「ご足労おかけしますが」の正しい敬語の使い方や意味を紹介!

「ご足労おかけしますが」という言い方を、ビジネスシーンでよく聞きますよね。「御足労おかけしまして」「御足労頂きまして」という言い方もあります。メールでもよく使われます。

でも、「どういう場面で言えばいいのか、よくわからない」という人が少なくありません。「ご足労おかけしますが」は、目下に言うべきか目上に言うべきか迷う人もいます。間違った使い方をすることもあります。

「ご足労おかけしますが」の意味と正しい使い方についてお伝えしますね。

「ご足労おかけしますが」とは、どういう意味?

pine-trees-3356506_960_720ご足労

「ご足労(御足労)」は「来る」の尊敬語として使われます。「ご足労おかけする」「御足労頂く」「御足労賜る」などといいます。

尊敬語ですから、相手に対する尊敬の気持ちや配慮を表現しています。しかし、「ご足労おかけしますが」「御足労おかけしまして」「御足労頂きまして」には、微妙な違いがあります。

[相手に対する感謝と謙譲の気持ちを表す]

「御足労おかけする」「御足労頂く」「御足労賜る」は、「来る」の尊敬語です。相手と相手側の人たちに対する尊敬と配慮を表している言葉です。「相手側」とは、相手本人と相手の家族・知人・相手が所属する企業の社員や団体の職員など相手に関係する人たちです。

「御足労」という言葉自体に、「本来なら私の方から出向かなければいけないところを、わざわざあなたの方からお越し頂いて真にありがとうございます」という相手・相手側に対する感謝と謙譲の意味合いがあります。

「足労」とは「歩く・行く・来る」の意味

「足労」とは「足の労作」ですから、「歩く・行く・来る」の意味です。「ご(御)」は美化語で、丁寧な言い方にしています。

[「御足労かける」を他の言い方にすると?]

「御足労をかける」の類義語は、「お越し頂く」「お見え頂く」です。

「お越しになる」「お見えになる」「いらっしゃる」「おいでになる」は、「来る」の尊敬語です。ただ「お越しになる」「お見えになる」「いらっしゃる」というよりも、「いただく」という言葉を付け加えて「わざわざ相手に足を運んで頂いた」という感謝の気持ちを強く表しています。

また、「頂く(いただく)」には「本当は私が相手のところへ行かなければいけないのに」というへりくだった謙譲の意味合いもあります。

[「御足労かける」のは、どんな時?]

「ご足労かける」は、相手に対する感謝と謙譲の気持ちを表しています。ですから、ビジネスシーンの下記のような場合は、「いらっしゃる」「お越しになる」より「御足労かける」を使う方が適しています。

  • ビジネスの相手(取引先・顧客など)の会社へ自分(自分側の人間)が行くのではなく、相手・相手側が自分の会社へ来てくれた時
  • 相手の会社でも自分の会社でもない場所(展示会場・イベント会場など)へ、相手・相手側に来てもらう時。
  • 遠い場所へ相手に来てもらったり、雨が降るなど天候の悪い中を相手に来てもらったりする時

「自分側」とは、自分自身と自分の家族・知人や自分の所属する企業・団体とその社員・職員など自分に関係する人たちです。

[「ご足労おかけしますが」は目上にの人に使えるの?]

サイトの記事には「ご足労おかけしますが」というフレーズは目上の人に対して使えるかという質問が多く寄せられています。なんとなく謙譲語のように感じている人がいるようです。回答は「使えます」です。ただし、ポイントは、「御足労おかけする」「御足労いただく」が使えるのは社外の相手に限られることです。自分の上司・社内メールには使えません。

尊敬語なので社外の目上の相手に使う

「ご足労おかけする」は尊敬語ですから、目上の人に対して使う言葉です。取引先の担当者や取引先の社員・重要顧客など社外の目上の人たちの「わざわざ来る」という行為・動作を表します。社外の目上の相手に送るメールにおいても使えます。下記は例文です。

  • ご足労おかけ致しますが、よろしくお願い申し上げます。
  • 足元のお悪い中、御足労おかけ致しました。

社内の上司・先輩には使わない

同じ目上の人でも、自分が勤務する会社の上司や先輩には「御足労」という言葉は使いません。「御足労」という言葉自体に「わざわざ出かけて来る」という意味合いがありますから、自分の上司や先輩に使うと意味が通りません。社内メールでも「ご足労」という言葉はNGです。

ただし、遠方の支社もしくは本社から上位の役職者がわざわざ出向いて来た時は、「先日は御足労頂きました」などと使うこともあります。

「ご足労おかけしますが」の正しい使い方は?

