なんだか、涙が止まらないということを経験したことはありませんか。そういえば、最近涙もろくなったなー、歳かな?なんていっている場合ではないないんですよ。実は、重大な病気にかかっている場合があるのです。
もちろん、悲しいとか痛いというときには、涙が出てしまうものですが、それ以外に自然に涙が出て止まらない場合が、このケースです。
一番に疑われる症状は、うつ病です。昔はこのような病気は「ノイローゼ」称したものですが、時代の変化とともに、その病気の種類も増え、多様化したため、名称を細かく分けたということです。その他、プチうつ病、統合失調症、流涙症、目の疾患などがあります。順を追って見ていきましょう。
涙について
我々はどんなときに涙をながすのでしょうか?悲しいときや辛い時の他にも、目にゴミが入ったりあくびをすることでも涙は出てきます。
涙を出すということは生理現象の一つです。涙がでているときには体はどういった状態であるのかを紹介します。
なぜ泣くのか
通常、人は普段の行動をしているときは、交感神経に支配されており、多少緊張しています。逆に寝ている状態やリラックスしている状態は、副交感神経に支配されている状態です。この涙を流している状態というのは、寝ている状態と一緒で、脳はリラックス状態にあります。つまり、非常に良い状態にあるということになります。
逆に仕事をしている、何か活動している状態は交感神経に支配されている状態です。せわしさや緊張状態も感じており、この状態が続くと変調を来たします。ストレスで体調を崩す人は、この副交感神経と交感神経の切り替えが上手くできていない状態が原因です。
この、泣く、涙が流れてしまうということは、人間が必然的にストレス解消を求めている状態といっても過言ではないでしょう。本人は自覚していなくとも、なんら体調に異変が起きている状態と思われます。ですから、副交感神経を優位にするために涙を流し、リラックス状態を引き起こそうとしている可能性が高いと思われます。
涙の成分
また涙というのは、流すタイミングによってその涙の成分も違います。この副交感神経優位の時はリラックス状態の涙なので、感動している時や、悔しい時、悲しい時の涙はたんぱく質を含みます。たんぱく質は心を癒し穏やかにする成分なので、この種の涙を流すとすっきりとするのです。
涙が出るメカニズム
涙というのは目の瞼の上辺りに存在する涙腺という期間で作られています。悲しいときに流れるだけでなく、涙は目を庇護するために非常に重要な役割をしています。涙腺では常に新しく涙が作られて目の乾燥を防いだり、酸素を供給したり、目にゴミなどが入ったときにそれを排除してくれる働きなどがあります。
瞬きは涙を目に供給するポンプのような働きをしており、常に新しい涙を目に供給しています。涙は目を伝わり、涙点へいき、涙小管を通り→涙嚢→鼻涙管を通って鼻に流れて喉まで排出されたり鼻水になったりします。
悲しくもないのに涙が止まらないというのは、もしかしたらこの涙の通り道に鼻や目に問題があるのかもしれません。
涙が止まらない原因
涙が止まらなくなる原因としてはどんなものが挙げられるのでしょうか?その症状や原因や治療方法について紹介していきます。
自分に当てはまっているものがあるかどうか確認してみましょう。
うつ病
ストレスによりうつ病になると、涙が流れてくるということがあります。うつ病では涙が出る他にも、一日中気分が落ち込んでテンションが上がらなかったり、何をしても楽しめないなどの症状が出ることがあります。
100人に3〜7人ほどの割合で発症が診られ、うつ病は甘えなどと言われがちですが、この甘えを許してあげることで回復傾向に進むケースが多いのが特徴です。社会復帰してもなかなか甘えを許してもらえないことから再発のリスクは高く、なかなか治療のサイクルから抜け出せないことがあります。
どんな人がなりやすい?
