陰茎がんって?症状や原因、状態や治療法を知ろう!診断方法は?

がんと聞くと、とても怖いイメージを持っている人が多いと思います。生きていく上で、いつ自分ががんになるかは分かりませんし、なってしまったとしても、すぐに気づけるかどうかは、がんの種類によっても違いますよね。

また、その中には男性特有のもの、女性特有のものがあり、性別によってがんにも様々な種類があります。今回は、その中でも男性特有のがんについてご紹介しましょう。非常に身近な問題ですから、原因や治療法など、がんと正しく向き合っていることが大切です。

陰茎がんとは

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陰茎がんは、男性の性器にできるがんの一種で、扁平上皮がんというものに分類されます。

発症する部位は亀頭部や包皮ですが、日本のような先進国では発症率は非常に低く、10万人に1人程度と言われています。また、60~70代の男性に多くみられるようです。

扁平上皮がんとは

扁平上皮がんは、皮膚の中でも表皮と呼ばれる最も外側の皮膚に現れるがんで、表皮角化細胞ががん化したものです。

日本では非常によくみられる癌でもあります。

陰茎がんの原因は?

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陰茎がんの原因について知っておきましょう。

包茎である

陰茎がんの原因として注目されているものに、包茎があります。包茎とは、勃起時を含まない、通常の状態の時に、亀頭部が包皮に包まれている状態を指します。亀頭と包皮はもともと癒着していて、幼児期には剥くことができませんが、第二次性徴を迎える頃になると、自然と亀頭が露出した状態になるのが普通です。

これは、性器が成長することによって起こる変化ですが、性器の成長は第二次性徴で止まります。この時期に性器の発育が悪いと、亀頭や陰茎が十分に成長しません。また、包皮の量が多いことも、亀頭が自然に露出しない原因となります。さらに、亀頭が露出するための包皮の出口(包皮輪)が狭いと、うまく亀頭が露出しないと言います。

亀頭は包皮から露出することで成長が進むため、包茎になると成長が妨げられ、亀頭が大きくならないまま大人になります。そして、大人になってからでは性器は成長しませんので、大人になって包茎の人は、包茎手術を受けて治療する他ないのです。

包茎を放っておくと、亀頭の成長が著しく悪くなる他、常に包皮に包まれていることで不衛生になるため、陰茎がんになるリスクが、そうでない人に比べて10倍にもなると言われますから、手術を受けることをオススメします。

包茎の種類

包茎と一口に言っても、その種類はいくつかあります。また、包茎自体は病気でないため、必ずしも治療をしなければならないものではありません。しかし、実生活でデメリットになることも多いため、気になる場合は手術を受けた方がよいでしょう。では、包茎の種類についてご紹介します。

・仮性包茎(かせいほうけい)

仮性包茎とは、通常時には亀頭がすっぽりと包皮に覆われていますが、勃起時にはスムーズに亀頭が露出するタイプの包茎です。勃起時にどれくらい包皮に覆われているかによって重症度が変わり、重度になると、勃起時であっても包皮が余って亀頭部分にかぶさる割合が多くなります。

仮性包茎の場合、カスが溜まりやすくなることで悪臭の原因になったり、不衛生になりやすいため亀頭部にかゆみや赤みが出たりすることもあります。同様に、不衛生さによって性病にもかかりやすいため、デメリットは多いといえるでしょう。コンプレックスの原因にもなります。

・嵌頓包茎(かんとんほうけい)

嵌頓包茎は、包皮輪(包皮の出口)が狭いことが原因で、亀頭の下に強い締め付け感がある状態です。特に勃起時には、この締め付けが強いために亀頭をすべて露出できない場合もあります。また、無理に露出させようとして包皮を剥くと、亀頭の下にある包皮が大きく腫れ、ドーナツ状になります。こうなってしまうと緊急に手術が必要になりますから、無理に包皮を剥く行為は危険です。

嵌頓包茎でも、軽いものであれば通常時には亀頭が包皮に包まれている状態ですし、包まれていなくても、少し無理をすれば問題なく亀頭を覆うことができます。しかし重度になると、包皮をめくった時に亀頭の締め付けが強くなって痛みが出たり、先ほどのようにドーナツ状に腫れることもあり、手術が必要になることもあります。

嵌頓包茎も、仮性包茎同様、やはりカスが溜まりやすいために悪臭の原因になります。また、無理に包皮を剥くと痛みを伴い、ドーナツ型に腫れてしまうこともあるのでリスクが高いと言えます。不衛生になるため、亀頭にかゆみや赤みが出る他、性病にかかりやすいのもデメリットですね。さらに、性感染症にかかるリスクも高くなります。

・真性包茎(しんせいほうけい)

真性包茎は、嵌頓包茎がさらに進んだ状態とも言えます。包皮輪が狭く、勃起時だけでなく通常時にも包皮を剥くことができず、亀頭が露出しません。包茎の中では最も重症のタイプです。通常時は完全に亀頭部が包皮に覆われ、勃起時は無理をすれば少しだけ亀頭を露出させることができますが、完全に露出させることは不可能です。