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「御足労おかけする」は「ご足労おかけしますが」「御足労おかけしまして」「御足労頂きまして」などと使います。それぞれに微妙な違いがあるので、ビジネスのシーン別・シチュエーション別に使い分けるようにします。

ビジネスシーンでは正しい言葉遣いができることが重要です。特に敬語表現を正しく使い分けられる人は、社会人として信用されます。

[「ご足労おかけしますが」は相手が来る前に使う]

「ご足労おかけしますが」は、相手が来る前に使います。目上の相手に、ある場所までわざわざ出向いて来ることを要望・お願いする意味合いがあります。社外の目上の相手に来ることを依頼する時に使う言葉です。

「ご足労おかけしますが」の他の言い方

「ご足労おかけしますが」の他に「御足労をおかけ致しますが」「御足労おかけ致しますが」「御足労おかけして申し訳ございませんが」「御足労頂き恐縮ですが」などという言い方もできます。

「御足労おかけ致しますが」の方が、「ご足労おかけしますが」より敬意表現は少し高くなります。「御足労おかけして申し訳ございませんが」「御足労頂き恐縮ですが」は、ヘリ下った気持ちを強めに表しています。「わざわざ来る」という面倒をかけることに対する謝罪の気持ちがこめられています。

クッション言葉の一つ

「ご足労おかけしますが」はクッション言葉の1つです。

ビジネスシーンで難しいのは、目上の相手に何かを依頼したり相手の要望を断ったりすることです。目上の相手だけに、相手の感情や思いを気遣って言葉を慎重に選ぶ必要があります。こちらの言葉を相手に受け入れやすくするのが、クッション言葉です。

何かするようにお願いする時には、「お手数ですが」「お手数おかけしますが」というクッション言葉を使います。相手の頼みやお願いを断る場合は「せっかくですが」「あいにくですが」「残念ではございますが」というクッション言葉を使います。

敬語は人間関係のクッション・社会の潤滑油

自分の相手に対する尊敬の気持ち(敬意)と配慮を相手に伝えて、相手の気持ちを和らげると、人間関係が改善されてコミュニケーションがスムーズになります。仕事がしやすくなります。そういう意味では、敬語は人間関係のクッション・社会の潤滑油と言えます。

相手が来ることを承諾してから使う

「ご足労おかけしますが」は、外部の目上の相手に「わざわざ出向いて来るように」要望したりお願いしたりする時のクッション言葉ですから、相手が来ることを承知した後で使うようにします。最初から「ご足労おかけしますが、○○までお越しくださるようにお願い申し上げます」というと、押しつけがましい感じになります。なぜなら、「ご足労」には「来る」の意味があるので、来ることが前提になってしまうからです。

「ご足労おかけしますが」は、相手が来ることを承知して確定した後で使うのが原則です。「ご足労おかけしますが、よろしくお願い申し上げます」が定番の基本の形です。

電話やビジネスメールで使うことが多い

「ご足労おかけしますが」は、相手が来ることを承諾した後・実際に来る前というタイミングで使います。実際に相手と対面して話すよりも、電話やビジネスメール・ビジネス文書で使うことが多くなります。来ることを承諾した相手にお礼を述べたり来訪の確認をしたりします。下記はメール例文です。

  • 御足労おかけ致しますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
  • 御足労頂き恐縮でございますが、〇月△日の御来訪を一同お待ち申し上げます。

相手に来訪・来場を依頼する時は?

