閉塞性黄疸とは何なのでしょうか。疑問に思う方も少なくはないはずです。
まず聞くことはないこの病気の原因や症状、そして治療法まで今回は詳しく見ていきたいと思います。
閉塞性黄疸とは何か?
では、まず閉塞性黄疸とは何かというところから見ていきましょう。
胆管が詰まる事によって起こる病気
閉塞性黄疸とは、一言で言うと胆管が詰まる事によって起こる病気のことを言います。胆管というのは肝臓に繋がっている管の一つで、肝臓の働きに重要な役割を果たす管です。
肝臓では、様々な働きを行うのですが、その一つにあげられるもので胆汁というものがあります。この胆汁というのは主に脂肪分を分解する役割を果たす消化液のようなものであり、肝臓内で作られた胆汁は胆管を通って胆嚢という部分に一度プールされます。そしてその後、総胆管という部分を通り十二指腸へと排出される流れになります。
この一連の流れは身体ではごく自然に行われていることであり、つまり人間が生きる上で必要不可欠な流れであるのは言うまでもないでしょう。閉塞性黄疸では、この肝臓で作られた胆汁が胆管部分で詰まり、十二指腸へ上手く排出できない状態を指し、具体的に言うと「詰まる」と言うことはつまり逆流を意味します。
逆流する事により、この閉塞性黄疸が発症すると言う具合であることがいえるでしょう。
黄疸とは?
黄疸というのは、皮膚や粘膜部分が胆汁の逆流により胆汁色素、これを俗に(ビリルビン)と言うのですが、胆汁色素で皮膚や粘膜が黄色に染まる状態のことを黄疸と言います。
もっと詳しく説明すると、黄色に染まる事によって、胆汁色素の血漿(けっしょう)中の濃度が急上昇する事によって起こるものであると考えられています。
これによる原因というものは色々ありますが、主に挙げると、
- 溶血によるものである。
- 肝細胞の障害によるものである。
- 胆汁の流れに障害が起こったものである。
- 体質的なものである。
の、4つが挙げられます。
胆汁というものは肝臓で作られて、胆管を通り最終的に十二指腸へと排出されるのですが、その流れに障害が来された際に生じる黄疸のことを閉塞性黄疸というものであり、今回は胆管の流れに障害が起こったものが主に挙げられる原因となります。
胆管が詰まる、これを俗に「閉塞」「狭窄」と言い表します。胆管が詰まることだけを指すのではなく、詰まるということを閉塞、狭窄と言うということですね。何らかの原因により狭くなったりして胆汁の通り方が悪くなったりすると、胆汁を最終的に十二指腸へと排出することができなくなり、胆管で胆汁が溜まり、胆管が膨張、拡張し、胆汁の成分であるビリルビンが血液の中に再吸収される、これを俗に逆流と言い、それが起こる事によって、皮膚や粘膜、目などが黄色くなってくるというのが主な症状で、これを黄疸と言います。
先ほどの述べた血漿ものなのですが、これは血液に含まれる液体部分のことを指します。主に淡黄色で、血液中の55%を占めています。血液には赤血球や白血球などの有業物質などがありますが、それを除く液体物質を血漿と言い表します。黄疸はこの血漿濃度が上がる事によって皮膚や粘膜の色が黄色く変色することを指します。
さて、話を戻しまして、黄疸について。
本来は、腸に排出されるはずの胆汁が血液中に逆流してしまい起こる黄疸のことを俗に閉塞性黄疸と言い表し、肝炎などの病気で肝臓にある細胞が破壊された時に起こる黄疸は肝細胞性黄疸という風に言われており、そこで黄疸の区分がなされています。
黄疸にもいくつか種類があることがわかると思いますが、つまり総括すると血液中に胆汁が逆流し起こる黄疸のことを閉塞性黄疸ということですね。
閉塞性黄疸の症状
では、症状について詳しく見ていきましょう。
皮膚の変色とかゆみ
閉塞性黄疸の主な症状として挙げられるものが、全身の皮膚や粘膜が黄色く変色し、そして酷い痒みに襲われることや、血液中に逆流した胆汁が腎臓から排出されることから、尿の色がコーラのような黒い色になったり、胆汁が腸から流れなくなることから、便色が白色になることが主な症状として挙げられます。
また、その他にも、腹痛や発熱、全身の倦怠感や食欲不振など、様々な症状が伴う恐れもあります。胆汁が血液中に逆流するだけでこれだけの様々な症状が現れるのはとても危険であることが一目瞭然かと思われます。
そしてこの黄疸が長引くようであると、肝臓を始めとする様々な臓器に障害を来す恐れもあり、また、胆管炎などの病気も生じてしまう可能性もあります。これはつまり長引くと重症化し、詰まった胆管の中にある胆汁部分に細菌が感染し、細菌性胆管炎というものを起こすと命を落としかねない事になることもあります。
つまり放置しておくと重症化し、最終的に命の危険性に関わる重要な問題であるということが窺えます。これの場合は皮膚や粘膜の色が変色したり痒みなど大きな目に見える症状が現れるので気付いた時にすぐに病院へと行くようにしましょう。
診察、検査の方法は?