デメリットはたくさんありますが、仮性包茎や嵌頓包茎と違う点は、亀頭炎や包皮炎になりやすく、繰り返している内に亀頭の形が崩れるリスクがあることです。真性包茎の場合は、手術によって包皮輪を取り除くことになります。そうしないと、手術後に亀頭の下が腫れてしまうためです。

生殖器が不衛生である

包茎でも亀頭が不衛生になりがちだとお伝えしましたが、陰茎がんの原因は生殖器の不衛生さにありますから、常に清潔に保っておくことが大切です。

喫煙

たばこは何事においても百害あって一利なしと言いますが、陰茎がんにおいても喫煙が原因の1つになります。

喫煙者とそうでない人では、がんになるリスクが3倍とも言われていますから、できるだけたばこは吸わない方が安心ですね。

HIVへの感染

HPV(ヒト・パピローマウィルス)への感染も、陰茎がんの原因となります。

HPVはヒトにだけ感染するDNAウィルスで、100種類にも及ぶ遺伝子型があると言われています。

陰茎がんの症状は?

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陰茎がんを発症すると、軽いただれや潰瘍などが見られます。ただし痛みはなく、包皮によって潰瘍などが隠れてしまうこともあるため、気づきにくいこともあります。加えて、場所が場所だけに、どうしても羞恥心や性感染症だったらどうしよう、というためらいもあり、なかなか受診に至らないのも特徴と言えます。

また、包茎の人は亀頭部分に発症することもあり、包皮に隠れてより一層見つけにくいのがネックになります。感染を伴っていることもあり、膿性や血性の分泌物が出ることがあるそうです。また、浸潤性があり、がんが進行すると、海綿体や尿道にまで及ぶこともあります。こうなると、排泄異常を伴うこともあります。

外からではなかなか気づきにくいがんではありますが、血性の分泌物やただれなど、何らかの異常に気づいたら早急に医療機関を受診しましょう。

陰茎がんのリスク

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陰茎がんと診断された場合、次に気にするべきことは、がんの段階、病期です。

陰茎がんは大きく分けて4つの段階に分類され、段階が進めば進むほど治療は困難になります。

陰茎がんの段階について

I期

この段階は、がんの初期で、まだ亀頭部や陰茎のみに限定されて症状が出ています。

Ⅱ期

がんが進行し、海綿体まで進んでいるものの、転移は見られない状態です。

Ⅲ期

さらに進行し、鼠径リンパ節にまで転移しています。ただし、この段階ではまだ根治手術が可能です。

Ⅳ期

最もがんが進行した段階で、鼠径部に収まらず、骨盤内へのリンパ節転移も見られます。さらに、他の臓器に転移していることもあり、この段階では根治手術は不可能です。

陰茎がんの予後

このように、陰茎がんと言っても段階によって治療できるか否かが変わってきます。Ⅰ期~Ⅱ期については、まだがんが限定された範囲にか及んでいないため、5年後の生存率は90%と言われています。鼠径部のリンパ節にまで転移したⅢ期では30~50%にまで下がり、最も進行したⅣ期では、かなり厳しい状況になります。

しかし、早い段階で気付いて治療には入れれば、それだけ予後もよくなりますから、少しでも異常を感じたらすぐに受診を心がけましょう。

陰茎がんの診断方法とは

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陰茎がんであると診断するには、肉眼での検査が必要となります。目で行う検査を「視診」と言いますが、陰茎がんにおいては最も重要な検査だと言われています。陰茎がんの特徴して、病変部位がカリフラワーのように腫れていることが確認できます。症状が表面に出るため、目で確認することができるわけですね。

ただし、よく似たものに「梅毒」や「尖圭コンジローマ」などもあるため、診断は慎重に行うことが大切です。確実に陰茎がんと診断するためには、組織の一部を切除して調べることで、決断を下します。また、転移の有無を確認するために、X線やMRI検査を行うこともあります。特に足の鼡径部(付け根部分)のリンパ節に転移しやすいとされ、鼠蹊部への転移があるかないかが、その後の病状に大きく影響すると言われています。

初診の段階で鼠径部リンパ節に腫れが見受けられる割合は60%前後と言われていますが、リンパ節への転移を起こしているのはその半数に留まり、残りの半数は炎症による腫れだと言われています。リンパ節への転移の有無は病気の予後に深く関わるため、ここでの判断は慎重に下さなければなりません。そのため、しばらくは抗生物質を投与することで様子を見ていくことになります。

陰茎がんの治療法

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陰茎がんになったら、どのようにして治療を受ければよいのでしょうか?

