おりものが多い原因を紹介!考えられる病気は?正常な状態も知っておこう!

女性にとって「おりもの(オリモノ)」についての悩みは尽きませんよね。おりものに関する話題は、どうしても周囲の人に相談をしにくい話題であり、しかも病気か否かの判断もしづらいことから病院へ行くこともためらわれます。

また、おりものについての悩みと一口に言っても、おりものの量、おりものの色、そしておりもののニオイなど悩みの中身は様々です。これらの悩みは、周囲の人に相談しにくいばかりか、他人と比較することも難しいため、なかなか自己解決に至りませんよね。

そこで今回は、特におりものの量やおりものの多さに焦点をしぼり、わかりやすくご説明していきたいと思います。本記事が、お悩みの解決の一助になれば幸いです。

「おりもの」とは?

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「おりもの」について分かっているようで、実は詳しく知らない方が少なくありません。おりものに関する知識・情報を理解するには、「おりもの」の定義や役割を正確に押さえておくことが必要不可欠です。

そこで、「おりもの」の定義や役割について、改めておさらいしておきましょう。

「おりもの」とは?

「おりもの」は、女性の膣口から出てくる粘液や組織片のことで、性交渉の時以外に出てくる膣分泌液のことを言います。すなわち、おりものは、子宮内膜や子宮頚管の分泌物、膣壁からの分泌物や膣壁の古い細胞片、バルトリン腺・皮脂腺・汗腺からの分泌物などで構成された粘液や組織片の集合体です。

「おりもの」は、一般的には平仮名で表記されますが、漢字では「下り物」と書かれます。漢字の表記で分かるように、女性の体内から下りてくるものであることが名称の由来となっています。

おりものの役割

おりものは、健康で正常な女性であれば、誰であっても多かれ少なかれ膣口から排出されます。そして、おりものは主に膣内の自浄作用と受精のサポート作用という2つの役割を担っています。

膣内の自浄作用

おりものが出てくる膣口は、排便のための肛門が近くに存在することで、大腸菌などの細菌・雑菌が付着しやすい環境といえます。そして、このような細菌が膣口から膣内に侵入してしまうと、膣から子宮までの女性生殖器が細菌に感染する恐れがあります。

そのため、弱酸性の膣分泌液をおりものとして排出することによって、膣内での細菌繁殖を抑制しているのです。つまり、おりものは、膣内の自浄作用の役割を果たしており、膣内を清潔に保っているのです。

受精のサポート作用

このように平常時において、膣内は弱酸性に保たれています。しかしながら、生理・月経の周期に応じて排卵日が接近すると一時的に弱酸性から弱アルカリ性へと膣分泌液の質に変化が生じます。これは、子宮頚管から分泌される分泌物が増えることが原因です。

そして、弱アルカリ性に質的変化をすることで、酸に弱い性質を持つ精子を保護することができ、結果として多くの精子が膣内から子宮内に進むことができて卵子の受精を助けます。このように、おりものは、受精のサポート作用の役割も果たすのです。

おりものの正常な状態とは?

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このように、おりものは健康で正常な女性であれば、膣内の自浄作用と受精のサポート作用の役割を果たすために、誰であっても多かれ少なかれ膣口から排出されます。

それでは、おりものが正常な状態にあると言えるには、どのような状態であれば良いのでしょうか?そこで、おりものの正常な状態について、ご紹介したいと思います。

おりものの正常な状態

おりものの色は、基本的に健康な状態であれば、透明から白濁・乳白色をした粘性のある液体が正常な状態とされ、人によってはやや黄色味がかった色をしていることがあります。また、おりものの粘液自体は透明から乳白色であっても、下着に付着後に黄色っぽく変色する場合もあります。

おりものの臭い(ニオイ)は、やや甘酸っぱい臭いか、無臭の状態が正常とされます。このやや酸味がかったニオイは、膣内の常在菌である乳酸菌などの働きによるものとされています。いずれにしろ、刺激臭とされるほどの強いニオイでなければ正常だと考えられています。

おりものの量は、体調・生理周期(月経周期)・年齢などにより変化が見られますので、後で詳しくご説明したいと思います。

ただし、このようなおりものの正常な状態は、あくまでも一般的・平均的なものであり、個人差が大きいことは留意しておく必要があるでしょう。

生理周期とおりものの量

おりものの量は、生理周期・月経周期に応じて増減します。

つまり、生理周期を生み出しているのが女性ホルモンのバランス変化ですので、おりものの量も女性ホルモンのバランス変化に深く関わっているのです。

女性ホルモンのバランス変化

女性ホルモンは、女性特有の生殖器や乳房などを発達させる卵胞ホルモン(エストロゲン)と女性の身体に妊娠の準備・維持をさせる黄体ホルモン(プロゲステロン)によって構成されます。

