日本のお米から作られる日本酒は、世界に誇れる日本のお酒でもあります。豊かな大地と、清らかな水から作られる純米の日本酒は他に類を見ない美味しさを持っています。
一方で「日本酒は太る」というイメージを持っている人もいるかもしれません。最近では糖質制限ダイエットが流行っていて、日本酒はお米から作られるから太るのでは?と思っている人も多いでしょう。
では、実際に日本酒と肥満にはどのような関係があるのでしょうか。
日本酒のカロリー
太る・太らないでまず気になるのはカロリーですよね。お酒を種類によってそのカロリーは大きく変わります。日本酒やその他のお酒のカロリー比較は100mlあたり以下の通りです。
- 日本酒:103kcal
- ビール:40kcal
- ワイン:73kcal
- 焼酎(乙類):146kcal
- 焼酎(甲類):206kcal
身近なお酒では以上の通りです。その他、ブランデーやウォッカ、ジンといった比較的アルコール度数の高いお酒は100mlあたりで200kcalを超えるカロリーがあります。
もちろん、これらカロリーは同じ量での計算です。ビールを100mlだけ飲むということはないともいますから、飲み過ぎればそれだけカロリー過多となるのでご注意を。
日本酒の糖質量
カロリーの他、太る原因として気になるのが糖質量です。最近では糖質制限ダイエットが流行っていて、お酒でも糖質オフとパッケージに情報が記載された商品が販売されるようになっています。ちなみに日本で初めて糖質オフの日本酒を発売したのは月桂冠です。では、日本酒やその他のお酒の糖質量はどのぐらいなのでしょうか?以下が糖質比較です。
- 日本酒(1合):8.6g
- ビール(100ml):3.1g
- ワイン(グラス一杯):1.5-2.0g
- 乙類焼酎:0g
- 甲類焼酎:0g
日本酒の糖質量は比較的多いように思われるかもしれません。しかし、8.6gというのは角砂糖2個程度の量。日本酒も大量に飲むわけではありませんから、実際に糖質はそれほど多く摂取しないでしょう。
反対に焼酎は糖質量が0g。これは醸造酒であるためです。同じウォッカやウィスキーなんかも糖質量が0gですから、糖質制限ダイエットという観点ではとても相性の良いお酒といえます。
日本酒のカロリー、糖質は多い?
日本酒のカロリーは一見高いようにも思えますが、そもそもの飲む量を考えるとそれほど摂取カロリーは低いのかもしれません。実際に1合飲むにしても、カロリーは196kcal。ご飯一杯程度です。糖質に関しても一合で8.6gですから、太る要因になるとは考えにくいでしょう。
日本酒はお米から作られるというイメージ。そして糖質制限ダイエットの流行や類する記事によってお米は悪というような印象から、日本酒は太るということが広がってしまったのかもしれませんね。
日本酒と糖質制限ダイエット
短期間で急激な体重減量が望めることで、とても話題になっている糖質制限ダイエット。そもそもこのダイエット法のメカニズムはどういったものなのでしょうか。
そもそも糖質とは
糖質は体のエネルギー源になる物質です。細胞活動や脳の活動において重要な物質で、血液中を絶えず流れています。糖質があるからこそ、私たちは生命活動をできているのですね。
糖質を摂取すると血糖値が上昇します。これは糖質が血液中を流れていることを意味しています。そして、糖質と細胞の橋渡しをするのがインスリンで、効率良く糖質を細胞へ届けていき、使われるようにしてくれます。
エネルギー源である糖質が多いと…
糖質は過剰にとりすぎて、うまく消費されなくなると脂肪分として蓄積されてしまいます。細胞へのエネルギー供給が過多になっているため、体は糖質を脂肪として蓄積するようにします。
また、インスリンは別名肥満ホルモンとも呼ばれています。これはインスリンが出ている間は血糖の消費を優先し、脂肪を燃焼しないようになるからです。
つまり、糖質を日常的に摂取し、血糖値が高くなっている人。そして、その血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌されている人ほど、脂肪燃焼がしにくく、太りやすいといえるのです。
糖質制限ダイエットでは糖質の量をカットする
糖質制限ダイエットではこのインスリンの分泌を抑えることが目的となります。糖質を摂取しなければ、血糖値は上がりませんし、インスリンも分泌されることはありません。体に蓄積している内臓脂肪から燃焼されやすくなるのです。
先に述べたように日本酒には糖質が含まれていますから、その摂取量には注意が必要です。しかし、気にするほどの量は入っていないというのが正直なところでしょう。
糖質制限ダイエットの2つの注意点
糖質制限ダイエットでは大きく2つの注意点があります。これを無視して、単に糖質をカットしてしまうと、かえって体に悪影響を与えてしまうことがあります。具体的には以下のことがあげられます。
1:糖質を丸々カットしてしまう
糖質制限と聞くと、糖質を食べていけないように感じる人がいます。しかし、糖質は体のエネルギー源。全くカットしてしまうと、体調不良を感じることがあります。
具体的には倦怠感、集中力の低下、めまい、たちくらみなどです。日常生活が送れないほど強い症状が出ることもあり、いきなり糖質をカットすることはとても危険でしょう。
糖質制限ダイエットはあくまで「制限」ですので、ある程度の量の糖質を摂取する必要があるのです。ダイエットを検討している人はこのことを忘れないようにしてください。
2:カロリーを他のもので補わなければならない
糖質をある程度制限すると、それまで食べていた分のカロリー摂取量が減ってしまいます。これもまた、体調不良の原因になることがあります。カロリーが少なければ、体の活動が低下してしまいますよね。
このため、糖質を制限した分、他のもので補う必要があります。それはたんぱく質や脂質といった栄養素を含む食材。お肉やお魚、豆類や発酵食品などです。栄養価の高い食材を食べるようにしましょう。
実際に日本酒で太ってしまうのか?
