就職活動において、エントリーシートや面接で良く質問されるポイントに「自己PR」と「長所と短所」があります。個別で質問されれば難なく回答できますが、続けて質問されると「自己PR」と「長所」が重なってしまうケースも少なくありません。
そもそも企業側がエントリーシートで「自己PR」と「長所」の両方の記載を求め、面接で連続して質問するケースが多いのは、実はそれぞれの質問意図が異なっているからです。それゆえ、二つの質問に対して就活生が同じような回答をしている場合は、たとえ就活生が二つの質問にスムーズに答えられて手応えを感じていても、選考から落ちてしまうというミスマッチが発生するのですね。
そこで今回は、就職活動における「自己PR」や「長所と短所」の質問意図、「自己PR」と「長所」の違い、「自己PR」と「長所」の書き方・伝え方ついて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
就職活動における「長所と短所」の質問意図
就職活動において、エントリーシートや面接で良く質問される「長所と短所」ですが、どのような質問意図が隠されているのでしょうか?
そこで、まずは就職活動における「長所と短所」の質問意図について、ご紹介したいと思います。
「長所と短所」の言葉の意味
「長所」という言葉の意味について複数の国語辞典で調べてみると、次のような意味があることがわかります。
- 性質や性能における優れたところ。
- 美点、取柄(とりえ)。
- 良いところ。
一方で、同様に「短所」という言葉の意味について調べてみると、次のような意味を有しています。
- 性質や性能における劣ったところ。
- 欠点
- 悪いところ、不足しているところ。
就職活動における「長所と短所」の質問意図
このような「長所と短所」の意味から考えると、就職活動において企業側が質問する「長所と短所」の質問意図とは、自分自身の性格や性質について良いところと悪いところを把握できているか、という点にあると言えるでしょう。
そもそも企業側が業務経験の無い大学生を採用する以上、即戦力ではなくポテンシャル採用であることは明白です。そして、企業側が自社で長く活躍してくれる学生を選考評価する上で、ポイントになるのが人柄や性格だと言えます。
ですから、企業側は就活生に対して「長所と短所」を質問することで、就活生の人柄や性格を知ろうとしており、加えて自分自身の人間性を自覚しているか確認していると言えるでしょう。
就職活動における「自己PR」の質問意図
このような「長所と短所」の質問意図に対して、「自己PR」の質問意図はなんでしょうか?就職活動において、「自己PR」は面接で面接官・採用担当者から質問されるだけでなく、エントリーシートや履歴書にも記載欄があります。そこで、次に就職活動における「自己PR」の質問意図について、ご紹介したいと思います。
「自己PR」の言葉の意味
「自己PR」という言葉は、「自己」と「PR」という二つの言葉から成り立っています。
そして、「自己」という言葉は、いくつかの国語辞典をあたると、次のような意味があることがわかります。
- 自分自身
- おのれ
また、「PR」は「Public Relations」の略であり、その意味を調べると次のような意味を有していることがわかります。
- 売り込み、宣伝
- 会社などが自社の事業内容などを広く一般に伝えること
就職活動における「自己PR」の質問意図
このような「自己PR」の言葉の意味から考えると、就職活動において企業側が質問する「自己PR」の質問意図は、就活生が入社後に何をもって会社に貢献できるか、という自分自身の資質や能力を採用担当者にアピールして欲しい、という点にあると言えるでしょう。
もちろん前述のように多くの就活生は、アルバイト経験があるくらいで会社などで本格的な仕事の経験があるわけではありませんから、企業側は営業や経理といった具体的なスキルを求めているわけではありません。
むしろ、企業側は自社の企業風土や職種に合致した就活生の潜在能力・ポテンシャルを求めています。例えば、営業職であれば優れたコミュニケーション能力や行動力があると優秀な営業スタッフになる可能性が高いと判断できますし、チームプレーを重視する企業風土であれば協調性や責任感の有無が評価の対象となり得るでしょう。
ですから、企業側は就活生に対して「自己PR」を尋ねることで、企業側が求める人材像・人物像に合致する資質や能力を就活性が有しているかを、確認していると言えるでしょう。つまり、就活性は企業側の視点を意識して、自分の有する資質や能力がいかに企業側にとって有益であるかということをアピールするのが「自己PR」なのです。
「自己PR」と「長所」の違いと具体的な書き方・伝え方
ここまで説明したような「自己PR」や「長所と短所」の質問意図を踏まえた上で、二つの質問にはどのような違いがあるのでしょうか?
