マダニに噛まれた時の症状は?対策方法や予防法を紹介!噛まれた時にやってはいけないことは?

危険な虫は様々な場所に生息してします。例えば蜂は毒針を持ち、刺されると命の危険もある虫です。住宅街に生息していることは少ないですが、森や山に行けば出会ってしまうこともあるでしょう。

マダニもそんな危険な虫の1つです。ウイルスを持ったマダニに刺されれば、命を落としてしまうこともあります。では、そんなマダニの実態や症状、そして対策や予防法についてみていくことにしましょう。

マダニとは?

ダニ

「ダニ」という名前が付いているように、布団や絨毯に生息するダニを想像するかもしれませんが、その危険性は大きく異なります。クモのような複数の足を持つ、節足動物で、動物の血液を吸って生きています。種類は約20種ほどいます。別名「殺人ダニ」とも呼ばれます。

マダニの驚くべき点はその吸血量です。未吸血時は体長が約3mm程度ですが、吸血をすると1cm以上まで膨らみます。吸血をしたマダニは元の姿がわからないくらい、膨れ上がっています。

生息する場所は山や森にいますが、公園や原っぱにもいることがあります。そのため、キャンプやちょっとした山遊びなんかで遭遇し、人間から吸血してしまうこともあります。しばし注意が必要でしょう。

マダニが持つ危険な感染症

マダニが危険なのは感染症を持っている可能性があるからです。

例えば東南アジアでは蚊に刺されるとマラリアに感染することがありますが、マダニも同様に刺されることで感染症を発症することがあります。マダニが持つ感染症として、以下があげられます。

  • 重症熱性血小板減少症候群
  • ライム病
  • 日本紅斑熱

これら病気の感染リスクがあります。。一方でマダニに噛まれたとしても、ウイルスを持っていないとういこともあります。刺されてから感染症を発症するか、それとも何事もないかは、わかりません。

免疫力の低下や年齢による体力の低下が起きていると、中には命の危険がある感染症もあります。マダニに刺されないよう対策をすることも大切です。では、それぞれの感染症の症状についてみていきましょう。

マダニに噛まれることで起こる感染症

感染症

では、マダニに噛まれることで起こる感染症には具体的にどのようなものがあるでしょうか。

重症熱性血小板減少症候群

日本で確認されるマダニに噛まれて起こる感染症のうち、一番多いのが重症熱性血小板減少症です。SFTS感染症、SFTSウイルス感染症とも呼ばれます。この病気を起こすのはSFTSウイルスによるもので、感染経路はマダニ。感染すると以下の症状を発症します。

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 下痢
  • 腹痛
  • 筋肉痛

これら症状は風邪の症状とも似ているため、しばし勘違いされがちです。しかし、マダニに噛まれたと思われる皮膚の炎症が見られたり、草むらに入った記憶があれば、SFTSの可能性があるでしょう。

潜伏期間は6日から14日程度です。それまでの間は特に症状を発症しませんが、この期間が経ったあたりから、体調不良を訴えるようであれば、注意が必要でしょう。

このウイルス感染症は死亡率が高く、12%といわれています。また、50代以上のシニアの感染・発症が多く、年齢に伴う体力・免疫力の低下が関係しているでしょう。SFTSウイルスはマダニの約10%が持っているといわれています。

SFTSは効果的なワクチンがない

一般的にはウイルスに感染すると抗生物質を投与し、治療を行います。しかし、SFTSは有効なワクチンや治療薬がありません。このため、感染・発症したときは対症療法が主な治療法となります。

春から秋、西日本に注意

マダニの活動期は春から秋といわれています。この活動の時期、草むら等に入るとマダニに噛まれる可能性があるでしょう。何か作業をする時は注意が必要です。十分な予防が大切です。また、SFTSの感染者は西側の日本に集中してします。このエリアの方は特に注意が必要でしょう。

ライム病

ボレリアという病原体に感染することで発症します。ネズミや野鳥が保菌していることもあります。ライム病では以下の段階的な症状を発症し、患者を苦しめることがあります。

1:感染初期

ライム病の潜伏期間は3日から30日と幅があります。その期間、マダニに噛まれたところから病原体が増殖していき、皮膚には紅斑(遊走性紅斑)を発症させます。紅斑は日を追うごとに大きくなっていきます。

紅斑のほか、熱が出たり頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状を発症します。風とも判断しがちですが、明確な噛まれた跡、そして紅斑がみられるようであれば、マダニによるライム病かもしれません。

2:播種期

播種期では増殖した病原体が血管に乗って、全身に拡散し始めます。それに伴い、全身に様々な症状を発症します。症状は以下のことがみられます。

  • 皮膚症状
  • 心疾患
  • 神経症状
  • 関節炎
  • 眼の異常

皮膚症状は紅斑の悪化がみられます。そのほか、髄膜炎、心筋炎、角膜炎、顔面神経麻痺など、様々な部位で炎症症状がみられます。インフルエンザにかかったような強い倦怠感も感じ、早急な対応が必要でしょう。

