皆さんは神経質と聞いてどんな人を思い浮かべますか?細かいことを気にしたり、いちいち指摘してきたり、何度も確認してきたりと、仕事場であうと「めんどくさいな」と思ってしまいそうです。
神経質な人のほとんどの方が自分が神経質だと気づいていない為、あなたも神経質な性格かもしれません。しかし、過度な神経質の方はその性格から病的な症状が現れてくるので注意が必要です。
ここでは、神経質の人の特徴や病気の症状などについて詳しくご紹介します。
神経質について
神経質な人は、物事や人間関係などに対して人より敏感に反応する為、事を人よりも重大に捉えてしまう傾向にあります。
神経質な人ほど病気にかかる可能性があり、頭痛や疲労感などの身体的症状から対人恐怖やパニック障害などの精神的な症状などが現れる可能性があります。
ここでは、神経質とは何か、また神経質から起こりうる病的な症状についてご紹介します。
神経質とは?
神経質は、一般的には細かいことで気にする性格や自分自身を病的だと思う気質(神経質傾向=ヒポコンドリー性基調)の事を言います。取越し苦労や小心、繊細、物事によく気がつくなどの性格的な特徴を表す用語として使われています。
過度な神経質の場合は、様々な体調不良を引き起こす原因となります。精神科医の森田正馬さんは神経質について研究し、これを神経症の1つだと提唱しました。そして、この神経症は大きく分けて「普通神経質」「強迫概念」「発作性神経症」の3つのタイプに分けることができると言います。
普通神経質では、不眠,頭痛,脱力感,劣等感、取越し苦労,めまい,注意散漫などの症状が現れ、強迫概念では対人恐怖,不潔恐怖,疾病恐怖,尖鋭恐怖、外出恐怖などが見られます。また、発作性神経質では不安発作,呼吸困難発作などの発作的な症状が現れます。
過度な神経質により生活に支障を影響がでている場合は、森田療法を用いた治療法が効果的であると言われています。
神経質の類語一覧
鋭敏 、敏感、高感度、センシティブ 、デリケート、過敏、繊細、感情のこまやかな、影響されやすい、感受性豊か、慎重、心配性、不安がる、苦労性、貧乏性
神経質から起こる症状
過度な神経質の場合、この性格が基となり引き起こされる症状がたくさんあります。下記で紹介する症状が現れ生活が困難に感じられる場合は、森田療法と呼ばれる精神療法をオススメします。
普通神経質の症状
誰にでも起こりうる些細な事でも気になってしまうことで、不快感を覚えます。自己観察が強くそれに執着することで不快感も強くなって情緒不安定になり、頭痛などの体の不調が現れます。
■主な症状
- 頭痛、頭重、朦朧感
- 癇癪(かんしゃく)
- 不眠症
- めまい
- 疲労感、脱力感
- 肩こり
- 記憶力減退
- 胃腸神経症
- 書痙
- 頻尿
- 性的障害
- 腰痛
- 便秘
- 下痢
- 耳鳴り
- 心悸亢進
- 脈摶結帯
強迫性障害の症状
強迫性障害は強迫観念と強迫行為の2つから成ります。本人の意志とは無関係に頭の中に不快感や不安を感じさせる観念を生じさせ、これに捉われてしまうので苦痛に感じる事が多いです。また、この強迫観念を振り払う為に、何度も同じ行動を繰り返します。
例えば、手が汚れていると思い、手を何度も洗ってしまい手湿疹を起すのもこの強迫性障害の1種です。
■主な症状
- 対人恐怖
- 疾病恐怖
- 尖鋭恐怖
- 外出恐怖
- 不潔恐怖・洗浄強迫
- 確認行為
- 加害恐怖
- 被害恐怖
- 自殺恐怖
- 疾病恐怖
- 縁起恐怖
- 不完全恐怖
- 保存強迫
- 数唱強迫
- 恐怖強迫
発作性神経質(パニック障害)
発作性神経質は、突然ストレスを感じて動悸、息切れ、めまいなどの自律神経症状と空間認知による強い不安感に襲われる症状です。自律神経症状以外にも手足の痙攣やしびれ、圧迫感なども現れる場合があります。
このパニック発作が一度起こると、予期不安と呼ばれる「パニック発作がまたでたらどうしよう」という不安を募らせるようになり、患者はこの事に対してより神経質になりパニック発作が繰り返されます。
また、「公共の場で発作が起きたら恥をさらしてしまうかもしれない」「誰も助けてくれないかもしれない」など広場恐怖症にもなり、この気持ちが強まると1人で外出できずに引きこもりになったりします。
神経質な人の性格について
神経質な人の特徴と聞くと、マイナスなイメージばかりが挙がって来そうですが、実際にはメリットも存在します。
しかし、根底には人よりも多くの事を気にしてしまう性格である為、気苦労が耐えません。いつの間にか自分は神経質になっていないか、こちらの項目で紹介する特徴をみてチェックしてみましょう。
責任感が強い
神経質な人ほど、責任感が強く与えられた仕事を最後までこなそうと一生懸命になります。人に仕事をふれば楽になることまでも、自分でやろうとします。自分の任された仕事は最後まで自分でやらないと気が済まない性格とも言えます。
