喉から普段聞き慣れないおかしな音が出ること、ありますか?頻繁に喉が鳴ってしまう、喉が鳴る症状とともに飲食時に物を飲み込むのが困難になったなどの症状を併発していないでしょうか?
ここでは、喉が鳴るときに考えられる原因と治療法についてご紹介します。
音の違いや症状の特徴などによってある程度原因を判断することもできますので、自分の音がどの症状に当てはまるのかチェックしながら読んでいってみてください。
また、これらの症状が発生してしまっている場合には何科の病院を受診すれば良いのかなどについても合わせて紹介していきますので、それらも合わせて参考にして治療に繋げていってください。
それでは喉が鳴ってしまう原因や症状、治療法などについての詳しい情報をみていきましょう。
消化器内科、歯科を受診した方が良い場合
消化器内科や歯科を受診した方が良いのは、次のような病気のときです。以下の症状の場合には、原因となる物が内蔵や口内の形状や咀嚼法などの癖が関係して発生しているので、自己治療ではなかなか治しづらい問題になます。
喉を鳴らす症状を伴う病気や症状などについてみていきましょう。
呑気症(空気嚥下症)
喉からグッグッ、ギュルルというようなゲップに似た音が頻繁に出るときは、呑気症(どんきしょう)と呼ばれる病気かもしれません。別名を空気嚥下症(くうきえんげしょう)ともいいます。
原因について
この病気は、大量の空気を飲み込んだために胃腸に空気が溜まってしまうことで引き起こされます。
通常、人は食事の際に飲み物や食べ物と一緒に多少の空気を飲み込んでいます。その空気は、ゲップやおならとして体の外に排出されますが、呑気症の人は、食事の際だけではなく普段の生活でも無意識に空気を飲み込んでしまうため、胃腸に空気が溜まりやすくなります。
一番の原因はストレスとも言われており、緊張や不安を感じたときに無意識に唾を飲み込む癖がある人にこの病気がよく見られるとされます。また、早食いなどの食事の癖や、呼吸の癖、歯の嚙みしめが大きく関係しているものになります。
が、はっきりとした原因がわからないままに発生している場合もあり、実際にはまだ詳しく解明されきっていない症状でもあります。
症状について
症状としては、お腹が張る、ゲップやおならが異常に出る、胃の不快感や痛みなどです。
またこの呑気症が原因となって逆襲性食道炎などの症状に繋がってしまうケースもあります。
吐き気を強く催す場合があり、これを繰り返すことで癖になってしまいます。呑気症は自律神経を乱れさせて墳門や下部食道括約筋の力を緩めてしまい、さらに腹圧を上昇させるので、吐き気や逆流性食道炎などの症状が発生しやすくなります。
この働きが盛んに行われることで、食道の粘膜が荒れてしまい痛みや不快感が増していきます。
もし、喉のなる症状に痛みなどが合わせて発生している場合には、食道炎などが発生している可能性があります。
治療法について
治療として挙げられるものは、原因となるストレスの解消、食生活の改善、歯科での治療などです。
ストレスの解消には、心療内科・精神科で治療を行い、症状が重いとされた場合には抗うつ薬や抗不安薬などを使うこともあります。
早食いの習慣をやめ、よく噛んで食べる癖をつけることも効果的です。また、アルコール、脂肪を多く含むもの、炭酸飲料、甘いもの、辛いものを控えるといった食生活の改善も効果があるでしょう。
無意識に唾を飲み込んでしまう癖がある人は、その時に空気も一緒に飲み込んでしまっています。癖を改善することも効果的です。
歯の嚙みしめによって呑気症を引き起こしている場合を、「嚙みしめ・呑気症候群」と呼びます。この症状については、以下に詳しく説明をしていきます。
嚙みしめ・呑気症候群
無意識に歯(特に奥歯)を噛みしめてしまう癖がある人は、嚙みしめのときに唾液が喉に流れ込みやすくなります。唾液を飲み込む回数が多いと、一緒に飲み込む空気の量も多くなり、呑気症を引き起こしやすくなってしまうのです。これが「嚙みしめ・呑気症候群」です。
症状について
「嚙みしめ・呑気症候群」によって起こる症状は多岐にわたります。
症状には、頭痛、肩こり、首の痛み、顎の痛み、こめかみの痛み、目の奥の痛み、吐き気、げっぷ、胃の不快感、お腹が張る、おならが多く出る、などがあります。また、胸の痛みや心臓の痛みを起こすこともあります。
げっぷや胃の不快感、お腹が張る、おならが多く出るなどの消化器の症状は、「嚙みしめ・呑気症候群」によって起こる呑気症の症状です。
もしこの症状がよく発生しているのであれば咀嚼方法や噛み癖などについて意識してみましょう。
原因について
「嚙みしめ・呑気症候群」になる直接の原因は、習慣的に歯を嚙みしめる癖があることや、ストレスなどで緊張状態となって歯を噛みしめてしまうこと、うつむき加減の姿勢が多くなることで嚙みしめが起こりやすくなること、うつ状態でうつむき加減になってしまうこと、合わない義歯を使っていること、口を無意識に動かしてしまうこと、などがあります。
