ルチンをご存知でしょうか?そばなどに含まれている抗酸化作用が強い栄養素です。ルチンは高血圧、血栓症、肌の老化防止、アレルギー症、風邪をひきやすい、動脈硬化の予防、がんの予防などの沢山の効能があるとされています。
現代ルチンを多く含む「そば」は引っ越しそばのように「細く長くお付き合いを・引っ越しました」、「前年の厄を断ち切って長寿を願う」年越しそばのように縁起物として活用されています。
そのそばの中のルチンが今脚光を浴びています。ルチンについて詳しく見てみました。
ルチンについて
ルチンは抗酸化作用の強いファイトケミカルのそばの実や、イチジクに特徴的に含まれている、ポリフェノールの一種のビタミンPとも呼ばれ水る溶性のビタミン様物質です。
中国の四川省山間部で栽培されている韃靼そば(だったんそば・日本名苦そば)には、ルチンが普通のそばの100倍も多く含まれます。
ルチンとは
ルチンは紫外線から身を守るために植物が作り出した成分です。私たちも強い紫外線を浴びることがよくないのと同じで動植物も同じです。
動物は紫外線を避けるために移動することができますが、植物は移動することができないので、紫外線から身を守るために作り出された防御物質です。
丁度人間でいうと紫外線除けの日傘やサングラス、UVカットクリームのような役目をルチンはしているのです。
ルチンは生活習慣病の心臓疾患や動脈硬化、高血圧の予防に役立ち血糖値の回復作用があります。また、ビタミンCの吸収を助ける効果や、細菌の侵入を防いだりする働きもあります。
ルチンを含む植物は昔から生薬として利用されていて、出血や炎症を抑えたり腰痛を和らげる薬として使われていました。
フラボノイド
ルチンは柑橘フラボノイド配糖体という物質の一種で、ほとんどの植物に含まれています。フラボノイドとはポリフェノールの一種で、また、カテキンやアントシアニンもフラボノイドの一種なのです。
柑橘フラボノイド配糖体にはルトサイド、ケルセチンなどがあり、黄色い色素成分の天然ルチンは水には溶けないでアルコールに溶ける性質を持っています。
食品添加物は合成された水溶性ルチンで作られています。
ファイトケミカル
植物性食品に含まれる抗酸化作用の強い色素・香・渋み・苦み・えぐみなどの成分から発見された化学物質の総称です。
ファイトケミカルは魚介類や海藻などに含まれていることもあります。栄養素以外の成分で第7の栄養素として現在脚光を浴びています。
ファイトケミカルの種類は
- ポリフェノール
- カロテノイド
- 含流化合物
- 香気成分
- 糖関連物質
- アミノ酸関連物質
ルチンの歴史
1930年にルチンは発見されています。当時はビタミンPと呼ばれていて、皮膚内や粘膜下などに出血を起こす紫斑病の治療に有効として使われていました。
ビタミンPからルチンとなったのは、ビタミンなら欠乏症を見ることができますが、見られないためにビタミン様物質としてルチンという名がつけられました。
ビタミンPは透過性(Permeability)のPの頭文字を取っています。現在はビタミンPには、ルチンの他にヘスペリジンやケルセチンなどの成分も含まれます。
- ヘスペリジン・・・・みかんの果実の皮の白い筋の部分のアルベドに含まれている
- ケルセチン・・・・・リンゴに多く含まれる黄色の色素成分
ルチンの性質
ルチンはビタミンCの研究中に発見された、ビタミンPの一種のビタミン様物質で、ポリフェノールのフラボノイド系に属する抗酸化作用の強い栄養成分です。
ポリフェノールとは自然界に5000種類以上存在するといわれる、植物の色素、苦み、渋みの成分となっている栄養素です。
全てのポリフェノールは強い抗酸化作用があり、生活習慣病の予防効果があるといわれています。ルチンはビタミンCと共に働き毛細血管を強化して、出血性の疾患に効果を現しています。
ルチンの特徴としては、ビタミンCの吸収を促進する働きがあり、ビタミンCを併用することでよりルチンの効果効能を発揮することができます。
ビタミンCとの併用で、体内でのコラーゲン合成などのサポートをするので、健康効果だけでなく美容効果にも効果を現しています。
これらのことからルチンの薬理作用が研究されています。ルチンの場合動物実験では多くの研究報告がありますが、人での臨床研究はあまり証明されていません。
ルチンの薬理作用
発育阻止作用
1947年の研究で黄色ブドウ球菌に対して、ケルセチンは相当の毒性を持ち成長を阻止しましたが、ルチンは菌の発育阻止作用がありませんでした。
しかし、ルチンはケルセチンを2~3%含んでいて、フラボノール(ルチン・ケルセチン・)が菌の発育阻止作用を持っていることが分かりました。
抗ウイルス性効果
1949年の研究結果では、抗ウイルス性効果はケルセチンやケルチトリンは明快な予防作用を示しました。
ルチンは明快な作用を示しませんでしたが未来のある結果となりました。それは、21匹中4匹が生き残ったのに対し、14匹が生き残ったからです。
ルチンの健康効果と美容効果
