おりものがいつもと違ってピンク色だと、驚いてしまいますよね。特に生理が近い、生理中でない場合は特に何か病気や異常のサインなのではと心配になります。
女性は生理や妊娠、閉経そしてなど生涯を通じて様々な体の変化が訪れます。そして子宮や卵巣などのトラブルも時々起こることがあります。病気のこともあれば、ストレスや体調などが原因のこともあります。そのサインとして現れるものの1つが「おりもの」です。
実はピンクのおりものは出血によるものです。その原因は何か、治療法はどのようなものがあるか調べてみました。
そもそもおりものとは?
おりものとは、子宮や膣からの分泌物また汗腺からの分泌物を指します。
おりものは膣内の潤いを守る働きや、細菌感染を防ぐ役割もしています。健康な時は白っぽく半透明で乾くと黄色っぽくなります。匂いはあまりないか、甘酸っぱい匂いがすることもあります。
ストレスや体調、また生理周期で分泌量や色が変化するので、おりものは女性の健康のバロメーターとも言えます。
ピンクのおりものの考えられる原因
ではピンクのおりものの考えられる原因はなんでしょう。おりものがピンクになるのは実は出血していると考えられます。血液がおりものに混じっている状態なのです。ただ、おりものに血液が混ざることはそれほど珍しいことではないので、過度に心配しないことも大切です。
それでは原因となるものについて説明しますね。
生理
まず考えられるのが生理です。生理予定日だったり、生理の前だったりとうっすらとおりものに血液がまじり、ピンク色になることがあります。また生理前はおりものが増える傾向にあります。
生理予定日であるならそれほど心配はなく、もうすぐ生理になるでしょう。生理が終わる頃ピンクのおりものが分泌されてもそのまま白や半透明のいつものおりものになればさほど心配はありません。
排卵
排卵期のおりものには、血が混ざることがあります。生理周期の真ん中で起こる出血なので中間期出血とも呼ばれます。生理周期が28日周期の人なら、生理が始まって約2週間後に排卵がおきます。
排卵期の出血は少なめで何日も続くものではありません。生理現象なので、心配ありませんがだらだらと続いたり、出血量が増えてきたりしたら排卵出血ではない可能性があります。
妊娠に関わる出血
妊娠時にもピンクのおりものが見られる場合があります。妊娠時のピンクのおりものはどういったことが原因なのでしょうか?
着床出血
受精卵が子宮内膜に着床した時に起きる「着床出血」というものがあります。この時のおりものがピンク色になっている場合があります。排卵出血は生理と生理の間におきますが、着床出血は生理予定日のあたりに起きる可能性が高くなるのが排卵出血との違いです。
この時は妊娠検査薬で調べても、妊娠中に分泌されるhCGホルモン量が少ないため検査はできません。妊娠していそうだと思ったら、生活に気をつけ次回生理予定日の1週間後くらいに再び検査してみましょう。
妊娠初期出血
妊娠中は黄体ホルモンの働きで、おりものの色が濃くなります。ですが、妊娠初期のピンクのおりものは出血しているので、なんらかの異常が考えられます。切迫早産や流産、子宮外妊娠など異所性妊娠の可能性も否定できません。腹痛などの症状を伴う時は要注意です。その他に以下のような症状の可能性もあります。
絨毛膜下血腫(じゅうもうまっかけっしゅ)
妊娠初期の絨毛膜下血腫によっても出血が見られ、ピンクのおりものが分泌されることがあります。絨毛膜と子宮内膜の間に血液が溜まることで、子宮の入り口に近いと出血しやすくなります。
受精卵が子宮内膜に胎盤を作る時、絨毛組織を内膜に伸ばします。その際、子宮内膜の血管が壊され出血して血腫になることがあります。
胞状奇胎(ほうじょうきたい)
妊娠初期の異常である「胞状奇胎」の症状としてもピンクのおりものが出ることがあります。ピンクだけではなく茶褐色になる場合も多いようです。
胞状奇胎は、ぶどう子とも呼ばれ異常妊娠の1つです。絨毛組織が正常に発育せず水ぶくれのようになり、ぶどうができているように見える状態です。原因は染色体異常です。
妊娠中どの時期でもある出血
絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)は赤ちゃんを包んでいる膜が炎症を起こすもので、原因は細菌感染による細菌性膣症からくるもので、早産のリスクが高まります。炎症を起こすことで、子宮を収縮させるプロスタグランジンの働きが活発になってしまうためです
おりものもピンクだったり褐色だったり、匂いがきつくなるなどの症状がでます。灰色になることが多いようです。他にも発熱やお腹を圧迫すると痛いなどの症状が見られます。
おかしいと思ったらなるべく早く産婦人科にかかりましょう!
