気が付いたら指の皮がめくれていて驚いた事はないでしょうか?特に季節の変わり目には肌への刺激も多く、手指が荒れやすくなっています。あかぎれのようになってしまうと何をするにも痛くてつらいですし、痛みもなくいつのまにかというのも、見えている部分なだけにあまり格好の良いものではありません。
気になる指の皮のめくれについて、原因として考えられる病気と対処法をまとめました。
指の皮の特徴
皮膚は人間の器官の中で最も大きい器官です。全体で約9kg、面積で1.6㎡程あると言われていわれ、大体一畳弱あるという事になります。
皮膚は人間の一番外側で身体を守っており、外からの侵入を防ぐ他、汗を出して体温を適切に保つ役割や、クッション剤としての役割を担っています。中でも手の皮は外部に非常に晒されている部分ですが、身体の末端部にあるため栄養が届きにくい場合があります。
指の皮がむける原因
手の皮がむける原因には様々な原因が考えられます。多くが外部からの刺激によるものですが、中には体質、病気を原因としている場合があります。
多汗症
特に運動をしたわけでもなく、暑くもないのに汗をかいてしまう病気が多汗症です。原因不明なものが多いですが、ストレスから来ている場合も多くみられます。その他、甲状腺の問題やリウマチなどにより汗が増える事もあります。
緊張すると汗をかく事は誰でもありますが、これは不安になる事により交感神経の働きが活発になる事により起こります。交感神経が活発に働くと、汗腺の働きも活発になるため汗をかくようになるのです。
多汗症による指の皮のめくれは、水分が多過ぎる事によって起こります。お風呂で指がふやけるのと同じ仕組みで、水分が多い状態が続く事で皮膚に水分が浸透して脆くなってしまう事がめくれの原因です。夏場に悪化する傾向があり、ふやけた感覚があるのが特徴です。
汗疱
汗疱は、手のひらや手指、足のうらに小さな水泡が現れる疾患です。原因ははっきりしていませんが、汗をかく人に多い病気なので汗が関連しているのではと考えられています。また、アレルギーを原因とする場合もあります。
両側手足に症状が出て、特に指の側面の症状が強く出ます。小さな水泡ができ、やがて丸い角質になってはがれ落ちます。後述する水虫と似たような症状が出ますが、白癬菌には感染していません。
汗疱については、汗疱の6つの原因とは?ストレスや病気の可能性も!を参考にしてください。
湿疹(主婦湿疹)
いわゆる手荒れのひどい状態です。手の表面は通常脂分で覆われています。しかし、いつも水に晒されていたり強い洗剤を使っているとこの脂分の膜が流されてしまい、手の保護膜がなくなった状態になってしまいます。保護膜のなくなった皮膚が引き続き水や洗剤に晒されると、刺激が肌に直接入り込む事になってしまい皮膚が痛みます。
元々皮脂の少ない手のひら側に症状が強く出るのが特徴で、赤みを帯びており乾燥した感覚があります。進行すると皮のめくれどころではなくなりひび割れなどが起こります。
水虫(手白癬)
足によく出来る水虫が手に出来てしまうのが手白癬です。カビの一種である白癬菌に感染して発症します。一般的に白癬菌は高温多湿の環境を好むため、いつも外気に晒されている手で起こる事は珍しく、多くは足の水虫からの感染で起こっています。
小さな水泡ができて皮がめくれる症状が出ますが、他と大きく違うのは片方の手だけに出る事が多いという事です。指の付け根から始まりだんだんと手の平の方に広がり、全体の角質がごわごわしてきます。
手の水虫は足と比べて治りやすいですが、足に菌を持ったままだとどうしても接触が起こり感染を繰り返してしまう事があります。水虫だった場合は足も一緒に治療しましょう。
水虫については、水虫の治し方を紹介!症状や感染しやすい環境とは?を読んでおきましょう。
進行性指掌角皮症
