最近では、インターネットで応募したり履歴書や職務経歴書をデータで提出したりする企業が多くなっています。でも、面接の際に履歴書を持参して手渡しすることを要求する企業も少なくありません。書類選考の前に履歴書や職務経歴書を郵送しないで、応募先の企業に持参して渡す人もいます。
履歴書をきちんと渡すことができれば、採用担当者や面接官に与える印象が良くなります。
履歴書の渡し方の注意点とビジネスマナーについてお伝えしますね。
履歴書を渡すための準備のポイント
多くの企業で、インターネット上でエントリーシートや履歴書や職務経歴書などをデータで提出しています。しかし、履歴書や職務経歴書などのデータを送付していても、面接時に履歴書の持参を求める企業がまだまだあります。
学生の就職活動でも社会人の転職活動でも、書類選考を経て採用面接にまで漕ぎつければ、あと一息です。履歴書を持参してビジネスマナーに従ってきちんと渡すことができれば、採用担当者や面接担当者などの印象が良くなります。履歴書の渡し方でマナー違反をすれば、人事担当者に「社会人としての常識がない」と思われてしまいます。
履歴書の渡し方は、まず準備から始まります。
①履歴書のコピーを用意する
履歴書や職務経歴書を持参して渡す場合も、データでエントリーシート・履歴書・職務経歴書を提出して持参する必要がない場合でも、履歴書や職務経歴書のコピーを用意しておきます。
面接当日、手元に履歴書のコピーがあると安心できる
面接担当の人は提出された履歴書や職務経歴書を見ながら、応募者と面談します。履歴書や職務経歴書に基づいて応募者に質問します。
自分で書いた履歴書でも、面接当日は緊張して頭の中が混乱する可能性があります。対面のプレッシャーで返答の仕方がわからなくなります。面接の順番を待つ間に履歴書などのコピーに目を通して確認すると、気持ちが落ち着きます。面接を受ける時も、手元に履歴書のコピーがあると思うだけで安心して話すことができます。
志望動機や転職の理由について確認する
就活生も転職希望者も、面接会場に行く前に履歴書に書いた志望動機を再確認します。転職する人は自分の経歴や転職の理由を再確認して整理しておきます。面接会場で待つ間にコピーを再度見ておくと、落ち着いて面接を受けることができます。
コピーは原本とは別のクリアファイルに入れる
履歴書や職務経歴書のコピーは、履歴書や職務経歴書などの原本とは別のクリアファイルに入れて持参します。
②履歴書が折れたり汚れたりしないようにする
履歴書や職務経歴書は、就職活動する学生にとっても転職活動をする人にとっても重要な書類です。履歴や職務経歴は、就活生や転職希望者のカタログのようなものです。就活生も転職者も応募先の企業に自分自身を売り込むのですから、カタログを大事に扱う必要があります。
履歴書は折らないで白い封筒に入れる
履歴書などを持参して渡す時は、折らないでそっくり入る大きさの白の封筒を用意します。履歴書はA4サイズとB5サイズの2種類です。角形A4か角2号の封筒であれば、どちらでもそのまま入ります。履歴書を三つ折りにして封筒に入れると折り目がつき、読みにくくファイルしにくくなります。
茶封筒より白封筒がオススメです。白封筒には清潔感と高級感があります。白の無地の封筒がマナー封筒です。
履歴書を剥き出しで渡すのはマナー違反
履歴書を持参して渡す時は、折らずに封筒に入れて持参するのがビジネスマナーです。履歴書を剥き出しのまま持参するのはマナー違反です。
持参した履歴書の端が折れていたりシワになっていたり汚れたりしているとしていると、応募企業の採用担当者にだらしない印象を与えます。シワになったり汚れたりした履歴書を見る面接担当者の印象も悪くなります。
書類の表面をそろえて封筒に入れ、封やのり付けはしない
履歴書・エントリーシート・職務経歴書など提出する書類は表面を揃えて封筒に入れます。書類の上下に注意します。履歴書は写真を貼る部分が上になるようにします。
開封しやすいように、封筒には封やのり付けをしません。
履歴書はクリアフィルに入れてから封筒に入れる
履歴書はクリアフィルに入れて、クリアファイルごと封筒に入れます。履歴書がシワになったり汚れたりするのを防ぐことができます。
透明な新しいクリアファイルを使う
クリアファイルは透明な新しい物を使います。色のついたクリアファイルはNGです。使用したファイルを使うのは応募企業に対して失礼です。使い古したクリアファイルを見ると、担当者は「企業をバカにしている」「入社意欲が低い」などと感じる可能性があります。
封筒ごとクリアファイルではさむ
履歴書を入れた封筒が汚れたり折れたりすると、採用担当者や面接担当者の印象が悪くなります。封筒ごとクリアファイルにはさみます。クリアファイルを2枚使って上下から二重に封筒をはさむようにします。
封筒ごとクリアファイルで二重にはさめば、カバンの中に入れても履歴書を入れた封筒が折れたりシワになったりすることはありません。
③封筒がゆったり入るカバンを用意する
