女性にとって、デリケートゾーンについての悩みは尽きませんよね。デリケートゾーンについての話題は、どうしても周りの人に相談をしにくいものです。
デリケートゾーンについての悩みの中でも、生理用ナプキンを使用しているときに、デリケートゾーンがかぶれることによる痛みやかゆみが悩みの種となっている女性は少なくないでしょう。周りの人に相談しにくいことから、中には生理用ナプキン使用時のデリケートゾーンのかぶれは仕方ないと諦めている人もいるかもしれません。
そこで今回は、生理用ナプキンを使用している際のデリケートゾーンのかぶれについて、その原因や対処方法などをご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
この記事の目次
デリケートゾーンのかぶれの原因
デリケートゾーンのかぶれについての対処方法などを深く理解するには、かぶれの原因について知っておく必要があります。
そこで、生理用ナプキン使用時のデリケートゾーンのかぶれの原因について、ご紹介したいと思います。
最大の原因はムレと摩擦
生理用ナプキンの使用の際に、デリケートゾーンの肌がかぶれて、痛みやかゆみといった症状が現われる人は少なくありません。このようなデリケートゾーンのかぶれの最大の原因はムレと摩擦です。
生理用ナプキン装着によるムレ
生理中は生理用ナプキンを長い時間にわたり装着することになり、ナプキンをデリケートゾーンに当てていると必然的にムレやすい状態になります。つまり、もともと下着にナプキンを装着して通気性が悪くなりムレやすい状態にあるところに、汗や経血の水分でより湿った状態になります。
そもそもデリケートゾーンと呼ばれる外陰部の皮膚は、身体の他の部分の皮膚に比べて皮膚表面の角質層が薄いため、皮膚が有するバリア機能も当然弱くなっています。
そのため、皮膚が弱いという事情の無い通常の人であっても、ムレによって外陰部の皮膚がふやけて損傷しやすくなるのです。ましてや皮膚の弱い人の場合、ムレによって皮膚が損傷しやすくなっているところに、ナプキンで吸収できなかった汗や経血が皮膚を刺激することにより、デリケートゾーンのかぶれを引き起こしやすいのです。
また、このような生理用ナプキンの装着による通気性が悪く湿った状態は、体温による適度な温度と相まって、雑菌が最も繁殖しやすい環境であることに注意しておく必要があります。
生理用ナプキン装着による摩擦
市販されている生理用ナプキンの多くは、一般的に紙ナプキンと呼ばれ、使い捨てタイプとなっています。
しかしながら、紙ナプキンと呼ばれるにもかかわらず、多くの生理用ナプキンはポリエチレン・ポリエステルといった石油を原料とする素材で作られています。このような石油由来の化学繊維は防水性に優れるほかに、その防水性ゆえに素材としての耐久性にも優れます。
そのため、デリケートゾーンがムレて損傷しやすくなっているところに、歩いたりすることで外陰部の皮膚に接したナプキンの繊維と肌が摩擦を生じ、繊維と肌が擦れて炎症や腫れといったかぶれを引き起こすのです。
生理用ナプキンの装着方法の間違い
このようにデリケートゾーンのかぶれの最大の原因はムレと摩擦ですが、ムレと摩擦を助長してしまうのが、生理用ナプキンを間違った方法で装着していることです。
最近の生理用ナプキンは様々なタイプのものが市販されていますが、どれも同じだと思って我流で適当に装着している人が多いのです。実は生理用ナプキンは、その商品によって微妙に装着方法や装着場所が異なります。
そのため、ナプキンの装着方法や装着場所が異なると、生理用ナプキンとしての機能を十分に発揮することができず、経血の吸収が不十分となってしまうこともあります。すると、吸収できなかった経血がムレの原因となってしまいます。
また、適切な位置に装着していなければ、足や腰を動かした際にナプキンと外陰部の肌との間に不必要な摩擦を生じる原因にもなりかねません。
タイトな服装や下着を身につけている
生理用ナプキンの装着方法の間違いと同様に、ムレと摩擦を助長してしまうのが、タイトな服装や下着を身につけていることです。
下着にナプキンを装着している時点でムレやすい状態にあるのは前述の通りですが、加えて締め付けの強い下着やガードル、あるいはストッキング・レギンス・ジーンズなどのタイトな服装は、よりデリケートゾーンのムレや摩擦を増してしまうことになりかねません。
また、このようなタイトな服装は血行不良を招きやすく、血行不良による生理痛を悪化させる可能性もありますので注意が必要です。
生理用ナプキンの交換不足
生理が始まると、一般的に2~3日目にかけて経血の量が多くなります。経血の量が多くなれば、必然的にナプキンの交換も頻繁にする必要があります。
しかしながら、このような経血の量が多い時に、ナプキンの取り替え回数が少なくなると、デリケートゾーンのムレや細菌の繁殖につながります。そして、細菌が繁殖すると、思わぬ感染症に感染する可能性もありますので注意しなければなりません。
