恥骨骨折とは?症状や原因、治療法や予防法を紹介!リハビリ方法は?

恥骨は人の身体の重要な腰にある骨で、ここを骨折すると治るまでに時間もかかり、相当な苦労が伴います。

腰の骨は恥骨に限らず、他にも腸骨、仙骨などがあり、この辺の腰の骨はどれも骨折すると痛みも含め、治すことが非常に厄介で身体を動かすことも困難になり、非常にたいへんです。

といっても、そのほとんどは事故や転倒による骨折であり、とりたてて普通にしていればその骨折リスクは非常に低いものです。

この骨折で多いのが高齢者の骨粗鬆症が影響しているものであり、この骨折は普通にしていても回避することが難しいものもあります。

今回はその恥骨骨折についてお伝えし解説いたします。

恥骨骨折に関連する骨

骨盤02

身体の要である、腰の奥にある恥骨を折るということは、外的な力による影響が大きいといえます。

骨盤

人の腰は重要な部分であり、身体の要ということもあるので、ここに支障を及ぼすと動けなくなることが多いということになります。この骨盤は骨盤輪ともいい腰全体の骨の部分です。

ここは尾骨、仙骨、仙腸関節、寛骨、坐骨、腸骨、そして恥骨と別れていて、これらを総称して骨盤というわけですが、恥骨は足の付け根の奥にあり、本来は折ろうとしても折れづらい部分でもあります。

恥骨

この足の付け根の奥にある恥骨は腸骨といって、腰全体を覆っている骨と、坐骨といって恥骨の少し下に位置する骨があり、その3つを総称して寛骨とも言います。

恥骨は左右の対象形で中心部の骨は離れており、特に妊娠をしている人は、この恥骨部分が圧迫されて痛みを覚えます。

そして、その痛みを抑えるには安静にしていることが一番で、これといった対処法はありません。ひたすら、骨がつながるまでは安静にするしかありません。

大腿骨

ここの骨も身体の重要部分であり、主に足を支える役目をしています。この大腿骨を折ることもありますが、ここを折ることはやはり動けなくなり、安静を強要されます。腰とこの大腿骨をつなげているのが転筋であり、やはり身体を動かす重要な役割を担っています。

骨盤と背骨を支える骨盤周囲は、身体の中心であることからも、重要だということが分かると思います。

腰回りの骨折

医療画像10のコピー

腰の回りにある骨の名称が違うように、折れた骨によってもその骨折の名称も違います。合わせて、その治療法も若干ですが違ってきます。

恥骨骨折

ダイレクトに骨折することは、あまりありません。

事故以外では、店頭により腰横の大転子の部分を打撲し、その勢いが奥に影響を及ぼしてしまう骨折となります。

坐骨骨折

坐骨の部分が折れるわけですが、やはり事故などの影響や転倒した際の打撲による骨折がほとんどです。

この際には足全体に影響を及ぼす坐骨神経を損傷することもあり、神経であるが故に、あとあとも痛みを長引かせることにもなりますので、最初の段階での治療は注意を要します。

腸骨骨折

腸骨は背骨側にある左右対称の骨であり、この腸骨が恥骨を支えている状態になります。恥骨骨折は打ちどころによっては、この腸骨やその上部の腸骨翼、骨盤外を折ってしまう場合が多いのです。

転倒の際に骨折する傾向が強いのですが、合わせて腰の側面の骨や腰と足を繋いでいる寛骨臼という部分も一緒に折れることもあります。

仙骨骨折

仙骨は背骨でもその中心部にあり、位置でいうと尾てい骨の部分に当たります。ここの骨折で多いのはスキーやスノーボードでお尻を打撲する時です。

程度の差がありますが、安静にするしかなく、一か月ほどで治ることがほとんどです。

骨盤部剥離骨折

主に成長期の年代に多く、スポーツなどが原因となります。骨盤に付着している筋肉が、運動していることで、その筋肉と骨の付着部分が剥がれることです。

成長期の年代に多いことから、それほど治るまでの時間はかかりませんが、痛みなどは避けられません。

恥骨骨折の原因

事故01

人間の身体でも、事故などを除いてもっとも骨折しにくい場所ですが、他の付加的な要素が重なっての骨折が多いという状況です。

疲労によるもの

疲労骨折は、主に激しいスポーツをしている人に多い傾向があり、陸上競技、バスケットボールなど、激しく身体を動かす運動を行う人に多く生じる傾向があります。

これらの疲れが骨盤近辺の筋肉に溜まり、その筋肉が疲労することで、骨をカバーできなくなります。その影響で、疲労骨折を引き起こすのです。

上記の激しく身体を動かすスポーツの他に、それほど身体を動かさないスポーツでも、例えばランニングなどでも疲労が蓄積していることが、その要因になることも少なくありません。むしろ、疲労を感じていない分、無理をしてしまう傾向から、骨折を引き起こしてしまうことも考えられます。