責任感の強い人は、職場では上司から信頼される要素となります。細かい仕事が得意で、職種によっては性格が生かされて昇進したり、成功する可能性があります。
仕事が出来る
神経質な人は細かな部分を気にすることができるので、仕事に妥協がなく丁寧にこなすことができます。その為、周りからは仕事が出来る人と思われ、学校や会社などの組織に必要とされる人間です。
日本では繊細さや細やかさが美徳とされています。神経質な人は自分の独自の価値観に縛られる頑固な性格でもある為、それが個性として受け入れられる場合もあります。例えば、アーティストなどの職業の場合は、この細かい性格が作品に生きてくるでしょう。
倫理観が強い
神経質の人は、他人が気にしないような些細な事が気になってしまう性格で、中でも人のモラルや悪い事に関して敏感に反応し、それを注意してしまう傾向にあります。注意された側は「そんな細かいところ良くない?」と思ってしまい気持ちを理解することができない事が多いです。また、注意される回数が増えるので相手の事を嫌う可能性もあります。
神経質な人は人の道を外れた行動をするのが嫌いで、小さい時からよくルールや規則を守るタイプの子供だったのかもしれません。しかし、固定観念に捉われたり、判断基準が自分の基準になりすぎている場合があります。
例えば、旦那が服を逆に脱いで置いた場合にイライラが止まらなくなる人がいます。人それぞれ育ってきた環境も価値観も違い、あなたが毎回正しいという事はありえません。「人それぞれだから」という軽い気持ちを持たないと、周りに「この人にはついていけない」と思われてしまいます。
真面目で完璧主義者
神経質な人は真面目で完璧主義者です。その為、何に対しても手を抜くことができずに、仕事も一生懸命に行います。少し気持ちを休めたり、サボッたりすることは自分の中では許せない行為です。仕事の手の抜き方も分からずに突き進んでいくので、最終的には自分の体をや心が休まらない状態になります。
また、何か間違った事やトラブルに遭遇した時は、反省して次の機会に経験を生かすことができます。完璧を目指し目標を達成しても更なる目標を持ち続ける為、現状に満足することはありません。
他人の評価を気にしている
神経質な人は周囲から自分がどのように見られているのかを気にしています。
また、その評価をネガティブに捉えてしまう傾向もあり、人に言われた何気ない一言で「自分は皆から嫌われている存在なんだ」と捉えてしまいます。
このような思い込みが人間関係を構築するのを難しくしています。
心配性
神経質な人は心配性とも言えます。その為、子供がいる場合は、育児ノイローゼや鬱になりやすくなります。子供が病気になった場合は、風邪などの軽い症状の場合でも心配しすぎてしまいます。
他にも、友人の家に子供のお世話を頼み、夫婦だけで出かけたとしても、結局子供が気になりすぎてせっかくの休みも休まりません。心配しすぎてソワソワすることもあり、時には落ち着きがない人と思われます。心配するだけ無駄だと分かりながらも止められないのが神経質な人です。心配しすぎて自分自身で勝手に落ち込んでしまうこともあります。
傷つきやすい
神経質な人の心は弱く繊細で、すぐに傷ついてしまいます。誰でも人から怒られたり叱られる事は嫌です。一般の人は子供の頃に学校や家で叱られていくうちに、自分にストレスがかかりすぎないようにポジティブに考えたり軽く受け流す術を自然と身につけていきます。
しかし、神経質な人は子供の頃から叱られた事を人よりも重く考えてしまう為、大人になってもどのように対処していいのか分からずに上司に叱られた時にひどくショックを受けます。また、叱られないように努力したり、叱られないように対象の人を避ける傾向にある為、次第に上司との距離が広がっていき、上手く関係を築くことができません。
冗談が通じにくい
神経質な人は真面目な性格のため、冗談が通じにくいとも言えます。冗談で言ったことも全て真にとらえたり、ネガティブに捉えてしまう場合があります。その為、冗談で言ったつもりの言葉をいつまでも根に持っているタイプの人もいます。
また、神経質な人はプライドが高い面も持っているので、「バカにされた」「見下された」と捉えられた時には、人が変わったように反撃する場合もあります。
相手からしてみれば、冗談で軽く言ったつもりが、いきなり怒り出したという印象を受け、付き合いづらい人や心の狭い人と思われてしまいます。自分の周りに神経質な人がいるかもしれない為、どんな人間かを理解できるまでは、気軽に冗談を言うことは控えましょう。
悩み事が多い
責任感が強く、心配症で、人の意見をマイナスに捉えたり、人から怒られるのを怖がっている性格であると、それだけでも悩みが多いといえます。
