便秘解消のために、下剤を飲むという人は意外と多いのかもしれませんね。便秘は女性の2人に1人とも言われているとても身近な症状です。トイレで力んでも力んでも便が出ないとき、市販の薬の力に頼って出すというのも1つの手でしょう。
しかし、一方で下剤を服用したあと、腹痛や下痢、場合によっては吐き気を起こしてしまうというケースがあります。便秘薬は確かに効果があるものですが、そんな症状が出てしまうと使うことに抵抗があるかもしれません。では、その原因や対処法についてみていくことにしましょう。
そもそも下剤の種類とは?
下剤は何らかの形で腸に作用することで排便を促す役割があります。その作用の仕方は種類によって異なり、腹痛などの副作用の原因になることがあります。
具体的には以下の種類があります。
刺激性下剤
腸を刺激することで腸のぜんどう運動を促進し、排便を促す刺激性便秘薬です。コーラックなどが有名です。便秘薬はさらにアントラキロノン系とジフェニルメタン系の2種類があります。即効性は高いですが腸を刺激することから、副作用が大きいことがあり、腹痛を最も起こしやすい下剤です。
また、長期間服用することで、効果が薄くなっていくことがあります。大腸が刺激に対して慣れてしまうのですね。下剤の飲み過ぎにつながることがあり、十分注意して服用する必要があるでしょう。
膨張性下剤
便に水分を吸収、膨張させる下剤です。便の量を増やし、自然な排便を促します。成分としては刺激性のものもありますが、食物繊維などを含んでいて、便を形成する元となります。
服用の際は水分を多めにとることも、効果を高めるポイントです。水分不足の人は、便秘になりやすい傾向があるので、普段から意識して水を飲むことも大事です。
浸透圧性下剤
マグネシウム系の下剤です。酸化マグネシウムに腸に水分を集める作用があり、便に水分を吸収させ、排便を促す効果があります。
便が大きくなると、腸の蠕動運動を促進され、排便をスムーズになります。習慣性といって、薬の習慣的な服用が効果を下げることもなく長期的に服用が可能な下剤です。
浸潤性下剤
硬い便を柔らかくする効果があります。硬い便は水分が抜けているため、水分を与えることで柔らかくなります。
浸潤性下剤は、便の表面張力を下げる効果があり、水分を浸透させやすくします。刺激性下剤と併用することが多いようです。
自分はどの下剤を飲んでいる?
排便を促すという作用はどれも同じですが、腸への刺激・負担は異なります。なるべくであれば自然な排便の方が負担は軽いですが、慢性的な便秘ともなるとそうはいっていられないかもしれませんね。
自分がどの下剤を飲んでいるのか。それを知らなければ、症状の対処が難しいことがあるかもしれません。ただ単に下剤を飲むだけでは、症状が一時的に回復しても慢性化してしまうこともあるでしょう。
下剤と腹痛の原因
では、下剤を服用して痛みが現れるのはどういった原因があるのでしょうか。慢性的な便秘で排便をしたいのだけど、薬を飲むと腹痛が起きる。
そういった現象には次のような原因があります。
刺激性下剤が腸に強い刺激を与えている
慢性的な便秘に伴って刺激性下剤を服用するほど、腸への刺激は大きくなります。こういったときに腹痛を感じることがあります。また、下剤の刺激に腸が慣れてしまうため、効果が薄くなり、服用しても排便されないということが起こります。
稀なケースですが、下剤を1日に何十錠と飲む人もいるほど、下剤の習慣性というのは深刻な問題です。それでも排便がされないこともありますが、腸の機能そのものが低下しているのです。
便が水分を吸収しすぎる
刺激性下剤とは異なり、便に水分を吸収させるタイプの下剤は自然な排便を促します。しかし、やはり便が水分を吸収しすぎると、それがお腹の張りの原因になり、腹痛まで起こしてしまうことがあります。
下剤を服用するものの、ずっとお腹が張っている状態であれば注意が必要かもしれませんね。きちんとした周期で便を出す必要がありますし、改善されないのであれば医師に相談したほうがいいでしょう。
病気の可能性
人間の胃や腸はストレスを受けやすい臓器といわれています。慢性的なストレスが多いと発症するのが過敏性腸症候群と呼ばれる病気です。ちょっとしたストレスで腹痛を招くことがあります。
特に刺激性下剤のような、腸を直接刺激するようなタイプの薬剤は、過敏性腸症候群に大きな影響を与えることがあります。緊張で便秘症が続き、下剤を飲むけど、腹痛が起こる。こういった悪循環は病気のケースがあるのです。
また、下剤の飲み過ぎによって腸の機能が低下すると、さらなる病気を招くことがあります。それは大腸メラノーシス。これは腸の壁が黒く変色している状態です。下剤を服用しても正常な排便ができなくなってしまい、蠕動運動が機能しなくなっている状態です。
この状態になってしまうと、個人で治療することは難しいでしょう。むしろ排便ができないという不安からさらに下剤を増やしてしまうこともあるかもしれません。下剤の量が増えてきていると自覚があるのであれば、病院へ行き相談するようにしてください。