いずれにせよ、運動を行う以上はあまり無理をすることはせずに、十分な休息をとることで、そのほとんどは防げます。

人は、基本的に休息がどれくらい必要かとか、どれくらいの運動量で疲労が蓄積するかは正直のところ計りようがありません。ある程度はご自身の感覚で判断するしかありません。

つまり、疲労はある程度の域を超えると一気に爆発することがありますが、休息はどれほど取っても問題はないということです。

骨粗鬆症

主に女性で高齢者の人に多い傾向があります。身体は動かしていると、その運動に対しての強度が骨や筋肉に出てきますが、女性で高齢になりますとあまり身体を動かさないことや若い時も運動を行っていなかった場合は、骨も筋肉もそれほど強くありません。

そのような状態であり、かつ食事も細くなり、過度のダイエットで、骨の密度が薄くなり細胞がすかすかになります。そこへ過度な力、体重、転倒などをしてしまうと本来はその程度では骨折しないような軽度の打撲や圧力でも、あっさりと折れることがあります。

骨粗鬆症は、特に自覚症状もないままですので、十分な注意が必要となります。

普段から身体を意識的に動かし、骨や筋肉の強度を高めておくことが必要になると同時に、食事もきちんと取ることが重要になってきます。

このあとにも述べますが、食事も身体をしっかりと作る栄養が含まれるものを摂取しないと、骨折どころでは済まない状況もでてきますので、注意することが重要です。

さらに付け加えれば、ステロイド性の骨粗鬆症があります。これは、高齢時になった時にリウマチを併発した際、ステロイド系の薬を使用することが原因となります。つまり、この薬を使用することで、骨が脆くなってしまうのです。このような薬の使用には医師との慎重な問診も大切と考えられます。

転倒、打撲

先に述べたように、高齢者が転倒して骨折するケースがほとんどです。高齢者向けの健康本にはほとんどといっていいほどに、転ばないように注意するということが書かれています。これは外に出て怪我をするということもありますが、一番多いのが家の中での転倒です。高齢ともなると、安定性に欠けるため、ちょっとした高低差にも躓くことがあるからです。

つまり、それだけ転倒による骨折が多いのと、意外に本人もまさか転倒で骨折するとは思っていないからです。この転倒による骨折は、恥骨骨折の他に股関節の骨を折る、腸骨筋の損傷も多いようです。

これらは、そもそも骨が脆くなっていることが大きな理由になります。転倒やちょっとした打撲で簡単に骨折してしまうので、別の病気で医師の診断を受ける時に、骨密度の問題を指摘されることが往々にしてあります。

若い時分よりも身体の動きも悪くなっているので、その辺の意識は充分に注意をすることが重要です。

事故や怪我によるもの

何か重いものを持つことで、行きおい余ってぶつける、しりもちを付くことで骨折することや、腰椎など背骨に影響を与えることも多いのです。生活レベルでの普段の行為もあまり無理をしないことが肝心となります。

また、自動車事故などのように、単純なものでない場合は不安定型骨盤骨折ともいい、内部の血管が破裂することや腸骨動脈損傷、神経損傷など、かなりの複雑な状況も考えらえます。この場合は深刻な手術等となります。

恥骨骨折の症状

入院おっさん01

骨折の症状は基本的には痛みしかありません。

それ以外には、骨盤回りの血管が閉塞していますことで、血流の悪化が他の部分への影響を及ぼすことがまれにあります。

痛み

骨折による痛みは避けられません。安静にしていることで痛みは避けることができますが、骨盤近辺は常に動かす、動かさざるをえない部分です。そういう意味では、痛みを抑えることもかなり難しいことではあります。

骨折を治すのには、動かさないようにすることが必要なので、なおさらであり固定する必要があります。

痛みは、この骨折以外にも考えられます。特に高齢者に多いのが、変形性股関節症です。これは、骨の擦り減りが原因であり、水がたまることもあります。骨折後に股関節が変形して起こる痛みも生じるため、医師の診断で確認する必要があります。