頭痛、肩こり、首の痛み、顎の痛み、こめかみの痛み、目の奥の痛みは、嚙みしめを行うときに使われる咬筋(こうきん)・側頭筋と呼ばれる筋肉が歯を合わせる回数が多くなることで疲れて引き起こされます。同時に、緊張から肩こりが起こったり、肩の緊張が緊張性頭痛を引き起こしたりもします。
治療法について
「嚙みしめ・呑気症候群」の治療は非常に複雑です。
最も望ましいのは、心療内科・精神科と歯科で共同治療をすることです。
心療内科または精神科で緊張不安やうつ状態の改善、ストレスの解消・緩和を行い、歯科で義歯を作り直したり、マウスピースと呼ばれる器具を歯に装着する治療を行います。
マウスピースの装着だけで症状が良くなる人もいます。装着することで無意識の唾液嚥下の回数を減らすことができ、その結果として飲み込む空気が減り、症状の改善がみられます。
しかし、マウスピースは体にとっては異物なので、口の中に装着することで刺激があり、唾液が通常よりも多く出てしまいます。この多く出た唾液をこまめに飲むのではなく、少し溜めてから飲み込むようにしましょう。唾液を飲む回数が少なくなるほど、同時に飲み込む空気の量も少なくなります。
心療内科的治療と外科的治療
心療内科・精神科と歯科による共同治療には、多くの問題がつきまといます。
心療内科医には、歯科医のような噛み合わせや食いしばりなどに対しての理解はあまり期待できません。
一方、歯科医にとっては、呑気の病態や「嚙みしめ・呑気症候群」によって起こる消化器症状などは、日常診療の中で治療範囲ではありません。そのために、心療内科的な治療と歯科的な治療を両立することが難しいのです。
また、「嚙みしめ・呑気症候群」には様々な症状が出るために、内科や外科、胃腸科、脳外科、整形外科、耳鼻科、眼科、歯科・口腔外科などを症状別に受診し、どこでも「異常なし」と言われることもあります。
様々な症状が「嚙みしめ・呑気症候群」によるものだと突き止めること自体が、まず難しいのです。
耳鼻咽喉科を受診した方が良い場合
次は耳鼻科や呼吸器科などを受診すべき症状について紹介していきたいと思います。
ここでの症状は上記の喉のギュルギュルという音と違い、呼吸音に異常が確認される場合の症状になります。
この症状が発生している場合に診断される病気にはどの様な症状があるのかをみていきましょう。
喘息
呼吸をしたときに喉からヒューヒュー、ゼーゼーという音が鳴る場合は、喘息(ぜんそく)かもしれません。ヒューヒュー、ゼーゼーという音を喘鳴(ぜんめい)といい、これは喘息の特徴的な症状です。
喘息とは、気道(特に気管支)が炎症を起こし、粘膜がむくんで気道が狭くなっている状態です。気道が敏感になり、少しの刺激でも発作が起きてしまう病気です。
症状について
喘息の症状は、喘鳴の他に、激しい咳、呼吸困難、たんが出る、息切れ、胸の痛み、喉の違和感、などがあります。
呼吸音の異常とともに呼吸が苦しくなります。特に発生しやすい時間帯は早朝や夜の時間帯で、日中には発生しづらい傾向があります。
その他、風邪に誘発されて発生したり、体調不良の時、天気が悪い時などにも発生しやすいものになります。
原因について
喘息の誘引になっているのは、ハウスダスト、ダニ、花粉、ペットの毛、フケなどの、吸い込むとアレルギー反応を起こす「アレルゲン」と呼ばれるものです。また、アレルゲン以外ではタバコの煙、運動、ストレスなどが誘引になることもあります。
それぞれに症状の発症となるトリガー(引き金)を持っており環境的な要因や精神的な問題をきっかけに症状を発生させます。
これらの原因を特定して、引き金となる誘引因子を遠ざけることが有効な対策になります。
治療法について
喘息の治療には、抗炎症薬や気管支拡張薬などが使われます。また、アレルゲンを吸い込まないようにすることも大切です。家の中を清潔に保ち、外ではマスクをするなどしましょう。
ヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴は、水分を多く摂ることで改善されます。水分を多く摂って、喘鳴の原因となっているたんや分泌物の排出を促しましょう。加湿器で部屋の湿度を上げるのも効果的です。
下咽頭や咽頭に異物がある
ヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴は、喉の奥に異物が引っかかっている時にも出ることがあります。
下咽頭(かいんとう)は、気管(呼吸の際の空気の通り道)の入り口にある咽頭と隣り合わせていて、咽頭の中間あたりには、声門(せいもん)と呼ばれる部分があります。下咽頭に異物がつかえると咽頭や声門が狭くなり、そこを空気が無理に通ろうとすることで、喘鳴が出ます。
魚の骨が引っかかっていたり、誤って飴玉などを飲み込んでしまい下咽頭に引っかかることなどで起こります。
異物を取り除くことで、喉が鳴る症状が改善されます。
声帯ポリープが発生している
声帯の酷使や普段使わない声帯に過剰に負荷をかけてしまった場合に声帯の粘膜が炎症し、血液がたまり血の塊が形成され、ポリープになってしまったものが声帯ポリープになります。
