下腹部のしこりの原因とは?痛みがないのは病気?

下腹部に違和感がある、しこりを発見した。そんな時、まず気になるのが「病気なのか?」ということですよね。何気なくおなかを触っていたら、こりっと指に触れるものがある・・・とても不安だと思います。

急ぎで病院へ行った方がいいのか、様子をみても問題ないものなのか、悩んでしまいますよね?ここでは、下腹部のしこりについて、その原因や対処法についてご紹介しましょう。

下腹部のしこり、何が原因?

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下腹部に違和感を感じても、それが本当に病気なのかどうか、判断は難しいところです。ここ原因を正しく判断し、正しい治療をしなければ症状は改善できません。

では、まず考えられる原因と種類について解説していきます。

良性腫瘍

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お腹にしこりを感じた場合、以下のものが要因と考えられます。これらは良性ですから、急いで対策を取る必要はありません。

脂肪腫

脂肪組織からできていて、薄い膜に覆われています。色は皮下脂肪と似ているため、一見すると正常な脂肪組織のように見えます。背中や肩に出来ることが多いですが、時にお腹にできることもあります。

症状

痛みはなく、瘤(こぶ)やしこりとして認識されます。触ると柔らかく、動くように感じられますが、実際に移動することはありません。

治療法

一般的には手術で取り除きますが、小さいしこりなら手術せず、経過を観察する場合もあります。

消化器官にガスがたまってしこりのように感じる場合がありますが、こちらは心配いりません。

粉瘤

皮膚の下に袋状のできものができ、その中に角質や皮脂が溜まってしまったものを指します。良性腫瘍ですが、時に化膿することがあります。

症状

触ると少し硬いので、比較的簡単にわかります。初期段階は粉瘤に穴があいていて、潰すとたまった老廃物がでてきます。良性ではありますが、この穴から細菌が入ると大きく腫れ上がることもあるため、見つけたら早めに受診しましょう。

治療法

粉瘤は自然完治しないため、治療する場合は手術するほかありません。経過観察という方法もありますが、様子を見たところでなくなることはなく、肥大化するばかりですから、取るなら早い内がオススメです。

また、粉瘤の手術は非常に簡単で、以下の手順で行われます。

①炎症を起こしている場合

抗菌薬、鎮痛剤を投与し、炎症が収まるのを待ちます。化膿している場合にはまず膿を出す処置を行ってから、いよいよ摘出時手術です。

②粉瘤の周りに局所麻酔をかけ、袋ごと摘出します。あとは縫合すれば完了です。

摘出手術は保険も適用されますし、およそ30分の短い手術ですから、迷っている方も早めに来院されることをオススメします。

悪性のもの(ガン)

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気をつけなければならないしこりについて紹介します。

大腸ガン・胃ガン

ガンになるとお腹の中にしこりのような瘤ができます。胃がん、大腸がんなど、腹部にできるガンの場合、しこりを感じることがあります。

症状

しこり以外にも、以下のような症状が出ている場合には要注意です。ガンの可能性が高いため、早めに医療機関で受診されることをオススメします。

・発熱
・体重の減少
・全身がだるい(倦怠感)
・便秘・便に血が混じる
・黄疸

治療法

大腸ガン

基本的な治療方法は以下の4つです。

・内視鏡的療法

切開することなく、肛門から内視鏡を入れ、腫瘍を焼き切る方法です。体への負担も少なく、腫瘍が3センチ以下の早期段階のみ有効な方法です。

・腹腔鏡療法

腹腔に直接メスを入れ、テレビモニターを見ながら行う方法です。傷口が小さいため、体への負担が少なく、術後の回復も早いと言われています。

・外科療法(ガンの切除)

ガンが進行し、内視鏡的療法や腹腔鏡療法での治療が難しい場合に用いる方法です。

これに加えて、放射線治療や抗ガン剤での治療を行うことで、ガンの進行を遅らせたり、ガンを小さくしたりすることに有効です。

胃ガン

基本的な治療方法としては以下の4つがあります。

  • 手術による切除
  • 放射線治療
  • 抗ガン剤治療
  • 免疫治療

なお、治療方法はガンの場所や進行具合によっても異なるため、医療機関でよく話し合って決めることが重要です。

大腸がんについては、大腸がんの原因とは?運動不足や食生活に要注意!

胃がんについては、胃がんの原因は?ストレスや食生活に要注意!

