食事を終えたあとお腹がポッコリでてしまい、下腹が目立ってしまう胃下垂。文字通り、胃の位置が下がっている状態をいいます。
生まれつき胃下垂という人もいますが、多くの人は気がついたらなってしまったという場合が多いですね。
そもそも胃下垂って、体にどんな影響を及ぼしてしまうかを知らない人も多くいるのではないでしょうか。胃下垂の人は太らないなどと言われていますが、本当のところはどうなのかというのも知りたいところですよね!
今回は胃下垂についての記事を書いています。悩んでいた方や、治したいとお考えの人はぜひ読んでみてください。
胃下垂とは
まずは、胃下垂がどういった状態であり、体にとってどのような作用があるのかを知っておきましょう。
〜症状〜
胃下垂の症状として
- 食後に胃が気持ち悪くなりやすい
- 食欲が湧いてきにくい
- 消化に時間がかかる
- 便秘や胃のトラブルが起きやすい
- 食べた後に、お腹がでてしまう
- 食物の栄養を全て摂取できなくなる
- 満腹感が出やすい
- 胃もたれが起きる
- 胃痛がある
- ゲップがよく出る
などの症状が挙げられます。このように胃下垂であることは、体にとってはあまり良くないことの方が多いと言えます。胃下垂だけの場合はこの様な症状が起きることは殆ど無いですが、胃炎や胃アトニーと言った胃の症状が起きやすいことが原因になってこの様な症状が起きやすくなります。
〜チェック方法〜
自分が胃下垂かどうか把握していないという人もいると思います。胃下垂の人の特徴を紹介するので、当てはまる数が多いほど、胃下垂の可能性が高いといえます。
- 少量食べただけでお腹いっぱいになる
- 食べた後に、胃がムカムカすることがある
- 食欲がない日が多い
- 胃が痛くなりやすい
- 大便をするときにでにくい
以上が継続的に起こっている人は、胃下垂かもしれません。上記の症状と合わせて自分が胃下垂かどうかを調べましょう。
また、おへそ部分よりやや左側を押した時に、苦しい感じや痛みを感じたり、張りがある場合は胃下垂の可能性があります。試しに押してみましょう。
胃下垂の検査方法
病院での胃下垂の検査方法について紹介します。もし胃下垂が原因と考えられる症状が頻発し、症状がひどくなってきた時に胃下垂の検査を行う場合どのような検査が行われるのでしょうか?詳しい検査方法を消化します。
上部消化管X線検査
バリウムを飲みX線を当てることで、胃の動きや胃の形状などの状態を観察することが出来ます。胃下垂であることがわかる他に食道がん、胃がん、十二指腸潰瘍、胃潰瘍などの病気の早期発見をすることも出来ます。
検査時間は10分〜15分程です。苦痛は少ないですが、バリウムの味がまずいので少し飲みにくいぐらいです。
超音波検査(腹部エコー検査)
胃の他に胆嚢や肝臓、すい臓などに異常が無いか検査する方法です。この検査は様々な臓器への検査ができるので、病気での検査で用いられる臓器は多岐に渡ります。
放射線被曝の心配もなく、胎児の観察にも用いられます。検査時の苦痛も無く、負担を追わずに検査を受けることが出来ます。もし以上が見つかった場合は、CTなどの検査を行いさらに詳しい病気の検査を行います。
内視鏡検査(胃カメラ)
口や鼻から細い管のようなカメラを通し直接胃の中の状態を確認します。鼻や口から直接異物を挿入するので、吐き気が出たり、苦しさを訴える人も多いようです。
同時に胃がんや食道がんなど口内、食道、胃、十二指腸などの状態を確認できるので、症状のない病気の早期発見をすることが出来ます。
1年に1度胃カメラの検診を受ければ十分胃がんなどの重度な治療が必要な病気は予防できるといいます。
もし胃に何かしらの症状が出て消化器科などの検査を受ける場合は、まずは問診による診察を行い、症状や体調などを観察した後必要であればこれらの検査が行われます。どの検査も時間が掛かるものではなく、10分〜15分程で終わる検査がほとんどです。
胃などの症状は何が原因で起こっているかが、症状による検査だけでは特定しにくく精密検査が必要になります。もしかしたら、胃下垂が原因かと思ったら全く違う病気の可能性もあります。
もし胃に何かしらの症状が強く起こるようなら消化器科で一度検査してもらいましょう。
胃下垂になる原因
では次に、生まれつきではなく胃下垂になってしまう人は、どういったことが原因でなってしまうのかを紹介します。胃下垂の人はもしかすると心あたりがあるかもしれません。
①筋力が下がっている
胃というのは、内臓の筋肉によって支えられています。しかし支える筋肉が弱くなってしまうと、胃下垂になってしまうのです。
特に、背が高くて痩せている人は内臓の筋力や脂肪が少ないために、胃を支える力が弱く胃下垂の人が多いといえます。
また高齢になってくると、自然と内臓の筋力が低下するので胃下垂になってしまう人もいます。