そこで、「自己PR」と「長所」の違いを明らかにしてから、それぞれ「自己PR」と「長所」の具体的な書き方・伝え方について、ご紹介したいと思います。
「自己PR」と「長所」の違い
ここまで説明したような「自己PR」や「長所と短所」の質問意図を踏まえて、その違いを分かりやすく簡単にまとめると次のような内容になるでしょう。
「自己PR」は企業側の視点を意識した上で、自分の有する資質や能力などの強みが企業側にとって有益であることをアピールするものです。一方で、「長所と短所」における「長所」は、企業側の視点を意識しなくて良いわけではありませんが、まずは自分の視点で自分自身の人柄や性格といった人間性をアピールするものだと言えるでしょう。
そして、このような「自己PR」と「長所」からすると、「長所」は志望業界や志望企業がどこであれ大きく変わるものではありません。しかし、「自己PR」は志望業界や志望企業によって求める人材像が異なりますので、企業研究・企業分析を通じて志望企業が求める人材像を把握し、それに応じてアピールポイントも少しずつ変えていく必要があるでしょう。
「自己PR」と「長所」の具体的な書き方・伝え方
それでは、このような「自己PR」と「長所」の違いを踏まえて、それぞれの具体的な書き方・伝え方について、ご紹介したいと思います。
「自己PR」の書き方・伝え方
繰り返しますが、「自己PR」は企業側の視点を意識して、企業側が求める人材像に必要な自分の資質や能力をアピールしなければなりません。
そのため、まずは会社説明会やOB・OG訪問などを通じて企業研究を行い、企業側が求める資質や能力を把握します。その上で、自分自身の持つ強みと関係の深い資質や能力をアピールポイントと決め、このアピールに説得力をもたせる学生時代のエピソードや活動内容を選びます。そして最後に、採用担当者などの相手方が理解しやすいように、
- 結論(自分の強みとなる資質や能力)
- 説得力をもたせるエピソード
- 強みの入社後の活かし方
という流れの構成に整えましょう。
「長所」の具体的な書き方・伝え方
「長所と短所」における「長所」は、基本的に自分の視点で自分自身の人柄や性格といった人間性をアピールするものです。
そのため、まずは自己分析をしっかりと行う必要があります。これまでの成功体験や失敗体験などを振り返ったり、親や友人に聞くなどして、自分の性格的な長所や短所を洗い出すのです。その際、長所と短所が裏返しの関係になるように考えると良いでしょう。そして、「自己PR」の場合と同様、採用担当者などの相手方が理解しやすいように、
- 結論(自分の性格的な長所と短所)
- 説得力をもたせるエピソード
- 入社後の長所の活かし方と短所の改善への意欲
という流れの構成に整えると良い印象へとつながるでしょう。
「自己PR」と「長所」の具体的な例文
前述した「自己PR」と「長所」の具体的な書き方・伝え方を踏まえた具体的な例文について、ご紹介したいと思います。
「長所と短所」の具体的な例文
私の長所は、好奇心旺盛な性格で、まずは何事も行動してみるところにあります。一方で、私の短所は、好奇心が先立つあまり計画性に欠ける部分があります。
学生時代は時間ができると、興味のある地域に旅行に出かけていました。行き先だけを決めて、地元の人に宿泊場所や地元ならでは食べ物を伺うなどしていると、ご自宅に泊めていただいたり良い民宿を紹介してもらうなど様々な交流ができて貴重な体験をすることができましたが、宿が見つからずに野宿をしたこともありました。
御社で採用いただいた際には、先輩方に教わりながら計画力や段取りも身につけつつ、どんな仕事にも興味をもってチャレンジしていきたいと考えています。
「自己PR」の具体的な例文
私の強みは、好奇心旺盛な性格に由来する行動力と誰とでもすぐに打ち解けるコミュニケーション能力にあります。
所属ゼミでのフィールドワークで観光パンフレットの製作をする際に、行政の人や観光業に携わる人など様々な人たちに話を伺う中で、率先して提案や仕事のお手伝いをすることで非常に良い関係性を築くことができました。
御社で採用いただいたならば、このような行動力とコミュニケーション能力を活かすことによって、営業担当として御社のサービスを拡大する一翼を担いたいと思います。
まとめ
いかがでしたか?就職活動における「自己PR」や「長所と短所」の質問意図、「自己PR」と「長所」の違い、「自己PR」と「長所」の書き方・伝え方ついて説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、「自己PR」と「長所と短所」について続けて質問されると、「自己PR」と「長所」の回答が重なってしまい困ってしまうケースもあるかもしれません。しかし、そもそも企業側が「自己PR」や「長所と短所」のいずれも質問するのは、それぞれの質問意図が異なっているからです。
ですから、それぞれの質問意図を把握した上で適切に回答していくことが、就活面接を突破して内定に至る方法だと言えるのです。
関連記事として
・面接に手応えを感じていても不採用になる場合はある?どういうときに感じるかを紹介!
・「自覚している性格」の履歴書の書き方や面接での返答方法を紹介!
これらの記事も読んでみてください!