hba1c(ヘモグロビン・エイ・ワン・シー)とは、糖尿病であるかどうかを判断する際に重要となる、ヘモグロビンの一種です。別称グリコヘモグロビンともいい、血液検査などでこの値が基準より高い場合、糖尿病の可能性が高いとして数値の改善を勧められることがあります。
しかし、目には見えない血液中のことだけに、改善と言われても難しく感じてしまいますよね。今回は、hba1cがどのようなものか、どういう人が高くなりやすいのか、下げるにはどうしたらいいのかという3点を、分かりやすくまとめてみました。
hba1cってなに?
まずは、hba1cがつくられる過程やその特徴を解説していきます。
どうしてhba1cがつくられるの?
ご存じの通り、ヘモグロビンは体内に酸素を運ぶ役割を担っているタンパク質です。酸素の多い肺で酸素と結合し、脳や手足などの酸素を必要としている場所で酸素を離すのです。そうやって血液中をめぐっているヘモグロビンは酸素の運び屋であり、悪者ではありません。
しかし、ヘモグロビンが結合するのは酸素だけではありません。血液中の糖が多い場合、糖と結合することがあるのです。そうして糖をくっつけたまま、体内をめぐります。この糖と結合したヘモグロビンをhba1cといい、糖尿病であるかどうかを判断する材料として用いるのです。
hba1cが多いとなにがいけないの?
糖がヘモグロビンと結合する分には、特に問題ありません。ポイントは、hba1cの割合なのです。
血液中に糖が多いと、それだけヘモグロビンと結合する割合も多くなります。hba1cの単位は「%」ですが、これはヘモグロビンの中でどれだけの割合を示しているのかということを示しています。hba1cが多いということは、高血糖状態であることを表しているのです。
高血糖状態が長く続くと、高血糖症や、糖尿病といった病気になり、高血圧や動脈硬化など様々な合併症状を引き起こします。hba1cが悪いのではなく、hba1cの値を検査することで高血糖かどうかの判断をしているということなんですね。
糖尿病の検査にhba1cが用いられるのはどうして?
糖尿病の検査といえば、空腹時血糖値の検査が一般的です。血糖値は基本的に食事をすれば上がり、エネルギーとして消費すれば下がりますから、空腹時に血液中の血糖値がどれだけの値を示しているかによって、病気に繋がるかどうか判断しているのです。
しかし、空腹時血糖値は一週間程度の食事コントロールや運動である程度下げることが可能です。すると、本当は血糖値に気を付けなければいけない人が、健康診断ではギリギリ許容範囲と診断されるということも有り得ます。その後普通の生活に戻ってしまうと、病気の早期発見には繋がりません。
一方、hba1cの寿命は1ヶ月から長ければ4ヶ月と幅広いので、短期間の生活習慣の改善で下がることがあまりありません。hba1cの半数がここ1~2ヶ月で生まれたものですから、検査することによって、その期間どのように過ごしていたのかが分かるのです。
これが、空腹時血糖値とは別に検査にhba1cが用いられる理由です。
hba1cが高くなりやすいのはどんな人?
では次に、hba1cが高くなる原因について説明していきます。当てはまったら注意しましょう。
甘いものや炭水化物をよく食べる人
甘いものや炭水化物は、血糖値が上がりやすい食事の代表です。もともと糖は脳にとって非常に重要なエネルギー源ですから、食事から得る糖は体内に取り込みやすくなっているのです。
エネルギーとして消費しきれなかった糖は肝臓に運ばれ、「遊離脂肪酸」という成分と合成されます。すると、中性脂肪へと変化し、体内のあちこちに溜まっていきます。この中性脂肪がドロドロ血液をつくりだし、動脈硬化などを引き起こすのです。
炭水化物は体にとって必要なエネルギー源ですが、食べ過ぎは禁物です。また、甘いものなどの嗜好品は適量に留めましょう。どちらも、食べ過ぎてはいけません。
お酒をよく飲む人
炭水化物はあまり食べないから大丈夫、という人も慢心してはいけません。お酒は繊維を含まないため、糖がすぐに吸収されてしまいます。その結果、飲みすぎると高血糖状態になってしまうことがあるのです。
糖質が多いのはリキュールなど砂糖が入ったものや、ワインなどの果実酒ですが、ビール、日本酒も原材料は麦や米などの糖質なので、油断してはいけません。
また、お酒を飲む機会はどうしても夜に偏りがちです。お風呂上りや寝る前の一杯がやめられないという方も多いでしょう。夜は糖をエネルギーとして消費しにくいので、なおさら余ってしまいがちです。
お酒を飲む方は糖質の多いものを避け、量と時間帯に気を付けて適量を楽しむようにしましょう。
運動が苦手な人
炭水化物やお酒を適量に抑えている人でも、高血糖状態になることがあります。
ポイントは「代謝」です。運動をしないと体の筋肉量が減り、基礎代謝が下がってしまいます。この基礎代謝とは、寝ている間などじっとした状態でどれだけエネルギーを消費しているか、という目安のことです。基礎代謝は年齢や性別によってこ異なりますが、筋肉の量が大きく関係しているのです。
また、運動をしないことで筋肉量が減ると、寒がりになります。寒い時に手っ取り早く温まろうと飲食をすると、血中に余分な糖が溜まります。
日常に少しずつ運動を取り入れて、筋肉量を増やし、糖を効率よく使える体になりたいですね。
どうすればhba1cは下がる?