排便は自然な方がいい
下剤で排便を促すというのは1つの手段ですが、多用しないほうがいいでしょう。腸はきちんとした排便機能がありますから、その機能を自然に活用したほうが腸の負担は少ないのです。
下剤を使用することは、場合によっては機能が低下している腸を強制的に活動的にする手段です。ましてや腹痛などの症状が出ている場合は、症状が深刻なケースもあるかもしれませんね。
下剤を使うのもいいですが、それよりも大事なのは自然な排便ができるような腸環境を作ったり、腸機能を回復させていくことです。下剤に頼りすぎるのは体を悪くしてしまう可能性があります。
腸の機能回復と腹痛の解消法
下剤を飲むと腹痛が起こる。そうならないためには、どういったことを普段から意識すればいいのでしょうか。いつも下剤を飲んで排便をしているという人は注意が必要です。
具体的には以下の方法が挙げられます。
腸内環境の改善
腸には何十兆という数の細菌がいるといわれています。それら細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3つの種類に大きく分けられます。善玉菌は体に良い作用をする菌で、反対に悪玉菌は体に悪い作用をし、日和見菌はどちらにも属しません。
腸内の環境の改善は善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことです。そうすることで、綺麗な便を形成し、排便をスムーズにすることができます。腸内環境の改善方法として以下の方法があります。
乳酸菌などの菌を含む食材を食べる
乳酸菌は善玉菌の1つです。乳酸菌を含む食材・食物を積極的に食べることで、腸内環境を改善することができるでしょう。具体的にはヨーグルトやチーズなどの発酵食品です。こういったものを食べることで菌を取り入れることができます。
乳酸菌のほかビフィズス菌や酵母菌などの菌も善玉菌として、整腸作用があり、腸内環境を良くしてくれます。同様に発行した食品などに含まれる菌ですので、普段の食事で意識して食べるようにしましょう。最近では乳酸菌サプリもあるので服用してみるといいかもしれませんね。その他、便秘の効果的な成分が含まれている整腸タイプの便秘サプリもおすすめです。
食物繊維を食べる
食物繊維も腸内環境を良くしてくれる栄養素の1つです。食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2つに分類されます。前者はその名の通り、水に溶けやすく、腸内細菌のエサとなります。後者は水分を吸収することで腸を刺激し、排便を促す効果があります。
食物繊維を豊富に含む食材としては豆類、味噌、麦、ひじき、のりなどに含まれます。こういったものを意識して食べるようにしましょう。
ちなみに最近では、もち麦ご飯という食材が便秘解消法に効果があるということで人気になっています。もち麦ご飯には水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の両方を豊富に含まれているため、腸内環境の正常化、排便の促進効果があります。
その他、食物繊維ジュースというのもあります。飲みやすい形でありながら、きちんと食物繊維を取れるので便秘対策食品として忙しい人にはおすすめでしょう。
運動をする
運動は腸のぜん動運動を活発にする効果があります。また、 適度な運動をすることで血液が循環し、同様に腸活動を活発にする効果が期待できます。運動不足で体が冷えているという人は、生活習慣の中に運動を取り入れてみましょう。
運動はウォーキング程度のもので十分効果があります。家の近所を30分程度歩いてみるといいでしょう。背筋を伸ばし、腕を振って歩く。便秘解消・便秘対策ほか、ダイエットの効果も期待できるでしょう。
リラックスする
意外と思われるかもしれませんが、リラックスも重要な機能回復法の1つです。腸はストレスを受けると、排便しにくくなってしまうため、緊張を解いてあげる必要があるのです。
リラックスの方法は様々あります。深呼吸をして見たり、ただぼーっとするというのも効果的な方法です。入浴してリラックスするだけでも、腸の緊張が解け、便秘解消作用があります。
日常で受けているストレスは非常に大きなものです。仕事が忙しければそれだけストレスを受けますし、労働時間が長かったり、多くの人に会うことも体にはストレスがかかっています。ストレスが多い現代社会だからこそ、休養には意識を払いたいものです。
下剤を使わない排便を目指す
現在、下剤を使わないと排便ができない、もしくは難しいという人は注意が必要です。こういった人がまず目指すのは下剤を使わない排便をするということでしょう。腸の機能が明らかに低下していることが予想されるので注意が必要です。
