「ポテンシャル」という言葉を聞いて、あなたはどのような意味やイメージを抱くでしょうか?多くの人は、「ポテンシャル」という言葉について、潜在能力や隠されている本当の能力といった意味で用いて、比較的ポジティブでプラスのイメージを抱くのではないでしょうか?
しかしながら、日本語におけるカタカナ語・外来語の意味が、その語源となっている原語の意味とは異なっていることが、往々にして存在します。とかく日本人は、カタカナ語・外来語の意味を調べずに十分な理解がないまま使用する傾向がありますよね。
そこで今回は、「ポテンシャル」という言葉の意味や語源を確認するとともに、ポテンシャルが高いと評価される人について、ご紹介したいと思います。
この記事の目次
「ポテンシャル」のカタカナ語・外来語としての意味
そもそもカタカナ語・外来語である「ポテンシャル」という言葉は、どのような意味を日本語として有しているのでしょうか?
そこで、まずは「ポテンシャル」という言葉の国語辞典的・国語辞書的な意味について、再確認しておこうと思います。
「ポテンシャル」の国語辞書的な意味
「ポテンシャル」という言葉について、いくつかの国語辞典・国語辞書をあたってみると、概ね次のような意味を有しているとされています。
- 潜在的な能力
- 未だ発揮されていないものの、可能性として有する能力
- (流通用語・経済用語)商品やサービスが実現しうる将来の市場規模
「ポテンシャル」というカタカナ語・外来語の語源
「ポテンシャル」というカタカナ語・外来語の語源は、英語のpotentialだとされています。英語のpotentialは、厳密に言うと物理学で用いられる専門的な物理用語で、最も簡単に和訳をすると「潜在性・潜在力」と訳されます。
「ポテンシャル」という言葉が使われる文脈
カタカナ語・外来語である「ポテンシャル」という言葉は、一般的に人間が隠し持つ潜在能力を表現する文脈で用いられます。
例えば、「あの人は、ポテンシャルが高い」という文章表現では、未だ仕事の経験は少ないものの、経験を積ませて磨けば大いに伸びる能力的余地がありそうだという期待を抱く場合など、多くは相手を褒める肯定的でポジティブな文脈で使われます。このような相手を褒めるポジティブな文脈では、人間の潜在能力、すなわち生まれつきに備わった能力や器の大きさを暗に認めるというような含意・ニュアンスも存在します。
ただし、反対に否定的でネガティブな文脈で使われる場合もあります。例えば、「あの人には期待していたけど、実はポテンシャルが低かった」というような使い方です。
語源であるpotentialの本来的な意味
前述のように「ポテンシャル」の語源は英語のpotentialで、もともとは物理用語です。
言葉の意味は、時の流れや社会的・文化的な影響によって変遷していくことがあるので、日本語のカタカナ語・外来語である「ポテンシャル」という言葉が、ほぼ潜在能力という意味で用いられることが定着していることについて、否定や批判するつもりはありません。
しかしながら、その語源であるpotentialの意味を調べずに、十分な理解がないまま使用することについては、問題が生じる場合が無きにしも非ずです。そこで、少し脇道にそれますが、もともと物理用語である英語のpotentialの意味についても確認しておきたいと思います。
位置エネルギーを意味する
物理用語であるpotential(ポテンシャル)の意味は、ある物質あるいは物質を形作る粒子が有する位置エネルギーを、位置関数で表したスカラー量と定義されます。
そして、potential(ポテンシャル)の概念とは、物理学の一分野である電磁気学において特に使われており、スカラーポテンシャル(スカラー値関数)とベクトルポテンシャル(ベクトル値関数)の総称とされます。
しかしながら、物理学をある程度学んでいないと、この定義や概念すら理解することができないかもしれません。これを正確に理解しようとするとマックスウェル方程式、ジェフィメンコ方程式、ヘルムホルツ方程式、ローレンツ条件、ローレンツ変換などといった電磁気学の専門知識だけでなく、フーリエ変換、ベクトル解析(ベクトル場・スカラー場など)、分数関数、微分方程式・微分作用素、座標変換などといった数学的知識も必要となります。
そこで、端的にpotential(ポテンシャル)の意味を理解するには、potential(ポテンシャル)は位置エネルギーのことであると理解すると良いでしょう。位置エネルギーは、potential energy(ポテンシャルエネルギー)とも呼ばれます。
位置エネルギーについては、学校の理科や物理の科目で、位置エネルギーと運動エネルギーをセットで学んだことがあると思いますので、かなりイメージもしやすくなるのではないでしょうか。
位置エネルギーとは?