日本酒には糖質が含まれるということ。そして昨今の糖質制限というキーワードに敏感になり、日本酒を飲むと太ってしまうと思っている人も多いのかもしれません。しかし、単に日本酒だけでは太る可能性はあまり高くないと考えます。それは糖質の量と、日本酒を飲む量が理由です。
先に述べたように日本酒の糖質は1合で8.6g。1日で1合飲む人が大半だと思いますから、この量で押さえておけばいいと思います。また時間をかけて飲みますから、血糖値が急激に上昇することは避けられるでしょう。
またアルコールはカロリーがあるものの、その70%が代謝されます。このアルコール代謝の高さが太りにくい原因ともいえるでしょう。
「日本酒が太る」の本当の原因とは
日本酒を好んで飲む人は多いでしょう。そんな人のお腹がぽっくりと出ているなんてこともあるかもしれませんよね。
日本酒は太るほどの影響を与えないのですが、それ以外に太る原因を作っていることがあります。具体的には以下の原因が考えられます。
おつまみを食べすぎている
日本酒に欠かせないのがおつまみですよね。特に塩辛いものや揚げ物なんかを好んで食べる人は多いと思います。当然ですが、これらは食べ物は高カロリーです。
ついついお酒のお供に進んでしまうおつまみ。気分が高揚して食べすぎてしまうと、やはり太ってしまう原因となってしまうでしょう。食べすぎには注意したいものです。
シメのご飯を食べている
飲み会で気分が良くなると、シメのラーメンを食べるなんてことがあるかもしれません。もしくは、お茶漬けなどの炭水化物を食べることもあるでしょう。これも十分太る原因となります。
飲み会の多くは夜の時間帯。この時間帯に炭水化物を取ってしまうととても太りやすくなります。それは夜の活動量が少なく、脂肪の燃焼が起こりにくいからです。飲み会の日でも、なるべく摂生はしたいものです。
ビールにはご注意を
日本酒は比較的飲むペースが遅いかと思いますが、一方でどんどん飲めてしまうのがビールです。100mlあたりの糖質量は少ないですが、やはりジョッキで何杯も飲んでしまうものです。
ちなみにジョッキ3杯で糖質量は74.4g。350ml缶を3杯飲むと糖質量は32,4g。意外とこれぐらいの量を飲んでしまう人はいるかと思いますが、この量は注意が必要でしょう。それにプラスして料理も食べると、いよいよ肥満になってしまいます。
お酒が好きでビールばかり飲んでいる。そういう習慣をしているのであれば、一度見直してみることをおすすめします。歯止めが効かなくなるとどんどん太ってしまい、病気を作る原因にもなってしまうでしょう。
日本酒の太らないたしなみ方
日本酒はそれほど太らないお酒ではありますが、それでも気になるという人は飲み方を変えてみてください。おすすめの飲み方として以下の方法があります。
時間をかけてゆっくりと
お酒を飲むと気分が高揚し、その時間を楽しく過ごすことができます。しかし、一方で気分が高まれば高まるほど、食事が進んでしまう、なんてこともありますよね。
日本酒を飲むときはぜひ時間をかけてみてください。そうすることで、食事の進みも遅くなり、満腹中枢を満足させることができます。気がついたらお腹がいっぱいで食べられなくなっているので、余分な食事を食べなくて済みます。
チェイサーと合わせて飲酒
日本酒は比較的アルコールの度数が高いお酒。そのため、酔いが回りやすく、食が進んでしまうこともあるでしょう。そうならないためには、やはりチェイサーと合わせて飲むことをおすすめします。
水割り・お湯割で
意外と思われるかもしれませんが、日本酒は水割り・お湯割と相性がいいお酒です。味がまろやかになるのですね。酔いもゆったりと進み、過食を防ぐことができます。
熱燗で飲む
冷えた日本酒は体温を下げてしまいます。すると、糖質代謝が低下し、脂肪が燃えにくくなることがあります。飲み会では食べるだけですから、太りやすい体質を作ってしまうのですね。
一方で熱燗は体を温かくしてくれます。血液のめぐりが良くなり、代謝が良くなることが期待できます。時間をかけて日本酒を飲みつつ、食事量をセーブする。ぜひこのことを意識してみてください。
ある程度、食べ物を食べてから
お酒はすきっ腹であるほど回りやすくなりますよね。そうすると、どうしても判断力が落ち、ついつい食べ過ぎてしまうなんてことに繋がりかねません。