妊娠後期の出血
妊娠後期にピンクのおりものがあった場合は、「おしるし」の可能性があり出産が近い可能性があります。破水との違いが自分では判断がつかない場合もあるので、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。
ストレスによるホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンのバランスによる出血は「機能性出血」とも呼ばれます。
子宮内膜はエストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンによって増殖、剥離を繰り返しています。そのホルモンバランスの乱れによって卵巣機能が低下するなどして、出血が起こります。乱れる原因はストレスや睡眠不足などが考えられています。
子宮内膜症
子宮内膜症が原因でピンクのおりものが分泌されることがあります。
子宮内膜症とは、子宮内膜の組織が本来できる子宮内腔以外、例えば卵巣や卵管、骨盤内のなど違うところにできてしまう病気です。強い生理痛や、子宮や卵巣、腸などの癒着によって生理以外の時も下腹部が痛いこともあります。原因は子宮や卵管への月経血の逆流と考えられています。
子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープによるもの
子宮頚管ポリープは子宮の入り口あたりにできる、粘膜の上皮細胞が増殖してできた良性のポリープです。性交や運動などの刺激で出血することがあり、ピンクのおりものとなって出てくることがあります。刺激での出血なので、生理周期とは関係がありません。
子宮内膜にもポリープができることがあります。これも不正出血の原因となり、ピンクのおりものが分泌されることがあります。月経過多や不妊の原因にもなることがあります。
子宮膣部びらんによるもの
子宮膣部びらんの場合も、出血のためピンクのおりものが分泌されやすくなります。生理周期とは関係なく出血することが多いです。
びらんとはそもそも「ただれ」を指しますが、実際にただれているわけではなく、ただれているように見える状態です。子宮頸部の腺上皮が活発な女性ホルモンの働きを受けて、外側にめくれた状態なのです。これがただれているように見えるというわけです。
これが生理周期に関係なく性交やタンポンなどの刺激によって出血してしまうことがあるのです。
また腺上皮はとてもデリケートなところで、感染しやすいのも特徴です。ピンクのおりものが続く、痛みがある、おりものの量が増えたという時は最近感染している可能性もあります。
萎縮性膣炎によるもの
萎縮性膣炎とは老人性膣炎ともいい、ピンクのおりものが出ることがあります。萎縮性膣炎は主として閉経後の女性に起こります。
閉経によってエストロゲンの分泌が減少し、膣粘膜の潤いが減少してしまうのです。乾燥や萎縮で細菌感染しやすく、感染すると血の混ざったおりものが分泌されるのです。また性交などの刺激でも出血しやすくなります。
感染によるもの
感染によって出血が見られ、おりものがピンクになってしまうことがあります。膣内は普段は感染しないように、おりものが酸性に保ち守ってくれています。しかし性交渉での性病への感染、体調不良による抵抗力の低下などで細菌感染してしまうこともあります。
先に説明した萎縮性膣炎でも細菌感染が生じて、おりものがピンクになることがあります。
子宮筋腫
子宮筋腫がピンクのおりものの原因であることがあります。子宮筋腫は、平滑筋という筋肉でできた子宮の壁にできる良性の腫瘍です。女性ホルモンの分泌によって大きくなります。
無症状の場合もありますが、生理痛や腰痛などの症状や過多月経、お腹が圧迫されているような症状が出ることもあります。過多月経が続くと貧血になる場合もあります。そしておりものも増える傾向にあり、まれに血が混ざったピンクのおりものが出ることもあります。
子宮がん
ピンクのおりものの原因ががんであることも考えられます。心配な時は受診しましょう。
子宮頸がん
子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんです。子宮がんの7割を子宮頸がんが占めており、20代から30代後半など比較的若い世代に生じやすいがんです。がんはもろく出血しやすいので、おりものがピンクや茶色になり悪臭を伴うこともあります。
子宮体がん
子宮体がんは、子宮の上の方にある袋の部分である「子宮体部」にできるがんです。このがんが原因で、出血しピンクのおりものが出ることがあります。子宮頸がんに比べて、比較的年齢の高い50から60代の人がかかりやすく、主な症状が不正出血と言われています。
ピンクのおりものの治療は?対策は?