卵胞ホルモンは生理後から徐々に増え始めて排卵時に最大量となり、生理まで徐々に減少していきます。一方で、黄体ホルモンは排卵後に急速にホルモン分泌量が増え始めて生理の10日~14日前に卵胞ホルモンより多くなりますが、排卵後に妊娠しなければ黄体ホルモンの量も減少して生理を迎えるのです。

このように女性の体内では、周期的に女性ホルモンのホルモンバランスが変化しているのです。

生理周期とおりものの量の関係

おりものは、生理周期・月経周期に応じて量が増減するとともに、その性質も変化します。そして、概ね卵胞ホルモンの増減に合わせて、おりものの量も増減します。具体的には、生理周期に応じて次のような変化が見られます。

生理(月経)直後

生理直後は、おりものに残っていた経血が混じり茶褐色の色をしていて、粘性も低く水っぽくサラリとした状態になります。おりものの量は生理周期を通じて最も少なくなります。

卵胞期

生理後から排卵日に向けて、卵胞ホルモンの増加に合わせておりものの量が徐々に増えていきます。この時期のおりものは、子宮頚管から分泌される弱アルカリ性の分泌液が増えていくことにより、比較的無色に近く、ニオイも少なくなる傾向があります。

排卵期

排卵日を含む排卵期は、おりものの量がピークを迎えて生理周期を通じて最も多くなる時期です。排卵期のおりものは比較的無色に近く、粘性が強くなりますが、ニオイは少ないとされています。

黄体期

黄体期は排卵後の約1週間程度の期間ですが、卵胞ホルモンの減少が始まり、黄体ホルモンが多くなる時期です。黄体期のおりものの量は徐々に減少しますが、色が白濁・乳白色で弱酸性に変化し、ニオイが段々と強くなる傾向があります。

生理前(月経前)

生理前には、おりものの量が少し増える傾向にあります。おりものの状態は黄体期に引き続き比較的粘性が強く、白濁・乳白色でニオイも気になるかもしれません。生理前ですが、おりものに少し血液が混じることもあります。

年齢とおりものの量の関係

前述のように、おりものの量は女性ホルモンのバランス変化に深く関わっているので、年齢に応じて量の変化も現れます。

初潮~10歳代

おりものは、初潮を迎えると徐々に増えていきます。しかしながら、未だ成長途上のために女性ホルモンの分泌が不安定で、おりものの量が増減することがあります。

20歳代~30歳代

女性として成熟するので女性ホルモンの分泌も安定し、おりものの量も生涯の中で最も多い時期となります。ちなみに、妊娠初期や妊娠中は、卵胞ホルモンよりも黄体ホルモンが多くなるため、おりものの量が増える傾向にあります。

40歳代~閉経

40歳代に入ると生殖能力が徐々に低下し、女性ホルモンのうち特に卵胞ホルモンが減少しはじめます。卵胞ホルモンが減少することが理由となり、更年期症状が現れたり、おりものの量も徐々に減少に転じます。

閉経後

閉経すると、卵胞ホルモンの分泌がほとんどなくなり、おりものの量は非常に少なくなります。

おりものの量の正常範囲は個人差がある

ここまでにご説明したおりものの正常な状態は、あくまでも一般的・平均的なものであり、個人差が大きいことには注意しておく必要があります。そのため、おりものの量についても個人差が大きく、正常とされる範囲は広いのです。

例えば、受精卵が着床して妊娠すると、妊娠を維持するために黄体ホルモンが卵胞ホルモンより多くなるため、おりものの量が増えるのが一般的です。しかしながら、個人差が大きいので、ホルモンバランスに変化が生じても、おりものの量が変化しない人もいるのです。そのため、妊娠を確かめるには生理予定日の1週間後を目途に妊娠検査薬で確認したほうが良いでしょう。

おりものの量の正常範囲の目安としては、おりものシート(パンティライナー)の使用で間に合うならば問題のない範囲と言えるでしょう。逆に、おりものシートの使用で間に合わない場合は、おりものの量に異常がある可能性があります。

ただし、おりものシートの使用による判断も目安にすぎませんから、日頃から自分のおりものの量について観察しておくことが大切です。

おりものの量が多くなった場合

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このように、おりものの量は個人差が大きいのですが、自分のおりものの量を観察していて量が多くなった場合は、もしかしたら何らかの病気のサインかもしれません。