特に腹筋の部位の筋力の低下が大きく関係していると考えられます。下腹筋や横腹筋などの筋肉の低下が内蔵を支える筋肉として関係していて内臓の位置が下る原因になります。わかりやすく下腹筋などと言いましたが、詳しくは腹横筋や腹斜筋と呼ばれる筋肉で、表層の腹筋ではなく内蔵側の腹筋になります。
筋肉ではインナーマッスルと呼ばれる筋肉で、鍛えにくい筋肉でもあります。
②ホルモンバランス乱れ
ストレスが原因となって、ホルモンバランスが崩れて胃下垂になってしまう人は少なくありません。
ストレスを溜めすぎてしまうと、ホルモンバランスが乱れてしまい自律神経が崩れてしまいます。そうなると胃が正常に働かなくなり、消化不良を引き起こしやすくなって食物をきっちり消化できなくなります。
それにより、食べ物の重さがそのまま胃にのしかかることになってしまい、胃が少しづつ下がってきてしまうのです。
また、その他にも疲労の蓄積や、過度な緊張や不安な状態が続く事や睡眠の質が下がることでもホルモンバランスは乱れてしまいます。安定した生活を心がけましょう。睡眠では特に成長ホルモンが分泌される夜の22時〜深夜2時までの時間帯に睡眠を取ることが重要とされています。適度な運動や、ストレス発散を行ってから睡眠をとることで、睡眠の質も上がり自律神経を整えることが出来るでしょう。
③姿勢の悪さ
普段の日常での姿勢が悪い人は、胃下垂になりやすいといえます。
特に猫背気味の人は気をつけましょう。骨盤が少しづつ歪んでくることで、胃の位置も少しづつ下がってくるのです。逆を言うと、胃下垂の人は骨盤が歪んでしまっている人が多いのです。
背筋を伸ばした時に、お腹の部分から首の部分にかけて、違和感を感じてしまう人は胃下垂の前兆の場合があります。普段からきっちりした姿勢での生活が必要だといえます。
また、出産によっても骨盤底筋と呼ばれる筋肉が緩むことで姿勢や骨盤が不安定になり骨盤の歪みや、開きの原因になります。どちらの場合も整骨院などでの矯正が必要になりますので、もし症状がひどい場合は姿勢の矯正を行うと症状が回復する可能性があります。
④噛む回数が少ない
胃下垂になる原因と聞いて一番思いつくのが、食事の際に噛む回数が少ないですよね。
食物をあまり噛まずに飲み込んでしまうと、食べ物が重いまま胃に入ることになります。そんな時に、ストレスや疲れで胃が正常に機能していなかったり、内臓の筋力が低下したりしていると胃が下がってしまうことになるのです。
食べ物はよく噛むことで、口のなかで消化しやすい状態にする必要があります。噛むことは健康にも良い影響を及ぼすので、なるべく噛むようにしましょう。
⑤側湾症、漏斗胸
胸部の骨の変形により、内臓が圧迫され背中の背骨の形も変形することで姿勢が悪くなるなどの症状が現れるものです。
若い年代から発症することが多く、成長期や幼児の時期などの期間に発症する突発性のものであることがほとんどです。側弯症は特に女子に発症が多いとされています。軽度の場合では症状もほとんどなく、経過を見守るだけで済みますが、後期のものでは自然治癒することは無く症状の進行が無いようにする必要があります。重度の側弯症では手術が必要なので成長中の間は常に観察する必要があります。
胸の骨の形状が変形することで息がし難くなったり、慢性疲労や低体温や内臓機能低下や深く呼吸を行えなくなるなどの症状が現れます。内臓の圧迫によって胃も自然と下へ追いやられ胃下垂になる可能性が高くなります。
胃下垂の改善方法
胃下垂をこれから治したい!という方に、改善方法を紹介します。上記のように、胃下垂は体にとってはあまり良くない状態なので、改善するように努力しましょう!
①筋肉を鍛える
原因にもありましたが、筋肉が衰えていることで胃が下に落ちてしまいます。筋肉を鍛えて、胃が下がらないようにすることで、胃下垂を改善することができます。
鍛える部分は腹筋なのですが、腹筋の中でも下腹筋にあたる部分を鍛えないと、胃下垂の症状の改善には意味がありません。
下腹筋インナーマッスルを鍛える方法を紹介します。
1、仰向けに寝ます。
2、そのまま足を上げれるところまで上げます。
3、足を下に下ろしていき、床につくギリギリまで下げます。
4、1〜3を繰り返します。
以上になります。実際にやってみると、下腹の部分に負担がかかるのがわかると思います。無理をしない程度に試してみましょう。
②食事の仕方を変える
胃下垂を改善したい人は、意識的に食事の方法を変えた方が、より早く治りやすいといえます。
まず一度に食べる量を減らしてみましょう。一度にたくさん食べてしまうと、胃が重さにやられて下がってしまいます。少ない量で回数を増やした方が、胃に負担をかけることなく栄養を摂取することができます。もちろん食事の際は、消化がしやすいように噛む回数を増やす必要があります。
また、ある程度を胃を刺激して胃が活発に動くようにする必要があります。そのためには、辛くて刺激のあるものを食べる必要があります。バランスよくスパイスの効いた料理を摂取するようにしましょう。
③ツボを押してみよう!