それでは、hba1cを下げる方法について細かく見ていきましょう。
食事の仕方で糖の吸収率が変わる!
hba1cを下げるには、まず血中の糖を減らすことから始めなくてはなりません。
甘いものや炭水化物、お酒を適量に抑えることはもちろんですが、食べ方にも工夫が必要です。例えば、お腹が空いたときにご飯ばかりを食べてしまうと、栄養を欲している体は糖質を優先的に取り込もうとします。その結果、急激に血糖値が上がり、消費しきれなくなるのです。
ここで役に立つのが「食物繊維」です。食物繊維は消化しづらいので、体に取り入れる際に多くのエネルギーを使います。そうすると、炭水化物の消化・吸収がゆっくりになり、急激な血糖値の上昇を抑えられます。
食事をする時は、まず繊維質の多い野菜などから食べるようにしましょう。また、玄米など繊維が豊富な穀物を主食にするのも効果的です。
芋類や豆類は繊維が多い食物ですが、糖質も多いのでこの場合は当てはまりません。食事の時は緑の葉物や海藻から食べる、と覚えておくと便利です。
ビタミンと油で代謝を高めよう
体内の糖を効率的にエネルギーに変えるためには、ビタミンB1の摂取が不可欠です。ビタミンB1は豚肉や玄米などに多く含まれているビタミンで、水溶性であるため体内に長く留めておくことができません。意識的に食事に取り入れて、代謝をよくしましょう。
また、油も代謝に必要な栄養素です。しかし、サラダ油などの揚げ物や風味づけにによく使われるごま油はオメガ6脂肪酸と呼ばれ、必須脂肪酸でありながら摂りすぎると中性脂肪の増加や動脈硬化に繋がります。
そこで、いつもの食事にオメガ3脂肪酸を取り入れてみましょう。オメガ3脂肪酸は青魚やえごま油、亜麻仁油などから摂取することができます。オメガ脂肪酸は加熱調理に向いていないので、生魚やサラダのドレッシングをオメガ3系に変えることで積極的に取り入れましょう。すると、油を変えることで代謝がよくなり、より効率的に糖がエネルギーとして使われるようになります。
このように、糖の代謝を促進する栄養素を多く取り入れることで、血中の糖をどんどんエネルギーに変えましょう。
少しずつ、長期的な運動を
運動は、健康維持に欠かせないポイントです。
糖の代謝には、筋肉に高負荷をかける無酸素運動よりも、散歩や軽いジョギングなどの有酸素運動が効率的とされています。特に、食後の運動は摂取したばかりの糖エネルギーを消費することで、結果的に血中の糖質を抑えることに繋がります。
また、食後の運動を習慣化することで食事の量を適切に抑えることができるようになります。満腹では運動がしづらく、消化不良になりやすいからです。長期間の運動はhba1cを下げるには非常に効果的です。少しずつでいいので生活に取り入れてみましょう。
まとめ
hba1cについてまとめてみましょう。まず、hba1cとはヘモグロビンに糖が結合したものです。このhba1cの割合を検査することによって、高血糖状態であるかどうかを調べるのです。
hba1cを下げるためには、血中の糖度を下げることが必要になります。そのためには、1~2ヶ月の食事コントロールと運動が必要です。食事は炭水化物の量に気を付けて、野菜など繊維質の多いものから食べるようにしましょう。また、ビタミンB1など糖の代謝を高めるものを積極的に取り入れるようにしましょう。そして、適度な有酸素運動を毎日続けることも大切です。
日々の積み重ねが、よい結果に繋がります。
hba1cは糖尿病であるかどうかを検査する重要な項目のひとつです。数値が気になる方は、ぜひこの記事をお役立てくださいね。
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