そこで、おりものの量が多くなった場合に異常と判断するためのポイントを、ご紹介したいと思います。

量が多くても問題のない場合

おりものの量が多くなったと感じても、特に問題のない場合もあります。

ストレスや疲労による一時的な卵巣機能の低下

ストレスや疲労、あるいは不規則な生活習慣が続くと、卵巣機能が低下して女性ホルモンのバランスが乱れることがあります。ホルモンバランスが乱れることによって、おりものの量が多くなる場合があります。一時的なもので休息をとることにより回復すれば、問題ありません。

ただし、卵巣機能の低下とホルモンバランスの乱れが長く続くと、膣内の自浄作用が低下して感染症にかかりやすくなるので注意が必要です。

子宮膣部びらん

子宮膣部は、子宮の下部が膣内に飛び出た部分のことです。そして、子宮膣部びらんは、この子宮膣部の本来内側を向いて隠れている粘膜部分が、膣内に下垂してめくれることにより、赤くただれたように見える症状のことです。

子宮膣部びらんが赤くただれたように見えると言っても、この部分の細胞が損傷しているわけではなく、病気ではありません。女性ホルモンの分泌が盛んになる20歳代~30歳代の女性の80%~90%に見られる症状と言われています。

子宮膣部びらんでは、膣内に現れる粘膜部分が広くなるため分泌物が増えるので、おりものの量が多くなります。

ちなみに、子宮膣部びらんでは本来隠れている部分が現れるため、タンポンの使用やセックス時に出血しやすくなります。そのため、子宮頸がんの初期症状で見られる不正出血との判別が困難な場合がありますので、早期に専門家である婦人科医の診断を仰ぎましょう。

セックス後・性交渉後

セックス後・性交渉後に、おりものの量が増えることがあります。というのも、そもそも、性交渉時には潤滑のために膣分泌液が多く分泌されますが、性的な興奮の名残で膣分泌液の量が増えていることにより、おりものの量が多くなって場合があるからです。

また、性交渉後に膣内の自浄作用が強化されているとも考えられます。

量が多くて異常な場合

自分のおりものの量を観察していて量が多くなった場合で異常な場合は、おりものの量だけでなく色やニオイにも変化が見られます。

カンジダ膣炎(膣カンジダ症)

おりものの量が増えて、なおかつ酒粕状あるいは豆腐が崩れたような白濁したおりものが現れた場合は、カンジダ膣炎(膣カンジダ症)の可能性があります。そして、カンジダ膣炎は、外陰部に強いかゆみが現れ、性交渉時に痛みが現れることもあります。

カンジダ自体は人に常在する常在菌ですが、身体の免疫や抵抗力が低下すると異常増殖することがあります。そして、カンジダは通気性が悪くて適度な温度と高い湿度のある環境を好み、自浄作用が低下して乳酸菌などの善玉菌の働きが悪くなった膣内はカンジダの好む環境となります。

詳しくは、カンジダ膣炎とは?症状・原因・治療法・予防法を紹介!を読んでおきましょう。

トリコモナス膣炎(膣トリコモナス症)

おりものの量が増えて、なおかつ黄緑色で泡状のおりものが現れた場合は、トリコモナス膣炎の可能性があります。トリコモナス膣炎になると、おりものから生臭さのある強い悪臭が発生します。また、トリコモナス膣炎では、外陰部に強いかゆみが現れ、場合によっては外陰部にただれが生じることもあります。

トリコモナス膣炎の原因は、トリコモナス原虫という肉眼では確認できない0.1㎜程度の寄生虫が膣に侵入することです。感染源は多岐にわたり、プールや温泉、タオルやトイレの共有などが考えられ、性行為でも感染するので性感染症でもあります。

詳しくは、トリコモナス膣炎とは?原因や症状、治療方法を紹介!を参考にしてください。

クラミジア感染症(性器クラミジア感染症)

おりものの量が増えて、白色あるいは膿のような黄色がかったおりものが現れた場合は、クラミジア感染症の可能性があります。クラミジア感染症は、明確な自覚症状がない場合もありますが、下腹部痛や発熱を伴うことがあるとされています。

クラミジア感染症の原因は、クラミジア・トラコマティスという細菌が性器に感染することです。感染経路は性交・オーラルセックスなどの性行為で、クラミジア感染症は性感染症です。

