生理になると女性は貧血になる人が多くいます。健康診断の血液検査で生理のときに貧血と言われた人も多いのではないでしょうか?
特に現在はダイエットが流行っていて、皆さん痩せ体質を維持されているので、女性の場合特に貧血の人が多く、日本人の貧血率は発展途上国並みです。
これも、近年ダイエットブームで、太ることが悪としてとらえられ、バランスの摂れた食生活をするというよりは偏った食生活をしている人が多く見られるためです。
成長期で一番鉄を必要とする時期に、さまざまな情報に惑わされて理想体型像を抱いて食事を抜いたり偏食したりして間違ったダイエットが行われています。
生理中の貧血は失血や鉄分不足と違い、生理特有の貧血があり同じ貧血でもさまざまな原因があります。生理の貧血についての予防や対処方法などについて分かるとよいですね。
それでは、生理前・生理中の貧血について詳しく見てみました。
貧血について
貧血は赤血球のヘモグロビンの濃度が下がったり、成分が減少したりすると発症します。日本人の妊婦の30~40%が貧血になっていて、先進国の18%にはとても及びません。
発展途上国の56%に近い値です。また、妊娠していない50歳未満の女性の25.2%が重度の貧血の症状を抱えています。
成人女性は生理で毎月17mg、日々の排出と合わせて月40mgの鉄分を失っています。毎日1日約10.5mgの摂取基準が必要とされています。
以前は日本人の鉄分摂取量は13mgありましたが、今は7mgまで減っています。
貧血を放置していると心筋梗塞などの症状を引き起こすことがありますので、十分気を付けて注意することが大切です。
全ての貧血に共通する症状
- めまい・立ちくらみ
- 動悸・息切れ
- 耳鳴り
- 疲れやすさ
- 食欲がない
- 顔色が悪い
- 寒さを人一倍感じる
貧血になると心臓や肺に負担がかかるので疲れやすくなります。貧血が進行すると皮膚の色が少し黄色味がかってきます。
貧血の種類
赤血球の大きさ、赤血球中のヘモグロビン濃度などから3つに種類に分けられます。その他に、交通事故などで大量の出血で起こる失血性貧血や、局所的に起こる貧血(生理など)があります。
小球性低色素性貧血
鉄欠乏性貧血、感染症・炎症、慢性化した出血(消化器官の潰瘍やがんによる出血、月経過多)などが原因です。
鉄欠乏貧血とは鉄不足が赤血球の成分の減少で起こる貧血です。
正球性貧血
再生不良貧血、白血病、自己免疫性溶血性貧血などが原因です。
再生不良貧血は、血液を造る元になる細胞が骨髄に不足して、白血球、赤血球、血小板などが作れなくて減少する病気です。
白血病が原因の溶血性貧血は赤血球自体が破壊して起こる貧血です。また、自己免疫性溶血性貧血は自分自身の免疫力で赤血球が破壊されます。
大球性貧血
悪性貧血が原因です。
悪性貧血は、赤血球を作るときにビタミンB12 が不足して上手く作れない病気です。高齢者に多く見られビタミンB12、葉酸が不足することで起こります。
一番多い鉄欠乏貧血について
貧血はヘモグロビン(血色素)の赤血球の成分が減少することにより起こります。鉄欠乏貧血は貧血の中でも一番多く、鉄分が不足すると赤血球が作れなくてなる貧血で、女性の約70%がなっています。
鉄欠乏貧血の原因である赤血球の役割
赤血球の役割は身体の隅々まで酸素や栄養を運んで、不要になった炭酸ガスや老廃物を持ち帰るという大切な役目を担っています。
そのため、赤血球が不足すると酸素不足になって身体の異常をきたすことになります。
女性は貧血になりやすい理由
女性が貧血になりやすい理由は、毎月の生理で鉄分が失われることであり、もともと貧血になりやすい体質です。
思春期には、身体が急成長する時期に鉄分が不足する思春期貧血が見られ、妊娠、出産、授乳期にも鉄分は多く必要とするのに、極端なダイエットや鉄分不足を起こすような食生活をしているので貧血になります。