位置エネルギーとは、地球には重力が働いているために、物体が「ある高さ(位置)」に存在することによって物体に蓄積されるエネルギー・力のことです。
例えば、ボールを持ち上げて、ある高さで手を放すとボールは地球の重力によって地面まで落下します。つまり、ボールが手を離れる前に、ある高さで位置している時には、地面に向けて動き出そうとするエネルギー・力が蓄積されているのです。これを言い換えると、ある高さに位置しているボールには、潜在的に下へと向かうエネルギーがある・地面へと向かう潜在力があると言うことができます。
このような位置エネルギー・potential energy(ポテンシャルエネルギー)の持つ潜在力を利用した発電方法が、水を高い所から流し落とすことによって発電する水力発電です。
ちなみに、ボールが落下を始めると位置エネルギーは運動エネルギーへと変化して、ボールが落下している間における位置エネルギーと運動エネルギーの総和は常に一定であるという法則が、理科や物理で習うエネルギー保存の法則(エネルギー保存則)です。
英単語potentialの意味
このような物理用語から派生して、英単語potentialは次のような意味を有するに至ります。
- (名詞)潜在力、将来性
- (名詞)潜在力や将来性がある人
- (名詞)可能性、見込み
- (名詞・物理用語)ポテンシャル
- (名詞・電気用語)電位
- (形容詞)潜在的な
- (形容詞)可能性がある
- (形容詞・物理用語)位置の
- (形容詞・電気用語)電位の
ポテンシャル(潜在能力)が高いとは、どういうこと?
それでは脇道から戻りまして、「ポテンシャルが高い・潜在能力が高い」とよく表現されますが、どのような能力があれば、ポテンシャル・潜在能力が高いと言われるのでしょうか?
そこで、ポテンシャルが高いと評価されるために、具体的に必要とされる能力について、ご紹介したいと思います。
「ポテンシャルが高い」という評価
前述のように「ポテンシャル」とは潜在能力や、未だ発揮されていないものの可能性として有する能力を意味します。
そのため、「ポテンシャルが高い」とは、将来的に大いに伸びる能力的余地があると評価されたり、将来に期待を抱かせる素質があると認められることだと言えます。
そして、将来的に大いに伸びる能力的余地があると評価されたり、将来に期待を抱かせる素質があると認められるには、具体的に次のような能力が求められます。
- 自己分析能力
- 行動力、計画実行力
- 思考力
- 理解力
- 身体能力
自己分析能力
将来に期待を抱かせる素質があると認められるには、自分の発言や行動、自分が携わってきた仕事の結果などについて、客観的に振り返り分析する能力が必要不可欠だと言えます。というのも、人間は誰しも最初から全てが上手くいき成功にたどり着くわけではなく、必ずと言っていいほど失敗をするからです。
失敗をしても、その失敗を振り返ることのない人の多くが同じ失敗を繰り返すことになり、そこにその人の成長は見つけだせませんから、周囲の人もその人の将来に期待を抱くことはありません。
一方で、自分の失敗について、客観的に振り返り自己分析をすることができる人は、失敗の原因を見つけて排除したり、失敗を繰り返さないための改善策を練ることにより、同じ失敗を二度と繰り返さないようにします。
また、客観性のある自己分析ができる人は、成功した物ごとについても成功要因や他との差別化要因などを着実に把握することで、成功の再現性を高めることにもつながります。そのため、自己分析能力がある人は同じ仕事をするにしても、2回目、3回目と積み重ねていくうちに、仕事の内容がより生産的・効率的になり、仕事のスピードも早くなっていくのです。
このように自己分析能力がある人は、常に自分自身を改善しブラッシュアップさせることにより、能力拡大を図れる人や成長への努力を惜しまない人だと言えます。そして、このような人に対して、周囲の人は自然とその人の将来性に期待を抱くでしょう。ですから、ポテンシャルが高いと評価されるためには、自己分析能力が必要とされるのです。
行動力・計画実行力
将来に期待を抱かせる素質があると認められるには、何事にもチャレンジしてみる行動力も求められると言えるでしょう。
この点、何事にも消極的で積極性のない人は、行動力も伴いません。そして、このような積極性がなく行動力のない人に対して、周囲の人が何かを期待するということも無いでしょう。
逆に、積極性があって行動力のある人に対して、周囲の人は何かをやってくれそうだと期待をします。言い換えれば、将来に期待を抱かせる人というのは、ほぼ例外なく何事にも臆せずチャレンジしてみる行動力を備えているのです。
ただし、行動力と言っても、無鉄砲に何の考えもなくチャレンジして当たって砕けるのでは、周囲の人も将来性に期待を抱くことはないでしょう。そのため、周囲の人が将来に期待を抱く行動力とは、行動の目的や道筋を把握して計画を練り、その計画に沿って行動していく計画実行力と言えます。
ですから、ポテンシャルが高いと評価されるためには、行動力・計画実行力が必要とされるのです。
思考力