生理用ナプキンの素材が体質的に合わない
前述したように生理用ナプキンの主要な素材である化学繊維の素材的な強さによって、摩擦によるかぶれが生じることがあります。
また、肌の弱い人の中には、化学繊維そのものが体質的に合わないことにより、皮膚に接触するだけでかぶれる人もいます。多くの場合、天然のコットン素材の布ナプキンに変更すると、患部が回復する傾向があるようです。
ただし、天然素材なら絶対に大丈夫というわけでもなく、布ナプキンでかぶれが生じる人もいますので注意が必要です。
デリケートゾーンの洗い過ぎ
生理用ナプキンを装着していると、どうしてもデリケートゾーンがムレてしまい、清潔にしたい一心で入念に洗浄してしまいたくなります。
しかしながら、デリケートゾーンの皮膚は薄くバリア機能が弱いため、ゴシゴシと洗浄し過ぎると逆に皮膚を損傷させてしまい、炎症や腫れといったかぶれにつながりかねません。
また、膣の中は基本的に膣分泌液による自浄作用が働いていますので、頻繁に膣内洗浄をする必要はありません。むしろ、頻繁に膣内洗浄をしてしまうと、乳酸菌などの膣内を正常に保つ常在菌まで除去することになり、感染症にかかりやすくなってしまいます。
デリケートゾーンがかぶれた時の応急措置と注意事項
何度も申しますが、デリケートゾーンの皮膚は薄くバリア機能が弱いため、そのケア方法には注意を要します。それでは、デリケートゾーンが実際にかぶれてしまって、痛みやかゆみがある場合、どのようなことに注意して応急措置をすれば良いのでしょうか?
そこで、デリケートゾーンがかぶれた時の応急措置と注意事項について、ご紹介したいと思います。
生理用ナプキンをこまめに交換する
デリケートゾーンのかぶれに対する応急措置としては、こまめにナプキンを交換することが挙げられます。
こまめに交換することで、経血の吸収漏れや汗によってデリケートゾーンが過度に湿った状態になることを回避することができ、かぶれの悪化を防ぐことができます。
タイトな服装は脱ぐ
デリケートゾーンのかぶれによる痛みやかゆみに気付いた時に、タイトな服装をしていたならば、応急措置としてガードルやストッキングを脱ぐのも一つの方法と言えます。
もちろん、ジーンズや下着などを外出先で着替えることは難しいですが、ガードルやストッキングならば脱ぐことをできる場合があるでしょう。自宅の場合には、もちろんジーンズなどのタイトな服装は脱いでしまいましょう。少しでも通気性を良くすることが、かぶれの悪化を防ぎます。
石鹸による洗浄には注意
生理用ナプキンの装着によるムレや摩擦が原因とみられるデリケートゾーンのかぶれが生じると、どうしても清潔にしたいと石鹸で洗浄したくなるのが自然な心理かもしれません。
しかしながら、市販されているボディソープなどには界面活性剤が含まれていることが多く、バリア機能の弱いデリケートゾーンにとっては界面活性剤による刺激が強すぎて、かぶれを悪化させる可能性があります。
ですから、デリケートゾーンにかぶれが生じている場合は、石鹸による洗浄はなるべく控えて、お湯のみで洗い流すようにしたほうが良いでしょう。
ウェットティッシュの成分にも注意
現代女性が置かれている忙しい日常においては、生理期間中であって外出せざるを得ないこともあるでしょう。外出先において、かぶれによる痛みやかゆみが生じた場合は洗浄することが物理的に難しいですから、ウェットティッシュなどでデリケートゾーンを拭くといった対処になると思います。
ただし、使用するウェットティッシュの成分については注意が必要です。無香料かつノンアルコールといった刺激成分の少ないウェットティッシュを用いると良いでしょう。
デリケートゾーン専用の治療薬の使用
デリケートゾーンのかぶれた患部をお湯やウェットティッシュできれいにした後は、デリケートゾーン用のかゆみ止めが市販薬として販売されていますので、そちらを患部に塗布しておくと良いでしょう。
デリケートゾーン用のかゆみ止めとしては、「フェミニーナ軟膏」が有名ですが、肌が弱かったり、アトピーやアレルギーなど肌質・体質には個人差がありますので、購入の際には自分で選択するよりも薬剤師に相談してみると良いでしょう。
デリケートゾーンのかぶれに対する根本的な対処方法
このようにデリケートゾーンのかぶれに対する応急措置についてご紹介しましたが、応急措置はあくまで応急的なものにすぎません。
できれば、最初からデリケートゾーンがかぶれないに越したことはありません。そこで、デリケートゾーンのかぶれに対する根本的な対処法・予防方法について、ご紹介したいと思います。
自分の肌に合った生理用ナプキンを選ぶ
最近は生理用ナプキンの種類も増えて、様々な機能性が付加された商品が販売されています。例えば、生理の匂い対策としてデオドラント効果が付加されていたり、通気性にこだわった商品などが販売されています。