ビジネスシーンでは、相手に仕事の打合せに来てほしいと依頼することがあります。製造現場である工場を相手に見てもらうことで、取引が進展する可能性もあります。展示会やイベントに重要顧客に来てもらうお願いをする場合もあります。

相手に来てほしい時は、下記の例文のように頼みます。

  • 御多忙中とは存じますが、弊社までお越し頂けますでしょうか?
  • 弊社工場にて打合せを行いたく存じますが、御来社頂くことは可能でしょうか?

このように来訪を依頼して承諾してもらった後で、「御足労をおかけしますが」を使います。

[「ご足労おかけしまして」は、相手が来た後で使う]

「ご足労おかけしまして」は、相手が実際に来た後で使います。目上の相手がわざわざ出かけて来てくれたことに対する感謝の意味合いをこめ、自分・自分側の謙譲の気持ちを表します。

「ご足労おかけしまして」の他の言い方

「ご足労おかけしまして」には、他に「御足労おかけ致しまして」「御足労頂きまして」「御足労賜りまして」などという言い方があります。

「御足労賜りまして」が最も敬意表現が高くなります。ビジネスメール・ビジネス文書の他にスピーチでも使われます。「御足労頂きまして」には謙譲(ヘリ下る)の気持ちがやや強く表れます。ビジネスシーンでは「御足労おかけ致しまして」「御足労頂きまして」が、よく使われます。

「ご足労おかけしまして」を使うタイミングは?

「ご足労おかけしまして」「御足労頂きまして」は、相手がその場所に到着した後で使います。到着する相手を出迎える時・来訪した相手が帰るのを見送る時・相手の来訪が終わった後が、使うタイミングです。

到着する相手を出迎える時の例文

相手が自分の勤める会社・工場・イベント会場などに到着するのを出迎えた時に言います。

  • 御多忙中、弊社まで御足労頂きまして恐縮致しております。
  • お足元の悪い中、御足労頂きまして真にありがとうございます。
  • このような遠くまで御足労をおかけ致しまして、申し訳ございません。

祝賀会や記念式典など会場でスピーチする時などは

  • 本日は御多忙中にも関わらず、御足労賜りまして誠にありがとうございます。

来訪した相手が帰るのを見送る時の例文

帰る相手を見送る時にも、来訪に対する感謝の気持ちを伝えます。

  • 本日は弊社工場まで御足労頂きまして、真にありがとうございました。
  • お足元の悪い中、御足労をおかけ致しまして申し訳ございませんでした。

来訪が終わった後、電話やメールで来訪のお礼を言う時の例文

わざわざ来て頂いた相手には、ビジネスメールや電話で感謝する気持ちを伝えます。なるべく早いうちにお礼メールやお礼の電話をする方が、相手に気持ちがよく伝わります。相手に与える印象が良くなります。下記はメール例文でも電話でも使えます。

  • 先日は弊社まで御足労頂きまして、真にありがとうございました。
  • 御多忙中にもかかわらず御足労賜り、心から感謝致しております。
  • お忙しい中、○○まで御足労頂きまして申し訳ございませんでした。
  • ○○の際は、遠方まで御足労頂きまして誠にありがとうございました。

[お世話になります]

「ご足労」と同じように社外の人に使う敬語に「お世話になります」があります。ビジネス敬語の定番の1つです。

社外からの電話を受ける時も社外の取引先や顧客に電話をかける時も、まず「いつもお世話になっております」「いつもお世話になります」と言います。社外の相手にビジネスメールを送る時も「いつもお世話になっております」と始めます。

取引が始まり、継続している相手に使う

「お世話になります」「お世話になっております」は、既に取引が始まり取引が継続している相手に対して使います。どちらを使ってもかまいませんが、取引が長く続いている相手先には「お世話になっております」の方が適しています。

取引先の担当者とは初対面でも会社同士の取引が続いている場合は、「お世話になっております」と言います。その後で、「田中一郎と申します。お目にかかるのは初めてですが、今後ともよろしくお願い申し上げます」「初めまして、田中一郎と申します。今後ともよろしくお願い致します」などと、挨拶します。

