食事前は特に気にしていなかったのに、食後にキリキリと胃が痛む。そんなことはありませんか?せっかくの美味しい食事や楽しい時間も台無しになってしまい困りますよね。
若い頃はあまり感じることの少なかった人でも年齢を重ねるに連れて身体の機能は衰え胃痛が起きてしまう様になって人も多いでしょう。一般的に20代の後半から徐々に食後の胃痛になってしまう人は増え始めます。
食事の内容や食べ過ぎやその人のコンディションによって簡単に胃痛になってしまうことがあります。胃痛になってしまっている時に問題となっている行為は具体的に何なのでしょうか?
また痛みが長期間続いてしまうと「何か病気なのでは?」と心配にもなります。どのくらいの期間痛みが続いていると問題と判断出来るのでしょうか?
食後の胃痛についてみてみましょう。単なるストレスや暴飲暴食からくるものなのか?何か病気の可能性があるのか?自分の症状と普段の生活習慣などを見直してみましょう。
食後の胃痛の原因と疾患の可能性
食後の胃痛について考えられる原因と、疾患の可能性をみてみましょう。自分に発生している胃痛やその他の症状からこれらの病気になっていないか診断してみてください。
もしこれらの症状の可能性がある場合の対処法なども合わせて紹介していきます。
急性胃炎
食後すぐ、もしくは食事後数分から数時間など過ぎてから急な胃の痛みや吐き気や下痢、ひどい時は嘔吐や吐血や下血を起こすほどの胃痛を急性胃炎といいます。急性胃炎の原因については、「食中毒」や「消化不良」が考えられます。
・食中毒
「食中毒」とは・・人間に害を及ぼす恐れのある毒物を含む飲食物を食べたことにより起こる中毒症状です。
原因物質としては主に細菌やウイルス、または化学物質や自然界に存在する毒素などがあります。 傷んだ食品を食べたり飲んだりした場合の細菌性の食中毒や、毒草や毒キノコを食べてしまった。などの自然界に存在する毒素によるものは、かなり身近なものとして認識されています。
腹痛、胃痛に伴い、吐き気、下痢などの症状を伴います。稀に発熱や頭痛などの症状や食べたものの毒素によってはめまいや神経麻痺などの問題も発生します。スポーツドリンクなどで水分をしっかり補給しながら病院で検査を受けましょう。
・消化不良
「消化不良」とは・・ストレスや飲みすぎや食べすぎ、または油っぽいものやアルコール、刺激物などの過剰摂取によって胃腸の働きが弱くなり、みぞおちあたりの胃痛や胸焼けの症状などを起こすものです。
人によっては、胸焼けや吐き気があるために食欲不振になり、それが長い間続くこともあります。特に食後すぐに眠ってしまった場合などは胃の内容物がそのままの状態で多く残り胃痛や胃に感じる不快感などを起こす事が多くあります。
消化不良については、胃が痛い!消化不良が起こる原因と改善方法の記事を参考にしてみてください!
慢性胃炎
人によって食事前、食事後、それぞれですが、症状の多くは慢性的に胃腸が弱り、胃痛や胃もたれや吐き気、胸焼けの状態になります。
多くの原因が「ピロリ菌」の長期による感染が原因とされています。
「ピロリ菌」とは、正式名称「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。
4ミクロンの螺旋状をした菌です。胃の疾患のなかでも1番恐ろしい病気「胃がん」の原因になると言われるのはこの「ピロリ菌」です。胃酸から胃を守る働きのある粘膜部分に住みつくので、胃の強力な酸から逃れられ動き回ることができます。
また一度感染すると、除菌しない限りは人間の体内に住み続けます。子供の頃に感染しても症状が出ないことがありますが、大人になって弱ってきたときに影響を受けたりすることがあります。「ピロリ菌」が原因の場合は除菌が最良の方法となります。
そのほかにも、慢性的なストレスや薬の副作用などが原因のこともあります。
どちらも胃の中では常に胃の粘膜が荒れて修復してを繰り返している状態なので、日を追うごとに治りにくくなり、症状も悪くなります。ひどくなると胃潰瘍に進行するので、常に胃の痛みや不快感を感じている人は注意が必要です。
検査方法
ピロリ菌感染しているかどうかを検査したい場合は胃腸器内科や消化器内科などに行きピロリ菌検査を受けましょう。場所によっては内科でも行うことが出来ます。病院での検査は胃に直接カメラを通す内視鏡検査と内視鏡を使わない尿素呼気試験法や糞便中抗原測定などの方法があります。
また病院へ行かなくてもネットでピロリ菌検査キットを購入し検査することも出来ます。ピロリ菌検査は内視鏡検査を回避したい人も安心して行えるので安心して検査して行きましょう。
神経性胃炎
神経性胃腸炎やストレス性胃腸炎などとも呼ばれるこの状態は、胃の検査をしても特に問題は発見されないのに胃痛、胸焼け、吐き気などの症状が表れます。また、このような状態が続くこと自体がさらにストレスとなり、症状が悪化します。慢性胃炎や神経性胃痛については、胃腸炎になる原因はストレス!?予防や治療の方法はこれ!の記事を参考にしてみてください。