胃下垂の改善に効果のあるツボを定期的に押してみましょう!
・下脘(げかん)
おヘソの部分から、指2本分上に位置するこころにあるツボです。消化機能を助ける効果があり、胃に不快感を感じている時におしてみましょう。
・胃兪 (いゆ)
腰のくびれの高さにある背骨から、指2本分離れたところに位置するツボです。胃液の分泌を活性化させる効果があります。
・曲池(きょくち)
肘を曲げた際にできる、外側のくぼんだところに位置するツボです。消化機能全般を助ける効果があります。
以上が胃下垂を助けるツボです。胃下垂そのものを治すというよりかは、消化を助けて胃が下がるのを防ぐ効果があるといった感じです。食べ過ぎた時や胃が苦しい時に押してみましょう!
しかし、根本的な胃下垂を治す方法ではないので症状が繰り返す場合や、症状が辛い場合は同時に胃下垂の改善方法も行っていく必要があるでしょう。
④整体を受ける
体の歪みが原因で胃下垂になってしまっている人は、整体を受けることで胃下垂に効果があります。
そもそも体が歪んでいると、胃を上にあげようとしても上がらなくなってしまいます。まずは、体の歪みを治して胃が元の位置に戻れるような体質になる必要がありますよね。
また普段の姿勢が悪いことも原因に挙げられるので、意識的に姿勢を良くしましょう。
もちろん整体を受けただけで、胃下垂が治るということはありません。歪みを失くした上で、下腹筋を鍛える必要があります。
自分でも手軽に行える方法として、骨盤の位置を正常に戻すイスなどのグッズが販売されています。もし定期的に整体を受ける時間の余裕がない場合はこれらの商品を利用してみるのもいいでしょう。
また、下腹部を締め付けることによって、腹筋をつけたのと同様の効果をもたらしてくれる商品もあります。着るだけで良いので楽ちんですし、ボコッと出た腹部もすぐに引っ込めてくれます。しかし、根本の解決にはならないので、これも筋トレと同時に利用するのが良いでしょう。
胃下垂は太らないって本当??
自分が胃下垂だと言うと、「太らないから羨ましいなぁ〜」なんて言われることがよくありますよね。胃下垂の人は太りにくいと聞きますが、それって果たして本当なのでしょうか?
結論から言いますと、胃下垂の人は太りにくいです。
なぜかというと、悪い点にも紹介しましたが、食べた量に対して、栄養を全て摂取できないことが要因になります。そのため普通の人が食べた分に対して、吸収されるエネルギーが少ないわけなので、太りにくくなるのです。また、胃がムカムカしやすくなることもあり、食欲が湧きにくくなることも要因の一つだといえます。
しかし健康面でのことを考えると、太りにくい反面、体を元気にする栄養やエネルギーも十分に摂取できないということになります。食べるということは、生活の上では欠かせないことなので、そういった部分は胃下垂の人は良くないといえます。
痩せ型の人に多い
また、胃下垂の症状が出やすい人が痩せ型の人に多いというのも胃下垂の人は太らないと言われている原因かと思われます。胃下垂になる原因の本当のところはまだはっきりわかっていません。
姿勢や腹筋などが関係していると言われていますが、全てに当てはまるわけではありません。また原因の一つとして、体型に合わせて胃の位置が下がり、そうなっているのではないかとも言われています。長期間痩せ型の体型になっている結果、胃下垂になっているという説です。
なので、はっきり胃下垂が先か痩せ型の体型が先に起こるのかはわかっていません。
まとめ
胃下垂になる原因
- 内臓の筋力低下により胃を支えられない
- 疲労やストレスによるホルモンバランスの乱れ
- 姿勢が悪くなり胃の位置が下がる
- 噛む回数が少なく、消化しきれていないため
胃下垂の改善方法
- 下腹筋を鍛える
- 食事の仕方を変える
- ツボを押して消化を助ける
- 整体を受けて歪みを治す
以上が今回の記事のまとめになります。
胃下垂を治すには、内側の筋肉を鍛えながら、胃が下がらないように消化機能を助ける必要があるということですね。
特に病気というわけでもなく、それほど大げさに考える必要もないと考えている人も多くいます。しかし、健康面のことを考えると改善した方が良いので、根気強く努力しましょう!
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