胆嚢腺筋症とは?症状や原因は?治療するには手術が必要なの?

「胆嚢(のう)腺筋症」という名前だけ聞いて、その症状がピンとくる方はほとんどいらっしゃらないのではないかと思います。胆嚢腺筋症自体は基本的に手術も必要ないような症状として現れることが多いです。

しかし、将来のがんのリスクを高めるかもしれない、という研究結果を受けてにわかに注目を集めています。今回の記事ではそんな胆嚢腺筋症についてご紹介していきます。

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胆嚢腺筋症について

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病名だけ聞いても、「胆嚢腺筋症」がどのような症状の病気なのかイメージしづらいかと思います。そこで、簡潔に言ってしまいますと、胆嚢腺筋症というのは、胆嚢の壁の厚さが変化することを指します。

特に胆嚢の壁が厚くなる状態のことを胆嚢腺筋症というような呼び方をするようです。それだけではまだ分かりづらいかと思いますので、まずは、胆嚢腺筋症はどんな病気なのか簡単に見ていきましょう。

胆嚢腺筋症とはなにか

そもそも胆のうについて、きちんと整理しておきましょう。胆のうというのは肝臓で作られた胆汁という液体を溜めておくための袋です。

そのため、胆のうは肝臓と腸(十二指腸)との間の消化管(肝管)の途中に付いています。形状は一般的に洋梨のような形と表現されることが多いです。大きさ10㎝、幅4㎝程度の袋状の構造をしています。そんなに大きくないです。胆のうは肝臓や腸の補助機能のようなイメージでよいかと思います。

では、胆嚢腺筋症とはどのような症状を指すのでしょうか?病名から胆のうに関係することは予想が付くかと思われます。胆嚢腺筋症とは、この胆のうの袋の中、胆のうの壁に、別の袋状の構造(憩室)ができてしまう病気なんです。胆のうにできる憩室はロキタンスキー・アショフ洞という名前で呼ばれることがあります。

ちなみに小腸の途中にできる憩室のことはメッケル憩室と呼ばれることから分かるように、憩室はできる部位によって違う名前で呼ばれます。そのため、このロキタンスキー・アショフ洞という名前はこの記事を読み終わった後すぐに忘れていただいても構いません。重要なのは、袋のなかに別の袋、ポケット的な部分ができてしまうということです。

胆嚢腺筋症は普通の状態と何が違うのか

では、胆のうの袋にロキタンスキー・アショフ洞とかいうポケットが勝手にできたとして、それが一体どんな問題があるのでしょうか?確かに、大きな憩室ができた場合には臓器が肥大化したような状態になって邪魔かもしれません。

しかし、一般的にこの胆のうのポケット部分(憩室)が問題になることはありません。なぜなら、ほとんどのケースではこのポケットは小さいままで、胆のうや消化管の消化機能に影響を与えないからです。

問題なのは、この胆のうの憩室は胆のう自体の粘膜から胆のうの壁の部分、つまり消化液を出したりするときに臓器を収縮させたりするために使う筋肉の層にまで入り込んでいるのですが、この憩室がいくつも胆のうの中にできることです。これによって胆石症や胆のうの慢性炎などの症状が生じる場合ああります。そのような状態の胆のうの状態を胆嚢腺筋症と言います。

胆嚢腺筋症の患者さんはどのような人か

胆嚢腺筋症は50代の女性に多いと言われ、場合によっては更年期に注意すべき病気として取り上げられることもあります。

先ほど胆嚢腺筋症、すなわち胆のうにおける憩室の大量発生が胆石症を合併する可能性があると述べました。実は、50代以降の女性が胆石症になりやすいということが研究によって明らかになってきています。つまり、胆嚢腺筋症からの胆石症へとステップアップしているだろうということが予想されるのです。

なんと、ある統計では、日本人10人に一人が胆のうに胆石を持っていると言われています。さらに、胆石を持っている人は中年以降に多く、男性よりも女性の方が胆石を持っている人口が2倍ほどあるという分かっています。

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胆嚢腺筋症の特徴

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胆嚢腺筋症というのは胆のうに憩室(袋のなかにできる内ポケット的な部分)が異常発生することによって起きているらしいということが分かってきました。

続いては、胆嚢腺筋症の症状の特徴についてもう少し詳しく見てみましょう。

症状の分類

胆嚢腺筋症という病名に筋肉の「筋」の字が使われていることからも分かりますが、実は胆のうに憩室ができるというのは筋肉とも関係しているのです。というよりむしろ、診断の際には胆のうの壁の筋肉の肥大している様子をCTスキャンなどを使って確認することで胆嚢腺筋症だと鑑別するのです。

胆のうにおける憩室の出来具合にはさまざまなバリエーションがあります。それこそ、小さな窪みができるくらいの軽微なものから、胆のう全体にわたって憩室がはびこっているようなものまであります。