また、病気による貧血になっていることも多く、例えば、子宮筋腫や子宮腺筋症による過多生理、痔の出血、胃潰瘍の胃炎などの出血で、女性特有の病気から貧血になっていることもあります。
貧血に似た特発性起立性低血圧
貧血とよく似た症状の原因のはっきりしない起立性低血圧があります。患者さんは高齢者が多いです。急に立ち上がった時や、長時間立っている時に立ちくらみ、めまいが起こる病気です。
健康な人は自律神経の働きで下半身の血液量の配分を調節していますが、血液の循環する仕組みに障害が起こると瞬時の血圧調節ができなくなり、一時的に低血圧の状態になります。
生理について
生理痛は貧血やめまい、吐き気、頭痛、倦怠感などが下腹部や腰痛の痛みだけでなく現われて、日常生活に支障をきたすこともあります。
生理痛は下腹部痛や腰痛の痛みがよく現れますが、その他に貧血やめまい、吐き気、頭痛、倦怠感などが現れて日常生活に支障がでることもあります。
生理痛は下腹部や腰痛の痛みだけでなく、貧血やめまい、吐き気、頭痛、倦怠感などが現れて日常生活に支障をきたすこともあります。
生理周期について
生理期
妊娠が成立するのは排卵した卵子と精子が結合し、受精卵となって子宮内膜に着床できたときです。しかし、着床できなかった場合はどのようになるのでしょう。
妊娠しなかった場合は黄体ホルモンと卵巣ホルモンの分泌が減少します。そして、いらなくなった子宮内膜が剥がれ落ち血液と一緒に体外に排出します。
増殖期(卵胞期)
卵巣にある原子卵胞の一つが卵巣刺激ホルモンの働きにより発育しはじめ、卵巣ホルモンは卵胞が発育するに従い分泌され、子宮内膜が少しずつ厚みを増していきます。
排卵期
黄体化ホルモンが卵胞ホルモンの分泌がピークになると分泌され、卵子が卵胞から飛び出します。
分泌期(黄体期)
卵胞が卵子が飛び出したあとの黄体組織となり、黄体ホルモンが分泌され、子宮内膜は受精卵が着床する準備として柔らかくなります。
生理の期間
- 初経の平均年齢・・・12.3歳
- 閉経の平均年齢・・・49.5歳
と37年から40年付き合うことになります。
生理の経血は子宮内膜が剥がれたもの
子宮内膜というもので子宮は覆われていますが、細胞や毛細血管、分泌液を出す分泌腺などの組織になっています。そして、生理の周期に応じて子宮内膜の壁は厚くなっていきます。
生理が始まると、機能層という内膜の表面部分に当たる組織が溶けて剥がれ落ちるので出血が起こってきます。
このように、子宮内膜が剥がれ外に排出され、また、新しいのが作り出される毎月のサイクルの働きを女性ホルモンが担っています。生理はこのサイクルの25~38日周期で繰り返されます。
生理と貧血について
生理前、生理中の貧血は鉄欠乏貧血ではなく虚血性貧血だといわれています。これは、血液が子宮に生理のときは集まるので、脳に行く血液が減少するためといわれ症状は生理が終わると正常に戻ります。
生理中の経血量は必要な鉄分の10分の1が一日当たりの必要鉄分なので、それだけでは、鉄量不足は起こらないといわれています。
しかし、女性はダイエットや偏食などの影響や、妊娠、出産といったときに鉄分を必要とするので、常に鉄分不足があるといわれています。
生理で失われる血液および鉄分量
女性は生理に関係なく鉄分量不足の人が多いといわれていますので、日ごろからバランスの摂れた食生活を心がけることがとても大切です。
生理が原因で貧血を起こしている場合は、血行を良くしたり、暖かい飲み物を飲んだり、安静にすることで改善されていきます。
血液量が少なくなるというより、酸素を運ぶためのヘモグロビンというタンパク質が少なくなっています。貧血になると脳に十分な血液が回らないので、立ちくらみや目まいがします。
生理で失われる血液は月平均45mlで、1日に直すと1.5mlの血液が失われています。鉄量に換算すると0.75mgになります。
