筋肉トレーニングや健康のために、食事以外から栄養素を摂取することがあります。例えばサプリメントなんかは、忙しい現代人の栄養不足を解消するために、食事の補助として摂取することがあります。
プロテインも同様に筋肉を作るために摂取することがあります。プロテインとはたんぱく質の意味ですよね。しかし、一方で肝臓などの臓器に悪影響を与えることがあります。これは一体どういうことなのでしょうか。詳しくみていくことにしましょう。
プロテインを摂取すると肝臓が悪くなる?
プロテインはタンパク質のことです。筋肉を作る目的でトレーニングと一緒に摂取するという人も多いでしょう。筋肉の材料になるプロテインを摂取することで、効果的に筋肉増強することができます。
さて、肝臓はタンパク質に関して1つの役割があります。それは体が利用できる形に変換するというもの。肝臓は様々な役割を持っていますが、タンパク質に関しても重要な役割があります。
このような役割があることから、タンパク質を摂取することで肝臓に負担がかかり、悪影響を与えてしまうことがあるのです。ただ、悪影響があると言っても、かなり限定的であると考えられます。
プロテインを長期的かつ大量に摂取する
プロテインを購入すると、摂取目安が記載されています。筋トレをしている場合は、その量を参考に飲み続けることで効果が期待できます。しかし、この量を無視して、いつも大量摂取すると、副作用が起こる可能性があるでしょう。
つまり、プロテインを普通に飲んでいるのであれば、肝臓に深刻な影響はでないと考えられます。反対に目安量を無視し、筋力アップに過度な期待をして、飲みすぎてしまうと、悪影響が出てしまう可能性があるでしょう。
タンパク質が筋肉や骨、血管を作るために必要なものと言っても、過剰な摂取は控えたいもの。どんなものでも、体にあった必要量・限界量があるわけで、それ以上摂取しても意味がないどころか健康被害にあってしまうこともあるのです。
普段の量では全く気にする必要はない
どんなものでも、期待をして摂取しすぎてしまうというのは体に悪いものです。それはプロテインでも同じことがいえるでしょう。人によっては肝臓に負担がかかり、健康診断でひっかかるなんてこともあるようです。
筋トレ目的でプロテインを摂取することは問題ありませんし、肝臓が悪くなると心配する必要はありません。ただ、たんぱく質摂取量を守ればいいのです。筋力アップを期待して飲みすぎるのだけはやめるようにしましょう。
そもぞも肝臓の役割とは?
化学工場とも言われる肝臓。その役割は非常に多岐に渡ります。
体にとってとても重要な役割を持っていて、生命維持には欠かせませんでは、具体的にどのような働きをしているのでしょうか。
代謝機能
私たちは日々食べ物を食べ、エネルギーを生み出しています。これを代謝といいます。そして、その代謝を行なっているのが肝臓です。食べ物から摂取した糖質、タンパク質、脂肪などを体の各細胞が消費できる形に変換する役割があります。
また、エネルギーが余っていれば貯蔵するように働きます。例えば食品から摂取したブドウ糖は肝臓内でグリコーゲンに変換され、貯蔵されます。体の栄養が不足したとき、グリコーゲンを再度ブドウ糖へ変換し、消費するよう促します。
もちろん肝臓はブドウ糖・グリコーゲンの変換だけではなく、先に述べたタンパク質の代謝にも関わっています。体の生命維持に欠かせない代謝機能を担っているのが肝臓なのです。
胆汁の産生
胆汁と呼ばれる消化液を産生します。胆汁は1日に1リットルほど作られています。脂肪の消化をサポートする役割があります。産生された胆汁は一時、胆のうに貯められます。
肝臓機能が低下すると、胆汁の排出がうまくいかず、血液中に放出されるようになります。胆汁は黄緑の色をしているため、これが血液中に放出されると、黄疸の原因になります。
そのほか、肝機能の低下によって胆石を作ることがあります。胆石のほとんどは胆嚢にできますが、石が大きくなるほど鈍痛が酷くなります。手術で摘出してしまえば、症状は快方に向かいます。
毒素の分解
肝臓の毒素分解機能は言わずと知れた機能です。特にお酒に含まれるアルコールの分解は肝臓が行なっています。お酒を飲んでも平気でいられるのは、肝臓のおかげです。
肝臓はアルコールのほか、体内の代謝過程で発生するアンモニアなどの有害物質の分解も担っています。体に毒素がたまらないように、常に綺麗にしてくれているのです。
肝臓に負担をかけないためにも、アルコールは適量を守ること。また喫煙などのことも控える必要があります。同様にプロテイン等の過剰摂取も控えるようにしましょう。
沈黙の臓器・肝臓
体にとって大きな役割持っている肝臓ですが、1つ欠点があります。それは病気になっても大きな自覚症状がないということ。沈黙の臓器と言われる所以は自覚症状の少なさにあるのです。