履歴書を入れた封筒は、カバンなどに入れて持参します。カバンは封筒が余裕を持って入る大きめのサイズにします。封筒をクリアファイルではさんでも、小さなカバンに押し込むとファイルごと折れ曲がってしまいます。
履歴書を入れた封筒はすぐ取り出せるようにしておく
応募企業に履歴書を持参すると、受付で提出を求められるケースもあります。面接前に担当者に手渡したり面接場で面接担当者に手渡したり、いろいろなケースがあります。履歴書はすぐ取り出せる場所(サイドポケットなど)に入れておきます。
面接担当者に履歴書を渡そうとしてゴソゴソとカバンの中をひっかき回して取り出すと、面接担当者は「段取りが悪い」という印象を持ちます。「仕事をする時も段取りが悪く、モタモタするだろう」と思う可能性があります。
履歴書と一緒に入れる物に気をつける
履歴書と一緒にカバンの中に入れる物には、気をつけます。冷えたペットボトルなどを一緒に入れると、外側のクリアファイルが濡れてしまいます。尖った物はクリアファイルを傷つけます。資料や対策本など必要のない物は入れないようにします。
中が2つに仕切られているカバンやサイドポケットがあるカバンを用意して、履歴書を入れた封筒は他の物と別に入れるようにします。
④添え状は必要ない
履歴書などを郵送する時は、必ず添え状・送付状を付けるのがビジネスマナーです。でも、履歴書を手渡す時は必要ありません。添え状・送付状とは「封筒の中に何が入っているか」を書いたものです。
でも、念のため添え状を用意して行きます。面接会場の受付や窓口で要求された時に、提出します。
履歴書を入れる封筒には何を書く?
履歴書を入れた封筒は、中の履歴書や職務経歴書などと一緒に渡します。封筒の書き方にも、封筒マナーがあります。マナーに反しないように、きちんと書きます。
①封筒に宛名を書く必要はない・履歴書在中と朱書きする
履歴書を手渡す時は、履歴書を入れた封筒の表面に応募企業の会社名など宛名を書く必要はありません。封筒の表側の左下に「履歴書在中」と朱書き(赤ペンで書く)します。
「履歴書在中」と書いた文字を、定規を使用して四角い赤枠で囲みます。文房具店で売っている「履歴書在中」のスタンプを使用することもできます。
②封筒の裏側に住所・氏名・提出日を書く
履歴書を入れる封筒の裏面の左側に、郵便番号・住所・氏名を書きます。郵送する時と同じです。住所・氏名を書いた上に、提出日(持参した日・面接日)を書きます。
提出日の記載は、「平成○○年」でも西暦でもかまいません。日付は年・月・日を書きます。
履歴書を渡す時のマナーは?
就活でも転職でも、採用面接が山場になります。企業側は、書類選考だけで応募者の人柄を把握することはできません。人事担当者・採用担当者は面接の場で企業に迎え入れるべき人物かどうか判断します。就活生も志望動機を必ず訊かれますが、転職面接では志望動機と転職理由が重視されます。面接担当・採用担当の社員は、応募者の外見(企業に相応しい服装・髪型・清潔感など)・面談する時の姿勢や動作・敬語表現などの言葉遣い・ビジネスマナーをチェックします。
面接の評価は履歴書を渡す時から始まります。面接担当者は、応募者の履歴書の渡し方・履歴書を入れた封筒の扱い方・お辞儀の仕方などを細かくチェックします。履歴書の渡し方は、渡す相手や渡す状況によって異なります。それぞれのシチュエーション別に正しいマナーで渡すようにします。渡す相手への敬意を示すことが大事です。
[履歴書を渡す相手は面接当日にわかる]
履歴書をいつ・だれに渡すかは、面接日に応募先の面接会場に行ってみないとわかりません。面接の場所は、たいてい応募先の企業の社内です。いつ・だれに履歴書の提出を要求されても慌てないように、臨機応変な対処法を考えておきます。
[受付で履歴書を渡す]
面接の受付で履歴書を渡す時は、封筒にいれたまま担当者に渡します。面接担当者の手に渡るまで履歴書が折れたり汚れたりしないためです。外側のクリアファイルから封筒を取り出し、封筒表面の「履歴書在中」の文字を相手が読みやすい向きに持ち直します。
「こちらが私の履歴書です。本日は、どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶します。お辞儀をして、両手で封筒を差し出します。お辞儀は、30°程度身体を前に傾けます。
担当者が封筒から履歴書を出して渡すように指示した場合は、履歴書を取り出して封筒の上に載せて両手で差し出します。
[控室で担当者に渡す]
控室で担当者に履歴書を渡すケースもあります。控室に通されたら、担当者が入室する前にカバンから封筒を取り出します。クリアファイルごと履歴書を取り出して、封筒の上に置きます。担当者が入室して来たら、立ち上がって目を合わせて会釈します。履歴書を求められたらクリアファイルから取り出して封筒の上に置き、30°程度のお辞儀をして両手で差し出します。封筒の向きは、相手が読みやすい向きにします。「こちらが私の履歴書でございます。本日はよろしくお願いいたします」と挨拶します。
控室に入ると同時に履歴書を求められたら?