人間は一日1mgを尿や汗から鉄分を失っているため、1日に失われる鉄量は1.75mgとなります。
生理で起こる貧血が現れる原因
生理で貧血が現れる原因は2つあります。その原因は鉄分不足と生理による血液不足です。
鉄分不足
生理中に限らず貧血の原因になっているのが鉄分不足によるものです。血液の中のヘモグロビンに鉄分が含まれ、酸素と鉄分が結びつく役割をしているので、血液が酸素を身体中に運ぶためには体内の鉄分が不足するとできなくなります。
生理による血液不足
生理中だけ貧血になる人は虚血性貧血の可能性があります。
生理のときに起きる自律神経失調症
自律神経失調症になると生理周期以外に出血し貧血になることもあります。自律神経は血流を司っているので、これが乱れることで脳が酸欠状態になって貧血になります。
月経前のふらつきは自律神経が乱れている可能性もあります。月経1〜2週間前はホルモンの影響を受けて自律神経のバランスが乱れることもあります。
生理のときの虚血性貧血について
虚血性貧血は、生理が起こると子宮に血液が集められ、脳に行く血液が減少するために起こる貧血です。
虚血性貧血はホルモンバランスの変化によって引き起こされます。妊娠しやすい身体を作る黄体ホルモンが関係しています。
虚血性貧血を起こしやすい人は、もともと鉄分量不足の人に多いです。血液を造る成分を食事でバランスよくとらないと、虚血性貧血を起こしやすいです。
生理のときの過多月経について
過多月経とは字のごとく生理の量が非常に多いことをいいます。ひと月の生理の量は20~140mlですが140mlを超えると過多月経といっています。
目安は昼間でも夜用のナプキンが必要だったり、ナプキンを1~2時間で交換する場合は過多月経と思った方がよいでしょう。
過多月経の原因にはストレスがあります。さらに、ストレスが原因でホルモンバランスが崩れ子宮の病気を発症する可能性があります。
子宮の病気で20代に多いのが子宮内膜症、30代~40代に多いのが子宮筋腫、子宮内膜ポリープです。過多月経の場合は何らかの病気が隠されている場合がありますので、過多月経かな?と思った場合は病院を受診しましょう。
過多月経原因は
- 子宮内膜が熱くなっている場合・・・子宮体がんや子宮内膜増殖症の疑い
- 子宮の止血力弱い場合・・・・・・・子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、手術痕から出血するケース、経血量の多い突発性月経など
症状
過多月経の症状は上にも書きましたが、以下の場合は注意してください。
- 夜用のナプキンを昼間でも使う時がある
- 1~2時間普通のナプキンでは持たない
- レバーのような塊がでてくることがある
- 8日以上生理が続くときがある(過長月経)
一つでも該当していれば過多月経の可能性があるので産婦人科を受診しましょう。
子宮内膜症
子宮内膜、または、それに似た組織が、卵巣や卵管など子宮内腔以外の部分に発症する病気で、20~40歳代に発症しやすい病気です。
子宮内膜症ができる場所は人それぞれですが、卵巣や子宮、骨盤内を覆う腹膜などに発症しやすく、卵巣に子宮内膜症ができた場合はチョコレート嚢胞といっています。
子宮筋腫
平骨筋という筋肉で性成熟期の子宮は、卵巣程度の大きさでできています。胎児がその内部の子宮腔で発育します。お産のときには子宮の筋肉が収縮するので、中の胎児を押し出すことができるのです。
子宮筋腫はこの子宮の筋肉から発生する良性の腫瘍です。筋腫は腫瘍ですからだんだんと大きくなっていきますが、卵巣から分泌される女性ホルモンに筋腫の成長は依存していますので、閉経すると子宮筋腫の多くは小さくなっていきます。
子宮筋腫は35歳~50歳の女性が全体の8割を占めています。無症状のことが多いですが生理痛や生理の量が多い、血の塊が混じるなどの症状がでます。出血量が多くて貧血状態になることがあります。