  • いつもお世話になっております。
  • 平素よりお世話になっております。

重要得意先など大事な取引先には「いつも大変お世話になっております」

取引が長く続いている重要な取引先には、もう少し丁寧な言い方で感謝の気持ちを伝えます。

  • いつも大変お世話になっております。
  • 平素より大変お世話になっております。

実際に会う時も電話でもメールでも使える

「いつもお世話になっております」「いつも大変お世話になっております」は、社外の相手と実際に会う時も電話でもビジネスメールでも使えます。

敬語は間違って使うと逆効果

analytics-2697949_960_720優秀な社員

敬語は社会の潤滑油です。敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。敬語を正しく使い分けることは、ビジネスマナーの基本です。しかし、敬語の使い方を間違えると、相手に大変失礼になります。敬語表現は間違うと、逆効果になります。

[敬語を正しく使うと、社会人として信頼される]

敬語を正しく使える人は、「社会常識やビジネスマナーをよく知っている」という印象を与えます。就職試験の面接でも入社してからの職場でも取引の場面でも、相手や周りの人たちに良い印象を与えます。

転職を考えている人には、転職する前に敬語の正しい使い方とビジネスマナーをしっかり身につけることをオススメします。転職会社の転職エージェントに会う時に敬語表現がしっかりしていると、相手に与えるイメージが良くなり有利です。

敬語は良好な人間関係を築く基本

敬語は相手や相手側に対する尊敬や配慮を伝える言葉です。尊敬や配慮が相手に伝わると、こちらの言葉を受け入れやすくなります。コミュニケーションがスムーズになります。

敬語やクッション言葉を上手に正しく使うと、社外の相手とも社内の人たちとも良好な人間関係を築くことができます。ビジネスシーンで自分の提案・主張を相手が素直に聞いてくれますから、仕事がしやすくなります。社内でも上司や先輩が自分の意見や主張を頭からはねつけず、耳を傾けてくれます。職場環境が良くなります。

営業職は特に敬語表現に気をつける

営業に関係する部署に配属されると、社外の人と接する機会が多くなります。敬語表現が日常的に必要になります。敬語表現が正しくできるか・間違うかで、仕事の成果が異なります。敬語表現を間違えた一言のために取引先をカンカンに怒らせ、出入り禁止になった営業の人もいます。

[敬語はシーン別に使い方が違う]

敬語の使い方が難しいのは、ビジネスのシーンによって尊敬語と謙譲語を使い分ける必要があるからです。尊敬語は相手と相手側の行為・動作・態度・状況を表します。謙譲語は自分自身と自分側の行為・動作・態度をヘリ下って表し、相手と相手側を持ち上げます。

ビジネスのシーンによって相手側と自分側が異なるので、注意しないと尊敬語と謙譲語を間違える可能性があります。敬語の使い方の注意点は、だれが相手なのか見極めることです。自分の立場・シーン・シチュエーションをよく考えて、尊敬語と謙譲語を使い分けます。

シーンによって、自分側が異なる

自分が勤めている会社の中(社内)では、上司や先輩が相手・相手側になります。しかし、取引先・顧客など社外の人が相手・相手側になる時は、自分の上司や先輩は自分側になります。

社内における例文

社内でも、自分の直属上司よりも上の役職者が相手の時は、直属上司は自分側になります。

  • 田中課長、展示会にはいらっしゃいますか?私はこれから参ります。
  • 社長、部長の鈴木がお目にかかりたいと申しております。

社外の人が相手の例文

社外の人が相手・相手側の時は、自分の上司は自分側なので敬称をつけません。社長・部長なとの役職は名前の後につけると、敬称になります。

  • 田中課長、弊社部長の鈴木がよろしくと申しておりました。
  • 田中部長、弊社まで御足労頂きましたこと、弊社社長の鈴木が感謝致しております。

言葉の意味によっても敬語は使い方が異なる

「ご足労」などは言葉そのものの意味をよく理解していないと、うっかり間違えて使う可能性があります。そのために、相手に大変失礼になり、相手を不快にさせたり怒らせたりします。「常識がない」と相手や周囲の人たちからバカにされる可能性もあります。