方法はいくつかありますが、主に手術療法・放射線療法・化学療法の3つがあります。がんの進行具合によっても受けられる治療が異なりますから、きちんと医師と相談し、自分に合った治療を受けることが大切です。では、それぞれの治療法について見ていきましょう。

手術療法

療法が適応されるのは、I期~III期までに限定されます。Ⅳ期では手術は不可能です。

手術の方法としては、陰茎を切り取らず温存し、病変部だけに絞って治療する「陰茎温存療法」と、陰茎を切除する「陰茎切除術」の2通りがあります。陰茎切除術の場合、切り取る範囲は腫瘍から2cm以上の正常組織を含む範囲となります。

陰茎温存療法の場合は、レーザー治療でがん細胞を焼いたり、腫瘍を局所的に切き取ったりする方法があります。陰茎がんの場合、もともとは陰茎を切除する方法が一般的でしたが、近年は切らずに温存する方法も取られるようになり、適用範囲も拡大しつつあるようです。

また、腫瘍から2cm以上離れたところから陰茎を切断する場合も、部分切断ではありますが、陰茎は短くなります。さらに、病変ができている場所や、侵されている範囲によっては、部分切除ではなく、陰茎そのものを切除することも必要になります。また、陰茎を切除した場合には、尿の出口も陰茎ではなく、会陰部(睾丸の付け根から肛門の間)に代わるため、女性同様、排尿は座った姿勢で行うこととなります。

リンパ節の切除

さらに、陰茎がんの場合、大元の腫瘍に対する処置以外にも、リンパ節郭清術と言い、腫瘍の周りのリンパ節も取り除く必要があります。リンパ節が腫れたり、しこりが現れる、リンパ節腫大が認められた場合、まずは抗生剤の投与を4週間にわたって行います。抗生剤が効いてリンパ節腫大が改善されていればよいですが、改善が見られない場合は、腫瘍周辺のリンパ節を切除します。

ただし、進行がんや、リスクが高いと判断された場合には、リンパ節腫大の有無に関係なく、両側の鼠径部リンパ郭清を施します。こうした予防的措置を、予防的リンパ節郭清と言い、手術の結果次第では、骨盤内のリンパ郭清も施行します。また、転移が起こる前に顕微鏡的な変化を捉えることを顕微鏡的リンパ節転移と呼び、事前に対策を取ることができるため、非常に重要です。

放射線療法

放射線療法が適用されるのは、初期の中でも、腫瘍の状態により、非常に限られた段階でのみ行われます。放射線治療は初期の非常に限られた状態の腫瘍が適応になります。

日本国内では体外照射によって治療しますが、欧米では小線源永久挿入と言う、放射線を出すカプセル状のものを挿入する方法も用いられています。また、放射線療法は治療効果は高いですが、局所的な再発率においては、手術療法よりも高いのが難点です。

メリットとデメリットをきちんと理解し、納得した上で治療方針を決めましょう。また、放射線療法の場合、合併症として尿道狭窄や亀頭部壊死、また遅発性の白膜繊維化が起こる場合があります。

尿道狭窄は、尿道が狭くなることにより、排泄がしにくくなる病気で、20~35%の人に現れます。亀頭部壊死は少し確率が下がって10~20%の人に見られます。また、白膜繊維化とは、包皮と海綿体の間にある白膜が固くなる状態です。白膜が固くなると、それが影響してペニスが曲がってしまうこともあるようです。

化学療法

陰茎がんにおける化学療法では、上皮内がんを起こしている場合は「5-フルオロウラシル(5-FU)軟膏」を塗ることによって治療効果が得られます。欧米では、これ以外に意味肝度クリームという、尖圭コンジローマの治療薬が使用される場合もあります。

また、進行がんや転移がんの場合には、「ブレオマイシン(BLM)や「メソトレキセート(MTX)」「シスプラチン(CDDP)」など、多数の薬剤を併用することによって治療を進めていきますが、その効果は32.5%に留まっているという報告があります。

また、このような薬剤による治療は副作用も強いため、対処法として「5-FU」や「シスプラチン」を併用する治療法や、タキサン系薬剤を使った治療も行われています。特にタキサン系薬剤は有効性が高いという報告がありますが、まだ症例が少なく、臨床試験なども多く行われてはいないため、その有効性は確固としたものにはなっていないのが現状です。

まとめ

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陰茎がんには様々な原因がありますが、包茎のように、手術によって治療できるものはあります。また、喫煙や陰茎の不衛生さなど、自分で取り除くことのできる原因はいくつかありますよね。陰茎がんは進んでしまうと命にかかわるものですから、診療に抵抗があっても、早い段階で相談するようにしましょう。

専門的な知識と、的確な治療によって、きちんと治療することが可能な病気ですから、そのきっかけを逃してしまうのは非常にもったいないですし、ハイリスクです。日常生活を送る上で非常に身近で、切り離せない大切な器官ですから、きちんとケアをして、病気のリスクを回避しましょう。ストレスのない、快適に毎日を送りたいものですね。

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