ルチンには健康効果と美容効果が含まれています。ルチンの強力な抗酸化作用がさまざまな効果を現しています。
健康効果
そばを食べていると脳溢血になりにくいといわれています。その理由は、ルチンが新しい弾力性のある血管に再生する働きがあり、同時に血液をスムーズに流す作用があるためです。
ルチンのポリフェノールは抗酸化作用が強いばかりでなく、血圧や血糖値を低下させ血栓を防いで血流をスムーズにする働きがあります。
そのため、糖尿病の予防効果となる高血圧や、動脈硬化などが改善されるといわれています。また、ビタミンCを同時に摂取すると内出血を防ぐ毛細血管を強化する働きがあります。
アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの分泌速度を遅らす働きがルチンにはあるので、アレルギー治療薬としても採用されています。
不老長寿の人たち
そばの産地では高血圧や認知症の人が少ないという報告例があります。韃靼そばの中国の「彝(イ)族」の少数民族は1日に3食韃靼そばを食べます。生活習慣病の患者がほとんどいなく、不老長寿の人たちです。
韃靼そばの含有量は23gあり、そばは230mgです。
そばに含まれるルチンの量は特に成長の過程でも日照量が大きく関係して、品質や栽培条件によって大きく異なります。
美容効果
ルチンはコラーゲン生成に関与するビタミンCの働きを助けるので、ビタミンCを同時に摂取すると、シミやシワ、そばかすなどを除去し肌を甦えらせる働きに関与しています。
ですから、ビタミンCを強化する働きがあるため、美白効果、コラーゲン合成促進作用、スキンケア化粧品の抗酸化性・メラニン抑制成分として化粧品業界で利用され研究されています。
ビタミンCは摂取しても身体の中の滞在時間は短いですが、ルチンと一緒に摂取していると長く滞在することになります。
ビタミンCは皮脂の分泌をコントロールする働きがあります。毛穴は皮脂の過剰分泌により汚れが蓄積します。
ビタミンCの吸収を助ける働きのあるルチンは、毛穴の引き締めに一役買っています。また、汚れが毛穴に溜まって空気に触れ酸化するのを防いでいます。
ルチンの栄養効果・効能
ルチンは強い抗酸化物質(機能性成分)であるので、全般的な生活習慣病の予防効果があります。ビタミンCの吸収促進する働きもあり、ビタミンCの併用でコラーゲン合成などの役目も担っています。
生活習慣病の予防効果・効能
ルチンは血流を良好に促す毛細血管の弾力性を保つ働きがあり、動脈硬化や脳血管障害予防に効果的です。また血管収縮作用があり血圧降下作用、高血圧の予防、痔の予防効果などがあります。
毛細血管などの静脈の強化作用の働きがルチンにはあるので、肛門皮下の静脈に作用して痔の治療に有効です。
ガン予防効果・効能
ルチンはポリフェノールの一種の強い抗酸化作用のある栄養成分があります。抗酸化作用には活性酸素の発生を抑制します。
ルチンは細胞に障害を与えるフリーラジカルの生成を抑え、ガンの増殖及び転移を制御できる可能性があることが分かっています。
認知症予防効果・効能
ルチンは抗酸化作用によって脳細胞の酸化を防ぎ活性化させます。そのため、認知症の予防効果に期待が持てます。
アルツハイマーなどの認知症予防・改善効果にルチンの持つ抗酸化作用と血流の改善作用は脳の機能の維持にとてもよい影響を与えています。
2014年に中国で行われた実験では、ルチンを投与したマウスは
- アミロイドβ(アルツハイマーの原因物質)の減少
- SOD酵素(活性酸素を除去する働きのある酵素)の増加
- 脳神経の酸化防止と活性化と、記憶障害の改善
上記の反応がみられました。
心疾患を予防する効果・効能
弾力がなくなり脆くなった血管を元の弾力ある血管に再生する働きがあるので、血液循環に関わる病気や疾患に有効で、また、心臓疾患の予防・改善効果などもあります。
2012年のハーバード大学の研究によると、血小板の凝固作用を阻害して血液をサラサラにし、血流改善効果があるとのことです。そのため、静脈瘤の改善も期待できます。
また、心臓病や脳梗塞、肺塞栓症、エコノミークラス症候群などの効果も見られます。
抗炎症効果・効能
抗炎症効果により花粉症を抑える効果があります。ルチンは頭皮の炎症を抑える効果があり頭皮の環境を整える効果があります。
また、血流もよくなるので育毛効果があります。大体早い人で3ヶ月~6ヶ月といわれていますが、個人差があるので期間についてはハッキリとはいえません。
しかし、育毛剤を使う前にルチンの入っているそばを試してみるのもよいのではないでしょうか?育毛用によいそばは
- 韃靼そば(日本では苦そば)
- そば粉100%の十割そば
- 90%そば粉で10%つなぎに小麦粉の九割そば
更科そばは胚芽の真っ白い部分だけを粉にしたもので、小麦粉や山芋のつなぎが多いです。そのため栄養価は落ちますので、育毛には向いてない可能性があります。
ルチンの摂取によって育毛効果・効能のでる人は
- 血行不良で頭皮が薄毛やハゲになっている人
- 頭皮で炎症やかゆみを引き起こしている人