感染に気付かずに放置していると、炎症が卵管などにも拡大して不妊症の原因となることもあるので注意が必要です。

淋病(淋菌感染症)

おりものの量が増えて、黄緑あるいは膿のような黄色がかったおりものが現れた場合は、淋病の可能性があります。女性の淋菌感染者の多くは自覚症状が現れませんが、症状が現れる場合にはおりものの変化と下腹部痛や発熱を伴うことがあり、クラミジア感染症と併発する場合もあります。

淋病の原因は淋菌に感染することで、あらゆる性行為で感染することから、淋病は性感染症です。

感染に気付かずに放置していると、卵管炎や骨盤腹膜炎を起こして不妊症の原因となることもあるので注意が必要です。

詳しくは、淋病の症状とは?原因や治療法、合併症を知っておこう!を読んでおきましょう。

細菌性膣炎(細菌性膣症)

おりものの量が増えて、灰色に近い色の粘性の低いおりものが現れた場合は、細菌性膣炎の可能性があります。細菌性膣炎になると、おりものから魚が腐ったような腐敗臭が発生し、外陰部のかゆみやただれが現れることもあります。

細菌性膣炎の原因は人に常在する大腸菌やブドウ球菌で、膣内の自浄作用の低下と身体の免疫や抵抗力の低下が生じると、これらの菌が増殖して炎症が起こります。

おりものケアとおりものの量が多くなる病気の治療方法

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このように、おりものの量が多くなると、問題がない場合もあれば、病気のサインである場合もあります。それでは、おりものの量が多くなる病気の治療は、どのようになされるのでしょうか?

また、病気にならないことに越したことはありませんから、日々のおりものケアについても、ご紹介したいと思います。

おりものの量が多くなる病気の治療法

おりものの量が多くなる病気の対処法の多くは薬剤の投与となりますが、原因となる病気によって投与される薬剤は異なりますので注意が必要です。

カンジダ膣炎

カンジダ膣炎の原因は、前述のように常在菌であるカンジダの増殖でした。カンジダは、カビの一種である真菌ですから、カンジダ膣炎の治療には抗真菌剤が使用されます。特に抗真菌剤の膣座薬・軟膏などの外用薬が用いられます。

また、免疫力を回復させるために、十分な休養をとったり、生活習慣の見直しを図ることも必要です。

トリコモナス膣炎

トリコモナス膣炎の原因は、前述のように寄生虫に感染することでした。そのため、トリコモナス原虫に効果のある抗菌薬・抗原虫薬が使われます。内服薬と外用薬(膣座薬)の併用が一般的で、概ね10日前後で完治するとされています。

性行為による感染の場合は、パートナーと同時に治療することが必要なので注意が必要です。

クラミジア感染症・淋病・細菌性膣炎

クラミジア感染症・淋病・細菌性膣炎の原因は、前述のようにそれぞれの原因菌である細菌に感染することでした。そのため、それぞれの細菌に有効な抗生物質が治療に使われます。

クラミジア感染症と淋病は性感染症ですので、パートナーと同時に治療することが必要です。

日々のおりものケア

おりものの量が多くなる病気の多くは、細菌などへの感染が原因となっています。ですから、病気にならないためには、おりものの膣内自浄作用を十分に機能させることが必要です。

そのためには、十分な睡眠時間を確保し、免疫力を低下させないためにストレスを溜めないように心掛ける必要があります。

また、おりもののニオイが気になるからと膣を洗い過ぎることは避ける必要があります。膣洗浄は不快感の緩和などのメリットもありますが、洗浄のし過ぎは自浄作用を低下させるのでデメリットとなります。

さらに、陰部が蒸れて細菌が繁殖しやすい環境にしないために、通気性の良い下着の着用やおりものシートのこまめな交換をすると良いでしょう。

前述しましたが、日々のおりものケアと並んで、自分のおりものを観察しておくことも重要です。ちなみに、基礎体温を日々記録しておくと、生理周期を把握するとともに、おりものの増減時期を把握することができます。

まとめ

いかがでしたか?今回は、特におりものの量やおりものの多さに焦点をしぼって説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、おりものの量は個人差が大きいことから、どの程度の量が出れば正常でないかということを一律に判断することはできません。

しかしながら、自分のおりものの量を日々観察していれば、量が多くなったことは判断することができます。そして、おりものの量が多くなる場合は、もしかしたら何らかの病気のサインかもしれないのです。

ですから、自分のおりものについて観察し、異常が現れたら早期に婦人科を受診して専門医の診断を仰ぐようにしましょう。

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