初期の症状の状態で声を酷使せずに安静にしていれば、自然治癒するケースもありますが、気付かずに声帯を酷使してしまってポリープにつながってしまうことも少なくありません。
ポリープが発生すると声が低くなったり、声がかすれるなどの症状が発生します。
声をよく使う教師や、歌手、声優、トレーナー、スポーツ選手などに多く発生する病気で職業病でもあり、大きくなりすぎてしまった場合には切除手術が必要になります。
声や喉に違和感を感じるだけでなく、唾を飲み込む時に困難に感じたりすることもあります。
カメラなどで内視鏡検査をして、喉の状態を確認する必要があります。耳鼻科で検査治療が行なえますので声に異常を感じる場合には一度検査をしてみましょう。
反回神経麻痺
呼吸をするときにゼーゼーという音がする場合には、反回神経麻痺(はんかいしんけいまひ)という病気が考えられます。
反回神経(声帯の開け閉めなど、喉の周辺を制御している神経)が何らかの原因でダメージを受け、声帯が閉まりかけた状態で麻痺してしまうと、呼吸の際にゼーゼーという音がします。
原因としては、頸部甲状腺腫瘍(けいぶこうじょうせんしゅよう)や、肺がん、食道がんなどが考えられます。
腫瘍やがんの治療をすることが、喉が鳴る症状を改善する方法です。
急性喉頭蓋炎
息を吸うときにゼーゼーという音がするときは、急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)という病気の場合があります。
急性喉頭蓋炎とは、声門のすぐ上にある喉頭蓋(こうとうがい)という部分が炎症を起こし、気道をふさいでしまう病気です。腫れがひどい場合には窒息に至ることもあります。
急性喉頭蓋炎は、喉頭蓋が細菌感染することで起こります。原因菌は、ほとんどがB型インフルエンザ菌です。
喉の痛み、発熱、飲み込むときの痛みなどが初期症状として現れますが、その後数時間のうちに、呼吸困難や喘鳴が現れてきます。さらに進行すると窒息に至ることもあります。
軽症のとき以外は、ほとんどが入院治療となります。呼吸困難が現れない場合は、細菌を殺すために抗生剤を、喉頭蓋の腫れを軽くするためにステロイドホルモンの点滴を行いながら治療します。呼吸困難の症状が重い場合には、気管を切開したり、気管内挿管をしたりして気道を確保することがあります。
喉仏から音がする
唾などを飲み込んだ時に喉仏から音がする症状を抱えている場合には、リンパ腫、悪性リンパ腫、咽頭がん、甲状腺炎などの病気が発生している可能性があります。
これらの症状が発生している場合には痛みも同時に発生していることがほとんどだと思いますが、初期症状では痛みが発生せずにしこりのみが発生して、音や違和感のみが感じられる事があります。
これらの症状は早期に発見することが非常に重要な症状になります。
慢性化したり、がんなどの場合には他の細胞に転移してしまう前に手を打たないと、どんどん悪化していってしまいます。
実際には喉から音が発生してしまう症状だけでは、明確に病気を特定することは出来ません。行きつけの耳鼻咽喉科がある場合は、気軽に診断をしてもらって患部を直接覗き込んで検査することが最も確実な方法になります。
しかし逆に初期すぎる症状の場合には病気が発見できない場合もありますので1週間〜1ヶ月ほど様子をみながら、症状が悪化したり違和感が強くなった場合にはすぐに病院に行ける準備をしておきましょう。
整骨院、カイロプラティックに行った方が良い場合
整骨院、カイロプラティックに行った方が良い場合もあります。
首のコリ
首のコリが原因で気道を確保できなくなり、喉が鳴ることもあります。
首が凝っていたり、うつむき加減のような体勢を長く続けたとき、高さが合っていない枕を使っていて頭を乗せたときに顎が上がったような状態になっているときは、気道が十分に確保できなくなり、喉から音が鳴ることがあります。
治療としては、できれば整骨院やカイロプラティックなどで骨を矯正してもらうことをお勧めします。よくない体勢を治すことで、喉が鳴る症状が改善される可能性が高くなります。
枕の高さが合っていない場合は、下にタオルなどを敷いて高さを調節したり、高さの合う枕に替えたりしてみましょう。
まとめ
喉が鳴るときに考えられる原因には、以下のものがあります。
- 呑気症(空気嚥下症)
- 喘息
- 下咽頭や咽頭の異物
- 反回神経麻痺
- 急性喉頭蓋炎
- 首のコリ
喉が鳴って困るときは、それぞれの症状に合った医療機関で診断して専門家からの治療を受けて治療していきましょう。
喉は自分では見えない内臓の部分になりますのでしっかり専門家に診てもらって原因を突き止めないと治療法を決定することは難しい症状です。
音が鳴っているだけで痛みが無いから大丈夫と軽視せずにしっかり対応していきましょう。
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