それらは外側からみた筋肉の肥厚具合から、限局型(底部型)、分節型(輪状型)、全般型(びまん型)と、大きく3つに分けられます。

限局型(底部型)と全般型(びまん型)の症状

限局型(底部型)は、「底部型」という呼称の通り、胆のうの底に憩室がたくさんできている状態です。ネット上では蓮コラというのが定期的に流行ることがありますが、あれの蓮の穴の部分に種が入っていないような状態が胆のうの床にできていると想像していただければ理解は容易かと思います。

その床部分にしか憩室ができていないケースのため、限局型と呼ばれることもあります。記事のタイトルにあるような胆のうがんとの関わりはあまりないタイプの胆嚢腺筋症です。

全般型は名前通り、胆のうの至る所に落とし穴のような憩室ができている状態です。壮観ですが、実は意外と胆石症や胆のうがんにはなりにくいタイプの症例が多いです。

分節型(輪状型)

底部型や全般型の胆嚢腺筋症は胆のうがんとは大した相関は見られないということは、残る分節型(輪状型)が胆のうがんと強い相関を持っているというですね。この輪状型というのは、憩室がいわば胆のうのなかでマフラー状にできて、それが胆のうの首の部分を覆うようになってしまう型なのです。

胆のうは袋状の構造をしていると説明しました。その袋の入り口には管が通っています。芋掘りで掘りあげたサツマイモを想像していただけたらイメージしやすいかもしれません。芋の付け根にある、あの緑の茎の部分にマフラーを巻くようにして憩室ができているパターンです。これは胆のうがんのリスクが非常に高いと言われています。

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胆嚢腺筋症の原因

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胆嚢腺筋症には底部型、輪状型、全般型の3つのタイプがあることが分かりました。続いては、胆嚢腺筋症の原因と、胆嚢腺筋症の合併症について見ていきましょう。

胆嚢腺筋症の根本的な原因

胆嚢腺筋症の根本的な原因というのは、やはり憩室ができるということです。なぜ憩室ができるのでしょうか?まず考えられるのは、先天的に胆のうに憩室があるというパターンです。このパターンは少数ですが、日本でもだいたい数%の人が先天的に憩室を持っているという説もあります。

ただし、先天的に憩室を持っているからといって大きな問題になるわけではありません。それらの症状の場合は、憩室が新しく増えていったり、胆石症などの合併症を引き起こさない限りは基本的に良性の症状と考えられます。

胆嚢腺筋症の多くは後天的な事情によるものが多く、特にストレスや食生活が原因になることが多いです。たとえば、脂っこいものをたくさん食べますよね。胆のうは脂の分解を助ける胆汁を分泌するのですが、消化する脂が許容範囲を超えると、胆のうに憩室が出来てしまう可能性があります。

胆嚢腺筋症になる遠因

胆嚢腺筋症は50代の女性に多いという説明をしました。その際に胆嚢腺筋症が胆石症を合併することが多いということを述べました。胆石症は肥満や過食、不規則な生活など、生活習慣と強い結びつきがある病気であると言われています。また、女性の方は、更年期以降、閉経などでホルモンバランスが崩れがちですので、それも胆のうの胆汁分泌機能と相関があるのではないかという説があります。

食生活とストレスと胆嚢腺筋症の関係についても少し述べておきましょう。食生活の欧米化により、脂肪の摂取量が増え、日本人は胆石になる人の割合が増すようになりました。胆石の形成にはコレステロールなどの脂肪分が深く関わっているからです。脂肪を分解する際には胆のうから緑色の胆汁という液体が分泌されます。

しかし、一日に何度も胆汁を分泌できるほど胆のうは大きくありません。胆のうはだいたい50mlしか胆汁を溜めていられない器官なのです。そのため、胆石症と胆嚢腺筋症は非常に関連性の強い症状であると言えるでしょう。

胆嚢腺筋症と合併症

胆嚢腺筋症と関係が深い病気は胆のうに胆石ができる胆石症ですが、他にも胆のうにおける炎症や胆のうがんとの関係性が指摘されています。やはり重要なのは、胆石ができるということです。胆石とは、胆汁中に溶けているコレステロール、ビリルビンなどの物質が析出・結晶化したものです。

胆石は油分の摂り過ぎによって、胆汁中にそれらの物質が過剰に排出されたり、胆のうと肝臓をむすぶ途中の消化管が感染症になったりすることでできます。胆嚢腺筋症を発症すると、ほぼ9割がた胆石ができます。なぜなら胆のうに窪みができていることは確かだからです。

また、胆嚢腺筋症のなかでも輪状型のような、胆のうの壁の肥厚によって内腔(胆のうの袋の部分)が狭くなっているタイプの胆嚢腺筋腫症では胆汁の排出が阻害されるため、胆汁が胆のう内に溜まる胆汁うっ滞が生じます。それが胆のうにおける炎症および胆のうがんを誘発すると考えられています。

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胆嚢腺筋症の治療

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胆嚢腺筋症と胆石および胆のうがんなどの合併症の関係について整理しました。続いては、胆嚢腺筋症の具体的な治療方法について見ていきましょう。