いわゆる「手荒れ」の事です。進行性という名前があるように、だんだんと広がっていく症状です。
指先の血液循環の悪さを原因としており、指先への繰り返しの刺激によって悪化します。刺激の多い利き手側の親指、薬指、中指で起こる事が多く、だんだんと範囲を広げて行く事が特徴です。かゆみはあまりなく、肌がごわごわするためひびわれを起こす事があります。
ストレス
季節の変わり目や生活環境の変化に伴って皮がむけてきたという場合、ストレスを原因としている場合があります。
ストレスにより自律神経の乱れが起こると、皮脂の分泌や細胞のターンオーバーに乱れが起こり、抵抗力が落ちるためにちょっとした刺激で皮膚がむける事があるのです。また、自律神経の乱れは汗腺の働きも乱してしまいます。手に汗をかく事で皮が向けやすくなる事もあります。
栄養不足
- 肌の材料である蛋白質、ビタミン類
- 肌の新陳代謝に必要なマグネシウム
- コラーゲンを作る時に使われるミネラル類
が不足すると、健康な皮膚が作られなくなり皮膚が脆くなります。この事によって外からの刺激を受けやすくなってしまいます。
指の皮がむける対処法と予防法
手の皮がめくれないようにするためには、どんな予防方法があるのでしょうか。
保湿
手には皮脂腺が少ないため、皮脂の膜が作られにくくできています。その割には水や薬品に触れる機会が多いので、どうしてもダメージを受けやすくなっています。
なので、バリア機能を補うためにも普段から乾燥を防ぐ対策をしておく必要があるのです。ハンドクリームを塗る、水仕事の時にはゴム手袋を着用するなどの保湿、防護対策をとりましょう。
生活習慣
次に、皮膚を強く保つ為にはストレスを溜めないようにして自律神経の働きを正常に保つ事と、肌の材料となる栄養素をバランスよく摂取する事が大切です。
肌によい栄養素と食材は以下の通りです。
- ビタミンA(粘膜を丈夫にする・潤いを保つ):レバー、にんじん、小松菜など
- ビタミンB群(新陳代謝を正常にする):豚肉、卵黄、玄米、レバーなど
- ビタミンC(保湿、鎮静、除菌、コラーゲン生成):パセリ、いちご、ブロッコリー
- ビタミンE(活性酸素を押さえ老化を防ぐ):ごま油、モロヘイヤ、ナッツ、まぐろ等
- タンパク質(肌細胞、コラーゲンの材料):魚、肉など
- 亜鉛(皮膚の新陳代謝、活性酸素の除去):牡蠣、ごま、小麦など
- レシチン(皮脂の材料):大豆など
- マグネシウム(皮膚細胞の代謝):穀類、野菜、大豆
応急処置
手の皮がむけてしまった場合、薬などでの治療が主になりますが、気軽にできるものとして米のとぎ汁で手を洗うという方法があります。米のとぎ汁にはビタミンなどが含まれるため、これが手のバリアとして働き皮のめくれを抑える効果があります。
また、荒れた皮膚が感染などを起こすとどんどん悪化する場合があります。できるだけ清潔に保つよう心がけましょう。
当たり前ですが、むけてきた部分が気になるからと言って無理矢理はがすのは厳禁です。まだ皮が剥けていない所まではがしてしまい炎症を起こす事があります。
まとめ
手は普段から外界のいろいろなものに触れています。にも関わらず足の裏のように明らかに分厚い訳でもないので、いろいろな影響を受けやすく症状も出やすい部分といえるでしょう。
しかし、日常生活で手を使わないというのはなかなか難しいもの。一度痛みが出てしまうと何をするにも本当に困ります。そうならないためにも、普段から栄養バランスに気を配り、睡眠不足やストレスを溜めないようにして強い皮膚を作りましょう。
また、何か症状が出てしまった場合、自己判断で薬を使ってしまうと逆効果になる場合があります。自分での対策は、清潔にする事や保湿程度にとどめ、早めに医療機関での診察を受けるようにして下さい。
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