膵嚢胞はどんな病気?原因・症状・治療法を紹介!検査は何をする?

膵嚢胞(すいのうほう)とは何?膵臓癌(すいぞうがん)とどう違うの?・・・そんな疑問を持ちますよね。人間ドックなどで「膵嚢胞がありますね」とお医者さんに言われて、びっくり仰天。不安で胸がいっぱいになったりして・・・。

一般的に「嚢胞(のうほう)」とは水のような液体の入っている風船のような袋のことです。「膵嚢胞」は膵臓の内部や周辺にできる嚢胞で、たいていの場合、あまり心配は要りません。1年に1度、超音波検査などして経過観察をするだけでOKです。

ただ、膵嚢腫の中には腫瘍や膵臓癌に関係するものもあるので、慎重に対処する必要があります。「嚢胞」だからと、軽視するのはNGですね。

膵嚢胞とは何か?その種類と治療法、癌との関係などについて、お伝えしますね。

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膵嚢胞とは何か?

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膵嚢胞には、いくつか種類があります。その中には、悪性化するものもあります。

[嚢胞と腫瘤と腫瘍は、どう違うの?]

私達の身体の中には、いろいろなモノができます。「○○嚢胞」「○○嚢腫」「○○腫瘍」などと呼ばれます。悪性のモノも良性のモノもあります。

嚢胞とは・・・

嚢胞とは、液体の入っている、膜でできた袋です。水の入った風船と考えれば、いいですね。嚢胞の中身は、水のような液体か半固形状の液体です。肝臓や腎臓、膵臓にできる嚢胞は、液体が溜まっているだけですが、女性の卵巣嚢胞には古い血液が溜まっていたり、肺嚢胞には空気が入っていたりします。

嚢胞は、1つだけではなく複数個できることがあります。しかし、たいていは良性ですから、1年1回、定期健康診断を受けるついでに、超音波検査や血液検査・尿検査をするだけで大丈夫です。心配することはありません。

ただ、嚢胞の中には大きくなったり、数が増えたりして、臓器を圧迫し、臓器の働きを妨げるものもあります。このような時は、手術で摘出・切除することになります。

また、癌が原因で嚢胞が形成される場合もあります。慎重な対応が必要です。

嚢腫とは・・・

嚢腫は、「嚢胞性腫瘤」のことです。

腫瘤とは・・・

腫瘤とは、身体の中にできる「シコリ」「コブ」「カタマリ」のことです。良性のものも悪性のものも、身体の中のシコリは全て腫瘤と言います。

乳房のシコリ、老廃物が固まった粉瘤腫などが、腫瘤です。

腫瘤の中でも、膜に包まれた袋の中に何か溜まってシコリになっている場合は、「嚢胞性腫瘤」といいます。中に溜まっているものは、分泌物のような液体や半固形状態のものなど、嚢腫によって異なります。卵巣にできると、「卵巣嚢腫」といいます。中に、ドロドロのチョコレート状のものが溜まっていることがあります。

腫瘍とは・・・

身体の中で、周辺の組織に関係なく、勝手に細胞が増殖してカタマリを形成したものを腫瘍といいます。細胞が突然に異常に増殖したり、他の臓器へ侵出したりする病気です。

腫瘍には良性と悪性があります。良性腫瘍は身体に害を与えることはありません。他の臓器に支障がなければ、経過観察だけでOKです。良性腫瘍の代表は、イボです。

悪性腫瘍は、「癌」です。「悪性新生物」とも言います。周囲の組織を破壊して浸潤し(拡大し)、他の組織にも転移して増殖します。身体に悪影響を与え、放置すれば、死に至ります。

腫瘍の内部に液体を含むものを「嚢胞性腫瘍」と言います。

[膵嚢胞の種類]

