セックスによる強い刺激や激しいオナニー中、突如起きる悲劇の中でも少なくないのが、「男性器の裏筋が切れる」というトラブルです。
激痛が走るだけでなく、大量に出血したりするので、性的興奮どころではなく、今後の性行為にも影響するのではないかと心配で青ざめてしまいます。
でも、場所が場所だけに、人には相談しにくいですよね?そんな方のために、ここでは、裏筋とは何か、裏筋が切れた場合にはどうなるのか、などを紹介します。
有事の際に裏筋の問題で、折角の機会を無に帰してしまわないように、しっかりと事前に対策してペニスのトラブルにつながらないようにしていきましょう。
この記事の目次
◆ペニスの裏筋ってどこ?男性器の構造
そもそも、男性器とはどのような構造になっているのでしょうか?
男性器は、ペニスや陰のうといった、「外生器」と呼ばれる外側に出ている部分と、前立腺などの、体内にある「内生器」と呼ばれる部分があります。
○ペニスとは
ペニスとは、正式名称を陰茎と呼ばれます。尿を排出したり、精子を放出したりする働きがあります。陰茎の中央には尿道と呼ばれる管が通っていて、その左右に海綿体があります。海綿体は、強度と弾力に富んだ膜に包まれ、その中を多数の血管が走っています。
勃起時には血液が送り込まれ、海綿が水を吸ったように膨張します。その周囲を膜が覆っているため、ちょうど風船に空気を送り込んだような状態になるのです。
ペニスの先端は亀頭(きとう)と呼ばれ、きのこのカサが開いたような形状をしており、神経が多いため、摩擦などに敏感に反応します。
その亀頭の裏側にあり、亀頭と陰茎を結んでいる紐のような皮膚のひだが、「裏筋」と呼ばれる部分です。
正式には、「陰茎小帯(いんけいしょうたい)」といい、この部分の皮膚の下と海綿体の間には、性感帯が存在しています。
○陰のうとは
陰のうとは、ペニスの付け根辺りにある、シワが多い袋状の部分のことです。
陰のうの中には、左右に1つずつ、「睾丸」という男性器の重要な器官が収まっています。睾丸には精巣があり、精子がつくられ、睾丸の周りにある副睾丸で成熟します。
陰のうにシワが多く、体外に出ているのは、精子は熱に弱いためです。ラジエーターのように外気に触れさせ、精子が活発に活動できる温度を保っている、というわけです。ちなみに、寒いときだけでなく、怖くなったり、性的な興奮を感じた場合にも、この陰のうが縮みます。それは、睾丸を体に近づけて保護するためだと言われています。
○前立腺とは
前立腺とは、体内にあるクルミ大の男性生殖器官です。栗の実を上下反対にしたような形をしています。
睾丸でつくられた精子は、この前立腺で、精のうと呼ばれる場所でつくられた分泌液と混ぜられます。こうして出来上がったのが精液です。
また、この前立腺の中には、女性同様に子宮が存在します。胎児の段階ではみんな女の特徴を持っており、性決定遺伝子の作用によって男性器が発達するか女性器が発達するかが決定します。
○精のうとは
精のうとは、左右一対、膀胱のすぐ側にある5センチぐらいの細長い器官です。ここでは、精液を構成している分泌液を作っています。
精管を通じて、ペニスを通る尿道から、精液が放出されることを射精といいます。
射精が行われた場合の精液には、この精嚢から排出される精子が数%で、その他の90%は精液以外の精嚢分泌液と前立腺から排出される前立腺液やカウパー腺から排出されるカウパー液となっています。
これらの液体には、精子をより膣内で行きやすくするために、膣内を弱酸性から弱アルカリ性に傾けたり、精子を膣内に残留させやすくする働きなどがあります。
◆勃起するってどういうこと?
通常、日本人のペニスは、勃起していないと、8センチくらいの大きさが平均です。このペニスの海綿体に血液が送られ、膨張して固くなった状態が勃起と言われます。
勃起すると、ペニスは約1.5倍から2倍の大きさになります。その引き金となるのは性的な刺激です。五感から性的な情報が大脳皮質に送られると、自律神経が反応して多量の血液がペニスの海綿体の中に送り込まれます。
合わせて、ペニスに送られた血の出口に当たる静脈の弁が閉じられ、血液でペニスが膨らむのです。やがて、絶頂に達すると、精液が尿道の奥から尿道を通ってペニスの先の尿道口から射出されます。これが射精です。
射精後は、徐々にペニスに送られていた血液の量が少なくなるのに合わせ、静脈の弁が開かれ、血液がペニスから出ていき、通常の大きさに戻ります。
○朝立ちはなぜ起こるの?
起床時に、ペニスが勃起していることがありますが、これは決して性的興奮のみによって起きるものではありません。
睡眠中、尿が膀胱に蓄えられると、ペニスに関連している神経が刺激を受け、血液がペニスに送り込まれるのです。
これは主に脊髄の反射によるもので、赤ちゃんや年配の男性にも現れる状態です。
◆裏筋が切れるってどういうこと?