3:慢性期

感染から数ヶ月から数年後に発症します。各全身症状が重症化し、深刻な状態を招きます。皮膚炎、関節炎、髄膜炎がそれぞれ慢性化しているので、病態としては注意が必要です。

ライム病の治療

ライム病を発症させるボレリアは抗菌薬があります。これを投与することで、病状を回復することができます。また、紅斑などの各症状に対しても、薬を投与すれば治療することができます。

詳しくは、ライム病とは?症状・原因・治療法・予防法を紹介!を読んでおきましょう。

日本紅斑熱

日本紅斑熱はリケッチア・ジャポニカ(日本紅斑熱リケッチア)という病原体の感染によって発症します。この病も同様、保菌しているマダニに噛まれることで感染してしまいます。

潜伏期間は2日から8日間と比較的短いことが特徴です。発症すると、頭痛や発熱。そして倦怠感といった症状が見られ、風邪と似た症状を発症します。マダニに噛まれた部分は発疹や噛まれた跡が確認できます。

日本紅斑熱の治療

ライム病と同様に効果的な抗菌薬があるので、これを投与します。皮膚にはマダニに噛まれた跡があるので、これがわかれば診断も容易で、適切な治療を早期にすることができます。

一方で予防するワクチン等はないため、基本的な予防対策はやはりむやみにマダニがいると思われる山林や野原に入らないことです。止むを得ない場合は、服装に十分気を配る必要があるでしょう。

マダニに噛まれた時の対処法

虫刺され

では、実際にマダニに噛まれた時、どういった対処・方法をすればいいのでしょうか?マダニを取らなければ感染症の恐れもありますから、早急に対処する必要があります。

具体的には以下の対処方法をするようにしましょう。

マダニが皮膚で吸血しているとき

マダニが皮膚を噛み、吸血をしている。この時、無理にマダニを手で取ってしまうと口先が残ってしまうことがあります。

こうなると感染が進んだり、外科的な皮膚の切開が必要になることがあります。なので、まずは以下の対処をしてみてください。

殺虫剤を使用する

吸血中のマダニを安全に取るために、殺虫剤を使用してみましょう。マダニは血を吸うのをやめ、皮膚から離れるようになります。こういったときのために、山林へ行くときは殺虫剤を携帯するといいかもしれませんね。

専用のピンセットを使用する

マダニの口の部分を掴み、安全に取り除くことができる専用のピンセットがあります。これを使用することで、被害の悪化を防ぐことができます。動物用のものがありますが、それでも十分、応急処置の方法として効果的です。

最もやってはいけないこと

吸血中のマダニに対して最もやってはいけない処置。それは自分で叩き潰したり、無理やり取ってしまうことです。先に述べたように、マダニの口先が皮膚に残り、感染症のリスクが高まるためです。

また、マダニを取った後も皮膚をかいたり、放置してしまうことは危険です。大丈夫だろうと思うのではなく、きちんと病院へ行くようにしましょう。

皮膚科の病院できちんと治療を受ける

虫に噛まれたぐらいで病院へ行くことにはなんとなく抵抗があるかもしれません。しかし、マダニはどんな病原体を持っているかわかりません。数日経って症状が出てくるようであれば、何かに感染している可能性があるかもしれませんね。

マダニの感染症は初期対応が重要です。たかが虫に噛まれたぐらいで…そう思わず、きちんと病院へ行くようにしましょう。症状悪化はとても辛いですから気をつけてくださいね。

マダニに噛まれないための予防対処法

山林

では、マダニにそもそも噛まれないための予防にはどういったことをすればいいのでしょうか。予防をするかしないかは、体を守るためにも重要なことなので気をつけてくださいね。

まずは生息地に近づかない

最大の予防法はマダニにそもそも近づかないということでしょう。

マダニは山林、原っぱ、特に湿気の多い場所に生息してします。こういった場所へなるべく行かないようにしましょう。

肌の露出は最小限に

止むを得ない理由で生息地に入る場合は、肌の露出を最小限にするようにしましょう。長袖・長ズボン。また、手袋や首と元にはタオルを巻くというのも効果があるでしょう。

一方、子供が山林で遊ぶ時は注意が必要でしょう。マダニは春〜秋に活発になりますが、例えば夏の時期に肌の露出を控えた服装をせず、遊んでしまうことがあるでしょう。なるべく、肌の露出を控えるよう言い聞かせる必要があります。

虫除けスプレーを忘れずに

虫除けスプレーをすれば、マダニをはじめとする虫を遠ざけることができます。また、仮に噛まれたとしても、噴射することでそれ以上状況を悪化させることはないでしょう。山林へ行く場合は、スプレーを1つ携帯して出かけたいものです。

そのほかの感染症やアレルギー

アレルギー

マダニ以外にも、私たちの身の回りには危険となる病原体やアレルギー物質があります。普段は大丈夫でも体力や免疫力が下がっていると、途端に病気になってしまうなんてこともあります。