膵嚢胞は、膵臓の内部や周辺にできる嚢胞です。1つだけでなく複数個できます。大きさは、数mmから10cm以上まで、いろいろあります。

膵嚢胞にはいくつか種類があります。たいていは良性で心配要りませんが、中には悪性腫瘍と関係するものもあります。

➀真性膵嚢胞

先天性のものか、あるいは膵液が溜まったもので、それほど大きくなることはありません。良性なので、経過観察だけで十分です。心配は要りません。

合併症を起こすことも、ほとんどありません。

②仮性膵嚢胞

膵炎を起こしたり、膵臓が外傷を受けたりして、形成される嚢胞です。

液体を包んでいるのは、線維性の組織です。液体となって溜まっているのは、壊死した組織や膵液、炎症から生じる浸出液などです。

小さい仮性嚢胞は自然消滅することがあります。しかし、嚢胞が膵管とつながっていると、膵液が溜まって大きくなります。大きくなった嚢胞は細菌感染を起こしたり、周囲の動脈に作用して動脈瘤を生じさせたり、合併症を引き起こす危険があります。

③腫瘍性膵嚢胞

腫瘍と関係する膵嚢胞もあります。腫瘍と関係すると言っても、すぐに悪性と決めつけることはありません。腫瘍性膵嚢胞にも、良性と悪性、癌化しやすいものと、めったに癌化しないものとがあります。

腫瘍性膵嚢胞にもいくつか種類があります。

1, 膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)

膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)とは、膵管という膵液の流出路の内部に発生する乳頭状の腫瘍のことです。乳頭状腫瘍は、多量の粘液を膵管内に分泌します。この粘液が膵管に溜まると、膵管がふくらみ、嚢胞のように見えるので、画像診断では「膵嚢胞」と言われることが多いのです。

膵臓が分泌する膵液は、膵管を通って十二指腸へ流れて行きます。膵管は最終出口の主膵管と上流にある分枝膵管からできています。分枝膵管はさらに細かく枝分かれしています。最も太い主膵管の直径でも1~2mm程度です。

膵液は正常ならばサラサラしていますが、乳頭状腫瘍が粘液を多量に分泌するので、通りが悪くなり、膵管内に溜まってしまいます。そのため、膵管がふくらんでしまうのです。

IPMNは、数年から数十年かけて、ゆっくりと進行します。初期の腫瘍は小さすぎて画像ではわかりません。膵管がふくらんでいるのがわかるだけなので、膵嚢胞と診断することが多くなります。ですから、「膵嚢胞」と診断されても、IPMNの初期の可能性があるのです。

時間の経過とともに、粘液が膵管に溜まり、「嚢胞」が大きくなったように見えます。近くにある複数の分枝膵管に粘液が溜まるようになると、「嚢胞」が「ブドウの房」のように見えます。やがて主膵管にまで粘液が溜まってふくらむようになります。この頃には、腫瘍が画像でわかるようになります。摘出手術を検討します。

IPMNには、良性と悪性があります。悪性の疑いがあれば、手術で摘出します。悪性の疑いがなければ、2~3年は経過観察を行います。ただ、「膵嚢胞」と思われるものの直径が3cmを超えた場合は、悪性の疑いがなくても、摘出手術に踏み切ります。

2, 粘液性嚢胞腺腫(ねんえきせいのうほうせんしゅ)

内部に粘液性の液体が溜まる腫瘍性膵嚢胞です。癌化しやすいので、要注意です。

組織的には卵巣様間質を持っているので、40代50代の女性に発生することが多いようです。

3, 漿液性嚢胞腺腫(しょうえきせいのうほうせんしゅ)

漿液という比較的サラサラした液体が溜まる腫瘍性膵嚢胞です。悪性化することは、めったにありません。でも、経過観察は必要です。

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膵嚢胞の症状と検査方法、遺伝との関係について

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膵臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。どのような病気でも、かなり進行しなければ、症状が出ません。そのため、膵臓癌などが発見された時は、すでに手遅れと言えるほど病状が進んでいます。

最近では、画像診断技術や超音波検査技術が発達して、膵嚢胞が見つけやすくなりました。ほとんどが良性で心配ないのですが、中には、IPMNの初期だったり、癌化しやすい腫瘍性膵嚢胞だったりするので、慎重に対応することが大事です。

[膵臓の働き]

膵臓は十二指腸の裏側にある臓器で、内分泌部と外分泌部に分かれます。膵臓の働きも内分泌機能と外分泌機能(消化機能)の2つです。

膵臓内には、ランゲルハンス島と呼ばれる小さな細胞の塊(かたまり)があります。この細胞塊は1つ1つが小さな臓器で、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌します。内分泌腺です。