主に血液検査、エコー検査、CTやMRIなどが検査方法に挙げられます。
血液検査では、血中のビリルビン値やガンマ、アルカリフォスファターゼの胆道系酵素値が上昇するということでこの病気の判明に繋がります。またエコーやCTなどの検査では結石や腫瘍の早期発見、閉塞部位の上流の胆管が膨張していることなどがわかるようになります。
ビリルビン値は、赤血球などを構成するヘモグロビンの分解代謝であり、黄色の色素であるビリルビンが血中に増加した事により上昇し、眼球の結膜と皮膚の変色が表れるとされています。
閉塞性黄疸の良性、悪性の違いと原因について
上記では大まかに閉塞性黄疸について説明してきましたが、ここではより詳しく、良性疾患と悪性疾患のものについて説明したいと思います。
良性疾患について
閉塞性黄疸というものは、大きく分けて良性疾患のものと悪性疾患の原因があるとされています。
閉塞性黄疸の原因で、考えうる中で最も大多数を占めるのが、総胆管結石であると言えます。総胆管結石では、胆管部分に結石が嵌り、閉塞性黄疸を来たします。原因として、胆嚢内にある石がポロポロと零れ落ちる場合というのと、総胆管内部に直接石ができるというに種類があると言われています。
他にも、良性の原因として挙げらえれるものが先天性総胆管拡張症というものや、胆嚢炎、胆管炎などが挙げられます。
悪性疾患について
悪性の疾患の場合では、胆道癌や膵臓癌などによる影響が大きいと考えられています。これは癌による胆管の閉塞が考えられると思ってください。胆管癌というのは、胆管の内部に向かって成長することが知られていますので胆管を塞ぐことがあるのです。
それにより、閉塞性黄疸を来たします。また膵臓癌でいうならば、十二指腸に近い部分に癌ができる事によって総胆管を圧迫し閉塞性黄疸になると考えられています。
最終的に言えることは悪性の場合は癌や腫瘍の影響が大きということです。
その他にも、原因として挙げられるものが悪性リンパ腫や癌リンパ節への転移、胆嚢癌などが挙げられます。これは主に腫瘍などが原因とされています。腫瘍による胆管や血液の圧迫などが原因とされています。
閉塞性黄疸の治療法について
では、良性、悪性があるこの閉塞性黄疸の治療法について見て行きましょう。どちらの症状にしても早急に黄疸症状を改善することが先決されています。これは主に胆汁を出す処置に関わります。
良性疾患の治療法
閉塞性黄疸の症状というものを応急的に改善する方法として、詰まった胆管の中にある胆汁を出すというのがあります。これを俗にドレナージと言って、その方法は、内視鏡で十二指腸にある胆管の出口部分からチューブを挿入し行う、内視鏡的胆道ドレナージというものや、お腹から皮膚と肝臓部分を通して胆管にチューブを挿入する経皮経肝的肝道ドレナージという方法の二種類が大まかに挙げられます。
いずれの場合も胆管に詰まった胆汁を外へと出すという目的があります。
総胆管結石による原因の場合に関しては、結石を除去することで治療は完了するとされています。そしてその時に具体的にいうなら、口からカメラを飲み、十二指腸まで入れ胆管の開口部から造影検査が行われます。結石の存在を確認するためですね。
確認が出来次第、バスケット鉗子やバルーンを使い、結石を胆管から取り除く手術が行われます。胆管の出口部分は狭いので、電気メスなどで切開したり、バルーンなどで押し出すなどがあります。
手術が不可能であると判断された場合などは、胆管の詰まっている場所に金属製の管を挿入するステント留置などを行うことがあります。胆管ステントというものは、網目状の構造をしている金属の筒を指しており、また樹脂製のチューブなどで、このステントを閉塞した部分の胆管に留置することで正常に胆汁が通れる経路を確保する処置が行われます。
悪性疾患の治療法
胆道癌や膵臓癌などの癌による胆管部分の閉塞が原因の場合には、根本的な治療法は手術による病変部位の摘出にあります。これはより安全な手術、術後経過になるよう、手術前に黄疸を改善する必要があると考えられています。ERCP手技というものを用いて、胆道にステント留置が行われ、そして胆汁が流れるようにされるのがまず挙げられます。
1本で不十分な場合に限り、複数本を留置する場合もあります。
もし万が一カメラを用いた手法が困難であると判断された場合は、体外から肝臓内にチューブを直接挿入する方法が取られることもあります。癌の進行度合いなどで根治手術が困難だと判断された場合などは、抗がん剤などの治療が考えられます。
その場合、ステント留置による胆汁の流れを良くする必要は不可欠であると考えられいます。
主な治療期間について
治療期間なのですが、応急的にドレナージを行い、黄疸を改善させ、その期間中に必要な検査等を行い、肝臓の機能などに改善が見られるのに、凡そ3〜4週間ほどがかかるとされています。
悪性の場合はステント留置によるドレナージを行なったのちに癌の手術に入るので多く見積もっても数ヶ月は日数を要すると考えられます。長期的な治療を必要とする病気でありますが、これは命に変えられません。もし早期に気づいた場合は適切な検査を受けることをお勧めします。