「ご足労」の意味を理解していない時の間違った例文

社内で自分の上司や先輩に「ご足労」を会話や社内メールで使うのはNGです。

  • 田中課長、明日は○○社まで御足労頂けますか? (明日は○○社まで同行して頂けますか)
  • 展示会には、田中部長が御足労頂く予定です。(田中部長がいらっしゃる予定です)

社外の相手に使う時も、「ご足労おかけしますが」と「ご足労頂きまして」を混同すると失礼になります。声に出して言ってみると、違和感を感じます。

  • 明日は弊社工場まで御足労頂きまして、一同喜んでおります。(明日は弊社工場まで御足労おかけ致しますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます)
  • 大雨の中御足労おかけしますが、ごゆっくり御覧になってください。(大雨の中御足労頂きまして申し訳ございません。どうぞごゆっくり御覧になってください)

[定番の敬語は正しく使えるようにしておく]

「ご足労をおかけしますが」「御足労頂きまして」「お手数ですが」「恐れ入りますが」「いつもお世話になっております」などは、定番の敬語やクッション言葉です。ビジネスシーンでは、実際に会って会話する時も電話でもビジネスメールでも日常的に使います。ある意味ではビジネス用語とも言えます。

定番の敬語やクッション言葉を間違って使うと、相手・相手側を不快にしたり怒らせたりするだけではありません。自分に対する評価にも影響します。

定番の敬語やクッション言葉は、言葉そのものの意味をよく理解しておくことが必要です。新入社員はもちろん、ビジネスパーソンはいろいろなビジネスシーンを想定して、シーン別に適切に使えるように練習しておきます。

文書・メールは会話よりも要注意

ビジネス文書やビジネスメールでは、会話する時よりも言葉使いに注意する必要があります。文章では話し言葉よりも敬語の使い方や言葉使いの間違いが目立ちます。文法を間違うと、意味がわかりにくい文章になります。普段から、正しい文章を書くように訓練します。特に、新入社員はビジネス用語や敬語表現を適切に使って文章を書く練習が必要です。

電話は文書・メールよりも苦労する?

ビジネス文書もビジネスメールも慎重に言葉を選びながら文章を考えることができます。電話はそうはいきません。待ったなしで相手に応答しなければなりません。しかも、お互いに顔が見えませんから、言葉の遣り取りだけになります。敬語表現を間違えると、謝罪したくらいでは済まないことになります。

ビジネスマナーの研修をオススメ

新入社員や営業など外部の人と接する機会の多い部署に転属された人たちは、ビジネスマナーの専門家による研修や講習を受けることをオススメします。研修会・講習会に参加すると、あいまいな知識が整理されてスッキリします。

研修担当者は専門家プロファイルで信頼できるビジネスマナー専門家を探すことができます。

まとめ 「ご足労おかけしますが」は社外の人に使う

「ご足労おかけしますが」は「御足労」という尊敬語に由来します。「御足労」は「来る」の尊敬語ですが、「本当なら私が出向いて行くところを、あなたの方からわざわざ来てもらってすみません。ありがとう」という意味合いです。相手がわざわざ来てくれることに対する感謝と謙譲(ヘリ下った)の気持ちが表現されています。

「御足労」は尊敬語ですから、目上の人に対して使います。しかし、御足労という言葉自体の意味を考えると、外部の目上の相手にしか使えません。社内の上司や先輩に使うと、意味が通らなくなります。社外の相手へのビジネスメールやビジネス文書に使えますが、社内メールで使うのはNGです。

「ご足労をおかけしますが」は、取引先や顧客など外部の目上の相手にある場所まで来ることを依頼するクッション言葉です。「ご足労おかけしますが」は、相手が来ることを承諾した後で相手が目的地に来る前に使います。「ご足労おかけしますが、よろしくお願い申し上げます」が定番の形です。

「ご足労おかけしまして」「御足労頂きまして」は、外部の相手が目的地に到着した後で使います。相手を出迎える時・帰る相手を見送る時・来訪の後でお礼を言う時に使います。

「ご足労おかけしますが」や「お手数おかけしますが」「恐れ入りますが」など定番の敬語表現やクッション言葉を正しく使えると、社会人として信用されます。人間関係が良好になり、仕事がスムーズに進みます。

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