便秘は腸内環境の悪化だけではなく、普段からトイレを我慢してしまうと発症してしまうことがあります。これは直腸性便秘という便秘状態で、その名の通り、直腸に便が溜まってしまう状態です。便が大きく、硬いということが特徴です。
場合によっては医師や専門家に相談する必要があります。それこそ、下剤を1日何錠も飲んでいるようでしたら、個人では手に負えないかもしれませんね。症状が徐々に悪化していくということもあるので、早めに病院へ行くことが大事です。
腹痛が起こる意味
便秘が慢性化すると、腸内に便がたまり、様々な悪影響が出るようになります。お腹の張りを感じることもありますが、それ以上に悪玉菌から産生される物質が体に悪影響を与えることがあるのです。
それを解消しようとして下剤を飲んでも、たしかに便は出るかもしれませんが、根本的な便秘原因は解決されていません。腸内環境が悪いままでは、症状はいつまでも続き、薬を飲み続けなければならないということにもなります。
そして、薬を飲み続ければ、腸そのものの機能が低下し、排便がさらに難しくなる。そして、腹痛などの副作用も出てくる。下剤を飲み続けることはこういったデメリットがあるのです。
もちろん、一時的な対処として下剤を飲む必要もあります。便を無理やり出さなければならない状況もありますから、そういったときには市販薬の力を頼るのもいいでしょう。
ですが、それは応急処置という認識にとどめておき、なるべくであれば自然排便を心がける必要があるでしょう。そうしなければ、腸は弾力性を失い、どんどん機能が低下していき、病気になることもあるのです。
食べ物を変えれば腸は確実に変わる
便秘になってしまう原因は普段の食事に大きく関係しています。腸内環境を悪くする食材を食べ続けていれば、当然便秘になりますよね。反対に症状を改善したいと思うのであれば、体に良い食べ物を食べることがポイントです。
簡単に食べ物を食べられるようになった現代社会ですが、買う側の知識をきちんと身につけなければ、体に悪い食事を食べてしまうことにつながるでしょう。それは将来の病気を引き寄せる結果につながることがあるのです。
便秘は大腸の異常状態であることを理解し、それを改善する行動をすること。そうすれば、必ず便秘を解消することができます。下剤に頼るのではなく、少しずつ生活習慣を変えていきましょう。
薬との付き合い方
体調が悪くなった時、薬を飲むのは当たり前のことです。便秘に限らず、頭痛や鼻水などの風邪症状が出たら薬を飲みますよね。しかし、便秘のように慢性化している症状であれば、薬だけでは完治しないことがあります。
病気や症状には必ず原因があり、それを直さなければいつまで経っても症状は繰り返されます。便秘症は特に癖になりやすく、薬だけに頼ると症状が悪化することもあるでしょう。
薬の付き合い方というのはとても大事です。いつも下剤を使わないと排便ができない、というのはとても深刻な状態で、改善する必要があります。腸の状態が悪化していることが予想されますし、何かしらの病気の可能性もあるかもしれませんね。
薬に頼らず、腸内環境を改善するよう心がける。少しの時間はかかりますが、将来の健康を考えた時、その方がメリットは大きいでしょう。体の調子を整える食事や生活習慣を取り入れ、なるべく薬を使わない生活を目指すようにしましょう。
便秘との付き合い方
便秘は腸内に便が溜まっている状態です。健康な体であれば1日1回排便されますが、便秘症の人であれば一週間出ないということもあるでしょう。よくあることとして考えられがちですが、便秘はとても深刻な状態です。
例えば生ごみを37度程度の気温下、一週間置いておいたらどうなるでしょうか。便秘の状態とはまさにそのようなことが起きているのです。それだけ有害なものを体内にためておくことは、体に悪いことですよね。
便から発せられるガスは血液に取り込まれ、身体中に送られます。それが病気の原因になるとも、最近の研究ではわかってきました。分かりやすい部分では肌荒れなどがありますが、もっと深刻な病気が隠れていることがあります。
たかが便秘と思っていると、体の健康を害することがあるでしょう。腸内環境を良くして、自然に排便できることがどれだけ健康に貢献するのか。そのためには、これまでの習慣を改善する必要があるのです。
まとめ
下剤を飲むと便が出て、なんとなく安心しますよね。排便が何日振りというときほど、その思いはより大きくなるものです。ですが、やはり下剤の付き合い方は一定の距離を保つ必要があります。
なるべくであれば、腸内環境を良くすることをして、排便を促す。下剤はあくまで応急処置であり、飲みすぎや習慣化はとても危険であるということを理解する必要があります。
体が持っている本来の機能をきちんと生かしてあげることが、体を健康に保つ秘訣です。下剤に頼りすぎない排便を心がけるようにしましょう。
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