これらを、それぞれ参考にしてください。

女性に多い病気

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次に、女性に多い原因を紹介しましょう。主に考えられるものとしては、以下のような病気があります。

子宮筋腫

子宮の筋層に硬い腫瘍ができる病気で、子宮の代表的な病気で、良性腫瘍の一つです。女性の病気の中では最も一般的なもので、35才以上の女性の内、3人~4人に1人の割合いだと言われています。

症状

  • 月経時の出血量が多くなる
  • 月経が重くなる(痛くなる)
  • 不正出血がある
  • 腰痛
  • 下腹部の腫瘤
  • 頻尿
  • 不妊、習慣流産など

治療法

症状が重く、日常生活に支障を来すようでなければ、経過観察で問題ありません。ただし、月経による出血多量で貧血気味の方、筋腫が不妊や流産の原因になっている方、月経痛が重く、自覚症状の強い方は、治療を受けられた方が良いかも知れません。

子宮内膜症・子宮腺筋症

子宮体部の内側を覆っている「子宮内膜」は性周期に従って出血を伴い剥がれ落ちるのですが、この子宮内膜に似た組織が、子宮内腔以外の場所にできてしまうのが「子宮内膜症」です。あらゆる場所で起こりますが、血液の排出は子宮内膜以外の場所ではできないため、体の中に血液がたまっていきます。それによって炎症が起こり、徐々に大きくなっていくというわけです。

珍しい病気ではなく、月経のある女性であれば10~20%程度の人が発症しています。30~40代の女性が多いですが、若い女性でも起こることがあります。

子宮の周囲にできたものを「子宮内膜症」、子宮筋層にできたものを「子宮腺筋症」と呼んでいます。

また、子宮内膜症が卵巣にできると、「チョコレートのう胞」と呼ばれます。卵巣内への出血が繰り返されるため、古い血液が卵巣に溜まってしまう様子がチョコレートに似ているため、このように呼ばれています。

症状

自覚症状は内膜症ができた場所によりさまざまですが、最も特徴的なのは月経が重くなることです。30~40代の女性が、これまでと比べて急激に月経が重くなった、月経痛がひどくなったと感じる場合には、この病気を疑った方がよいでしょう。

また、「チョコレートのう胞」の場合、度々破裂し、その度に中身が腹腔内に漏れ出します。破裂時には転げまわるほどの痛みを伴い、さらには特殊なタイプの卵巣ガンが発生することもあると言われる、怖い病気です。

治療法

月経痛を抑えるために鎮痛剤を使用します。これで痛みがコントロールできるようであれば問題ありませんが、不十分な場合にはピルや漢方で月経痛を抑える必要があります。それでも利かない場合には、月経そのものを止めてしまう、または手術が必要な場合もあります。

卵巣腫瘍

卵巣腫瘍の9割は良性、1割が悪性だと言われています。患者の数は多くないものの、死亡率は子宮がんとほぼ同じという、危険な病気です。早期発見が非常に難しい上、進行した場合は再発率が高く、完治の難しい病気です。

症状

進行が早く、自覚症状が出るまでに時間がかかるのが特徴です。気付いた時にはすでに進行していることがほとんどだと言われます。

自覚症状のないまま、じわじわと大きくなり、腫瘍が大きくなると初めて自覚症状が表れる、厄介な病気です。

  • 下腹部のしこり・圧迫感
  • 腹痛
  • 腹部の膨満感

このような症状がある場合には、すぐに医療機関を受診してください。

治療法

腫瘍が良性の場合、小さい内は経過観察で済ませますが、6~7センチになると手術が必要になります。卵巣は2つある内1つを取っても機能するので問題ありませんが、腫瘍が悪性の場合は、手術で両方の卵巣を取ることになります。よほど早期の場合を除いては、術後に抗がん剤治療も必要となりますし、進行具合によっては大掛かりな手術が必要になります。

男性に多い病気

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では、男性の場合に考えられる原因はなんでしょうか?お腹にしこりを感じたら、以下の病気のサインかも知れません。

膀胱炎(ぼうこうえん)

大腸からの細菌が膀胱内に侵入し、炎症を起こすことによる感染症です。

症状

急性膀胱炎の場合、

  • 排尿する際の痛み
  • 頻尿
  • 尿が濁る

時に、下腹部の痛みを伴うこともあります。

治療法

・自然治癒

軽度の場合は、水分を取り、こまめにトイレに行くことで症状が改善されることがあります。細菌が入り込むことが原因ですから、細菌を早く外へ出すことが目的です。また、腹部を温めることで免疫力の低下を防ぐのも効果的です。