先に示したとおり、亀頭の裏側にあって、亀頭と陰茎を結ぶ紐のようなひだが、裏筋です。この部分が亀頭を下向きに引っ張って、尿がまっすぐに放出されるようになっています。
人によっては、この裏筋が短く、強く引っ張っている場合があります。セックスやオナニーなどで、この部分に繰り返し強い刺激が加わると、通常は段々と皮膚が伸びていくのですが、急激な刺激だと、皮膚が断裂してしまうことがあります。
これが、「裏筋が切れた」という状態です。大抵、水平に断裂が入り、傷口ができるため、性行為の時だけでなく、尿の放出の際にも痛みを伴うことがあります。
○裏筋は切ったほうがいいの?
インターネット上の意見では「裏筋は切ったほうがいい」などの意見もあります。実際、治療としてこの部分の切断手術の処置を施す場合があります。
切ったほうが良い、という人の理由としては、早漏対策になるというものです。この裏筋のあたりは、男性器の中でも、敏感な部分の一つであり、この部分に愛撫を加えると快感を感じます。
そこで以前は、早漏の治療として裏筋の切断手術を行っていたこともあるようです。ところが、厳密に言えば、性感帯は裏筋自体というよりも、その皮膚の下にあるため、効果がほとんど見られない、とのことで、現在では行われておりません。
現在では、勃起時にペニスを覆っている包皮から亀頭があらわになったとき、裏筋部分が短すぎて痛みを生じ、性行為に支障が現れる場合に、この部分を切断することがあります。
◆傷口から性病に感染する危険性も
裏筋などに傷を負うと、そこから雑菌などが入り込み、亀頭包皮炎などに悩まされることがあります。亀頭包皮炎とは、亀頭に炎症が発生した状態です。ペニスの先端部分である亀頭から、その亀頭を包む皮膚である包皮に炎症が発生します。
これは、亀頭と包皮の間に恥垢と呼ばれる垢が発生し、細菌が繁殖することで起こるものです。亀頭が包皮に覆われている子どもに多い病気ですが、大人にも発生する可能性があります。
基本的には菌は1週間程度潜伏し、やがて、陰部の先が赤く腫れ、痛みを伴うという症状となって現れます。
また、悪化すると水ぶくれができることがあります。尿を放出する時にも痛みを伴うため、つらいときには泌尿器科で外科的処置を施す場合もあります。
○亀頭包皮炎の原因は?
亀頭包皮炎は、カンジダや雑菌が原因菌となって発生することが多いとされています。
カビの仲間で、人間の体内に常に生息している「常在菌」のカンジダは、普段は体に危害を加えることはなく、病原体の侵入を防いでくれています。ところが、風邪や疲労、睡眠不足やストレスなどで体の抵抗力が低下すると、カンジダが異常に繁殖して、かゆみや腫れなどの炎症を起こします。
これらの菌は、ペニスの傷口から入り込んで炎症を起こすため、清潔にしておく必要があります。
ただし、亀頭周辺の皮膚は薄いため、あまりゴシゴシと強く洗い過ぎても傷を付けてしまいますから注意しましょう。
◆裏筋が切れてしまった場合の処置は?
裏筋が切れてしまった場合、傷口を塞ぐための縫合手術が必要なのか、などの疑問が生じると思います。結論からいいますと、基本的には、傷口を元通りに塞ぐような手術は必要ありません。
このような症状が現れる人は、元来、裏筋部分が短く、負担がかかりやすい状態のため、せっかく元通りにしても、強い刺激を受ければ、また切れてしまう可能性が少なくないのです。
そこで、止血のみを行い、傷口からの細菌感染を予防しつつ、そのまま傷口が治るのを待ったほうがよいと思われます。
ただし、傷口から細菌が感染したりすると危険ですので、泌尿器科を受診し、抗生物質などを服用すべきか相談したほうが良いでしょう。
○規則正しい生活
傷口から細菌が入りこんだ場合、思わぬ病気にかかることがありますから、常日頃から体の免疫力を高めるよう、生活リズムを保ち、十分に休息を取るよう心がけ、栄養バランスに注意していきましょう。
○清潔に保つ
裏筋に傷がある時には、患部付近を清潔に保つことが大事です。こまめに入浴し、丁寧に、よく洗うようにしましょう。
○コンドームを使用する
炎症は、セックスの際に菌が入り込んで発生することが多いため、コンドームを正しく使用しましょう。
○抗生物質の服用
最近は、薬局やドラッグストアなどで、安価で高品質な抗菌薬を入手することができるようになりました。
経口で服用できる抗生物質の内服薬もありますので、感染が心配な場合は服用すると良いでしょう。
◆まとめ
今回は、男性のデリケートな部位である、ペニスの裏筋についての記事でしたが、いかがでしたか?
気になる場所ですが、病院でどのような検査が行われるのだろう、とか、側に女性の看護師さんがいては恥ずかしい、などの理由で、なかなか受診の一歩が踏み出せないという人も少なくないようです。
ですが、恥ずかしい場所だからと泌尿器科を訪れるのをためらっている人も、傷の状況によっては、精密検査が必要だったり、定期的に治療を受けたほうがよい場合が、かなりあると言われています。
実際、そのような人が、治療を受けたあとに心配がなくなると、「こんなことなら、変な先入観にとらわれず、早めに受診すればよかった」と言うそうです。
心配な人は、一人で不安に悶々と苦しむのではなく、最寄の泌尿器科に足を運んでプロの手に委ね、一度、相談するとよいでしょう。