どうしても痛みがこれえられないという人は、一時的に鎮痛剤の使用もやむを得ないでしょう。

歩行困難

ほとんどが痛みが原因で歩くことも困難になります。それは痛みによるものなのですが、歩行困難というよりも、痛みで歩けないということが理由となります。

つまり、下半身が思うように動かないということより、ある程度の体重がかかることで痛みも増してしまうということにつながるからです。

出血

骨折すること自体で出血することはありません。ただ、事故などの強度の打撲等で他の部分に損傷がある場合、内部での出血が起きることはあります。

また、筋肉や皮膚が裂けたり打撲することでの損傷がある時は厄介です。特に骨盤底筋は、排尿時や内臓を動かす筋肉であり、内臓疾患にもつながる恐れがあります。

さらに大動脈などの血管に損傷があると、命にかかわることもあります。特に腹部にある大動脈から枝分かれし、両足へと血液を送りこんでいるメインに血管で外腸骨動脈などが上げられ、手術を行い動脈塞栓術という、動脈をつなぐ必要が早急に必要です。

この場合もただ単に腰回りが痛いということで簡単に片付けたり解決せず、詳細な検査をして、その対応をすることが重要となります。

怪我などは当初、軽度の痛みで済んでいますが、血管から血液が漏れている量が少なくでも、時間が経つことにより重大なことにつながる恐れもあります。

また、気をつけなければならないことは、出血性ショックという症状が起きることがあります。これは、血液が脳や心臓へと優先的に流れるため、手や足などへの血流が減ることで蒼白になり、さらに時間が経つと意識がもうろうとなります。

恥骨炎

恥骨のある部分は骨と骨が接近しており、その接合部分が何らかの影響で炎症を起こしてしまうことです。痛みを発症していますので、速やかな診断が望まれます。

炎症を引き起こしていることなので、薬物での対応で痛みは治まります。

恥骨骨折の治療法

老人イラスト01

骨がくっつくまでの安静にすることによる保存療法が一般的で、治療期間もかなり要します。複雑に骨折している状況だと手術もあります。

受診科目としては、整形外科での対応となります。

手術療法

複雑な骨折の場合においては、手術となります。複雑というのは、骨が単純に二つに割れたとかいう場合でなく、数か所にも及ぶ折れであり、いわばお煎餅がつぶれて破片が散らばるかのような状態です。

このような、骨折はその割れた部分をつなぎ合わせる必要があり、その箇所の皮膚や筋肉を切り開く観血的治療で骨接合をしなくては繋がりません。身体を動かさずに行う保存的治療とは正反対の方向での治療となります。

整復固定術

その患部を切り開いて砕けた骨を合わせ、元の形に戻るように金属製のプレートやスクリューなどで固定する手術を整復固定術といいます。

あくまでも複雑骨折をした場合に行いますが、骨粗鬆症の患者の場合には、単純骨折でも骨が繋がるのが悪いと判断した時は、この固定術を行います。

また、骨折の際に出血がある場合、出血を抑える手術も行いますし、その箇所が動脈などの命にかかわる部位である時は、輸血を行うと同時に、血圧も回復させるためにかなりの大掛かりな手術になることもあり、入院期間が長引く傾向にあります。

リハビリ

骨が無事に接合しても、体をほとんど動かさない状態が長いので、筋肉がどうしても衰えます。その際の衰えを回復させ、以後もスムーズに動けるために、体を慣らすための軽度の運動を行います。

当然、最初はほとんど動けないので、器具を利用したりつかまったりするトレーニングになります。また、骨盤の骨が開いてしまう、仙腸関節離開が起きやすいので、ベルトで腰の開きを抑える必要もあります。

これらのリハビリを行うことにより、今まで動かせずにいた筋肉などの稼動域を広げます。徐々にこの可動域を広げていき、骨折以前の状態にまで持っていけるようにするのが、リハビリの目的となります。

ただ、完全に治らないこともあり、長い目で見る必要もありますが、後遺症とまではいかないまでも疼痛や障害として後々に何となしに痛みを感じることもあります。

安静

骨折した際の治療法は、身体を動かさないように安静にすることが重要です。少しでも動かして骨がずれた状態でいると、骨の接合部分がずれてしまうことがあるからです。

ずれたままの状態で骨が接合してしまうと、以後歩行が困難になったり、スムーズな動きができなる可能性が出てしまいます。場合によっては骨はくっついたけれど、歩くことが困難になり、歩行器が必要になったというような方もおりますし、この骨が多少でもずれてくっついていることで、以後もこの部分が折れやすくなることもあります。

この身体を動かさないとことでは、創外固定術というものもあります。骨を合わせた後は、皮膚の外から金属類で身体を固定して骨を接合させるという方法です。

薬剤投与

骨が接合する際に必要な栄養素を多く摂取するためにも、薬剤の投与が必要となります。

骨折直後は痛みを生じることから、痛み止めなどは必要となりますが、治癒に関しては骨がくっつきやすくなるように骨の成分であるカルシウムなどを多めにとる必要があります。

恥骨骨折の予防法

骨盤イラスト01

ちょっとした打撲や転倒くらいで骨折しないような身体を維持していなくてはならないことが重要です。そのためにも、高齢になってからの対応ではなく、早いうちから意識していくことは重要です。

