見た目がカエルの卵に似ているので「野生のチアシード」というジョークがSNSで話題になっています。イロモノフードか!と思ったらよく見たらタピオカみたいでスムージに混ぜたりお菓子に入れたりした写真も多くなんだかおしゃれな食べ物の様子です。
見かけの割に今時の女性も食べてる人が多いな~と思ったらそれもそのはずで、ダイエット食品としても注目されて米国では大ヒットしているようです。面白いし痩せられるなんて一回やってみたい欲しいなと思って検索していたら予測AND検索に「チアシード 副作用」との文字が・・・え?本当は危ない食べ物だったの?気になるチアシードの安全性を調査しました。
チアシードって何?危険なの?
チアシードで検索するとチアシードが危険!と煽っているブログもあれば、激ヤセする!最高に体にいい!副作用はありません!と書いているところもあります。
一体どれが正しい情報なのでしょうか。「ダイエット食品って時点でうさんくせぇ」という方も一度ご確認ください。
そもそもチアシードって何?
チアシードとは、チアの種のことです。一見ゴマのような見た目ですが水に浸すとタピオカのようにプチプチしたゼリー状の球体になります。水に浸すだけでタピオカみたいなプチプチ触感が楽しめるちょっと変わったダイエット食品として人気です。サプリなどではなく、南米の伝統的な食用の植物の種です。
チアシード自体はあまり味ははしません。ヨーグルトやスムージー、ココナッツミルクや牛乳に入れて食べます。プルプル部分がカロリーゼロなので、ちょっとの量で満腹感が得られる為にダイエット食品として注目されているようです。
チアシードの成分に何が入ってるの?
水につけると出てくるあのプルプルはこんにゃくにも含まれているグルコマンナンです。確かに食べ過ぎるとこんにゃくのように腸閉塞になっちゃうのかも?でもそれだけならこんにゃくも危険になっちゃいます。何が危険なのでしょう?
グルコマンナンの他には飽和脂肪酸(オメガ3系)、抗酸化物質、食物繊維、タンパク質、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛、ビタミンB群が含まれています。この中に副作用になる危険なものが含まれているのでしょうか?脂肪酸(オメガ3系)などはあまり聞きなれません。
・・・と思って調べたところ、オメガ3脂肪酸は青魚、えごま、シソ油、緑黄色野菜などに含まれているもので、いわゆるDHAなどがオメガ3脂肪酸と呼ばれるようです。チアはシソ科の植物なのでえごま(シソ科)とシソ油に近い成分なのは合点がいきます。
含有たんぱく質の中には人間が自分で合成できない必須アミノ酸が含まれてもおり、とても効率的な食べ物と言われています。どうも他の栄養素も普通に食品に含まれるもので、よっぽど食べ過ぎない限りは副作用はなさそうです。どんな食べ物でも食べ過ぎはよくありません。
チアシード自体には危険は無い?じゃあ何が危険なの?
どうもチアシード自体には危険は無いようです。
ただし、過去問題があってニュースになったようです。輸入元の管理が悪く危険なアフラトキシンがチアシードに発生したり、他には残留農薬が日本の規定に合っていないものもあったようです。いずれも輸入品にはつきものの問題ですね。
他には食べ方を誤ると発芽毒をとってしまう可能性があります。また、水を含むと10倍に膨れ上がる、という特性から、のどに詰まらせて窒息死してしまう人がいたそうです。こっちはモチやこんにゃくゼリー事件みたいですね。また水に浸さないで食べると腸内の水分を吸われてしまうので便秘になる可能性があります。お子さんが乾燥したチアシードを誤って飲んだら危ないかもしれません。
知っていれば避けられるチアシードの危険について
検索した限りではチアシードは残留農薬をチェックしたものを購入し、水につけてから食べれば安全に食べられるようです。でもなんだか検索に引っかかるブログが妙に業者臭くて信用できない感じもしますね・・・本当に安全なのでしょうか?
結論を言えば米国FDAやEUの食品成分評価機関では安全だと認められています。ただし食べ方や選び方に少々注意が必要です。
アフラトキシンって?