胃潰瘍
胃潰瘍はさまざまな原因によって、胃酸が過剰に出て胃粘膜まで消化してしまったり、胃壁まで胃酸の影響でただれて傷つき、ひどくなると胃の筋肉までえぐりとってしまう状態のことをいいます。
症状としては、
・胃の痛み
・胃酸が過剰に出る
・傷ついた胃壁からの出血
・食欲不振
・吐き気がある
・ 膨満感を感じる
などがあります。 一度出来たものが治り、また再発するというように何度も繰り返しているうちに潰瘍になります。このような状態になるのは「ピロリ菌」に慢性感染している場合が多いです。
基本的には胃には痛覚が存在しないので、潰瘍が出来てしまっていても痛みを感じることはありませんが、痛みが発生している場合には粘膜の穴から周囲に胃酸や食事の内容物が漏れてしまい、周囲の細胞に炎症を起こすことで痛みを発生させます。
胃に痛みが発生しているときには症状は進行してしまっている状態なので、長期間胃痛が出ている場合は病院で検査するようにしましょう。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は、胃酸や胃液に含まれる成分により十二指腸が傷つき起きる病気です。症状としては胸やけ、胃や腹部の不快感や吐き気、貧血、食欲不振などです。
十二指腸の壁は胃より薄いことから穿孔と言われており、穴が開きやすい繊細な臓器です。また消化性潰瘍ともいわれ、胃酸過多により強い影響力のある消化液の胃液と、胃壁を防御する粘液の均衡が崩れることで、十二指腸に負担が加わって壊れてしまいます。
胃潰瘍も同じようなものと考えられますが、胃潰瘍とは痛みに違いがあります。
胃潰瘍はみぞおち付近の痛みがあるのが一般的ですが、 十二指腸潰瘍ではみぞおちを含む上腹部右周辺に痛みを感じたり、背中の違和感や痛みがあるのがほとんどです。 痛む時間も、食事を消化したものによる影響が、食後2時間から3時間ぐらいで出て痛み始めます。
胃酸過多の場合は、空腹時や睡眠中の深夜に痛みが出ることもあります。 また発症については、十二指腸潰瘍は20歳から40歳に多く、胃潰瘍は40歳以上に多いといわれます。
機能性胃腸症
従来は慢性胃腸炎と呼ばえてくくられていた症状ですが、現在では別の名称が付けられ機能性胃腸症と呼ばれるようになりました。定期検査などで胃の健康を観察するために内視鏡検査などを行うわけですが何も異常が確認されない事があります。
にも関わらず食後や空腹時などに胃痛を感じることがあります。この場合に機能性胃腸症という風に診断されます。昔は胃アトニーや胃下垂などが原因の慢性胃炎や神経胃炎などと診断されていました。
しかし炎症は起こっていないことから名称が変更されました。機能性胃腸症は食べすぎや長期的に胃の中に物が溜まってしまうことで発生する胃痛が慢性的に発生してしまう問題です。
食事量を調整することや、決まって時間にきちんと食事をする、しっかり噛む、消化にいいものを食べることで症状は改善されます。一時的に痛みが強く発生している場合は一旦胃の中を空にすると胃の機能が回復します。
特にすぐにお腹がいっぱいになってしまう早期膨満感や胃痛、胃もたれなどの症状が確認されます。
胃痛が起きた場合の対処法
自分の症状と比べていかがでしたか? どれもそれぞれの症状や疾患と重なるようなものがありますので、つらい場合はあやふやな自己判断をせず、対応の医療機関に受診することをオススメします。
しかし受診まで時間がある場合などは、とりあえずの対処法を試てみてください。つらい胃痛を少しでも和らげ気持ちを楽にしましょう。
医療機関に受診する
まずは辛いと感じた時点で、対応している医療機関に受診することを考えましょう。毎食後、辛い思いをするのはストレスにもつながります。それはより症状を悪化させてしまう原因にもなりますので、安易に考えずにできるなら医療機関を受診しましょう。
病院での検査では主に、腹部X線検査や内視鏡検査、超音波検査、血液生化学検査、便潜検査などの検査方法が行われます。
治療法は異常によって変化しますが、基本的は薬によって治療が行われます。胃酸の分泌が多くなっていれば胃酸分泌抑制薬、胃の機能が過剰になってしまっていたり、逆に働かなくなってしまっている、痙攣している、収縮しているなどの問題が確認される場合は消化管運動機能改善薬、胃が荒れてしまっている場合は胃粘膜保護薬、ストレスが影響していることが問診で明らかになれば抗不安薬が処方されることもあります。
胃痛の原因が胃炎の場合は放置しすぎてしまうと胃がんや胃潰瘍に繋がり、死に繋がってしまうこともあるのでしっかり病院で検査しながら治療を行っていきましょう。
食事療法
辛い胃痛の場合は、今は無理をしないで食べないという方法もあります。胃に負担をかける固形物や刺激物などは、なるべく避けるようにしましょう。もし、食べるのであれば消化がよく、胃や腸に負担のかからないものを食べるようにして様子を見ましょう。