例えば多量の飲酒によって肝臓機能が低下したとしても、自覚症状は起こりにくいです。痛みが起こるわけでもありませんから、事の重大さに気付きにくいのです。健康診断で数値が悪いとしても、その人は大丈夫と思ってしまうかもしれませんね。
しかし、肝臓の病気は少しずつ進行しています。そしてある時、症状が一気に進行してしまうのです。自覚した時には既に手遅れということもあります。肝硬変や肝臓ガンなどはかなり進行した状態で見つかることが多いといいます。
普段から飲酒量が多かったり、ストレスや喫煙などに心当たりがある人は注意が必要でしょう。自覚症状がなくとも、健康診断で悪い結果が出ているときは生活を改善する必要があるかもしれませんよ。
プロテイン摂取で起こる悪影響
プロテインの過剰摂取は肝臓に悪影響を与える可能性がありました。
では、それ以外にはどのような影響があるのでしょうか。過剰摂取をしてしまうと起こる症状として次のようなことが挙げられます。
便秘になりやすくなる
健康な人であれば、便は1日1回、毎日出ます。しかし、多くの現代人が便秘に悩み、一週間以上便が出ないなんてこともあるでしょう。プロテインは便秘を症状を誘発することがあります。
プロテインはタンパク質ですが、これは腸内環境を悪くしてしまう悪玉菌のエサになります。摂取したプロテインをきちんと消化できてきなければ、そのまま腸内環境が悪くなってしまう可能性があるのですね。善玉菌という腸内細菌の数も減り、腸環境は悪化していくでしょう。
過剰摂取だけではなく、プロテインの摂取の前に胃や腸が弱っていて、消化機能が低下していれば便秘のリスクは高まるでしょう。普段から便秘症の人はプロテインを摂取する時には注意が必要です。
腸内環境の悪化は体臭やおならが臭くなるという症状も招くことがあります。便秘が続けばそれだけ便から異臭が出るようになります。おならをして、その臭いが強ければ腸内環境が悪化していることが予想されます。
下痢になる人もいる
一方で下痢になってしまう人もいます。これは乳糖不耐性という状態。簡単に言えば、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロしてしまうような人です。牛乳に含まれる乳糖に対して、身体が弱ってしまうのですね。
プロテインの成分には牛乳由来のものがあり、摂取する事で乳糖不耐性を発症することがあります。これが下痢の原因になってしまうのですね。牛乳を飲んで胃がゴロゴロする人は、同様にプロテインの摂取に注意が必要です。
ちなみに牛乳由来のプロテインをホエイプロテインといいます。選ぶ際には牛乳成分が入っていないプロテインを選ぶことが大切でしょう。大豆由来のものもあるので、試してみてください。
腎臓に負担がかかることもある
肝臓で代謝されたタンパク質の老廃物は、腎臓へ運ばれ、尿として排出されます。その量が多ければ当然腎臓に負担がかかってしまいます。過剰摂取をしていれば、それだけ負担になってしまいますよね。
もちろん、これは過剰摂取をしているケース。用法・用量を守れば、深刻な症状を招くことは可能性として低いでしょう。摂取しすぎないというのが大切なポイントです。
尿路結石との関連性
腎臓から膀胱へ伸びる尿路。そこに石ができてしまう状態を尿路結石といいます。尿路結石で死ぬことはありませんがその痛みは、人体が感じうる痛みの中でも群を抜いているそうです。そして、プロテインの過剰摂取が尿路結石の原因になることがあるようです。
動物性のたんぱく質を摂取すると、体内ではシュウ酸、尿酸という物質が増加します。そして、このシュウ酸は尿路結石の石の原料になる物質です。通常、シュウ酸はカルシウムと結合し、便として排便されます。しかし、量が多いと尿中に排出され、排尿されます。この時、カルシウムと結合してしまうと、シュウ酸カルシウム結石として、病気の原因になります。
尿路結石は自覚症状が少ないため、突発的に痛みが襲ってくることがあります。動物性たんぱく質を普段から摂取しているという人は、注意するようにしましょう。
ちなみに尿酸値が上昇すると、尿にカルシウムが放出されます。するとカルシウム不足を招くことがあります。また、尿中にカルシウムが放出されるわけですから、シュウ酸と結合しやすくなり、尿路結石の危険性を高めることになるでしょう。
プロテインの摂取方法
では、肝臓を始めとする内臓に負担をかけないプロテインの摂取方法はどういったものなのでしょうか。体の調子を悪くしないためにも、以下のことを意識してみてください。
まずは「過剰摂取」に気をつける
筋肉をつけたいという思いからプロテインを摂取する人は多いでしょう。ただ、これまで述べてきたように、摂取すればするだけ筋肉がつくというわけではありません。内臓に負担がかかることもあります。
適切な摂取量は販売されているプロテイン等によって異なりますが、おおよそ体重1kgあたり2g程度といわれています。体重が60kgの人であれば120gですね。この数字を目安としてみてください。1kgあたり2gというのはあくまで目安なので、表記に準ずるようにしてみてください。