- 皮脂が過剰に分泌され雑菌が繁殖して薄毛やハゲになっている人
出血性疾患の予防効果・効能
ルチンは血流をスムーズにする働きがあり、ビタミンCと協力して毛細血管を強化します。
また、脳卒中や歯ぐきからの出血など出血性疾患を予防する効果があるので、血友病の改善にも期待されています。
糖尿病予防効果・効能
ルチンは膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促すので、急な血糖値の上昇を抑え障害をもたらす物質の働きを弱めます。また、アルドースレタクターゼ酵素の活性を阻害します。
アルドースレタクターゼは糖尿病の引き起こす要因と考えられている、炭水化物代謝に関わる酵素です。
2011年オーストラリア、2006年にアンナーマライ大学の実験例では糖尿病を患ったマウスにルチンを投与して、糖尿病の原因となる物質の血中のグリコースやリポタンパク質の濃度を低下させていると発表しています。
変形性関節症改善効果・効能
分解酵素のトリプシンとブロメラインの酵素とルチンを併用すると、膝の痛みのある変形性関節症に改善効果が、パキスタンで行われた研究で認められています。
トリプシンはたんぱく質分解酵素で脾臓から分泌されます。また、ブロメラインはたんぱく質分解酵素で生のパイナップルにふくまれています。
その効果はジクロフェナク並とされています。ジクロフェナクは関節炎の処方薬として知られています。
自然療法のルチンのもつ利用価値の高さが示されていて、国立健康・栄養研究所報告でも有効性が示されています。
悪玉コレステロールを分解する効果・効能
2010年のインドのアンナーマライ大学によって行われた研究で、45日間に渡って40~60歳の高血圧の患者に1日1回ルチンを500㎎摂取したところ、血中のコレステロールの数値が有意に低下したことが発表されています。
これは強い抗酸化作用の効果によるものではないかといわれています。
エイジングケア効果・効能
老化の原因や、身体に悪影響を及ぼす活性酸素を取り除く働きとして、エイジングケアの効果もあります。
また、そばを食べた後にビタミンCを摂取すると、シミやそばかすを予防し肌をよみがえらせるコラーゲンの生成にも関与しています。
ルチンを含む食品と効果的な摂取方法
ルチンを含む食品はそばやイチジクの他に、トマト、アスパラガス、みかん、グレープフルーツ、ライム、レモン、ルイボスティーなどにも入っています。
そばアレルギー
ただし、そばは重篤なアレルギー症状を起こすたんぱく質が含まれているので、そば茶を飲むときはアレルギーに注意が必要となります。ルチンは必須成分ではありません。
効果的な摂取方法
一日に必要なルチンの摂取量は20mg~30mgです。1日に1回そばを摂ることでこの摂取量は達成できます。そばの実の外殻に近い部分により多くルチンは含まれています。
特に韃靼そばはルチンが普通のそばの約100倍以上といわれています。そばは茹でている間に、ビタミンB1、ビタミンB2などと一緒に水溶性のルチンはゆで汁に溶け出ます。
そば湯を飲む
そばを食べる時はそば湯を飲むとそばの栄養を満遍なく摂ることができます。
そばを食べた後ビタミンCをすぐ摂取する
また食べた後にビタミンCを含むミカンやグレープフルーツ、イチゴなどを摂取するとより一層ルチンの栄養効果が期待できます。
ルチンはビタミンCと同じで余分な量は排泄されます。今のところ重篤な摂り過ぎによる副作用や、欠乏症も報告されていません。
なぜ、そばがこれほどまで栄養価があるかというと、他の麺類は胚芽をすべて取り除きこねたものと違い、そばは胚芽もしっかり入っているのです。
丁度白米と玄米の違いのような物で、栄養価が全く違ったものになります。
ルチンの健康食品について
健康食品やサプリメントなどにおいて、有効性情報として副作用がでています。(独)国立健康・栄養研究所によると副作用をして
- 頭痛
- 紅潮
- ほてり
- 軽度の胃腸障害
などがでています。妊婦さんにおけるデーターが出ていないため、過剰摂取はやらないほうがよいでしょう。食べ物として食べる分については副作用は認められていません。
薬理作用において、人体実験によるルチンの排泄に関する研究の中でも毒性を見つけることができませんでした。
医師による人体実験の患者に与えた臨床実験の結果無毒であると証明されました。安全性について危険性はないと見られています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ルチンについて見てきましたが、ルチンは蕎麦(ソバ)に沢山入っています。
そばは昔から栄養があると聞いていましたが、そばの中の栄養成分のルチンにこれだけの栄養効果があるとは今まで知りませんでした。
植物は紫外線を避けることができないので、自分の身を守るためにできた栄養成分が人間の栄養となりさまざまな疾患に効果を示してくれることは本当にありがたいことですね。
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