お茶漬けやカレーなどの流し込んでしまう食事は胃痛の際には適していません。カレーは刺激もあるので論外ですが、お茶漬けもあまり噛まずに胃に送られてしまうので良くありません。
ふやかしたおかゆやうどん、おじや、ヨーグルト、ゼリーなどの食事がいいでしょう。症状の回復具合に応じて食事内容を変更し、刺激を避けながら食事を行っていきましょう。
魚などもいいですが、生魚の場合は免疫が落ちている時には注意したほうが安心かもしれません。出来ればよく加熱されたものを食べるようにしましょう。
日常生活で改善すること
過剰なストレスをためないようにすることは、とても大切なことです。もし胃痛の原因がストレスからくるものだとしたら、ストレス解消を心がけましょう。
温かいお風呂につかりリラックスしたり心地よい香りや空間で過ごすなど、自分にとっての癒しの空間で過ごすことによって自律神経のバランスも整います。
常に緊張状態である「交感神経」が優位に立つ状態から、リラックスモードの状態である「副交感神経」とのバランスが整った状態へ意識的に持っていくことが大切です。
また、早寝早起きなどの生活習慣を実践し、普段から健康的な生活習慣になるように心がけましょう。胃痛とストレスは関わりやすい関係性にあるので、日頃から注意していきましょう。
市販の薬を使用する
どうしてもつらい胃痛には、医療機関への受診が一番ですが、すぐに対処できない場合は市販の胃腸薬を使用してみましょう。薬局の薬剤師さんと相談して購入するのが一番でしょう。
また、精神的な神経性胃炎については、漢方薬などもあります。自分にあったお薬をよく見極めて使用するようにしましょう。
もしあらかじめ食事を多めに行うことがわかっている場合はその日に向けて体調を作っていくことが重要です。胃の状態をベストなコンディションにして胃痛の問題につながらないようにしていきましょう。
市販で売られている胃薬には胃の粘膜を保護するもの、消化を助けるもの、胃酸の分泌を正常にするもの、胃腸の調子を整えるもの、胃痛を軽減するものなどの種類があります。
誤って飲んでしまうと胃痛や胃もたれを更に悪化させてしまいますので注意してください。
ピロリ菌の対策
近年ピロリ菌についてはよく知られるようになり、その対処の仕方も除菌という方法がとられています。
治療法は、2種類の抗生物質と胃酸の働きを抑制するお薬を使っての療法になります。
ただし、除菌だけの処置は健康保険の適用外なので注意しましょう。すでに特定の胃の病気にかかっていないと健康保険は利用できません。
現在、健康保険が適用される胃の疾患は、
・胃潰瘍と十二指腸潰瘍
・胃MALTリンパ腫
・特異性血小板減少性紫斑病
・慢性胃炎
のみとなっており、医療機関での受診が必要になります。
これらの疾患ではないけれど、少しでも「ピロリ菌」をどうにかしたい!と思っている人は、乳酸菌LG21入りの市販のヨーグルトや、ニュージーランドのマヌカハニーなどの食物も効果が認められています。
お薬での除菌は、副作用として腸の働きを抑制したり、肝臓機能の低下などがありますが、食べ物は副作用がありません。過度な摂取には注意が必要ですが、適正な分量を守り摂取することは健康にもつながります。除菌の確実な保証はありませんが、安心して試すことができます。
ストレッチを行う
胃痛を軽減させるストレッチの方法を紹介します。
食べすぎて胃が痛い時
正座を行った状態から後ろにゆっくり手を付きながら倒れます。手を頭の上にまっすぐ両腕伸ばしてから頭上で腕を組みます。そこからグっと伸びをして身体を伸ばします。
足にもしっかり力を入れながら伸びを行うことが重要です。胃と腸の働きが促進できるので効果的な方法です。
胃がムカムカする時
背もたれのある椅子に座った状態で両手に握り拳を作り、背中の胃の後ろのあたりに回します。その状態で背もたれにもたれかかり頭を反らせながら気持ちいい具合に圧力をかけていきます。深く息をしながら行ってください。
繰り返し何度か行うと効果があります。
ストレス性の胃痛に場合
右肩と腕を曲げて枕にするようにして身体の右側を下にして横になります。左手で胃のあたりを抑えて温めながら安静にしましょう。呼吸をゆっくり行い、回復するのを待ちます。
もし胃炎などが起こっていて炎症している場合には温めることで逆に痛みがひどくなってしまうこともあります。その場合は温めるのをやめましょう。
まとめ
いかがでしたか?
突然食後に襲う胃の痛み。症状も軽いものから重い疾患まで、胃の症状には様々な原因があります。
あなたの胃の痛みはどれかに当てはまりますか?
ちょっとした食べすぎかも?なんて軽く見ないで、何度か続くようでしたら対応の医療機関に受診することをオススメします。
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