ピンクのおりもののそれぞれの原因の治療や対策はどのようなものがあるでしょうか。
ひとつずつ見ていきましょう。
生理
生理に関係するピンクのおりものでも受診した方がよいことがあります。
例えば生理予定近くでピンクのおりものになったのに生理が来ない、また終わりかけの頃ピンクのおりものが出て、それがいつまでたってもピンクのままである、という時はなんらかの異常のサインです。そのような時は必ず婦人科を受診することが大切です。
排卵
排卵期のピンクのおりものは少量の出血で、2、3日で出血がなくなるならそれほど心配ではありません。ただ出血量が増えたり、長く続いたりする場合は不正出血の可能性があるので必ず婦人科を受診しましょう。
また排卵期の出血でも気になる場合は婦人科に相談することもおすすめします。自分で排卵期かどうかを把握するためにも基礎体温を日頃からつけておきましょう。
妊娠
妊娠の可能性があってピンクのおりものが見られた場合も心配な時は産婦人科を受診します。たとえ妊娠していなくても、ピンクのおりものは出血なのであまり放っておくのはよくありません。妊娠かどうか、生理がくるかどうかは基礎体温を測っておくと自分でも把握しやすいでしょう。
妊娠初期のピンクのおりものも様々な原因が考えられます。子宮外妊娠や早期流産など早期の治療や入院が必要なトラブルの可能性もあります。ピンクのおりものが続く、下腹部が痛いなど異常が見られたら急いでかかりつけの病院や、または産婦人科にいきましょう。
妊娠後期のピンクのおりものは、おしるしであることも考えられます。おしるしかどうかの判断はわからないので、病院に連絡するか受診するようにしましょう。
突然の事態にも慌ててしまわないように、後期はすぐに入院できるような用意をしておくことも大切ですね。
ストレスによるホルモンバランスの乱れ
過剰なストレスは女性ホルモンのバランスを乱してしまいます。ピンクのおりものが出て、心当たりになるようなストレスがある場合は、ゆっくり休むようにしましょう。日頃からストレスはなるべく軽減するようにしていきましょう!
また睡眠不足や暴飲暴食もホルモンバランスの乱れを引き起こします。規則正しい生活を心掛けて過ごすようにしていきたいですね。
ただ急にピンクのおりものが出た、いつまでもピンクのおりものが出続ける、という時はたとえストレスが原因だと思っていても必ず婦人科で医師に相談しましょう。
子宮内膜症
若い女性に多く見られ、悩んでいる人が多い子宮内膜症。子宮内膜症の場合、生理だけでなく日常生活でも症状があります。例えば下痢や腰痛が起こることもあり、また性交痛も見られます。不妊の原因になることもあるので、ピンクのおりものなど普段と様子が違う時は早めに婦人科で受診することが大切です。
子宮内膜症の治療には薬物による治療、手術による治療があります。妊娠を望む人には薬物治療が多いようです。
子宮頸管ポリープ・子宮内膜ポリープ
子宮頚管ポリープの大きさは2から3ミリくらい、または1センチくらいで、痛みなどの自覚はありません。人によっては数個できることもあり、治療は切除です。良性ですが再発することが多いので、定期的な受診が必要になります。
子宮頚管ポリープがあると、出血することも多くなるのでやはり早めに受診して治療をした方がいいですね。
子宮内膜ポリープはできる部位によっては子宮筋腫と区別がつきにくいこともあり、子宮鏡検査をして調べることもあります。月経過多や不正出血が多い場合は受診して検査をする方がいいですね。
子宮膣部びらん
子宮腟部びらんは病気ではないのですが、頻繁に出血があったりおりものが増えたりする場合は受診が必要です。また感染しやすいところでもあるので、出血が続く、痛みがある、などの場合も必ず婦人科を受診しましょう。感染している場合は、洗浄する他、抗生剤を投与して治療します。