食事などや経過観察について
閉塞性黄疸が手術などやステント留置によって改善されたのちに日常生活などで、閉塞性黄疸の再発防止のために、食生活などの改善や定期検診などの経過観察が欠かせないでしょう。
食事については、胆道の癌なのどの治療後の食事は、少量から少しずつ取るようにするのを心がけましょう。理由については消化や栄養分などの吸収に時間を要するためです。
少量ずつを何度かに分けて食べる方法が一番良いと考えられています。一度に大量のものを摂取すると消化液が追いつかないことがあるため、一度の食事を少なめにすることと、回数を増やすことが大事であると言えます。
また脂肪分などを摂取しすぎないことも重要になってくるでしょう。特に動物性脂肪を控えるようにして、植物性脂肪を摂取するようにするのが一般的です。
その他にも、大豆や魚、たんぱく質を摂取、香辛料はできるだけ控えめに、そしてコーヒーや紅茶はできるだけ飲まないようにするなどが挙げられます。そしてアルコールを摂取する際は必ず事前に医師に相談することを忘れずにしましょう。
経過観察については、治療を受けた後でも、回復の段階などでは再発の恐れがあるため、定期的に経過を観察する必要があります。そのため、定期検診は欠かさずに行く必要があります。
これには進行した胆道や膵臓の癌の再発を防ぐことが重要しされています。胆道や膵臓の癌は再発する恐れが高いため、定期的な検査が必要となってきます。黄疸の有無などや血糖、ホルモンの状態を調べることや、血液検査、腫瘍マーカー検査などを定期的に行い癌の再発防止に努めます。
そしてされに必要に応じて他の検査も行います。X線検査やエコー検査も必要に応じて行うこともあるでしょう。体調の変化や後遺症などについての問診も行われ、黄疸がないか、痒みはないかなどが確認されます。
そして尿の状態も厳しくチェックする必要があるでしょう。濃くなる、つまり黒くなるような尿が出る場合は再発の恐れがある兆候とも言えます。
できる限りの定期的な検査を行い、食生活にも気を配りながら再発防止に努めるようにしましょう。
閉塞性黄疸とは関係ない新生児黄疸
よく間違われることも多い新生児の黄疸について少し述べようと思います。
よく起こることがある、新生児の黄疸
これは閉塞性黄疸とは関係ありません。新生児黄疸は直接的に閉塞性黄疸とは関係していません。しかし、新生児によく見られることがあるこの黄疸について少し述べてみようと思います。
新生児黄疸というのがあります。これは新生児は大人に比べて黄疸になり易いといういうものがあり、ほとんどの場合、これは生理的になるものであると考えられています。なので特に治療が必要というものではありません。しかし稀に、精神的な黄疸もありますので、そこは慎重に経過を見る必要があります。
重症な黄疸である場合は、治療が必要となる場合もあります。なのでまずは黄疸が出た場合は病院へと連れて行くことをオススメします。重症化して放置しておくと脳性麻痺などを起こす危険性もあります。
新生児黄疸の原因とは?
一般的に生理現象として見られるものが多いです。生理的黄疸というのは、生後2〜3ヶ月程度の時に現れることが多く、発生から7日くらいで次第に消えて行くものがほとんどであると言われています。
これは原因として挙げられるものが、新生児というものは多血症であり、血液濃度が高いことがまず挙げられます。赤血球の寿命などが短いということで、ビリルビンが成人よりも大量に生成されることで黄疸になることがあります。
二つ目に肝臓機能の未熟さが挙げられます。これはビリルビンがほとんど間接的に排出されるために起こるのが原因とされています。もちろん脂肪性は非抱合型です。
三つ目にしんせいじの腸管運動が挙げられます。これは新生児の腸管運動が未熟で不十分であることが原因とされています。腸に排出されるビリルビンは、再度肝臓に吸収されることがあるため、黄疸が出るというのが原因であると考えられています。
生後24時間以内、また生後2週間以降に黄疸が見られた場合、これは血清ビリルビン値というものの急速な上昇が挙げられます。高ビリルビン血症や直接ビリルビン値の上昇が挙げられる場合は血病的な黄疸を疑う必要があるでしょう。
これは一般的に母親がO型で、子供がA,B型によく起こるものとされていてRhD不適合の場合には重症化し易いとも言われており早急に治療が必要となることもあります。
しかしほとんどの場合は自然的で生理的なものであり、7日程度で回復するものがほとんどであるといえるでしょう。
まとめ
では、総括に入ります。
閉塞性黄疸は術後の食生活や経過観察が重要である
術後の再発防止というのが、一番重要となってきます。これは癌が原因の場合は特に要注意しなければならないことです。転移や再発の場合は重症化し易いとも言われてい流ので、術後の定期的な検診や、食生活には十分に注意するように心がけましょう。