この場合は気分が優れずに沈みがち、落ち着きがなかったり、妙に細かいことに気をもんだり…時間的な問題もあります。午前にひどく、午後から夕方にかけて若干良くなる傾向があります。
性格もまじめな人や責任感が強い人に発症することが多く、よく言われるのが、「がんばって」と声をかけてはいけないことです。なぜかというと、本人はがんばっているのです。なのに、もっとがんばれというのは、本人をさらに追い込み、これ以上何をどうがんばればいいのかという、精神状態になることが悪い循環になっているようです。
原因
うつ病の原因は主にストレスが挙げられます。精神的ストレスと肉体的ストレスの許容範囲は人それぞれ違いますが、過度な労働や人間関係の疲れなどによって限界が生じうつ病を発症します。また、環境の変化やつらい過去などが原因でもうつ病を発症します。
引き金となるような事例はいくつもあり、人それぞれ鬱病にかかる理由は違います。
うつ病は脳障害であり、脳で興奮物質セロトニンとノルアドレナリンなどがうまく生成されないことでだんだんと気分が落ち込みがちになっていきます。セロトニンとノルアドレナリンは神経伝達物質とも呼ばれ、物事に取り組む意欲や人間の記憶に関して大きく関係している物質です。これらの物質が体と心を活性化させていて、力を与えてくれているのがうつ病の患者にはこれらを自分で分泌する事が出来ないために、薬によって分泌を促さなくてはいけません。
対処法
本人が意識して、さらに気落ちしないような環境を整えることが有効です。笑顔を作れる環境、人とのコミュニケーションをとることは重要です。特に意識してすることです。
もし、本人にはそのようなことができそうにもないときは、周りの人が気を遣うことが有効となります。そして、「がんばれ」等の言葉掛けは、しないように注意しましょう。
また、薬でうつを抑えることも可能です。しかしこの薬は速効性がないので、長い目で見て治療することが必要となります。ただ、やはりそこには原因があるわけですから、薬では根本的な解決方法にはなりません。医師にかかることと同時にカウンセリングなどで、心に積み重なっているストレスの元を断ち、精神的かつ肉体的な健康を取り戻すようにしましょう。
それと、最近は専門化医でもない人が、過去の実体験からうつ病を治した人も本を書いたりして、非常に参考になるものもあります。その本には、うつは往々にしてベジタリアンやダイエットをしている人に多いというところから推測し肉類を多めに摂取して治したそうです。いわゆる栄養失調と見ていたようです。
確かに野菜だけの食事ですと、ミネラルが不足がちになります。ミネラルは第五の栄養素といわれ、主に自然塩、ミネラルウォーター、肉類に多く含まれます。ダイエットをしたり、野菜中心の食事をすると、確実にこのミネラルが不足します。また、統計的にもベジタリアンに自殺者が多いのもこの理由によるものかと思われます。
プチうつ病
うつ病ではないけれどなぜか気分が落ち込むという人は、プチうつ病という可能性があります。
うつ病との違い
プチと付きますが、普通のうつ病とどう違うのかというと、うつ病は他人が見ても気付くのですが、プチうつ病の場合は、本人も気付かないことがほとんどです。
時間的に夕方になるとか、週に1~3日ほど、気分が落ち込むことがあるなど、普通のときもあれば、悪いときもあるようなうつをプチうつ病と呼びます。
対処法
本人も気付かないケースもほとんどですから、これといった特効薬はありません。普段からの考え方を積極的な方向へ向けることで解決します。ただ、本人も気付かないので、実際に対処しているケースも少ないでしょう。
逆に気にしすぎることはよくないと思います。ちょっと気分が落ち込んでいるなーと思ったときは、自分のやりたいことを思い切りするなどの気分転換で充分かと思います。それでも、気になるというのであれば、医者に相談するのも手かと思います。
統合失調症
精神の疾患として、統合失調症という可能性があります。大きく分けて統合失調症には陰性のものと陽性のものがあり、症状によって区別することが出来ます。
陽性の場合は、妄想、幻覚、思考障害などの症状が現れます。発症者の行動によって大きくこの症状が把握されるため、統合失調症であることが早い段階で理解することが出来ます。
陰性の場合、意欲の欠如や閉じこもり、思考の貧困化やマイナス思考であったり、感情に乏しく平坦な性格になりがちです。およそ性格な分野の事なので、病気であるとは判別しにくく、幻覚や妄想などの虚言症状は診られないことからなかなか統合失調症であるとは認識されません。
確率としては100人に1人程の割合で発症が認められています。
統合失調症とは?