ランゲルハンス島以外の部分を外分泌部と呼びます。膵液という消化液を分泌して、膵管を通して十二指腸に送り込みます。主膵管は十二指腸とつながっています。主膵管は十二指腸とつながる手前で、胆嚢から流れてくる胆汁を通す総胆管と合流します。

膵液には、タンパク質・デンプン・脂肪を分解する働きがあります。

[膵嚢胞の症状]

ほとんど自覚症状がありません。検査で膵嚢胞が見つかって、驚く人が覆いようです。

腫瘍性膵嚢胞、特に膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)の場合、腫瘍が分泌する粘液が膵管内に溜まり、膵液の流れを悪くすることがあります。膵液の流れが悪くなると、腹痛や背中の痛みが生じます。急性膵炎を起こすことがあります。

急性膵炎になると、上腹部から背中にかけて痛みが生じます。鈍痛程度から激痛まで、痛みの程度は人によって異なります。突然、痛みが生ずる場合もありますが、油っこい食事をしたり、アルコール類を飲んだりした後で、痛みが出ることが多いようです。痛みの他には、吐き気・嘔吐・発熱・腹部膨満感(ぼうまんかん)・食欲不振などの症状が出ます。

仮性膵嚢胞は、急性膵炎や慢性膵炎などの後にできるので、嚢胞形成前に症状が出ます。腹痛・背中の痛み・腹部膨満感・吐き気・嘔吐などが生じます。

良性の膵嚢胞でも大きくなりすぎると、主膵管や胆管、周囲の臓器を圧迫するので、上腹部に痛みや不快感が生じたり、吐き気がしたりすることがあります。

[膵嚢胞の原因は遺伝?]

膵嚢胞には、いくつか種類があります。膵嚢胞ができる原因も、嚢胞の種類によって異なります。なぜ、膵嚢胞ができるのか、まだ原因がよくわからないものもあります。

膵炎が原因でできる場合は、タバコやアルコール類、生活習慣が原因と考えられます。タバコやアルコール類の飲み過ぎは、膵炎を引き起こします。

良性の真性膵嚢胞は先天的なものが多いようなので、遺伝子が関係すると思われます。

悪性の粘液性嚢胞腺腫の場合は、卵巣様間質という組織をもっているので、遺伝子や内分泌系に原因があるといわれます。身体が発生する途中で、卵巣様間質が膵実質に迷い込んでしまうと、粘液性嚢胞腺腫が発生するという説があります。身体の発生段階のことですから、遺伝子が関係していると思われるのでしょう。

「膵嚢胞」と診断されても、癌化しやすい悪性腫瘍の場合があります。膵臓癌患者さんの4~8%に、膵臓癌が発生した家族がいます。膵臓癌が遺伝と関係していることは、否定できません。家族に、膵臓癌や悪性膵嚢胞の病歴を持つ人がいたら、要注意です。慎重な経過観察が必要です。

膵嚢胞の発生原因については、まだ不明なことが多いのです。遺伝も関係するようですが、それだけではありません。ただ、家族に膵臓疾患の病歴がある場合は、慎重に対応することをオススメします。

[膵嚢胞の検査方法]

膵嚢胞は超音波検査で見つかることが多くなっています。さらに、MRI検査、MR膵管胆管撮像(MRCP)を行うと、嚢胞と膵管の様子がよくわかります。

IPMNの初期では腫瘍の存在はわかりません。やがて、膵管がブドウの房状態に見えるようになります。この画像でIPMNを疑うことができます。

主膵管に狭窄や拡張が生じていれば、慢性膵炎による仮性膵嚢胞を疑うことができます。

CT画像では、粘液性嚢胞腺腫や漿液性嚢胞腺腫の形状がよくわかります。粘液性嚢胞腺腫は比較的厚い膜に包まれた夏ミカンのように見えます。漿液性嚢胞腺腫は、薄い膜に包まれた小さな嚢胞がハチの巣のような形になっています。

IPMNの検査には、超音波内視鏡(EUS)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)を使うことがあります。

腫瘍マーカーという血液検査で「膵臓に炎症反応がある」と出ても、中高年女性の場合、卵巣腫瘍の可能性があります。他の検査で膵嚢胞などの腫瘍が見つからない時は、婦人科に相談する必要があります。実は、私も、血液検査で「膵臓癌の疑い」と出たのですが、詳しく検査したところ、卵巣嚢腫でした。