具体的には以下の病気が挙げられます。

花粉症

国土の3分の2が山林の日本では、非常に多くの人が花粉症を患っています。花粉の時期ともなると、マスクや花粉防止ゴーグル・メガネをし始める人がでてきます。

花粉症はアレルギーの一種ですから、花粉症対策をするほか症状を抑えることはできないですが、近年では舌下免疫療法といった治療法が確立されています。花粉症を根本的に抑えるこ効果がかなり期待できます。

ツメダニ

その名の通り、ツメが特徴的なダニです。草むらに生息していますが、ペットなどを介して、室内に侵入することがあります。体調は1mmに満たない、目に見えないほど小さなダニです。布団や絨毯で生息し、人を噛むことがあります。気密性が高く、湿度が高くなるマンション等の環境を好み、繁殖してしまうことがあります。

ツメダニは吸血はしないものの、噛まれると強いかゆみを発症します。そのかゆみは蚊に刺された時よりも何倍も強いといわれていて、刺された人を苦しめてしまうでしょう。そのほか、湿疹がみられることもあります。

ツメダニから体を守るためには家の環境を整えることが大切です。ダニ退治として絨毯や布団は定期的に干してあげましょう。ツメダニは紫外線に弱いので、効果があります。布団乾燥機で布団を乾かすのも効果的です。食べかすも繁殖の原因になるので、掃除機で掃除するよう心がけてください。

イエダニ

ネズミに住み着いていることが多いダニです。ネズミが死んだ後、その死骸から繁殖・移動します。人に住み着くと、吸血します。活動期は6月の梅雨時期から9月の夏の終わりぐらいまでです。

噛まれると皮膚炎を発症することがあります。また、何度も噛むという性質があり、非常に強いかゆみを発症します。ネズミがいるような古い家屋であったり、環境が悪いようであればきちんとした掃除をするようにしましょう。

ヒョウダニ

布団の中にいるダニとして代表的なのがヒョウダニです。こちらのダニも血は吸わないものの、噛まれると強いかゆみを発症することがあります。

ヒョウダニの死骸や糞に含まれるアレルギー物質によって、ダニアレルギーを発症することがあります。特に小さい子供など、免疫力が備わっていない子がアレルギー物質を吸い込むと、アレルギーを発症することがあり、注意が必要です。

ダニは高温で、湿気が少ないところを嫌います。このため、ダニ予防・対策としては布団をきちんと干すこと。特に夏場の湿気が高い時期はこまめな掃除が必要です。

ツツガムシ

ツツガムシという虫が持つ病原体がツツガ虫病という病気を招くことがあります。数日から2週間程度の潜伏期間ののち、発熱や発疹症状がみられます。明確な噛まれ口があり、発熱や発疹。また、最近山林等に入ったことがあるようでしたら、ツツガムシが原因かもしれませんよ。

ノミ

ペットを飼っていると気をつけなければならないのがノミです。シャンプーをしていても、毛根に住み着いていて、完全に取り去ることが難しいです。同時に散乱し、繁殖していることもあります。

ノミが繁殖すればそれだけ吸血量が多くなります。その結果、貧血を発症してしまうことがあります。また、皮膚に炎症・痛みを発症してしまったり、人へ感染してしまうこともあります。

ノミ対策としても同様に常に清潔な環境を意識すること。食べかすはそのままにせず、衣類は太陽の元で干すなどの対策が必要でしょう。

布団の掃除を忘れずに…

日本は高温多湿でダニやノミが非常に繁殖しやすい環境です。ただ、昔の日本家屋というのはそういったことを考慮し、風通しが良い構造をしていたり、虫よけのための知恵が家のところどころに生かされていたものです。

しかし、最近の家は風が通らない構造をしていたり、湿度がたまりやすい構造から、虫が非常に好む環境です。その環境が続けば、当然虫が繁殖し、人体に影響をあたえることもあるでしょう。

布団というのはなかなか掃除がしにくい衣類です。しかし、家の環境が悪いところに幾日も置いてあるようであれば、ダニが繁殖しているかもしれませんね。心当たりがあるようでしたら、注意が必要でしょう。

定期的に太陽の光に当てたり、きちんと掃除をすること。基本的なことですが、家のダニやノミを退治するのには最も効果的な方法といえるでしょう。

まとめ

冒頭でも述べましたが、マダニという名前から警戒感が薄れてしまう人がいます。しかし、噛まれてしまうと運が悪ければ、かなり危険な感染症を発症してしまうことがあります。

また、抵抗力・体力が落ちている高齢者であれば、それが死亡の原因になってしまうことがあります。早急な対応をすれば大丈夫でしょうが、放置してしまうと危険でしょう。

たかが虫に噛まれた。そう思うのではなく、大事をとって、きちんと病院へ行く。なんでも初期対応が大切です。皮膚に異常を感じた時は、対処するようにしてくださいね。

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