萎縮性膣炎による場合
萎縮性膣炎は膣内の乾燥や萎縮が原因で、ピンクのおりものが出てしまいます。閉経後の女性がかかりやすい萎縮性膣炎の治療は、エストロゲンを膣内に直接投与する治療法やホルモン剤を経口投与する治療法があります。市販の膣の潤滑剤を使うことも、乾燥や萎縮を防ぐことができます。ビタミンDやEを積極的に取ることも、有効だと言われています。
閉経後のピンクのおりものは萎縮性膣炎もありますが、がんの可能性もあるのでいずれにしても病院を受診することが大切です。
感染による場合
性感染症や、細菌に感染してしまった場合もすぐに恥ずかしがらずにすぐに受診することが必要です。主に薬による治療が行われます。性感染症の場合はパートナーも治療することが大切です。
タンポンを入れっぱなしにする、ナプキンを長時間変えない、締め付ける下着やパンツを着用しているのも細菌感染しやすくなる原因になります。タンポンやナプキンはまめに取り替えて、通気性の良い下着を着用するようにしましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫の治療は、薬で抑えたり手術をしたり、または薬を服用しながら閉経を待つなど人によって様々です。妊娠を望む人や、貧血がひどい人、閉経が近い人などその人の状況によっても治療が変わり、医師としっかり相談することが重要になってきます。
生理痛がひどい、ピンクや茶褐色のおりものが続く、貧血がひどいなどの場合は、早めに治療をしましょう。また妊娠を望む人もよく相談して治療することが大切です。
子宮がん
子宮がんの疑いや心配がある場合は早めに病院を受診しましょう!また日頃から検診を受けることを心がけることが大切です。
子宮頸がん
ピンク色のおりもの、匂いがするなど、いつもと違うおりものが出てきたら、早めに婦人科を受診しましょう。他にも性交痛があるなどの症状が見られます。また、自覚症状がなくても定期的に検査を受けることも必要です。
治療法は手術による治療の他、放射線治療や化学療法などがあります。
子宮体がん
子宮体がんは閉経後の女性に多く、症状が出た時は進行している特徴があります。そのため閉経後の女性でピンクのおりものが見られるなど、不正出血の症状があったらすぐに受診しましょう。
高エストロゲンが原因であることが多いので、出産経験がない、肥満、エストロゲン製剤のホルモン治療を受けている、乳がんになったことがあるなどの危険因子がある方は日頃から検査を受けることが大切です。
治療法としては手術療法、放射線治療や化学療法があります。また手術では傷口の小さい腹腔鏡手術もあります。
まとめ
ピンクのおりものには様々な原因があることがわかりました。なかなか止まらなかったり、匂いがあったりする場合、出血量が増えてきた場合などはすぐに婦人科を受診しましょう。すぐに少量の出血で、すぐ止まった場合はそれほど心配ない可能性が高いです。
ただ出血量が少ないから絶対大丈夫とは限らないので念のため婦人科で相談することをおすすめします。
おりものは、女性の体の状態を知るバロメーターでもあります。日頃から注意しておくことが大切ですね!それに合わせて基礎体温を測っておくと生理周期とおりものの関係もよくわかりますし、受診の際にもとても役立つのでおすすめですよ。
自分の体のことをおりものを通してしっかり把握しておきましょう。
関連記事として
・オリモノのにおいが強い原因は?病気の可能性と対策法、予防法を紹介!
・オリモノが黄緑になるのは病気?考えられる原因と治療法、性病の検査方法を紹介!
これらの記事も読んでおきましょう。