精神障害の一つです。以前は精神分裂病と呼ばれていましたが、これもやはり病気の多様化により、名称をよりわかりやすくしたようです。
発症は幻覚とか幻聴から始まり、対人恐怖症や一人でぶつぶつ言ったり、奇妙な行動を取ったりします。当然、気分が沈みこんでしまいますので、その影響で涙が止まらなくなる場合があります。
原因
一つの原因としてストレスや精神の脆弱性などが挙げられていますが、しっかりとした原因はまだ今のところ解明されていません。遺伝の影響であったり、お母さんの体内にいる頃の脳が作られる段階で不具合があったかなどが可能性として考えられています。
統合失調症の発症確率は100人に1人の割合ですが、片親が統合失調症であった場合の発症確率は10%というデータもあります。これは、胎児のときに母体や精子の段階で遺伝子的に産まれ持ったものなのか、統合失調症の両親に育てられる過程でその特徴が移ってしまったのかはわかりません。
統合失調症の症状の一つの幻覚や妄想、思考障害などは主に脳が過剰にドーパミンを生成しすぎることによって引き起こる脳障害とも言われています。
感情のコントロールが自分では難しいため涙が溢れて止まらない場合があります。
対処法
こちらは、経過を見ながらということになりますが、やはり薬で精神を落ち着かせることが良いかと思います。また、周りの人も当人をよく観察することも必要です。とにかく心を穏やかにすることが、大事かと思われます。
統合失調症については、統合失調症の特徴を紹介!治療するために必要なことは?の記事を読んでおきましょう。
流涙症
一般的には涙目と言うような呼び方をする病気です。医学的には流涙症や鼻涙管閉塞症などと呼ばれています。
この場合は医師の検査を受ける必要があります。
目から鼻へ抜ける涙道があるのですが、ここに何らかの異常からふさがってしまい、涙が流れないケース、もしくはその涙腺が細菌などにより炎症を起こして、涙があふれるケースなどがあります。
特に赤ちゃんなどが鼻涙管が閉塞してしまって、涙目になっているケースが多く見られます。もともと赤ちゃんは鼻涙管が狭いため詰まりやすく、また出産すぐなどには細菌感染などのリスクも高く、涙嚢が細菌に感染し目が腫れてしまったりするケースがあります。
対処法
医師の診断で流涙症となりましたら、抗生物質で細菌感染が治りますし、涙道がふさがっているのであれば、その貫通のために処置をすることにより解決します。
いずれも簡単なものではありませんが、うつなどのはっきりしない状況よりは、完治するのも時間の問題となります。
治療法
症状が鼻涙管閉塞症である場合には、以下の方法での治療が行われます。この治療は病院でないと出来ないため、この病気が疑われる際は専門の眼科か耳鼻科に行って治療を行うようにしましょう。
涙道プロービング
専用の金属製の棒を涙道に通し、涙点から伸びる涙道を拡張します。主に赤ちゃんなどの発症している先天的な鼻涙管閉塞症の場合においてよく行われる手術です。
シリコンチューブ挿入術
シリコンのチューブを涙道に入れて涙道を広げることで、患部を拡張し涙の流れを正常に戻します。麻酔を使った治療で、施術時間は20分ほどで終了します。入院の必要はありません。4ヶ月から6ヶ月ほどチューブを挿入しておき、涙道が広がり安定してきたときにチューブを取り外します。
しかしデメリットとして、再発の恐れがあるため注意が必要です。
涙嚢鼻腔吻合術
手術によって新しい涙道のバイパスを作ってしまいます。局部麻酔を使った1時間程の手術で行います。まず、顔の皮膚を切開し涙嚢の横の部分、目と鼻の丁度間の部分を1cmほど削って穴を開けます。そして涙嚢の涙嚢と鼻腔の粘膜をつなぎ手術は完了です。
約一週間後に詰め物と手術糸を取り除き患部の経過を診ます。
その他の目の疾患について
主に、結膜炎、結膜弛緩症、ドライアイ、花粉症などの影響で涙が止まらないこともあります。
ドライアイなどで目が乾き、痛みやかゆみを起こすと、角膜を保護するために涙が多量に出るケースです。最近はスマホやパソコンなどで、目を酷使している場合です。これらのものは、一点凝視で、あまり目を動かさないことも原因の一つです。
本人も意識していないので、なかなか厄介な状況です。目が乾くなど、少し異常を感じたら、ドライアイを疑ってみましょう。その原因である、スマホをいじりすぎているとか、仕事の疲れで目を酷使していると思ったら、目を休ませるなどの対応をしましょう。目薬を点すのも良いかと思います。
対処法
スマホやPCは1日にどれくらい使用するか、時間を決めるのも良いかと思います。また、合間に遠くを見たり近くを見る、目を左右上下と軽く目の筋肉を動かすのも有効な手段です。
パソコンから出る、ブルーライトも目には負担になるので、カットする眼鏡を使ったり、時間の制限を設けましょう。
まとめ
目の疾患の場合は、医者に診断をしてもらおう
精神など、うつの場合は医師による判断を仰ごう
パソコン、スマホは使用をひかえよう
今回は、涙が止まらない原因についての記事でした。涙が止まらないことをあまり問題視していない人も多くいますが、長期に渡って涙が止まらない期間が続く場合は要注意です。特にうつ病の方などは、自分がうつ病だと気がつくきっかけになる場合もあります。
涙が止まらないことに違和感を感じた場合は、病気の可能性を疑うようにしましょう。
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