正直すぐに効果の現われることはないのですが、は今から対処しておかないと、後悔するようなことになる可能性が高いです。

骨の強化

なんといっても、折れないように骨を丈夫に、そして強化しておくことを骨強度を上げるというのですが、それこそが予防の第一です。そしてこれは食事が重要となりますが、普段から身体を動かしておくことが意外な盲点となります。

必要な栄養素を摂取しているだけでは、骨強度は上がらず、骨がくっつくことを骨癒合というのですが、くっつきも促進されません。

適度に動かすことでその強度が増し、骨癒合も早まるので、その点は意識することが大事です。

怪我の防止

事故以外では怪我をしないように努めることも重要です。普段何気なく町を歩いている時も段差で転んだり、何かにぶつかったりする危険はあります。

考え事などをしていると思わぬことで怪我をしてしまうので、歩くことでも集中していることが怪我を防ぐことになります。

適度な運動

普段から意識して運動することは重要となります。特に年を取るごとになにもしないと、筋肉量が毎年1%ずつ減ることが分かっています。これは骨にもいえることであり、それを防ぐためにも適度の運動が普段から必要になります。これは必ず行ってください。

よく健康寿命なることを言われていますが、人が亡くなるまでに寝たきりの状態が続いていることが日本では長いという統計があります。つまり、この寝たきりになってしまうと、当然のように筋肉や骨は衰えてきますので、この寝たきりの状態をなくすようにすることが肝心です。

食事、栄養素の補給

普段から、骨を丈夫にする意識も必要となり、ある意味最大の予防の方法となります。合わせて、反射神経や転倒防止なども考慮するとなると筋肉も丈夫にする必要があります。

年をとったからといって、食事の量が減ってしまうと、身体の筋肉も減る一方です。この場合の栄養素としては、以下のものが必要となります。

カルシウム

これは言うまでもなく丈夫な骨を作る意味で重要です。牛乳やチーズなどの乳製品もいいですが、身体に合わない人もいるので、その場合はしらすなどの小魚を毎日とるといいでしょう。

タンパク質

身体の筋肉や内臓をつくる成分です。主に、肉や魚を取ることで補えます。自分の体重1キロに対し1グラムから1.5グラム必要です。ですから体重50キログラムの人はだいたい、50グラムから75グラムを取る必要があります。

ビタミンD

これは骨を強化するために必要な栄養素です。特に何を多く食べるということでもなく、日の光に当たることで不足分は補えます。

ビタミンC

骨を作っているのはコラーゲンという物質なのですが、そのコラーゲンを生成するために必要なのがビタミンCです。主に野菜類、果物類に多く含まれています。身体の内部では作れないものなので、意識的に摂取するしかありません。

ビタミンK

骨を作るカルシウムを取り込むために必要な栄養素です。納豆やヒジキなどの多く含まれています。

これらのものは、若いうちはそのストックがあるので、気にしなくてもいい部分ではありますが、高齢になるとその栄養素は取りにくくなるので50歳を過ぎたら意識的に取ることが望ましく、特に食の細い人や女性は不足しがちなので注意が必要となります。

過度の運動

骨は適度の負荷がかかることで強くなります。バレーやバスケの選手は、飛び跳ねることが骨を強くそして身長が伸びることと同様、それなりの年齢に達しても、運動を行うことは骨の強化につながります。ジョギングなども、その足が地面に設置する衝撃がかなりいい影響を与えます。

このようなことはランニングの着地刺激と同じであり、多少の刺激が骨を強化します。ただ、あまり固いところを走ると、膝や踵、関節をいためることもあります。もちろん、走ることが苦手な人は、ウォーキングでかまいませんので、運動の習慣をつけるようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか。今回は恥骨骨折についての記事でした。比較的若い年齢層の人にはほとんど関係ない骨折ではあります。ただ、栄養の偏りが見られる人には長い目で見ると、そこそこの年齢になった時には危険水域になっていることがあります。

特に普段からの食事は要注意です。ある程度の年齢になる大人は、基本的に自分の好きなもの、そして食べやすい、手軽なものに手を出しがちです。このような、基本的な栄養素が不足しがちの習慣がある人は、40~50歳ぐらいの年齢に差し掛かると、変調を来してくる頃となります。

よく朝のカフェで、ワッフルや菓子パンなどを食べていて、朝ごはんをきちんと取っていると勘違いをしている人が非常に多いです。

このように、朝食をとっているというような、一見健康的で普段からきちんとした生活をしているようですが、間違った食事をしている人も多いのが現状であり、何らかの改善が必要と思います。少なくとも、個人レベルでいいので気付くことからすぐに取り組むべきでしょう。

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