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膵嚢胞の治療

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膵嚢胞の治療は、手術による摘出や切除が主となります。悪性と決めかねる場合は、経過観察になります。また、良性でも、どんどん大きくなって障害が出る場合は、手術することもあります。

[腫瘍性膵嚢胞]

膵管内乳頭状粘液性腫瘍(IPMN)の場合、EUSやERCPで検査すればいいのですが、設備が整っている病院は多くありません。超音波検査やMRI、CTなどで診断する場合は、膵嚢胞の直径が3cm以上であれば、手術して切除もしくは摘出することになります。膵嚢胞が径3cm程度であれば、悪性のIPMNや線維腫であっても、手遅れとか死ぬ可能性があるとか、そういう心配はありません。

IPMNが膵管の外まで浸潤していたり、他の臓器に転移したりしている時は、径3cm以下でも手術に踏み切るなど、膵臓癌と同じ治療を行います。

粘液性嚢胞腺腫の場合も、癌化する可能性が大きいので、手術による摘出・切除を行います。すでに癌化している場合は、癌治療を行います。

IPMNでも、嚢胞が小さかったり、悪性の疑いがない場合は、経過観察を行います。年1回ではなく、年2~3回程度定期的に検査を行います。IPMNから離れたところへ癌ができることがあるので、腫瘍マーカーなどの血液検査、超音波検査、MRI、MRCP、CT造影検査などを行って、様子を観ます。

漿液性嚢胞腺腫は良性で癌化する可能性が低いので、上記のような検査をしながら経過観察を行います。ただ、大きくなって障害が生じれば、手術します。

[仮性膵嚢胞]

膵炎を起こしたり、外傷を受けたりして形成される嚢胞なので、保存療法になります。食事を摂らず、点滴で栄養を補い、膵臓の安静を保ちます。

膵臓を安静にしても嚢胞が大きくなる時は、ERCPを利用して膵管にステントを挿入して減圧したり、内視鏡を使って、胃や十二指腸から嚢胞に針を刺して、嚢胞内の液体が消化管に流れるようにしたりします。

感染症を起こす場合は、手術による切除・摘出を行います。

[真性嚢胞]

ほとんどが良性なので、1年1回程度検査を行い、経過観察することが多いようです。

[治療は、何科の病院で受けるの?]

膵嚢胞は自覚症状がなく、良性・悪性の判別も難しいと言われます。「膵嚢胞があるようだ」と健康診断などで言われたら、膵臓の専門医に診てもらうことをオススメします。総合病院か大学病院の消化器内科か消化器外科を受診するといいですよ。

大学病院を受診する時は、かかりつけのホームドクターに「膵嚢胞がある」ことを話して、紹介状を書いてもらうことが大事です。大学病院へ行く時は、必ず紹介状を持参してください。

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まとめ 膵嚢胞は経過観察が大事です

膵嚢胞は、たいていの嚢胞と同じように良性ですから、あまり心配は要りません。

ただし、膵嚢胞にはいくつか種類があって、中には悪性腫瘍に変わったり、悪性腫瘍と関係するものがあったりします。ですから、膵嚢胞の場合は、経過観察がとても重要になります。

悪性の疑いがなく、膵臓自体や他の臓器に障害を与えることがなければ、経過観察だけで十分です。1年1回、超音波検査や血液検査など身体に負担のない検査を受けるだけでOKです。

仮性膵嚢胞の場合は、その原因となる膵炎や外傷をきちんと治療することが大事です。膵臓は沈黙の臓器と言われるほど症状が出にくい臓器ですが、消化機能の他に、インスリンなど内分泌機能もあるので、健康な状態を保っておかないと、全身に悪影響を及ぼします。

腫瘍性膵嚢胞と診断されても、まずは経過を観ることになるようです。ただ、大きさや広がり(浸潤)、転移などの様子によっては、ただちに手術による摘出・切除が必要なこともあります。早期に適切な治療を行えば、命に関わるような事態にならないで済みます。

膵嚢胞と診断されたり、上腹部から背中へかけて痛みが続いたりした時は、かかりつけのホームドクターと相談して、膵臓専門医を受診することをオススメします。できるだけ早く診てもらうといいですよ。

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