慢性的な貧血や生理が重くて日常生活に支障をきたす場合は、専門家の受診を検討することも必要です。
生理の貧血の予防・対策・対処法
生理前・生理中のめまいは、ホルモンバランスの生理前の変化によりめまいの症状がでる場合と、生理中の出血によってめまいの症状がでる場合があります。
貧血予防について
普段から貧血予防として食生活の見直しをすることが必要で、鉄分が足りていると鉄欠乏性貧血になることも防ぐことができます。
ですから、鉄分が不足していなければ、一時的に血流が少なくなっても十分な酸素を少しの血液で供給することができ、虚血性貧血を回避することができます。
鉄分不足になるとヘモグロビン量の減少によって、酸素供給量が不足するため疲れやすくなります。
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があります。
- ヘム鉄・・・身体に吸収されやすい
- 非ヘム鉄・・身体に吸収されにくい
とあります。身体に吸収されにくい非ヘム鉄でもビタミンC、果実酸、動物性タンパク質と一緒にとると吸収率は上がります。食材には次のようなものがあります。
食品に含まれるヘム鉄・非ヘム鉄です。
- ヘム鉄・・・レバー・かつお・赤みの魚・肉類・エビ・あさり
- 非ヘム鉄・・ヒジキ・プルーン・大豆・海藻・小松菜・ほうれん草
ヘム鉄の動物性食品には肉類や赤みの魚などがあります。非ヘム鉄は植物性食品の野菜などがあります。
豚レバーは13.0mg、鶏レバーは9.0mgと1日の10.5mgに近い値が100g食べるだけで補給できます。ビタミンCと動物性タンパク質を一緒に摂取すると吸収がよく即効性があります。
鉄分を摂るときに気を付けなければいけないことは、タンニンと一緒に摂取すると体内で鉄と結合して吸収されなくなります。
タンニンを含んだ飲み物に、コーヒー・紅茶・お茶・赤ワインなどがあります。成人女性が必要な一日の鉄分の摂取量は10.5mgです。
貧血の対策として鉄剤の服用
貧血で悩んでいる場合、鉄剤のフェロミア錠などを3~4ヶ月継続して貧血治療が行われます。このフェロミア錠には副作用があります。副作用には腹痛・嘔吐・悪心・便秘・下痢などがあり、それほど副作用のない人でも吐き気や腹痛が起こりやすいです。
日頃の食事から鉄分を摂るには多くても10mgしか摂れませんが、鉄剤であれば少なくても20mgの量を摂ることができます。
鉄剤の効果が現れるのは2~3か月後となります。貯蔵鉄が括弧した場合は食事からの摂取では間に合いませんので、鉄剤を治療薬として使用します。
鉄剤は吸収されやすいヘム鉄の状態で効率よく摂取が可能となります。
生理中に貧血でめまいが起きた時の対処法
生理中に伴う貧血は、一時的に脳に血液が行かなくなってめまいが起きて酸欠状態になった状態です。
脳に酸素を行き渡らせるには安静にすることが大切です。めまいが起きた時に動こうとすると脳が酸素を必要とするので、めまいが悪化してしまいます。
めまいが起きたら横になってタオルか毛布で体を温めてベルトやボタンなどを緩めて、めまいが治るまで安静にしておくことが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?生理前・生理中の貧血について見てきましたが、生理の貧血は病気が隠れていることがありますので、症状が重いときは産婦人科に受診することをおすすめします。
また、日頃より鉄分の含まれた食品を摂取し、バランスのよい食事の見直しをすることが大切で、栄養が偏らないようにバランスの良い食生活を心がけましょう。
生理で起こる貧血予防は日頃からバランスの摂れた食生活を行い、鉄分補給を行うことが必要です。
関連記事として、
・生理前にイライラする原因は?そのメカニズムと対処方法を紹介!
・生理後に出血があるのはなぜ?考えられる原因と症状、治療方法を紹介!
これらの記事も読んでおきましょう。