルアセスメントにより状態が観察されることになります。

フィジカルアセスメントとは看護用語で問診・視診・聴診・触診・打診を通して多角的に患者の状態や症状を把握し、異常の発見を行うことを言います。呼吸の観察は機械によってではなくフィジカルアセスメントを通して把握されます。疾患を見極めるだけでなく、患者の総体的な情報を収集し健康状態の判断を行います。

具体的には血圧や脈拍、SPO2(経皮的動脈血酸素飽和度)や呼吸数を指標とし、身体状況や疲労度などを確認していきます。呼吸の観察は正確な評価のため呼気と吸気時の動き・時間に分けて行う場合が多いようです。

検査と対策

しかし基本的に異常呼吸をきたす疾患は、過換気症候群や睡眠時無呼吸症候群以外はいずれも重篤な疾患であり、病気の末期に発症するものであるため入院が必要となります。

検査としては、頭部CTや髄液検査・MRIなどが考えられ、治療の方法は病気によって異なります。以下疾患により対策を見ていきます。

ビオー呼吸、各疾患ごとの検査・対策法

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ビオー呼吸の原因疾患の対策法を紹介していきます。

脳炎、髄膜炎、脳髄膜炎

脳炎、髄膜炎、脳髄膜炎の病気とそれぞれの違いを簡単に説明します。

通常、脳内は無菌状態を保っています。しかし免疫力が低下している場合に病原菌が脳に侵入してしまうことがあります。脳内に病原菌が侵入したものを脳炎、髄膜に侵入したものを髄膜炎、脳内と延髄両方に入ってしまったものを脳髄膜炎と言います。

原因・症状

疾患の原因となる代表的な病原菌はウィルス、細菌、真菌(カビ)、結核、インフルエンザ桿菌などが挙げられます。場合によってはがん細胞や寄生虫が原因となることもあります。

脳炎、髄膜炎、脳髄膜炎では項部硬直という激しい首の後ろの痛みが特徴的です。初期症状として急激な高熱、頭痛が挙げられ、症状が進むとめまいや痙攣、ビオー呼吸等の呼吸異常の症状がでることもあります。

検査・治療

髄液に病原体がみられるか、白血球の数に異常があるかの検査を行います。方法としては腰椎穿刺(ようついせんし)により髄液の検査を行います。(高齢者で腰椎が湾曲している場合にはレントゲンを用いた検査をすることもあります。)

さらにMRI・CT検査も行われます。細菌性髄膜炎が疑われる場合には細菌の侵入口を突き止める耳鼻の検査も行われます。こうして原因となっている病原体を突き止められた場合には薬剤で対応が可能です。

病原体が体内から排除され完治されます。しかし時には後遺症を残す場合もあります。症状によって1,2週間が完治の目安のようです。

頭蓋内圧亢進(脳圧亢進)

聞きなれない用語ですが、頭蓋内圧亢進(脳圧亢進)とは頭蓋内圧が高まることを言います。頭蓋内圧とは頭蓋骨のなかにある脳、血液、髄液により生じる圧力のことを指します。

原因

脳浮腫(脳梗塞・脳炎・脳腫瘍など)、頭蓋内血液量の増加、脳脊髄液の増加、頭蓋内占拠性病変などがこの原因となります。

症状

頭蓋内圧亢進の症状としては、頭痛や嘔吐などが挙げられ、症状が進むと意識障害、外転神経麻痺、ビオー呼吸などの呼吸異常を起こすこともあります。脳の損傷部位によって現れる症状は異なります。

頭蓋内圧亢進で怖しいのは障害部位だけでなく二次的障害が及ぶところです。二次的障害の脳ヘルニアが死因になることも多くあります。脳ヘルニアは頭蓋内圧が高まったときに脳の一部が逃げ場を求めて他の脳を損傷してしまうことを言います。

検査

MRI・CT検査や頭蓋内圧の測定を行い、頭蓋内圧亢進の状態を把握します。脳室から髄液を抜き頭蓋内圧を多少コントロールすることもあります。頭蓋内圧亢進の状態においては、状態の悪化に加え脳ヘルニアを防ぐ措置をとることも大切になります。

内科的治療

内科的治療として頭部挙上、脱水剤、酸素投与、低体温、副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド)、過換気、バルビツレート療法などが挙げられます。頭部挙上とは仰向けの状態から首を屈曲させないようにして頭部を30度ほどの角度に持ち上げることで、脳から心臓へ戻る血流の増加を促します。血圧の低下と頭蓋内圧を低下させることが可能です。

脱水剤での治療は具体的に脳圧降下剤、浸透圧利尿剤薬などといわれるグリセロールやマンニトールの点滴を行います。脳組織内の水分を減少させることで頭蓋内圧を低下させることが目的です。低体温療法では33度程度の温度で脳代謝・興奮性アミノ酸放出などを抑制し、脳内の血液量減少させることで頭蓋内圧を低下させます。

副腎皮質ホルモンの投与により脳浮腫を改善が図れます。過換気は特に人工呼吸管理が行われている患者に用いられ、血中CO2分圧を30~35 mmHg程度にし脳血管を収縮させることにより脳血流と頭蓋内圧を低下させることが可能です。