なるべく自然な形で摂取することも意識する
市販のプロテインは筋肉をつけることを目的として、様々な配合をされています。つまり、筋肉の材料となるタンパク質やその他効率よく筋力をアップすることができる成分が入っているのです。
ただ、筋トレを目的としている人以外、例えば普通のタンパク質量を摂取したいという人であれば、あえてプロテインを摂取する必要もないかもしれません。それであれば、動物性タンパク質である赤身のお肉や卵、もしくは大豆などの植物性タンパク質からタンパク源を摂取した方が体には自然でしょう。
摂取するタイミングを意識する
プロテインをいつ摂取するか。これについては様々な意見があります。筋トレ後すぐであったり、筋肉が修復されるときに摂取するのが望ましいともいわれています。
摂取タイミングは筋トレ後すぐの摂取が良いようです。運動の後に筋肉が作られる際、大量のタンパク質を必要とするからです。筋肉の材料であるタンパク質を適宜供給していくようにしましょう。
自分にあったプロテインを選ぶ
先に述べたようにプロテインの成分は個々で違います。牛乳由来のものや大豆由来のものもあり、どれが体に合うかどうかというのは自分の体に入れなければわからないでしょう。体の調子を見ながら自分にあったプロテインを選んでいくことが、より良い体を作るために必要です。
子供の成長期とプロテイン
子供の発育の一環としてプロテインを与える親がいるようです。体の材料となるタンパク源を摂取することで、発育を良くする目的があるのですね。これは一見良い事のように思えます。
ただ、成長の要素はプロテインだけでは決まらないということを理解しておく必要があります。成長期は成長ホルモンが大量に分泌されますから、なるべく規則正しい生活を送ったり、食事からきちんとカロリーをとったり、睡眠時間をきちんととることの方が大切かもしれませんね。
また、筋力を増やすようなトレーニングがかえって成長を阻害することもあります。このような理由から、成長期には過度にプロテインに気を配る必要はないと思います。バランスを大事にし、食事や睡眠、運動に意識を向けるようにしてみてください。
プロテインダイエット
プロテインを意識して摂取することで、ダイエット効果も期待することができます。筋トレを行うような人が摂取するようなプロテインではなく、食事からタンパク質を摂取することでも、ダイエットができます。
プロテインダイエットのメリット
プロテインダイエットはプロテインを意識して摂取するというダイエット方法です。それは市販されているようなパウダー状のプロテインもありますが、タンパク質を多く含む食材を食べるというのも方法としてあります。
プロテインを摂取することで、筋力アップが期待できます。そして、これにより基礎代謝が上がり、脂肪分が燃えやすい体に。太りやすく痩せやすい体を作ることができるでしょう。
運動が必須
もちろん、ただプロテインを摂取するだけではダイエットすることはできません。目的は筋力をあげ、基礎代謝を向上させることですから、運動や筋トレは必要です。どんなダイエットでも負荷は必要です。
運動習慣がない人は運動をしてみたり、筋トレをしてみるようにしましょう。継続していくことで、日に日に体の変化を感じることができるはずです。運動量を増やしていき、適宜水分・プロテインを摂取することで、その効果をより高めることができるでしょう。
食事を少しずつ変えていく
プロテインを意識した食事をしていくことと合わせて、これまでの自宅や外での食事内容を変えていく必要があります。例えば炭水化物などを多めに摂取していたら、量を減らし反対にタンパク質を増やして、栄養摂取を意識してみてください。
炭水化物はエネルギーになるものですが、使われなければ体に脂肪として溜まってしまいます。これは厄介ですよね。なるべく脂肪の原因になるものは避けるようにしましょう。
もちろん、いきなり量を減らしてしまっては体に大きな負担がかかります。徐々に減らしていくというのがダイエットのポイントです。まずは1日3食のうち、1食を意識してみる。段階的に行うことが大切です。
まとめ
プロテイン・たんぱく質は体に必要な栄養素です。筋トレの一環でプロテインを意識して摂取する人もいるでしょう。より美しい筋肉を作るために必要です。
一方で、どんなものにも加減というものがあります。タンパク質摂取量が多いと体に悪影響を与えることがあり、それは知らず知らずのうちに起こっているかもしれませんね。
適度な量を心がけること。体を壊さず、筋肉をアップするためには必要なことです。ぜひ、量を取りすぎないようにしてくださいね。
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