しかしながら、いくら通気性にこだわっていても、下着だけの場合に比べるとムレやすいという事実は変わりません。また、ナプキンの素材が肌に合うか否かも個人差が大きく、友人の肌に合っても自分の肌に合うとは限りません。
ですから、いくつかのナプキンを試してみて、自分に最も合ったナプキンを見つけておくことが、デリケートゾーンのかぶれに対する根本的な対処法の一つと言えるでしょう。
生理用ナプキンをこまめに交換する
デリケートゾーンのかぶれに対する応急措置と重なりますが、こまめにナプキンを交換することも根本的な対処法の一つと言えます。
こまめにナプキンを交換してデリケートゾーンを清潔に保つことは、基本中の基本として認識しておきましょう。
心身ともに健康でいること
デリケートゾーンのかぶれを予防するには、当たり前のことですが、心身ともに健康でいることが大切になります。というのも、デリケートゾーンの皮膚に限らず、一般的に皮膚が炎症や腫れなどのかぶれを起こす場合は、何らかの要因によって身体の抵抗力や免疫力が低下していることが多いからです。
女性は男性に比べて、ホルモンバランスが変化しやすく、それに伴って精神的にストレスを感じやすかったり、体調の変化が生じやすかったりします。ですから、可能な限り十分な睡眠や休養を取り、バランスの良い食事や適度な運動をすることで、心身ともに健康を保つようにしましょう。心身ともに健康であることが、身体の抵抗力や免疫力を高い水準で保つことにつながります。
事前に医師にケア方法を相談する
デリケートゾーン専用のかゆみ止めを購入する際に薬剤師に相談するように、肌が弱かったり、アトピーやアレルギーなど肌質・体質には個人差がありますから、事前に皮膚科や婦人科などの病院を受診して専門家である医師に自分の体質に合ったケア方法を相談してみるのも良いかもしれません。
かゆみが取れない場合は病気の可能性
ここまでご紹介してきた応急措置や対処方法を実施しても、痛みやかゆみがとれずに生理期間が終わっても続く場合は、何らかの病気の可能性があります。
特におりものの量が増えていたり、おりもののニオイが異常な場合は病気の可能性が高まりますので、皮膚科や婦人科を受診して医師の診断を仰いだほうが良いでしょう。
ここでは、外陰部にかぶれのような炎症とかゆみを伴う病気について、簡単にご紹介しておこうと思います。
カンジダ膣炎(膣カンジダ症)
カンジダ膣炎は、おりものの量が増加するとともに、おりものの中に酒粕や崩れた豆腐のような白濁したものが混じり、外陰部のあたりに強いかゆみが現れるのが特徴的な病気です。
カンジダは、そもそも人なら誰にでも存在する常在菌で、人の身体の免疫力・抵抗力が低下すると活性化します。カンジダは女性の膣にも生息しており、膣分泌液の自浄作用が低下したり、膣を洗い過ぎると乳酸菌などの膣内を正常に保つ菌が減少するので、カンジダが増殖しやすくなります。
カンジダ膣炎の治療方法
市販されているカンジダ治療薬としては、フェミニーナ膣カンジダ錠やオキナゾールが有名です。ただし、市販薬を使うとしても、基本的には医師の診断を仰いだ後にしましょう。
また、カンジダ膣炎の治療には、身体の免疫力・抵抗力を回復させるための十分な休養も必要です。
トリコモナス膣炎
トリコモナス膣炎では、おりものの量が増加するとともに、おりものが黄緑がかった色に変化して泡状となり、生臭いニオイが発生します。そして、トリコモナス膣炎は外陰部に強いかゆみが現れます。
トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫という極めて小さな寄生虫が膣内に感染することが原因です。その感染源は、プールや温泉など水を媒介にしたり、タオルやトイレの共有だったりします。また、性行為でも感染することから、トリコモナス膣炎は性感染症でもあります。
トリコモナス膣炎の治療方法
トリコモナス膣炎の治療は、抗原虫薬を用いて寄生虫を駆除します。内服薬と外用薬を併用することが一般的で、比較的簡単に完治させることができます。
ちなみに、性行為で感染した場合には、パートナーと一緒に治療しなければなりません。
まとめ
いかがでしたか?生理用ナプキンを使用している際のデリケートゾーンのかぶれについて、その原因や対処方法などをまとめてみましたが、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、女性にとって、デリケートゾーンについての話題は、どうしても周りの人に相談をしにくいものです。生理用ナプキンを使用しているときに、デリケートゾーンがかぶれることによる痛みやかゆみが悩みの種となっている女性は少なくありません。
しかしながら、逆から見れば多くの女性が同じような悩みを抱えているのですね。ですから、周りの人に相談しにくいから、あるいは生理だから仕方ないと諦めるのではなく、積極的に医師や薬剤師などの専門家に相談してみると良いのではないでしょうか。
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