バルビツレートとは静脈麻酔薬であり、これの投与により脳代謝・脳血液量の低下の作用が起こり頭蓋内圧を低下させます。脳は身体の最も重要かつデリケートな部位です。内科的治療においては、呼吸や疼痛の管理を慎重に行いそれぞれの症状や薬剤の副作用、患者の持病との関連を考慮した治療法が用いられます。

外科的治療

頭蓋内圧亢進の外科的治療すなわち手術が行われるものとして髄液ドレナージ、頭蓋内占拠性病変の除去、開頭減圧術、外減圧術、内減圧術が挙げられます。髄液ドレナージを行うためには、頭蓋骨に小さな穴を開け、脳室内にチューブを留置します。このチューブを通して脳室から髄液を抜くことにより頭蓋内圧を下げます。

頭蓋内占拠性病変の除去とは下血腫吸引などで亢進の原因となっている血液や腫瘍を取り除くことを言います。開頭減圧術では、頭蓋骨をはずして頭蓋内圧を逃がします。外減圧術では頭蓋骨を一部除去して頭蓋内圧を逃がします。内減圧術では切除しても症状の出にくいと言われる側頭葉の一部を取り除くことで頭蓋内圧を逃がします。

脳卒中(脳血管障害)

脳卒中は虚血性と出血性との2つのタイプに分けられます。脳卒中の多く約80%は虚血性で動脈内にできた血栓による閉塞により起こります。

残り約20パーセントが出血性で、この場合には脳内やその付近で動脈血管が破れることによって血液が正常に流れなくなること、またその血液が脳組織に入り込むことで異常が起こります。

原因

脳卒中の原因では、動脈硬化、高コレステロール値、高血圧、糖尿病、喫煙、遺伝、過度の飲酒、薬物(コカインやアンフェタミン)、血管炎などが考えられます。

症状

脳卒中の症状は突然起こります。また脳のどこで閉塞や血液流出が起きたかの位置によりその症状は異なります。一般的な初期症状として麻痺、触角・聴覚・感覚異常、めまい、視力低下などが考えられます。この際身体の左右のどちらか一方に症状が良く見られる場合が多いです。さらに脳出血の場合にはひどい頭痛や吐き気、意識が朦朧となることもあります。

虚血性脳卒中のほとんどで発症直後に機能障害が顕著にみられますが、症状が進行し1,2日後に機能障害が最大になる場合もあります。出血症脳卒中では、数分、数時間を機能損失が進んでいきます。可塑性を持つ脳損傷の部位によっては機能の回復が見込めますが痙攣や麻痺、そのほか生活で行う様々な運動が困難になる後遺症が残る場合もあります。

重度の脳卒中の場合には、合併症として頭蓋内亢進が起こる場合もあります。すなわち二次的に死亡につながる脳ヘルニアが起こる危険性もあります。ビオー呼吸が起こるのは呼吸のコントロールを司る中枢である延髄や橋の位置に損傷や被害が及ぶ場合です。

詳しくは、脳卒中の症状とは?原因や対処法、治療法を紹介!を参考にしてください!

検査

MRI・CT検査、血糖値の測定、感染症、血中酸素濃度の低下、脱水状態、嚥下能力、うつ病の確認など、原因や部位を特定する検査が行われます。

治療

昏睡状態の場合には呼吸用チューブによる人工呼吸装置が用いられ、頭蓋内圧の測定がおこなわれる場合もあります。現れる症状により投与される薬剤は様々です。抗血小板薬、抗凝固薬、血栓を溶かす、脳の浮腫を減少させる等の薬剤の投与が考えられます。

外科的治療としては、脳内に溜まってしまった血液を取り除く手術、そのほか頭蓋内圧亢進と同様な治療が考えられます。

脳卒中は治療より予防が重要となります。多くの原因が生活習慣病からくるものであるため、自分の生活を見直すことが脳卒中の予防につながります。勿論、脳卒中になってしまった場合にもこれは当てはまります。脳卒中は再発の恐れが十分あります。

リハビリテーション

加えて後遺症を改善するためにはリハビリテーションが有効であると言われています。運動学習により損傷していない脳組織が指令の代行を出来ることもありますし、身体の動かし方を習得することにより生活を容易にすることが可能です。

また脳組織が損傷を受けても、それが破壊されていない場合には半年から数年をかけて機能を回復させることが可能といわれています。ビオー呼吸の症状が脳卒中で見られた場合には発語障害が出る可能性があります。

特に失語症という言葉を表現・理解する能力の衰えや喪失がみられることがあります。ビオー呼吸の別名を失語性呼吸といいます。この場合には、患者にとって最も容易なコミュニケーションの手段を確立することが大切になります。文字や絵を描いた紙を使ったコミュニケーションや言語機能を刺激するよう単語を聞かせる等の運動が行われます。

まとめ

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いかがでしたでしょうか。ビオー呼吸は一時的なものであり、それ単体ではなく重篤疾患の症状の1つとしてでるのが分かりましたね。これは個人で判断するものではなく看護師や医師による観察によって判断されます。

いずれにせよ原因を特定することで異常な呼吸であるビオー呼吸を抑える対策が打てます。高熱や頭痛など風邪に似た症状から重病が発覚する場合もあります。症状が疑われる場合には早期発見をして適切な治療を行うことが大切です。

関連記事として、

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これらを読んでおきましょう。

  
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