自己分析をするにしても、何かを計画して実行するにしても、思考することは常に必要とされます。それゆえ、将来に期待を抱かせる素質があると認められるには、思考力があることも要求されます。
自己分析とは、自分自身のことについて思考することに他なりません。例えば、自分の失敗の原因が何だったのか、失敗を繰り返さないための改善策はどうすれば良いのか、など考えることでしか解決方法を導き出すことができないのです。
また、何かを計画して実行する場合も、計画段階で目的を達成するための最善策をあらゆる方策の中から比較検討して選んだり、効率よく実行するための段取りを考える必要があります。
このように良く思考する人に対しては、周囲も将来的に大いに伸びる能力的余地があるだろうと期待します。ですから、ポテンシャルが高いと評価されるためには、思考力が要求されるのです。
理解力
将来に期待を抱かせる素質があると認められるには、物事に対する理解力があることも必要な要素の一つと言えるでしょう。
何かをする上で、理解力があるということは非常に大切です。仕事をする上でも、勉強をする上でも、他の人から説明や指導あるいは解説をされて、それを受け入れ納得することができなければ、仕事も勉強も身につけることができません。スポーツをするにしても、ルール・テクニック・戦術などを高い水準で理解することが、一流選手の必須条件と言えるでしょう。
このような理解力がある人は、周りから見ていても物事をスポンジのように吸収していくので、将来的な伸びしろが大きいと皆が感じます。ですから、ポテンシャルが高いと評価されるための必要な要素として、理解力が挙げられるのです。
身体能力
スポーツや格闘技などの世界において、将来に期待を抱かせる素質があると認められるには、まさしく運動神経・目の良さ・空間認識能力などといった身体能力が必要不可欠になるでしょう。
プロスポーツ選手が一流選手として大成するには、様々な条件が必要となるとは思いますが、その最たるものが身体能力です。ですから、スポーツや格闘技のなどの世界において、
ポテンシャルが高いと評価されるためには、身体能力が必要になります。
ポテンシャル(潜在能力)の高さには、精神力も含まれる
ここまでポテンシャルが高いと評価されるために、具体的に必要とされる能力について説明してきました。しかしながら、このような高い能力が備わっていたとしても、それで十分なわけではありません。
高い能力が備わり、それに精神面が伴ってこそ、ポテンシャルが高いと評価されるのです。そこで、ポテンシャルが高いと評価されるために、備えるべき精神面について、ご紹介したいと思います。
常に落ち着いている
ポテンシャルが高いと評価されるためには、常に落ち着いた姿勢でいることも必要です。
この点、物事に対して感情的に反応する人は、何をするにしても行動にブレが生じます。行動にブレがあると、その場しのぎだと周囲に思われてしまいます。一方で、常に事実を冷静に受け止めた上で、冷静に対処できる人は、行動にも一つの芯が通っていると周囲に思われます。
ですから、ポテンシャルが高いと評価されるためには、常に落ち着いて冷静さを保てる精神が必要となります。
常に前向きである
いくら自己分析能力・思考力・身体能力などの能力が高くても、常に後向きでネガティブな人には、周囲の人も期待を抱きにくいものです。それゆえ、ポテンシャルが高いと評価されるためには、常に前向きでポジティブでいることも必要になるでしょう。
前向きでポジティブな発言や行動が見られれば、自分の目標に対して自然と努力ができますし、そのような向上心溢れる言動があるからこそ周囲の人に将来への期待を抱かせるのです。
ですから、ポテンシャルが高いと評価されるには、前向きでポジティブな精神・考え方が必要となるのです。
失敗や変化を恐れない
普通の人は、どうしても失敗や変化を恐れてしまいます。しかしながら、何かを成し遂げる人は、失敗や変化を恐れずに挑戦するメンタリティーを持っています。行動力を支えるのは、挑戦・チャレンジしようとする精神です。
このような失敗や変化を恐れない姿勢を示すことは、周囲の人に自分ができないことをやってくれそうだと期待を抱かせます。ですから、失敗や変化を恐れないチャレンジ精神は、ポテンシャルが高いと評価されるために必要な一要素となるのです。
まとめ
いかがでしたか?「ポテンシャル」という言葉の意味・語源や、ポテンシャルが高いと評価される人について、ご理解いただけたでしょうか?
日本語におけるカタカナ語・外来語の意味が、その語源となっている原語の意味とは異なっていることが、往々にして存在します。そして、「ポテンシャル」も、実はもともと物理学・電磁気学で用いられる物理用語だったのですね。
現在の日本で「ポテンシャル」とは潜在能力を意味し、将来的に大いに伸びる能力的余地や、将来に期待を抱かせる素質という意味で使用されます。是非、様々な能力を身につけて、ポテンシャルが高いと評価されるように努力してみてください。
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