控室に入ると同時に担当者から履歴書を求められたら、すぐにカバンから封筒を取り出します。カバンを下に置き、封筒からクリアファイルごと履歴書を取り出して封筒の上に載せます。お辞儀をして両手で差し出します。渡す動作をスピーディーにするために、クリアファイルに入れたままで履歴書を渡します。封筒の向きと挨拶の言葉は同じです。
[面接担当者に履歴書を渡す]
面接担当者(面接官)に履歴書を手渡すには、面接担当者が先に面接室に入っている場合とに面接担当者が後から入室する場合があります。
面接する企業担当者は応募者の面接マナーを厳しい目で見ています。ちょっとしたマナー違反や表情・動作も、面接の応対の内容と同じように選考の要因となります。面談の中身は良かったのに、面接マナーが悪くて採用されないケースもあります。面接担当者に履歴書を渡す時も面接マナーに気をつけます。
①面接担当者が先に面接室に入っている
入室したら、面接担当者と目を合わせてお辞儀をします。就活生は学校名と名前・転職者は名前を名乗ります。面接担当者から「履歴書をお持ちになりましたか?」などと履歴書を求められたら、カバンから封筒を取り出します。カバンを下に置き、封筒からクリアファイルごと履歴書を取り出します。クリアファイル入りの履歴書を封筒の上に載せて、お辞儀をして両手で差し出します。履歴書は、面接担当者が読みやすい向きにします。
履歴書を差し出す時は、下記のように挨拶します。
- 本日はお忙しいところありがとうございます。私の履歴書でございます。なにとぞよろしくお願いいたします。
- お忙しいところ貴重なお時間を頂きありがとうございます。こちらが私の履歴書になります。どうぞよろしくお願いいたします。
面接担当者から履歴書を求められない時は
面接担当者が履歴書の提出を求めない時は、入室して名前を名乗った後が履歴書を渡すタイミングです。渡す手順は前述と同じです。
面接担当者は履歴書の取り出し方・履歴書の向き・挨拶の仕方をチェック
履歴書をサッとカバンから取り出して渡せる人は、仕事の段取りも良さそうに思われます。担当者が読みやすい向きにして履歴書を渡すのは、相手を思いやり細かな配慮ができる人です。挨拶しないで履歴書を手渡せば、いくら丁寧にお辞儀しても不愛想な人に思われます。
②面接担当者が後から面接室に入って来る
面接担当者より先に面接室に通されたら、すぐにカバンから履歴書の入った封筒を取り出します。履歴書をクリアファイルから取り出し、封筒・クリアファイル・履歴書の順に重ねて机の上に置きます。履歴書が一番上になります。渡す相手が読みやすい向きにしておきます。
基本は、面接担当者が入室するのを立って待つのがビジネスマナーです。でも、係の人から座って待つように言われたら、座って待ってもかまいません。面接担当者が入って来たら、すぐに立ち上がってお辞儀します。
お互いに名前を名乗り合ったところで、応募者は履歴書を手渡します。下記のように挨拶して、両手で履歴書・クリアファイル・封筒を差し出し、お辞儀をします。
- 本日は貴重なお時間を割いて頂きましてありがとうございます。履歴書を持参致しましたので、御確認ください。どうぞよろしくお願いいたします。
- 本日は、お忙しいところをどうもありがとうございます。こちらが私の履歴書になります。どうぞよろしくお願いいたします。
③履歴書を忘れてしまったら!?
