みなさん、自分の便の色を確認したことはありますか。便は基本的には茶色いのですが、食べ物の種類によっては黒っぽくなったりします。
しかし、緑色の下痢が出てしまったら、普段の色とは違うので病気を疑いますよね。本日は、緑の下痢が出る原因と、もし出てしまった場合に考えられる病気等の紹介をしたいと思います。
胃腸が弱く、普段から下痢の症状が続く方にとっては、大変有用ですので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
下痢の原因
まずは、そもそもどうして下痢が出てしまうのか、その代表的な原因について紹介します。
急性下痢症
急性下痢症は、2週間以内に症状が治まるものであり、かつ、1日に3回以上の複数回にわたって下痢が排出される症状を指します。
急性下痢症の原因としては大部分が細菌やウイルス、寄生虫といった感染症によるものとされます。ウイルス感染で代表的なのが、ノロウイルスやロタウイルスといったもので、これらが感染すると、下痢となってしまいます。これらのウイルスは、秋から冬の寒くなる季節に多くなります。
また、細菌感染による下痢は、食中毒が代表的で、主に夏ごろの暑い季節に生じてしまいます。
そのほかの原因とされるのが、暴飲暴食によって消化不良を起こした場合、乳製品を上手く消化できないことによって生じたり、服用している薬の副作用や、食物アレルギーによるものといった、本人の消化能力が追いつかない場合が挙げられます。
これらの下痢症は4日ほどで腹痛・下痢といった症状が現れ、7日以内に改善するのが一般的なものとされます。
慢性下痢症
慢性下痢症とは、長期間にわたって下痢が継続してしまう症状を指します。
慢性下痢の原因として挙げられるのが、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸癌、ポリープに代表される、腸に疾患がある場合があります。また、過敏性腸症候群という、腸の機能が正常に働かない場合が挙げられます。
下痢が長期間継続する場合は、脱水症状が生じてしまったり、腸以外にも病気にかかっている器官がある場合も考えられますから、早期に病院で診察を受ける必要があります。
詳しくは、下痢の原因って?見分け方や止まらない時の病気についてを読んでおきましょう。
下痢が緑色になる原因
それでは、本題である、下痢が緑色になる原因をこれから紹介していきます。
食事内容によるもの
便は、便が排出される前の食事内容によって、色が多少異なります。そのため、ピーマンやホウレンソウといった濃い緑色の食品を大量に摂取した場合は、これらの食品を消化しきれず、そのまま便と一緒に排出されます。その際、便の色が緑色になるのです。
消化不全による緑色の便は、主に消化器官が充分に発達していない乳幼児等に多く見られますが、大人であっても稀に見られます。
この緑の便は、あくまで消化不全によるものですから、病気のおそれがないので、安心していただいてもかまわないということになります。
内蔵の異常
次に挙げられるのが、消化器官を含めた体内の臓器に異常があり、下痢が緑色になる場合があります。主な症状は以下の通りです。
腸内の炎症
まず考えられるのが、腸内の炎症です。腸は、人間が食べた物を分解、吸収する器官ですが、ハンバーガー等に代表されるジャンクフードや、インスタント食品等の毒素を含んだ食品も、腸に運ばれます。そして、毒素を腸から守るために生じるのが、腸の炎症です。
腸の炎症は、腸が有害物質にさらされていることを知らせるものです。そして、腸の粘膜には、体内で活躍する免疫細胞が多数あるので、腸の炎症は免疫力の低下を招きます。
このような状態が続くと、下痢が緑色になって、不調のサインを示すのです。
肝機能の異常
次に挙げられるのが、肝機能の異常です。
便の色は、血液中に含まれるビリルビンという色素によって決まります。ビリルビンは赤血球やコレステロールが破壊されることで生じる色素で、肝臓に血液として蓄えられます。そして、肝臓の分泌液である胆汁にビリルビンが含まれた状態で腸に排出されます。結果として、便にビリルビンの色が生じるのです。
肝臓の機能としては、食事から摂取した糖・たんぱく質・脂肪といった栄養素を体内で吸収することができる形態で貯蔵し、体にエネルギーが必要となった際、肝臓で貯蔵した栄養素を体に供給します。また、アルコールを摂取した場合、その毒素を分解する機能を担っています。
そして、胆汁は、肝臓から排出された老廃物にあたるのですが、肝機能は、加齢とともに低下していくもので、胆汁が酸性となって排出されることがあります。この場合、便の色に影響を与え、緑色になってしまうのです。
肝機能の低下のサインですから、緑色の便が出た時は要注意です。
暴飲暴食
これは、急性下痢の紹介でも上がった原因ですが、消化機能が追いつかなくなってしまうと、便の色が緑色になってしまいます。