主にアスペルギルス・フラバスというカビが生成するアフラトキシンという毒が検出されたことがあるようです。日本国内では検出されないカビで、亜熱帯地域に生えているカビです。輸入食品から検出されます。
アフラトキシンを大量に摂取するとヒトや動物に急性の肝障害を起こします。主な症状は黄疸、急性腹水症、高血圧、昏睡です。
チアシードだけではなく、ピーナッツカカオなどの木の実、またその加工品のピーナッツバター、チョコレート、トウモロコシ、米などの他穀類もしくは加工品、ナツメッグ、白コショウなどの香辛料、牛がカビを食すると乳製品にも影響するので乳製品のチーズなどから検出されたことがあります。ただしほとんどが微量だといわれています。
食品衛生法では、総アフラトキシン(アフラトキシンB1、B2、G1及びG2の総和)を10 μg/kgを超えて検出された場合、輸入ができません。平成21の段階では最も毒性の高いB1の検査しかしていませんでした。
しかしピーナッツなどの木の実にはB1ではなく、G1が付着していることが多かったのです。チアシードも木の実に分類されています。
しかし平成28年1月23日から輸入されたものについてはG1の検査もしています。G1が規定値以内でなければ輸入ができなくなっています。この総アフラトキシンの規制は、コーデックス委員会(FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同でうち立てた国際政府間組織)の規格と同様のものです。
毒カビや残留農薬のニュースがありましたが、逆を言えばちゃんと調べているから見つかるということでもあります。規定以下のカビが付いていないとは言い切れませんが、検査を通過した食べ物なら特殊なアレルギーでもない限り安全といってよいでしょう。
おそらくアレルギーの疑いより、既にほかの輸入品からも摂取したことがある可能性のほうが高いです。
※アフラキトシンに対する規制の詳しい規格に関しては厚生労働省のページで確認できます。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/kabi_iroiro.html
残留農薬のついたチアシードを避ける方法は?
発ガン性物質、奇形児出産のリスクをもたらす残留農薬ですが、農林水産省規定のオーガニック認定(有機認定)されているチアシードを選べば安全です。輸入品でもこのマークがついている場合があります。
カビ防止と言えばポストハーベストですが、この規定についても配慮された認証が行われています。残留農薬はチアシードに限ったものではないですが、皮ごと食べるチアシードの場合、残留農薬は確かにちょっと気になりますね。
オーガニック認定が通ったチアシードは値段が高めではありますが、たくさん食べる方、妊娠を考えている方、お子さんと一緒に楽しみたい方はこのマークがついたチアシードを選んだほうが良いかもしれません。
どちらにせよ規定以上の農薬が検出された場合輸入自体できません。
「ええ?そんなのいちいち気にしてらんないよ。そんなこと言ったら輸入米は?大豆は?俺は大人だし、子ども産まないし、安いし、オーガニック認定なしのチアシードでいいや。」という人は、原産国の人が食べる以上には食べ過ぎないようにしたほうが良いかもしれません。
国によって残留農薬規定が違うのは、生活習慣や風俗や嗜好によって食べ方や食べる量が違うためでもあります。「この食べ物はそんなに食べないからこのくらいの残留農薬が入っていても摂取することがないだろう」とか「これは主食だから農薬は少なくしないと危険」という基準もなくはありません。たくさん食べたい場合は注意が必要です。また水で洗うといくらか落とせるようです。
原産国はボリビア、メキシコ、オーストラリアなどです。消費はアメリカなどにも拡大しダイエット食品としてヒットしているようです。
ペット用のチアシードが販売されていることがあります。合格基準が違うので人間用のチアシードを選びましょう。なれない英語や自動翻訳で海外サイトで買い物するときには要注意です。
※有機JASマークについては農林水産省のページで確認できます。
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html
発芽毒ってなに?