胆嚢腺筋症の治療の種類

胆嚢腺筋症という病名は付いているものの、大本の症状というのは、胆のうのなかに憩室が増加し、胆のうの壁の筋肉が厚くなっているという現象です。それ自体では大したことはありません。先天的に憩室を持っている人でも、それだけの理由で問題になることはありませんし、手術などの特別の処置をする必要もないでしょう。

ただし、問題なのは、輪状型のようなタイプの胆嚢腺筋症として発症しているケースや、胆石や胆汁が胆のう内で蓄積・停滞しているような状態です。それらが最終的には胆のうがんを引きおこす遠因となる場合があります。そのため、治療においてまず大切なことは、むやみにそれ以上過剰な胆汁および胆石を作らせないようにすることです。

胆嚢腺筋症の治療の前に

胆石形成にはコレステロールなどの物質が関与していると説明しました。基本的に、早期発見できれば、脂肪分を控えた食生活を心掛けるだけでさまざまな合併症のリスクを避けることが可能です。しかし、胆石だけではなく、胆のう炎などにより腹痛が伴うというケースであれば、おそらく手術することになるでしょう。

もちろん、現状でもさして問題がなさそうな場合は積極的には手術せずにおくというケースも多いです。しかし、胆のうがんに近い症状が見られたり、将来的にそうなりそうな兆候が見られた場合、手術の適応となることがあります。

胆嚢腺筋症の具体的な治療例

基本的に胆嚢腺筋症で手術するということはありません。たいていの場合、胆石の蓄積や胆汁の胆のう内での停滞、胆のうの炎症、胆のうがんなどの症状をなんとかするための手術となります。

手術方法には、通常の開腹による胆のう摘出術と腹腔鏡を用いた腹腔鏡下胆のう摘出術の2つがあります。胆のうの壁の肥厚や胆のうの炎症の程度により手術方法は変化することがあるようです。手術後は、病理組織を追跡観察していき、胆のうがんであれば、転移や再発などが起きていないと確認されれば予後は安定と言えるでしょう。

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胆嚢腺筋症の診断

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胆嚢腺筋症は基本的に手術の必要ない良性の疾患ではありますが、合併症が生じることによって手術が必要となってしまうことが分かりました。続いては、胆嚢腺筋症の診断方法について見ていきましょう。

胆嚢腺筋症の見た目

胆嚢腺筋症の患者さんは合併症を発症しない限り、ほとんど健康な人と変わらないと言えるでしょう。ただし、胆のうに関する疾患を発症するリスクはそうでない人よりも高いので、食事や日々の生活には気を配らなければならないでしょう。

そのため、仮に先天的に胆のうに憩室を持っている方であっても、規則正しい生活リズムで暮らし、食事に気をつけ、ストレスを抱え込まないような日常生活を送っていれば、一生自分が胆のうに憩室を持っていると気が付かずに生きていく可能性があります。

症状の個人差

胆嚢腺筋症は、やはり合併症を発症するかどうかが大きな焦点となるでしょう。合併症がなければ、もちろん症状の程度にもよりますが、基本的に問題はありません。ただし、輪状型の胆嚢腺筋症の患者さんの場合は、長期的なモニタリングによって体調を管理しておくことが必要でしょう。

また、合併症がある方でも診断を受けてからの生活習慣および社会生活を改善することによって症状も改善することが可能でしょう。しかし、輪状型の患者さんは、胆のうがんに関しては高いリスクを持っているので、胆石が見つかったときなどは綿密な検査および医師による生活指導をきちんと聞いたほうがよいでしょう。

診断方法

胆石や胆のうがんの早期検出にはやはりエコー検査(超音波検査)が効果的でしょう。腹部の超音波検査では、X線のように放射線被ばくをする危険性もないというのが長所でしょう。超音波検査は白黒のコントラストで腫瘍などができている部位を表現します。

CTやMRIなどでは全身を輪切りにするようにして画像を撮ることができます。胆のうの形をはっきり確認することができるので、胆嚢腺筋症を見つけるためにはかなり有効でしょう。

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まとめ

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胆嚢腺筋症について、腹痛などの症状やエコー検査およびCTなどの検査結果を適切に解析することの重要性を確認しました。今回の記事のまとめは以下の通りです。

  • 胆嚢腺筋症は胆のうの袋のなかにロキタンスキー・アショフ洞という憩室ができる病気のことである
  • 胆嚢腺筋症の特徴は胆石症やその他炎症、胆のうがんとの合併症にある
  • 胆嚢腺筋症の主な原因は後天的な生活習慣やストレスにある
  • 胆嚢腺筋症自体の治療はまず必要ない。炎症やがんなどの合併症の場合、手術が適用される
  • 胆嚢腺筋症の診断には、CTやMRIが早期発見にはよい。エコー検査は胆のうがんや炎症を見つけるのに向く

胆のうがんが見つかった場合には、ほぼ間違いなく手術でしょうから、手術したくなければ、基本的に胆嚢腺筋症が見つかる、もしくは胆石が溜まっていることが見つかったときから始めて、胆のうおよび自分の体をいたわるということが大切でしょう。

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