体の機能には限界地がありますから、食事を栄養として吸収しきれない場合は、そのままの形で排出されることになります。ストレスで過食となっている方、ついつい食べ過ぎてしまう方は注意が必要です。
黄疸(おうだん)
次に、下痢の色が緑色となる原因として黄疸が考えられます。
黄疸とは、先ほど紹介した便の色素であるビリルビンが肝機能の低下等の理由により血液中に残ってしまい、全身の皮膚や粘膜にビリルビンが付着しすぎてしまう症状を指します。
黄疸は、ビリルビンが体内に残ってしまう状態なので、体内から排出される便にもビリルビンが混入してしまいます。そのため、下痢の色が緑色になってしまいます。黄疸が表れている場合は、肝機能の低下以外の理由も考えられるので、心当たりのある方は、病院での診察が必須です。
黄疸の症状の判断としては、肌の色が黄色く変化しているかどうかを見て判断するのですが、日本人は黄色人種であるため、肌が黄色く変化していたとしても、黄疸に気づけない可能性があります。
そのため、黄疸の有無は、眼球の白目の部分を検査して、偏食の有無を確認するのが一般的です。
一般的に、体に生じた病気のサインとして表れる黄疸は、黄疸の症状と供tなって、全身の倦怠や疲労感、皮膚のかゆみ、尿や便の色が通常と異なっているといったなどの他の症状が現れます。しかし、個人の体質として黄疸が現れており、病気の恐れがないものや、みかんやオレンジといった柑橘類を大量に摂取して掌が黄色くなるような場合は、病気とは関係ありません。
しかし、医学の知識を有しない方の判断では確実性に欠けますので、黄疸の症状の恐れのある方は、ぜひとも病院での診察をお勧めします。
緑色の下痢が出ないようにするには
では、具体的にどのような対策をとれば、緑色の下痢を防げるのかを紹介します。
腸内環境を改善する
まずは、緑色の下痢にならないために、腸内環境を整え、腸の活動できる能力を向上させることが重要です。
まず、ヨーグルトをはじめとする、発酵食品を積極的に食事に取り入れることをお勧めします。
発酵食品には乳酸菌が含まれています。乳酸菌は、腸内の善玉菌の栄養素となるもので、乳酸菌を摂取すると、腸内の善玉菌が増殖します。増殖した善玉菌は、腸内の悪玉菌と戦ってくれ、結果として悪玉菌が減少します。そのため、腸内が善玉菌によって綺麗な状態となって、腸内環境が改善されます。
ヨーグルト以外にも納豆、キムチ、酢、味噌には乳酸菌が含まれているので、ヨーグルトが苦手な方も、これらの食材を積極的に取るようにしましょう。また、ヨーグルトの乳酸菌は、人によって合う乳酸菌と、合わない乳酸菌があります。そのため、様々なヨーグルトを食べてみて、便の状態がどのようになっているかを見極めてください。
1種類のヨーグルトを1週間食べ続けた時に、便通が良くなったかどうかを確認することで、自分に合ったヨーグルトを見つけられます。
肝機能を向上させる
また、緑色の下痢は、肝機能の低下によって引き起こされるので、肝機能の向上に努めることが重要となります。
飲酒を控える
まずは、飲酒の量を控えましょう。日本人は他の人種に比べて肝臓が大きくありません。そのため、日本人は、体質的に肝機能障害を起こす可能性が高いのです。
また日本人のうちの一部の方は、アルコール分解酵素であるアセトアルデヒド脱水素酵素が不足しています。そのため、度数の強い酒を大量に飲んでしまうと、分解しきれず、肝臓の機能を低下させてしまいます。
アルコールパッチの検査をすることで、自分がアルコール分解酵素が少ないか否かを判別できますから、ぜひとも検査をして、アルコール摂取はほどほどにしましょう。
たんぱく質を摂取する
肝蔵はタンパク質によって構成されています。肝機能が低下すると、タンパク質の消費が増えてしまいます。そのため、体内のタンパク質が消費されてしまうので、積極的にたんぱく質を摂取しましょう。
肉や魚だけでなく、大豆もたんぱく質を豊富に含んでいます。また、大豆は肉や魚に比べ脂質が少ないので、気軽に食べることができます。
規則正しい生活
肝機能の改善に限らず、規則正しい生活は、あらゆる病気の予防となりますので、生活習慣を見直しましょう。
おいしい食べ物をたくさん食べすぎる方は、食べる量を意識的に減らしてみたり、運動をしていないと感じている方は、階段の上り下り等、気軽にできることを少しづつおこなっていくことが、健康への近道となります。
まとめ
まず、下痢には急性下痢症と慢性下痢症があり、緑色の下痢が出る原因としては、食事によるもの、腸内の異常によるもの、肝機能の低下によるものがあります。
緑色の下痢を防ぐための対策としては、乳酸菌を摂取することで腸内環境を整えること、肝臓の機能を向上させるため、良質なたんぱく質を取ること、過度な飲酒を控えて規則正しい生活を心がけることが挙げられます。
これらの対策は、日々の継続によって効果を発揮するので、小さなことからコツコツと積み重ねていくことが大切となります。