・薬による治療

抗生物質や抗菌剤を服用することで症状を改善する方法です。だいたい飲み始めて1~2日で症状が軽くなりますが、処方された分はきっちり飲み切ることが重要です。

前立腺炎・前立腺ガン

男性特有の病気で、前立腺に細菌が入り込むことで起こる細菌感染症です。

症状

  • 排尿する際の痛み
  • 残尿感
  • 頻尿

時として、発熱や下腹部の痛みなどを訴える場合もあります。

治療法

急性前立腺炎

抗生剤の内服または点滴で治療します。全身感染症なることもあるため、炎症が強い場合には入院が必要になることもあります。

慢性前立腺炎

抗生剤や漢方での治療が主ですが、再発防止には規則正しい生活や適度な運動など、よい生活習慣が重要になってきます。

前立腺ガン

・手術療法

前立腺と精のうを摘出し、膀胱と尿道をつなぐことで根本的治療を目指す方法です。手術の方法としては、開腹、腹腔鏡、ロボットによる方法があります。

・放射線治療

・ホルモン療法

男性ホルモンの分泌を抑えることでガンの進行を遅くする、という方法です。根治はしませんが、ほとんどの前立腺ガンに有効だと言われています。

これらの方法はガンの進行具合によっても異なりますので、専門医とよく相談して決めることが大切です。

虫垂炎

虫垂が炎症を起こす病気です。一般的に「盲腸」と言われることが多いです。

症状

上腹部の痛みから始まり、次いで吐き気や発熱などの症状が出ます。その後は、下腹部に痛みが移っていきます。

  • 吐き気
  • 発熱
  • 食欲不振

これらの症状がある場合には、虫垂炎を疑いましょう。

治療法

主に内服によるものと、手術による治療法がありますが、内服治療が可能なのは最も軽度な「カタル性虫垂炎」というものの場合だけです。

膀胱ガン

膀胱に悪性腫瘍ができる病気で、喫煙者は非喫煙者より発症率が2倍も高くなると言われています。

症状

  • 痛みを伴わない血尿
  • 膀胱炎に似たような症状
  • 尿路結石

脇腹から下腹部にかけての激痛が特徴です。長径が5ミリ以下の場合は、自然に排泄される可能性が高いと言われています。

治療法

下腹細菌感染が原因のため、抗菌薬を内服することで治療します。服用後一日程度で症状は回復しますが、服用をやめると再発する可能性もあるため、処方された分はきちんと飲みましょう。

尿路結石

腎臓で作られた結石が尿管に落ちてきた場合に起こります。

症状

  • 血尿
  • 尿がにごる
  • 背中や腹部の突発的な痛み
  • 発熱

腎臓には痛みを感じる神経はありませんが、結石が尿管に詰まると尿の流れが滞り、それによって腎臓が腫れると激痛が走るのです。ただし、腎臓が慢性的に腫れている場合には激痛はなく、鈍い痛みがあります。

また、結石が詰まる場所が尿道の場合、まったく排尿が出来なくなることもあるため、場所によっては厄介な病気と言えるでしょう。

治療法

結石が尿管に詰まり、自然に排出されない場合のみ、手術が必要になります。

何科を受診すればいいの?

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さて、ここまでさまざまな病気とその症状についてお伝えしましたが、いざ異変を感じた時、一体どの科にかかればよいのか、不安ですよね?これまでご紹介した病気の受診すべき科についてまとめましたので、ぜひご覧になり、参考になさってください。

脂肪腫・粉瘤

良性のしこりは、皮膚科で診てもらうとよいでしょう。また、「脂肪腫」なら整形外科、「粉瘤」なら形成外科も有効です。

子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症・卵巣筋腫

婦人科系の病気については、産婦人科または婦人科を受診されることをオススメします。

大腸・胃ガンが疑われる場合

消化器科もしくは胃腸科を受診してみてください。

前立腺炎、前立腺ガン

泌尿器科を受診ください

虫垂炎

消化器内科、消化器科を受診ください

膀胱ガン

腎臓内科泌尿器科を受診してみてください

尿路結石

泌尿器科を受診ください

まとめ

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よくあるものから男女別の病気、症状まで紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

しこり一つとっても、良性のものから悪性のものまで、簡単に治療できるものから大変な治療が必要なものまで、さまざまです。もちろん、すべてのしこりについて神経質になる必要はありませんが、少しでも「変だな」と感じたら、まずは医療機関を受診してみてください。

どんな症状であれ、早期発見が解決の糸口になります。

「明日でいいや」「その内行こう」と先延ばしにするのはダメです。自分の体を労り、健康に健やかに日々を過ごしたいものですね。

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