発芽毒はチアシードに限ったことではなく他の植物でも見られます。豆など、発芽していない種の状態の植物は外敵から身を守るために毒があるものがあります。
発芽玄米が健康食として有名ですが、発芽するまでは発芽毒があるため生食はできない状態です。水に浸して過熱するなど調理することによって消えていきますが、チアシードは生食です。大丈夫なのでしょうか。
結論を言うとチアシードの発芽毒、アブシシン酸は水に浸しているうちに消えます。チアシードの10倍量の水に12時間以上浸水していれば無毒化します。
なら発芽させちゃえばいいじゃん、と思う方もいるかも知れませんが、一般的に発芽にはでんぷん等の栄養分を使うのでお望みの養分が失われてしまうかも知れません。
チアシードは乾燥した地域で採れる植物のため、湿度の高い日本で日光を浴びさせると発芽してしまう可能性があります。発芽しても食べられますが発芽させたくない場合、密閉容器に入れて日陰で風通しの良い所に保管すれば2年くらいは大丈夫らしいです。
なおアブシシン酸を大量にとると、ミトコンドリアに悪影響を及ぼします。体温が下がって不妊になったり、代謝が悪くなったり、むくんだり、ガンの原因になったりします。
どうしても水に浸したくない方は過熱するとアブシシン酸は消滅します。ただしアブシシン酸の活動を停止する温度は200度です。ローストしないとダメそうですね。スープに使ってとろみを出すのに使う人もいるようですので、加熱して食べるのもよいかもしれません。
植物性タンパク質が腎臓に悪いって本当?
かつて一般的には、腎臓には動物性たんぱく質のほうが都合がいいという話もありましたが、今は大豆の成分のほうが良いといわれることもあります。どちらが本当なのかは議論中で、個人の体質によっても差があるようです。どれか一つから摂取しようとすることはリスクがないわけではありません。ダイエットとはいえ、動物性たんぱく質を全く摂取しないのも考えものなのかも知れません。
ナッツ類はほとんどが高たんぱくです。チアシードは水につけない状態で10グラムで50カロリーです。プルプル部分があるとはいえ、意外に栄養たっぷりです。ダイエット食品だからめちゃくちゃに食べていい!と思って大量に食べてしまうと知らず知らずのうちに腎臓に負担をかけてしまうかもしれません。
腎臓病の方はチアシードを食べるときは主治医と相談されてもいいと思います。
病気や薬の飲み合わせは大丈夫?
チアシードには血圧を低下させ、血糖値を制御する効果があるようです。うれしい効果ではありますが、糖尿病や心臓病の方は薬との効果が重複することもあるので医師に相談したほうがいいかも知れません。基本的には一緒に食事できるようです。
オメガ3脂肪酸もあまりにも大量に摂ると血圧低下血を引き起こします。米国食品医薬局によれば、オメガ3脂肪酸の適正摂取量は1日あたり2g以下といわれています。
日本国内での研究機関では、特定の効果を期待して服用する場合、1日あたり3g程度との判断を出しています。チアシードに換算した場合、よほど食べ過ぎなければ問題はありません。
アレルギーは大丈夫?
同じシソ科のえごま油やシソ油、ゴマ油、タイム、オレガノ、マスタード、にアレルギーがある人には、チアシードにもアレルギーがでる場合があるようです。
誰かが窒息死したって?
2014年アメリカで30代の男性がのどにチアシードを詰まらせて窒息状態になったそうです。
ソースは見つけられませんでしたが、水に浸さないで食べて途中で肥大化したのでしょうか。まあこれが危険なのであればモチも危険でしょうからそれほど気にしなくていいかと思われます。
ただお子さんとお年寄りには注意したほうがいいかもしれません。一見ゴマにも見えますし、ゴマの代わりにおかずに振りかけてしまうかも。のどに詰まらせるほどでなくても、水分を吸われて便秘になってしまうかも知れません。また前述したように、発芽毒を摂取してしまいます。保存場所には注意しましょう。
まとめ
様々なうわさがとびかうチアシードですが、結論を言うとオーガニックのチアシードを10倍量の水に12時間以上浸水して、栄養バランスを考えて過食しすぎず食べる分には問題ありません。何か問題があるとしても他の食べ物と同様です。食べ方に気を付ければおいしく楽しむことができます。
チアシードは水に浸して食べる点ではちょっと変わった食べ物ですが、豚肉や淡水生息の魚介類は生で食べてはいけないし、あまり脂肪分をとり過ぎると動脈硬化を起こす、というような程度の話です。食べ方を覚えてバランスよくおいしくいただけば他の食べ物と同様召し上がれます。
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