悩み事を常に抱えているとストレスが溜まり、溜まったストレスを上手く対応できなくなってくると、うつ病などの精神病にもかかりやすくなります。
自意識過剰になりやすい
神経質な人は自意識過剰にもなりやすいです。自意識過剰とは自分の周りのことに対して過剰に意識してしまう人のことです。自分の外見や行動を他人がどう評価するかを気にしている為、例えば女子社員が笑顔で声をかけてきたら「彼女は僕の事が好きに違いない」などと思ったりします。
恋愛に限らず仕事でもポジティブに考えた時には、人よりもポジティブに考えすぎてしまい、ネガティブに捉えた場合も同じ事が言えます。その為、周りの人達からはあの人は謙虚さが足りないとも思われる事もあります。
神経質を改善する方法について
神経質な人はこだわりが強い傾向にありますが、こだわればこだわるほど自分の生活の幅を狭くし、生き抜くくしていきます。例えばマーガリンは体に悪いから食べないと健康の為に気をつけ始めたことも、こだわっていくと添加物も食べない、スナック菓子、ジュース・・・と増えていきます。
それだけでなく家族とも些細な事で喧嘩をしたり、最悪の場合体調不良や精神病を引き起こします。そうならないように、こだわりすぎてしまう時の対処法、気持ちの持ち方についてご紹介します。
どれも正解だと思う
神経質な人は、自分の価値観で物事を捉えすぎてしまう傾向にあります。人と意見を交えた時に、何が正しいや間違っているという事は、なかなかありません。時には1つの意見に多くの人が賛同する場合もありますが、だからと言ってもう片方の意見が間違っているという事にはならないのです。
これは、意見だけでなく行動でも同じことが言えます。例えば、旦那が妻の家事を手伝おうとした時に、いつも妻が行っている方法とは別の方法で物事を進めた場合に「やり方が違う」と怒り出す人がいます。家庭環境が違えば家事の行い方も違い、正解や不正解というのはありません。どちらも正解と思い、自分のルールにこだわりすぎないようにしましょう。
何事もほどほどに
こだわる事は時にはいい事ですが、それを突き通したり拘りすぎてしまうと、だんだんと自分ルールができてしまい、それを破ると許せなくなってしまいます。例えば、添加物は一切食べないという自分ルールが作り上げられると、周りに対しても「どうして理解してくれないんだ」や実際に添加物を食べてしまった時に後悔したり、自分を責めるようになります。
このようにこだわりすぎてしまう前に「ほどほどなら大丈夫」という気持ちを持つことが大切です。こだわりすぎてしまうと、この世に存在する食べ物は何も食べれなくなります。いくら健康にいいと言われている食材も食べ過ぎると毒になります。
何事もほどほどにすることが重要なのです。「添加物は毎日食べるのは控えた方がいいけど、ほどほどなら大丈夫」と考えを切り替えていきましょう。
物事の両面を考える
物事には必ず、ネガティブな部分とポジティブな部分が存在します。神経質な人はこのどちらかに思いっきり考え方を寄せてしまう傾向にあるので、逆の面を見るようにする事が大切です。
例えば「薬を飲むのはよくない」とマイナスな面だけを見てこだわってしまった場合、薬を飲むことでのメリットも考えて見ましょう。また、他の人の意見にも耳を傾けて違った考え方を受け入れるようにすることが大切です。
人は人、自分は自分
誰でも否定されたり、命令されると嫌な気分になります。神経質な人は自分の価値観が周りに通じないと「何でわからないんだ」とムキになったり、相手に意見を押し付ける事があります。しかし、考え方は人それぞれである為、あなたのこだわりを相手に押し付けるのはよくありません。
例えば「自分はベジタリアンの道を進む」とベジタリアンであることにこだわり出したとしても、だからといって周りに「目の前でお肉を食べないで」というのは難しい話です。自分のこだわりは自分の中だけに留めて、それを人に強要するのは止めましょう。
70%で満足する
神経質な人は完璧主義者な為、100%の結果を出さないと満足できない性格です。しかし、この世の中に完璧な人は存在しません。TVに出ている有名人でも顔がきれいな人もいれば、頭の悪い人もいます。
何かが得意な人もいれば、不得意な人もいて、人と比較して優れる場合もあれば、劣る場合もあるのです。こだわりは7割、残りは適当という気持ちで物事を考えたり取り組むことが重要です。
おわりに
神経質な人は、真面目で細かいところに手が届くという面をビジネスで生かせる場合もありますが、人間関係の構築は上手であるとは言えません。
また、いつも小さなことに気をかけてしまうので、人よりストレスがたまり易いです。神経質すぎてしまうと体調不良や精神的な病気になる可能性が高くなるので、そうなる前に気持ちの持ち方を変えて見ましょう。
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