ついついやめられない煙草、身体に悪いばかりですぐにでもやめたほうがいいという事は分かっていますが、そう簡単にはやめられないのが喫煙習慣です。また、よく耳にする「禁煙したら太った」という話を聞いてしまうとまた禁煙が遠のいてしまいそうですよね。
とはいえ太るのが怖くていつまでも喫煙を続けていると、やせてはいるけどやつれている雰囲気になってしまい、肌も髪もカサカサになってきて…と美しさとは程遠い状態になってしまいます。また、病気になってしまったら大変です!
禁煙を考えている方のため、禁煙で太るという噂についてと予防策についてまとめました。
禁煙すると太る理由
禁煙したら太るというのは残念ながら本当のようです。では喫煙と食事、ダイエットにどのような関係があるのでしょうか。その理由は「食欲・味覚・胃腸」のあたりにありました。
禁煙による身体の変化
・食欲
煙草に含まれる成分の一つがニコチンです。このニコチンが血中に入る事で脳の一部の満腹中枢に関与する部分を活性化させ、空腹感を感じにくくなるために食欲そのものが減ってしまいます。喫煙中は空腹を煙草で紛らわす事ができているため食事の量が減っていますが、禁煙する事で食欲が正常に戻りたくさん食べてしまい太ってしまいます。
・味覚
喫煙は味覚に影響を及ぼし、味を分かりづらくしてしまいます。特にうまみ成分は分かりづらくなってしまうと言われています。このため物が美味しくなく感じ、食べる量が減っています。禁煙する事で味覚が正常に戻り、たくさん食べてしまって太ってしまうパターンが考えられます。
喫煙による味覚の変化にはいくつかの理由があります。
- 亜鉛の減少
- タールの付着による皮膚の感覚障害
- 口、脳の神経の損傷による味覚中枢の障害
- 口の血流が悪くなった事による味覚の神経伝達阻害
- 舌のがんなどの病気
舌は表面にある味蕾で味を感じていますが、喫煙により味蕾がダメージを受け減少してしまいます。また、味蕾の入れ替えには亜鉛が関係していますが、喫煙により亜鉛も減少するので味蕾は減少する一方です。しかも血流が悪くなっているとなると、味に関しては相当鈍ってしまっているといえます。
禁煙する事で味蕾は回復するので、味がわかるようになり食べる量が増えてしまいます。
・胃腸
禁煙により腸内環境が変化して細菌のバランスが変わるという指摘があります。禁煙によりプロテオバクテリアとバクテロイデスという細菌が増え、食べ物を脂肪として変換する量が多くなるため肥満傾向が出て来ると言われています。
また、喫煙により胃腸はダメージを受け、粘膜の成分が少ない状態になります。胃が傷つきやすい状態にあるため、食事の後に胃もたれや胃痛を起こす事が多くなります。さらに、血流が阻害されるために胃腸の働きも低下します。禁煙によりこれらの働きが正常に戻るため消化吸収能力が改善され、栄養を吸収しやすくなります。
精神的な面の問題
禁煙にはイライラがつきものです。煙草をやめるとニコチンの供給が止まるために脳が「ニコチンが足りない」という命令をだし、イライラにつながります。
これを解決するためについ何か食べてしまうので太ってしまうのです。以外とこれが一番の体重増加の原因かもしれません。
喫煙がダイエットに及ぼす悪影響は
喫煙によってダイエットになるならと思ってしまいそうですが、そう簡単ではないようです。
煙草に含まれるニコチンは、糖の代謝に影響を及ぼします。ニコチンによって脳内の神経物質の生産が変化し、糖を取り込む感受性が低下する事が分かっています。このため筋肉が糖を利用できなくなるため、血糖値が上昇し高血糖になってしまうのです。
高血糖は糖尿病の症状としてみられる事が多い症状ですが、慢性的に高血糖状態が続くと臓器障害につながり、脳卒中や心筋梗塞につながる恐れがあります。
さらに筋肉中では糖分が不足していると勘違いされ、筋肉の分解が分解される糖新生という現象が起こります。ダイエットのためには筋肉を増やして基礎代謝を上げたいところですが、煙草によって全く逆の事が起こってしまうのです。
また、喫煙は味蕾にダメージを与え、細かい味を分からなくしています。自然と濃い味付けを好むようになり、塩分の取り過ぎてしまう事が多く健康に悪影響を及ぼします。
禁煙しながら太らないためにできること
喫煙している時は、少しずつ自分に毒を盛っているような状態になっています。
身体は毒を追い出すのにいっぱいいっぱいになっています。禁煙により身体が変化していく間はどうしても太りやすくなります。同じ量を食べていても太ってしまうという話も聞かれますが、太りやすくなったというよりは正常に戻ったという事です。
食欲は自分でコントロールできるはず、できるだけ太らないよう気をつけつつ禁煙を続けて行きたいものです。以下のような点に気をつけましょう。
薄味に切り替える
味蕾の回復や亜鉛が減らなくなる事によって味覚が戻って来るので、薄い味でも充分においしさを感じる事ができるようになります。
脂っこい食事や塩分の多いものを避ける事で健康にもよく、太りづらい食事を取ることができます。
口寂しい時は歯ごたえのあるもの
ついついたべてしまうガムやキャンディーを、昆布や野菜スティックに替えるという方法があります。歯ごたえのあるものを良く噛んで食べる事で、気を紛らわす事ができます。
食事は八分目で歯磨きを
食後の一服がやめられない方、非常に多いのではないでしょうか。満腹になるとリラックス状態になるため脳がニコチンを欲しがるという説があります。
これを防ぐためと太りやすくなっている状態を考え、食事は八分目くらいで止めておくとよいでしょう。また、しっかり区切りを付けるため食後の歯磨きがおすすめです。
こまめに身体を動かす
禁煙する事で以前よりも身体を動かす事が困難では無くなって来るはずです。階段の上り下りや早歩きなどすこしでも身体を動かす事で、禁煙により太りやすくなっている分をカバーできます。
また、息切れしにくくなった、走れるようになったというような分かりやすい変化はモチベーションの維持にもつながります。
ストレスを溜めない
ストレスを溜めると甘いものやドカ食べをしやすくなります。煙草を吸えないストレスが食事に出てしまうと相乗効果で太ってしまうので、できるだけストレスを溜めないような方法を取る事が大切です。
イランイランのアロマオイルや、ニコチンパッチの使用によってスムーズに禁煙できたという方も多いようですが、このあたりは本当に人それぞれなので難しい所です。食事と喫煙以外のストレス解消方法を見つけるなどの工夫をするとよいでしょう。
まとめ
禁煙によって太ってしまうというのは事実ですが、これは一時的なもので決して健康にダイエットが出来ているという事ではありません。
また、純粋に禁煙による身体の変化で起こる体重増加は2キロ程度というデータもあり、健康と天秤に掛ければ許せる範囲かなという気もします。食欲やストレスをコントロールできれば劇太りを心配する必要はありません。
また、長期間の喫煙により筋肉が減る、血糖値が上がるなどダイエットに悪い事も起こっているので、長い目でみればダイエットにも役立ちます。
体型の維持も大切ですが、美しさは健康な身体あってこそです。できるだけ太らないように気をつけながら禁煙して、身体を正常な状態に戻すよう心がけましょう。
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