「履歴書を御持参ください」と応募企業から言われているのに、履歴書を忘れて面接に行くのは大きなマイナスです。データとして履歴や職務経歴を送ってあれば、面接を受けられないことはありません。面接の時には、素直に履歴書を忘れたことを謝罪します。「明日、持参いたします」「帰宅致しましたら、すぐに郵送いたします」などと対処法を自分から述べます。
人事担当者は、履歴書を忘れてきた人を「大事な仕事でもウッカリミスをするかもしれない」「何をするのも準備不足」という評価をする可能性があります。就職活動でも転職活動でも「ついウッカリ」が大きなマイナス評価につながります。
[書類選考の履歴書を持参して渡す]
履歴書など応募書類を提出する場合、郵送やメールでなく持参するという方法もあります。持参すると、運が良ければ人事担当者・採用担当者に会うことができます。自分の目で会社を見て、雰囲気を知ることができます。書類選考の段階で「この会社に入りたい」という熱意を示すことができます。
しかし、履歴書を持参する熱意が採用につながるとは限りません。入社を熱望する気持ちは選考の要因にはなりますが、選考の基準は他にも沢山あります。
「履歴書は郵送または持参」という企業には、必ずアポイントを取ってから持参します。
封筒には企業名・部署名・担当者を書く
面接で履歴書を持参するのとは違い、採用担当者に直接手渡せないで受付に置いて来る可能性があります。封筒の表面の左下に「履歴書在中」「応募書類在中」と朱書きし、封筒表面に企業名・担当部署名・担当者の名前を書きます。裏面には、自分の住所・氏名・郵便番号を書きます。
履歴書など応募書類はクリアファイルに入れて折らずに封筒に入れます。返信用封筒を同封するように指示する企業もあります。
受付に提出する時は、封筒にのり付け・封を要求されるケースもあります。担当者の指示に従います。
挨拶して両手で差し出す
採用担当者にはもちろん、受付の係の人に手渡す時も、30°のお辞儀をして両手で封筒を差し出します。封筒の向きは、相手が文字を読みやすいようにします。下記のように挨拶します。
- 本日は履歴書を提出に参りました。どうぞ御査収ください。よろしくお願いいたします。
説明会で履歴書提出する時も両手で渡す
企業説明会で履歴書の提出を求められたら、クリアファイルにはさんで折らずに白の封筒に入れ、両手で渡します。
[アルバイト・パートの履歴書の渡し方]
アルバイトやパートの履歴書の渡し方も、基本は就職活動や転職活動と同じです。履歴書は折らないでクリアファイルに入れ、クリアファイルごと白封筒に入れます。封筒の表面に「履歴書在中」と朱書きし、裏面に郵便番号・住所・氏名・提出の日付(年月日)を書きます。さらに封筒ごとクリアファイル2枚で上下からはさみ、大きめのカバンに入れて持参します。
バイトやパートは面接で採用が決まる
バイトやパートは面接で採用が決まります。面接マナーが大事です。カバンから取り出した封筒を相手が読みやすい向きにして、両手で封筒を差し出します。
転職活動ではバイト面接・パート面接も大事
転職を希望して転職サイトに登録しても、なかなか希望する求人の情報がないことがあります。希望する職種や企業のバイトやパートの求人はあっても、正社員の求人の情報がないというケースも少なくありません。バイトやパートばかり紹介されることもあります。その時は、思いきってバイトやパートの求人に応募することをオススメします。
バイト面接やパート面接で、履歴書の渡し方・挨拶の仕方・言葉遣いがビジネスマナーに従った申し分ないものであれば、担当者のな見る目が違ってきます。自分の経歴や専門知識やスキルをできるだけアッピールします。面接後には礼状を出します。
初めはバイトやパートで採用されても、実力を発揮して実績を積むうちに正社員に登用される可能性もあります。
まとめ 履歴書の渡し方にはマナーがある
最近はエントリーシート・履歴・職務経歴をデータとして提出させる企業が多いのですが、面接時に履歴書持参を求めることが少なくありません。企業の採用担当者や面接担当者への履歴書の渡し方にはマナーがあります。
履歴書は折らないでクリアファイルにはさみ、クリアファイルごと無地の白封筒に入れます。白封筒の表面左下に「履歴書在中」と朱書きし、裏面左側に郵便番号・住所・氏名・提出日を書きます。封筒を2枚のクリアファイルで上下からはさみ、大きめのカバンに入れて持参します。封筒はすぐ取り出せるようにしておきます。
面接日に持参した履歴書は、受付・採用担当者・面接担当者などに手渡します。受付や採用担当者には封筒に入れたまま渡すことが多いようです。お辞儀をして、封筒を両手で持って差し出します。面接担当者には、封筒からクリアファイル入りの履歴書を出して封筒に載せ、お辞儀をして両手で差し出します。時間的余裕があれば、履歴書をクリアファイルから出し、封筒とクリアファイルの上に載せて両手で渡します。
封筒の向き・履歴書の向きは、相手が読みやすい向きにします。黙って渡さないで「よろしくお願いいたします」という挨拶をします。
面接担当者は、応募者の履歴書の扱い方や渡し方で社会人としての常識やマナーの有無・気配りなどを評価します。面接の評価は採用選考に大きく影響します。
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