なので、飲酒の際にはまずいくつか食事を食べるようにしましょう。特にサラダなどの野菜から食べることで血糖値上昇を抑制できるので、おすすめですよ。
太らない飲み方は「飲みすぎない・食べ過ぎない」
日本酒に限らず、どんなお酒でも言えることですが、やはり太らない基本は飲みすぎない・食べすぎないということでしょう。カロリー・糖質過多はやはり太る原因なのです。
日本酒の糖質量やカロリーはそれほど気にしなくても良いですが、やはり飲みすぎてしまうとそれだけ肥満に近づくことは確かです。お酒好きでも、節制は必要です。
反対に言えば、きちんとした摂取量を守っていれば、ダイエットをすることは難しくないのです。ちょっと食事量を減らしたり、飲酒量を減らしたしするだけで、ダイエットの効果を実感することができるでしょう。
日本酒と食事ダイエットをするにあたって
お腹周りが気になってきて、ダイエットをしようと思っている。けど、日本酒が好きで止めることがなかなかできない。そんな人もいるのではないでしょうか。
では、日本酒とうまく付き合いつつ、ダイエットをしていくために気をつけることはどんなことなのか。その具体的なダイエット方法についていくつかみていくことにしましょう。
食事は時間をかけて食べる
私たちの脳には満腹中枢という器官があります。その名の通り、食べた量を調整する役割があります。満腹中枢が満たされるまでは時間にして約15分といわれていて、食事の時間を伸ばすことが食欲を抑え、食事量を減らすことに繋がります。
例えばお店に行って最初に食事をしたものの、そこから店側の手際が悪く料理がなかなかか出てこなかった。こんなとき、お腹がもうすでにいっぱいになっているという経験はありませんか?まさしく満腹中枢が満たされた例なのです。
満腹中枢が満たされるのは食事の量というよりも、食事時間なのです。このため、短時間で大量の食べ物を食べるのではなく、時間をかけて、少量の食べ物を食べるのがダイエットに効果的なのです。
日本酒と合わせるなら、少量のつまみを時間をかけて食べる。そうすれば、満腹中枢が満たされ食事量を自然と減らすことができると思いますよ。
食べるものに気をつける
飲み会の定番といえばやはり揚げ物。揚げ物は油分を多く含み太る原因となります。また、塩分が多いものですから、喉が渇いてついついお酒を飲んでしまうなんてこともあるでしょう。
しかし、ダイエットをするのであれば、食べ物にも気をつけたいもの。居酒屋メニューでいえば刺身や豆類などの食べ物をおすすめします。
糖質制限の視点から言えばご飯類やシメのラーメンといったものはご法度です。きちんと食事を終え、そのまま帰宅し、余分な食事をしないというのはダイエットで絶対守らなくてはならないことでしょう。
食習慣を身につける
太ってしまう原因は太る食習慣にあります。太る時間帯に食べる。太りやすい食べ物を好んで食べる。食べすぎ・飲みすぎが癖になっている。こういったことが原因として考えられるかもしれません。
ダイエットのポイントは食習慣の改善に他なりません。ダイエットが成功した後も体重を維持するためには、習慣化させる必要があるからです。
日本酒に限って言えば、食べ物を食べ過ぎないような食事の仕方を身につけることが大切なことになるでしょう。もちろん、飲み過ぎにも注意する必要があります。
日本酒を飲んでも太らない人は、太らない飲み方・食べ方をしています。反対に太る人は太る飲み方・食べ方をしてしまっているのです。このことを意識して、普段の食事を見直してみてくださいね。
まとめ
日本酒はダイエットに影響を与えるほどカロリーや糖質が多いわけではありません。きちんとした付き合い方をすれば、ダイエット中でも飲めることができるでしょう。
ダイエットをするときに意識してほしいのは、やはり食べているものです。日本酒と一緒にどんなものを食べているだろうか。それを考えることがダイエットのヒントになるのかもしれません。
日本酒はお米の美味しい日本だからこそ発展してきたお酒です。昔から多くの人に愛され飲んできたお酒だからこそ、きちんとした摂取量を守り、付き合っていきたいものです。
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